ゲヘナ生「ミカさんと友達になりたいんです!!」   作:あめざり

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お姫様との顔合わせ

初めて戦場で見た時から、今日という今日まで毎日焦がれ続けて来た。

美しいピンクの髪と純白の羽、星の形をしたヘイローを持つ彼女の名前は『聖園ミカ』

トリニティのトップに位置するティーパーティー、そこに所属する3年生。目の前で見た彼女はまるで鬼神のように強く、天使の様に美しく、そして何より……可愛かったんだ。

できる事なら彼女と……ミカさんと仲良くなりたい。

もっと言うなら一種の憧れ、ミカさんの様になりたい。

 

……そんな欲望と激重感情が一人歩きした結果、今私はトリニティの校門にいる。もちろんそんな事をして良い立場じゃ無いなんて事は分かっているのだ。何を隠そう彼女は『ゲヘナ学園の生徒』だからだ。

ゲヘナとトリニティの仲が悪いだなんて1年生の私でも当然知っている。

 

「……なんでここにゲヘナの奴が居るのよ?」

「野蛮人の匂いが移るわ……離れましょ」

 

ギリギリ聞こえるくらいの声量で陰口を吐かれている……

まぁそんな事はどうでもいいと感じるくらい私の決意は固まっているのだが。

ただ、こんなに注目されたままだとミカさんに会う前に生涯出禁になる可能性がある……噂だとトリニティのシスターフッドという組織は、裏にものすごい闇を抱えていて知ろうとした生徒は全員抹消されているとか……そんな恐ろしい所にも目をつけられたら本当にマズイ。

 

そんな時にどうすればいいか?

その答えは……『堂々と歩く』

お嬢様らしく優雅に、そしてゲヘナのコスプレをしているだけのトリニティだと言う雰囲気でミカさんの所まで一直線だ!!

 

 

「……トリニティに潜入したゴミ虫め、処分が決まるまでそこに居ろ」

 

監獄に投げ入れられ、汚物でも見るかのような視線を向けられる。

終わりだ……私はここで不味い飯を食いながら一生を過ごすんだ……

こんな事ならいっその事美食研究会にでも入っていればよかった!!

 

……とまあそんなわけもなく、ここまでは彼女……いや、鏡裂アユタの計画の内。

ティーパーティーとの顔合わせ、そしてミカと話す時間を設けるなんて事、トリニティの生徒ですら難しい事だろう。それにミカは大のゲヘナ嫌い……だからアユタは、それを利用する事にした。

「ゲヘナ生徒がトリニティに入り込み事件を起こした」なんて事が起きたら、トリニティの生徒会であるティーパーティーが動くのも当然の事だ。もちろんこの作戦を遂行するならば、やった事の規模は大きいほど良い。

なら何をするか……?

 

辺り一体に轟音と振動が響き渡った。

監獄にまで伝わってくる様なそれの後に、外で看守である正義実現委員会の生徒が騒いでるのが聞こえ始める。

 

「一体どう言う騒ぎなんだこれは!!」

「詳しい事は分かりません……が、校舎周辺で爆発が起きたようです!」

「今すぐにティーパーティーと委員長を呼んでこい!!……それと、この檻の中にいる奴を厳重に拘束しておけ……今1番怪しいのはコイツだ」

 

どうやらアユタのお手製爆弾がうまく起動したらしい。少ししたらトリニティ校内に設置した分の爆弾も見つかる事だろう。

 

 

「ねぇ、ちょっと質問させてくれないかな?」

 

少し待っていると扉をゆっくりと開けてミカが入ってくる。怒りの感情をなんとか抑えながらいつものトーンでそう問いかける。

 

「もちろん!成績から住所、スリーサイズまでなんでもどうぞ」

「じゃあ一つ目……ついさっき起きたトリニティ校内での爆発、あなたがやったの?」

「……その通りです。私が深夜、電気の一つすらついていない時間帯に自作の爆弾を地面に埋めて、それをついさっき爆発させました」

 

あまりの開き直り方にミカの顔に驚きが現れる。

もしかしたらこの子は囮なのではないか?大規模の事件を起こすための布石で、本当の敵はトリニティの中に潜んでいるのではないか?

エデン条約締結の話を知り、よく思わなかった生徒の犯行の可能性だってある。

 

「……二つ目、なんでこんなことしたの?」

 

様々な可能性を考えた結果にでた質問だった。自らの罪をすぐに認めるような人間なら、目的までも話すのではないか?

 

「……あ〜いや、それはちょっと言えない……です」

(動機が言えないってことは……やっぱり囮?でも校内にあった爆弾は回収済みだし何もできることなんて……)

「でも、私の要求を飲んでくれるなら話は変わってきますけど」

 

アユタはそう言って、服の中から箱状の物を取り出す。

 

「これは校内に設置した爆弾のスイッチです。私がこのスイッチを押すだけで、校舎は瓦礫と化し、何人の生徒が生き埋めになるのか……その想像がつきますか?」

「……分かった、あなたの要求を飲むよ」

 

大きくため息を吐きながら、ミカは仕方なくそう告げた。

その言葉を聴いた後、アユタはすぐにポケットから紙とペンを取り出し、紙に何かを書き始めた。

 

「……ミカさん、これ……私のモモトークの番号です」

 

書き終わってすぐにミカが渡された紙には、モモトークの番号が震えた文字で記載されていた。

 

「……なにこれ、新手の冗談?」

「ち、違います!……私はミカさんと……お友達になりたいんです!」

 

ミカの口から思わず情けない声が飛び出す。先ほどまで悪魔のような言葉を発していた子が、今はとても同一人物とは思えない年相応の女の子になっていた。

しかし、そんな驚きの表情も数秒経つとミカの顔から消え去る。

 

「……もういいや。生徒が生き埋めになったとしてもすぐには死なないだろうし、そういうのは正義実現委員会の仕事だもんね。もう考えるのもめんどくさくなってきたし……」

 

ミカの表に暴力が現れる。こうなったらだれにも止められない、トリニティ最強の暴走機関車だ。

アユタもその雰囲気を察し、全力で後方に駆ける。しかし……

 

「……折るね☆」

 

相手は聖園ミカであった。

 

監獄の壁を突き破り、アユタがトリニティの空に打ち上げられる。

アユタは一年生ではあるが、戦闘面での天性の才能がある。そうでなければ初手の一撃で終わっていただろう。

 

「……ッつ!!指の骨が!!」

「へぇ……やるじゃん。結構強めに殴ったつもりだったんだけど」

「はは……これで"結構"?」

 

二人が地上に落ちる直前、ミカがもう一度パンチを繰り出す。

それをアユタは頬すれすれで避け、返しの蹴りでミカを地面にたたき落とす。

アユタはもう一度爆破スイッチを掴みスイッチを押す。ミカの着地地点の周りで大爆発が起こる。

 

「これで少しは削れたはず……!」

「……無駄無駄☆そんな攻撃じゃティーカップすら割れないよ?」

 

砂煙の中から「Quis ut Deus」を片手にミカが現れる。

ミカが着地した点は監獄前の検問所、監獄に入る前にミカが武器を置いた場所。

アユタの武器もそこに保管されている。しかしそこはミカの背後、取りに行ける場所ではない。

素手vs銃……有利不利は言うまでもない。

 

「さて、第二ラウンドと行きたいとこだけど……もう勝負はついたから☆」

「……?」

 

アユタはミカとの戦闘になったときのことを考え、ミカの戦術や武器を事前に調べていた。

しかしアユタは知らなかった。ミカの神秘の力を。理由は単純、「使う必要がなかった」からだ。

 

アユタの頭頂部に隕石が降り注いだ。そして意識は遠のき……

 

 

 

ゲヘナ学園にて

 

「なにこれ……送り主『ティーパーティー』?」

「エデン条約関連の資料かと……結構重かったです」

 

ゲヘナ学園風紀委員の元に巨大な段ボールが届いた。それを風紀委員室まで持ち込んできた天雨アコとカッターナイフを握って段ボールを開けようとしている空崎ヒナ。ゲヘナの「終わってる」としか形容できない治安ならば、送り主を偽装した爆弾の可能性も十分あり得る。実際風紀委員室は過去に二度危険物が送り込まれている。

 

おそるおそる封を切るヒナ、その中に入っていた者は爆弾でもシュールストレミングでもなく……人間だった。

 

段ボールの中には身ぐるみをはがされたアユタと、彼女の愛銃が入っていた。

結局、アユタは空き教室に予備の制服とともに置き去りにされたのであった。

 

 

 

「んっ~、ここは……ゲヘナ?」

 

数十分後、アユタがようやく目を覚ました。

太陽はすでに沈みつつある。

 

「てことは負けたのか、私。……完璧な作戦だったと思ったんだけどな」

 

少し落ち込みながら置いてあった制服を着る。

愛銃を持ち教室から出ようとしたとき、銃の側面に貼ってある一つのメモを見つけた。

 

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楽しかったよ

モモトーク追加しとくね☆ ミカより

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「……へ?」

 

困惑と感動が合わさった感情が溢れ、涙が止まらなくなる。

 

これがアユタとミカの出会い。後に深い関係になる二人の、顔合わせの時期であった。

 

 




おまけ
アユタとミカの初モモトーク
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 ミカさん!
 明日ご飯食べに行きましょ!
 そういえば今何してます?
 私はお風呂入ってます!
 お風呂と言えば……
 シャンプーって何使ってますか?
 ミカさんとお揃いがいいなあ……

                   重い
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