呪術師のひとりごと 作:貿易商人
実のところ、猫猫の故郷である花街は後宮とそんなに離れていない。後宮だけでも町1つ分の大きさがあるのだが、その後宮を含めた宮殿をすっぽりとおおう用に城壁が存在しており、その城壁の内側は茘の首都である王都であり、その王都の中に花街は存在している。
「ここが花街か!!高嶺の花である三姫に会えるなんてわくわくするな!!」
猫猫の身元保証人として、猫猫と渚と共に花街にやって来た李白は物凄く嬉しそうである。猫猫のある意味もう1つの実家とも言える緑青館は中級~高級~最上級の妓女が働く老舗のお店であり、最上級の妓女である白鈴、梅梅、女華に一目でも会うためなら何回も通わねばならないし、一見さんはお断りである。
そんなスターとも言える三姫に猫猫の紹介着きで会えるためなのか、李白は物凄く嬉しそうだ。因みに緑青館の三姫に会ってお茶を飲むだけで庶民の年収が消える程だ。まあ、茘は女帝とロリコン先帝のお陰で中世から技術進歩がなく貧富の差が激しいのも有るのだが。
「ここか~玉犬の散歩してる時に、病で死にそうな人が居たから無断突撃して円鹿で治療したら、お金にがめつい婆ちゃんからお小遣いもらったな」
「母さんを治療したのはやっぱり、お前か」
実はと言うと、渚は花街に来るのは初めてではない。後宮呪術師になって最初の休みの時、暇だからと玉犬を連れて王都を散歩している時に偶然にも緑青館の前を通りすぎた時、玉犬が死にそうな人の臭いを感じ取ったのだ。玉犬の様子を見た渚は問答無用に緑青館に突撃し、なんかババアに摘まみ出されそうに成ったが玉犬が感じ取った場所に到着すると、末期の梅毒の患者が居たのだ。医療ではもう手遅れの状態だったが、呪術ならなんとかなる。渚は円鹿の力で女性を完治させた。
「確かに鳳仙さんと猫ちゃん、似てるもんね……なのにちっちゃいね」
「親子だから。あと、私はまだ背が伸びるかも知れないだろ」
「む?鳳仙?……えっ?俺の上司の奥さんと同じ名前なんだけど」
「「へ?」」
猫猫の母親は鳳仙という名前であり、なんと渚が治療した女性こそ猫猫のお母さんだったのである。
そしてもう1つ、鳳仙は李白の上司の奥様の名前でもあったのだ。
「なあ、嬢ちゃん。嬢ちゃんのお父さんって漢羅漢って名前じゃないよな?」
「遺伝子上の父親はそうですが、私はマダオには育てられてません。色々あって大伯父で、名医の羅門に引き取られました」
「マダオ?」
「まるでダメな親父、略してマダオです」
なんという事でしょう。猫猫は李白の上司の娘でもあったのだ。だが、猫猫は訳あってマダオ……羅漢大尉の元では育っておらず、赤子の頃は緑青館、幼少期からは羅門に引き取られて育ったのだ。
「まあ、色んな不幸が重なって複雑な事があったんです」
「うん、聞かないでおくね。でもさ、猫ちゃんは幸せな方だと思うよ。両親生きてるから、やり直しは出来るじゃん」
「うん。渚の父親や親族と比べたら、恵まれてるよ……私は」
猫猫は色んな不幸が重なったが、母親は呪術パワーで治ったし、父親は親バカ過ぎて関わりたくないが会うたびに「ぱぱだよぉぉぉぉおおおお」と泣きついてくるマダオ、養父は伝説レベルの医術を持ち……この時代では片手で数える程しか居ない外科手術を行える医者。緑青館のお姉ちゃん達には妹や娘のように育てられたし、なんやかんや店長のやり手ババアには愛されている。
それに対して渚。爆誕した瞬間、母親が渚の呪力に耐えられず死亡。渚の呪力に怯えた父親の手で本家に捨てられる、その後……父親は再婚したとか。幼少期の頃に江戸幕府終了と共に明治時代が始まり、呪術規定の改正により呪術は呪術を知らない人には秘匿することが決まって禪院渚の追放が決定。その後は術式が十種影法術だとバレて禪院家との鬼ごっこが始まり、逃亡が始まる。そして国外逃亡で交易船に隠れて茘にやって来たのだ。
「二人揃ってすんごい過去だな。まあ、折角の花街だ。壬氏様から金銭はもらったし、楽しもうぜ!!」
しかし、折角の花街だ。楽しまなくてはしょうがない!!李白の一言で、猫猫も渚も気持ちを切り替えて緑青館を目指した。しかし……
「臨時休業?」
「あらまー」
「なにがあったぁぁあ!!」
だが、緑青館の前に辿り着いた3人を待っていたのは臨時休業の貼り紙であった。
「だとすると、上客が貸し切りにしてるのかも知れませんね。でも、私は前もってやり手ババアには伝えてるので、とんでもない上客が来ない限りはこんなのは有りません」
「入ってみるしかないよね」
「だよな」
しかし、入らなければ分からない。猫猫を先頭にして、猫猫、渚、李白の3人は緑青館の中に入った。
「おー、やっと帰ってきたかい。馬鹿娘」
ロビーでは3人の人物が猫猫の帰りを待っていた。1人はキセルで煙草を吸う、金にがめつそうなババア。このババアこそ、緑青館の店長であるやり手ババアである。こう見えて、若き頃は絶世の美女だったとか……時の流れは残酷である。
「やあ、お帰り」
そして杖をついている宦官の男性。猫猫の養父であるスーパードクターの羅門である。宦官になった訳は、女帝(ロリコンの母親)が行った法改正のお陰で医官でも後宮に入るためには、去勢しなくてはならなかった為だ。因みに断られば国家反逆罪で死罪だったので、タマタマとアームストロング砲(隠語)を取らなければどのみち殺されるので、タマタマとアームストロング砲を失ったスーパードクター。
因みに、確実に壬氏様を生存させるために阿多様と皇帝と共に、赤子取り替え裏工作を行った実行犯でもあり……本物のロリコンの次男が死んだ後に事件が発覚し、女帝の逆鱗に触れて膝の骨を抜かれて宮殿を追放されている。
「あら、その人が李白ね?逞しいお体ね」
そして梨花妃を越える超絶巨乳の持ち主、白鈴である。この白鈴こそが、緑青館の妓女の頂点に君臨する最高級妓女であり、大スターなのだ。余談だが、一緒にお茶を飲むだけで大金(令和換算で1000000)が消える。
「あれ?他の姉ちゃん達は?」
「季節外れの流行り病が流行ったのさ……爺に見てもらったから、大丈夫だけどさ」
実は緑青館では、まさかの季節外れのインフルエンザが大流行。スーパードクター羅門のお陰で大事には至ってないが、インフルエンザはウイルス性の感染症なので、症状が収まっても他者に移してしまう恐れがあるため、他の姉ちゃん達はお休みである。
「インフルエンザは細菌より細かい……構造上は生物とは言えない物が原因の感染症だよ。身体の毒素が消えて症状が収まっても、体内にウイルスが居る状態で体力が無くなれば振り返す恐れもあるからね」
インフルエンザウイルスは厳密には生物ではない、タンパク質の塊である。ウイルスは単独では自己増殖が出来ないので、生物ではないのだ。ウイルスが保菌者……例えば人間の中に入って人間の細胞を使って増殖して、毒素を出して症状が出るのだ。
なので円鹿パワーで元気になっても、振り返す恐れがあるので他のお姉ちゃん達はお休みである。
「参ったね……明日はとんでもないお客様が予約してるんだけどね。まあ、良いさ……李白だったね、白鈴と楽しんできな」
「良いんですか!?ありがとうございます!!」
その後……李白は白鈴お姉ちゃんと楽しい一時を過ごしたのだった。
「そうか……今は上級妃の所で毒味係りか」
「そう。今はお休みを貰ってる。てか、おやじ。なんか……声低くなった?」
「ああ、これかい?私から言っても良いんだけど……」
「俺が治しちゃった!!」
「やっぱり、お前か~い!!」
花街の道で猫猫のツッコミが響いた。そう、実は羅門は膝は治ってるし、タマタマとアームストロング砲も生えている。勿論、治したのは渚のお陰である。
「でも、花街って外れると呪霊いそうな無法地帯だね」
花街もメインストリートを外れると、貧富の差が激しいスラムと化す。性病の温床だったり、犯罪行為も行われる事がある危険地帯だ。
そこに羅門の家があり、猫猫は幼少期からそこで育った。
「2人とも。明日は朝早くから、お偉いさんが来るから」
と、羅門はそう告げた。
そのお客様だが……
「いやー、壬氏様が此処に来るなんて世間は狭いね!」
「此方の台詞なんだが……それはそうとお久し振りです。羅門先生」
まさかの壬氏様であった。壬氏様が花街で用があると言っていたが、それは羅門に会うためであった。因みに、壬氏様は護衛として渚が派遣した玉犬黒を武官の変わりに連れていた。
「大きくなられましたね……華瑞月皇子」
「ええ、貴方と母上のお陰で無事に生き延びて、此処まで育つことが出来ました。羅門先生、宮殿に戻ってくれませんか?」
壬氏は羅門に後宮に戻ってきて欲しいようだ。確かに羅門は優秀すぎる医者であり、こんな所で薬売りをするには余りにも持ったいなさすぎる。
「「華瑞月?」」
「私の本名だ」
因みに華瑞月とは、壬氏様の本名である。だが、後宮では普段通り壬氏or壬氏様と呼ばれている。
「皇子……生憎ですが、私はもう歳です。それにもう宦官じゃ有りません」
「祖母……権力を振りかざした女帝の作った法は改正しており、宦官でなくても医官なら後宮で働けます。
この国の今のため……いや未来のために、戻ってください」
更に壬氏は告げる。茘は文明力が他国と比べて劣っているのは事実、医療水準も先進国で留学経験のある羅門などのイレギュラーを除いて低い。先進国では死なない怪我や病気でも、茘では死ぬこともある。
それに識字率が低く、庶民は学びの機会が与えられないことも多々ある。茘が先進国のように学べるように、未来の子供達の為にも力を貸して貰いたいのだ。識字率が上がれば、就ける職種も広がり、犯罪も起きにくくなる……窃盗や強盗は貧困故に生きるために起こしてしまう事もあるのだから。
「分かりました。その代わり、この町の人達のことも心配ですから」
「勿論です。配慮はします」
こうして、世界最強のスーパードクターの現役復帰が確定したのだった。
その数時間後。緑青館。
「悪いね、とびっきりの上客の為に出て貰うよ」
やり手ババアの手で女装させられた哀れ?な男3人がそこに居たのだった。
「まさか、こうなるとはな」
先ずはエントリーNo.1 壬氏様。皇太子 華瑞月としての身分は隠していた事と、茘は女帝とロリコンのお陰で技術が遅れており写真も広まっていない。その為か、後宮以外では壬氏様=皇太子と知っている人物は少なく、やり手ババアのお陰で女装させられた。めちゃくちゃ似合ってる。
「えっへん、俺頑張るよ!」
エントリーNo.2 我らが問題児 禪院渚くんちゃん。元々男の娘だった為か、此方も似合っている。とは言え、鬘を被ってロングヘアーの女性を演じている。
「なんで俺まで女装!?なんで俺まで!?壬氏様と渚は分かるよ、似合ってんじゃん。俺やる!?変質者だよなこれ!?」
エントリーNo.3 筋骨隆々のマッチョマンの為なのか、骨太の女……はてはネタ枠と成ってしまった李白である。
「李白様はネタ枠に成ってますね」
「頑張って服を用意しただけは有るわ」
そして白鈴姉ちゃんは勿論のこと、人手不足を賄う為に妓女の衣装を纏い化粧をした(正しくはソバカス化粧を落として、新しくメイクした)猫猫である。
「ほら、お前達!!お客様の来店だよ!!」
そして扉が開き、緑青館にお客様がやって来た。そのお客様は……
「羅漢大尉に此処がお勧めの店だと聞いた。皇帝だから、こうちゃんと呼んで欲しい」
このお国の頂点 壬氏様のお父さんである皇帝陛下その人であった。
((皇帝かよぉぉぉぉぉぉおおお!!))
壬氏様と李白の心の叫びが轟いた。後半に続く!!
次回、朕をキャバに連れてって!!後編
皇帝「朕はもっさりブリーフ派だ」
皇族「代々、皇族家はアッチの方は足軽だ」
花街を全裸の皇帝が全力疾走する!!
みんなの好きな式神は?作者は玉犬渾、渚きゅんは玉犬白
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玉犬黒と玉犬白
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玉犬渾
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魔虚羅
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蝦蟇
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鵺
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円鹿
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脱兎
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貫牛
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原作で出番のない虎葬
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大蛇
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満象