ゲヘナ生「ミカさんと友達になりたいんです!!」   作:あめざり

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久しぶりの投稿です
↑もしかしたら完結まで書きます


ちょっとしたお手伝い

雨が降る夜、私はそーっと目を覚ました。連邦生徒会によると大雨警報らしく、その上周囲が瓦礫の山となっては、誰も外に出ようとはしないだろう。だからこそ、"そういった時"に出ようとする輩が居る。

そう、アリウスの連中だ。

スクワッドはミサキとヒヨリがヒナ委員長の超暴力によって捕らえられ、残るはサオリとアツコのみ。一般の兵も相当減り、今は一変してゲヘナとトリニティから逃げる日々を送っている事だろう。

ならば、敵が動かない時に動くと言うのは当然の思考。と言うか今くらいしか追われずに生活を送れるタイミングが無いだろう。おそらくこのタイミングでアリウスの本拠点にクソ長迷路を通って戻るだろう。

んじゃ、ガン待ちして全員ぶっ殺したろかね。

 

 

 

 

 

「おい"元"スクワッド共、もう逃げても無駄だってことくらい分かるだろ?脚を撃ち抜かれ肋骨を折られ、走るたびに多量の出血だ。大人しくロイヤルブラッドを渡せばこんな目に合わずに済んだのにな?」

 

私、錠前サオリと姫は『任務失敗と逃走』でアリウスからも追われ続けていた。今までは何とか撒く事が出来ていたが、今日ついに追いつかれ、銃口を突きつけられている。

クソッ……大雨ならば簡単に撒けるなんて考えるべきじゃなかった。視界不良での戦いはアリウス生ならば誰でも習う……逃亡による疲れと焦りで判断を鈍らせた私のミスだ。

 

「……チッ、いつまでもダンマリだと埒があかないな。まあいいさ、サオリも抵抗出来ない、ロイヤルブラッドに関しては瀕死だ。さっさと連れて行くぞ!それと……サオリはしっかり眠らせておけ」

 

そう言うとアリウス生は引き金を引く。

私は目の前でアツコが担がれ、血を流しながら連れ去られて行くのを見る事しかできず、その無念を噛み締めながら連写され続けるライフル弾で徐々に意識が遠のいていく。

視界には何も映らず、このまま倒れるかと考えていた……だが、

 

微かに聞こえるアリウス兵の悲鳴、銃声、そして一言。

 

"もう大丈夫だよ!サオリ!"

 

差し出された手と共に聞こえたそれは、間違いなく先生のもの。

 

「なぜだ先生……なぜ私を助けるッ……!!」

"……生徒だから"

「え?……は?」

"馬鹿みたいに聞こえるかもしれないけど、そう言うものなんだよ、先生って"

 

先生は救急キットで私を治療し始めた。

おそらくこのために病院から持ってきたのだろう。

 

"状況は大体聞いてる、ミサキとヒヨリからね。私がここにいるのも、彼女達に「リーダーを助けて欲しい」ってお願いされたからなんだ。とにかく今は体制を整えて、全ての元凶を叩きに行こう"

「……いや、ダメだ先生。アリウスに行くための通路は時間経過で内部が変わる……それに、アツコの儀式は夜明けと共に行われる。残された時間は……後5時間程度」

"なら早く進むしかないね。手遅れになる前に"

「待ってくれ先生、いくら先生の指揮があるとはいえ、私1人でアリウス自治区を単身で進めるとは思えない……」

"それなら大丈夫、途中で頼もしい助っ人が来るからね"

 

助っ人……私に手を貸す人間がいるとは思えないが……いや、手を貸してくれるのは先生にか。

だがアリウスの問題に先生や他の生徒を巻き込むのもどうかと自分でも思う……が、先生にそんな事を言っても『困った時は助けるのが先生ってものだよ』とか言うのだろう。

 

 

 

 

そこから数十分

アリウス自治区につながるトンネルの近く、後一歩というところで足止めを喰らってしまった。

道中明らかに敵が少なく、怪しいと思いながらも前に進むしか無かった……今思えばあの状況が作られた時点で!

 

「先生!助っ人とやらはまだ来ないのか!?」

"あれ……おかしいな、居ると思ったんだけど"

「おいまさか……不確定要素必須な戦いなのかこれは!?」

 

本当に不味いぞ!!アリウス兵が100人超えで襲ってきている!!こっちは先生を守りながら前に進まなければいけないのに、相手は永遠と高所から打ち続けてくる……このままだとジリ貧だ。

 

「私が閃光弾を投げる!!その間にトンネルまで走るぞ!!」

“了か……待って、助っ人が来てくれたよ!!"

「はァ!?一体どこに居ーー」

 

突如目の前に広がる大量の弾幕、それに掠っただけで吹き飛ぶアリウス兵。火力なんて言葉で表せない程の大口径の超暴力が目の前を通った。

銃声と言うよりも爆破音に近いものが止み、ようやく助っ人の顔が見える。

 

 

 

 

「……ねえ先生、こいつ助けろって何かの冗談?」

"アユタ、私は本気で言ってるよ"

「急に『助けが欲しい』なんて言われて来てみれば……私こいつ殺すためにここ来ようとしてたんだけど?何でミカさんがああなった元凶を撃ち殺しちゃいけないの?」

"サオリは悪く無いんだ。悪いのは裏にいる大人で……"

「確かにそうなのかもしれない……けどね先生、今射程に居るのはサオリだけなんだよ。分かる?いつでも殺れる位置にいる奴から撃つのは当然でしょ」

 

先生の頼みと言う事で、本来のアリウス全員ぶっ殺しルートをわざわざ変更したらぶっ殺し対象が目の前にいた。

正直思う、ふざけているのだろうかと。私の、アリウスへの恨みが分からないのかと。

サオリを助けろと言うのなら、一体どんな気持ちで、サオリに背中を預けろと言うのだろうか。

 

「……私がどんな思いでここに立って、どんな思いでこの引き金を引くのを我慢しているのか……先生に分かる?」

 

鬱陶しい雨が降り続けている。

止まない雨は無いと、明けない夜は無いと言うが、サオリの亡骸でも見ないと、止む雨も止まないだろう。

先生は少し俯いて唇を噛んでいる。

決して状況を軽視したわけではなかったのだろう。十分な程私の気持ちに触れ合おうとし、その上で全員救う為に動けるのが私だけだっただけ。

ただ、私は全員など救いたく無い。

彼女が、ミカさんが救われればそれだけで良い。それなのにこのバカは全員が救われる『奇跡とも言える未来』に特攻している訳だ。

流石に、私には眩しすぎる未来だ。

 

「……鏡裂アユタ、先生が呼んだということは、なかなかの手練れと言う事なのだろう……」

 

サオリが口を開く。

彼女も先生の采配を信じて行動しているのか。

先生の行動はまるで未来を知った上でのようで……少し気味が悪い指揮の仕方をする人だ。

できる女は違うな、まったく……

 

「だから……お前が私達の事を殺したいほど恨んでいる事を承知で頼む。私はどうしてくれてもいい……その代わりにアツコを……助けてくれ」

「本気で、言ってる事?」

「……ああ」

 

正直私は乗り気じゃない。ただ、ここで助けられる命を見捨てるのも気分が悪い……それに、こうも思う。

ミカさんは、人助けをするかどうかに頭を悩ませるような私を、友達だと胸を張って言えるのだろうか?

 

「頼む……もう、お前くらいしか……」

"私からもお願い"

 

サオリと先生に頭を下げられる。

……悩んでる時間はあまりない。先ほどの交戦でアリウスを吹き飛ばしたのは良いが、流石にあれが全員じゃないだろう。間違いなく追手が来る。

どうするべきだ、私は。

プライドを、恨みを捨ててでも手を差し出すべきか?

サオリを今ここで撃ち殺すべきか……

 

 

 

 

 

「…………案内はできるんだよね、サオリ」

 

「……!ああ、もちろんだ」

"アユタ……それって……"

「あんまり話しかけないで、引き金引きたくなってくる」

 

流石に『手を貸します』と面と向かっては言えなかった。それくらいまで恨みが募ってるんだこっちは。

手を貸した理由は自分でも説明がつかない。ただ、これだけは言える。

 

彼女らは『不公平』を持って生まれてきた。

私がトリニティで味わった青春も何もかも、彼女らは味わえない。

 

だから手を差し伸べるべきだ。

……楽観的かもしれないが、真にエデン条約に入れるべきは、アリウスなんじゃないだろうか。

 

「通路は私が駆け抜ける。先生と鏡裂アユタは援護を」

"指揮は私に任せて"

「……行くよ二人とも。ミカさんもアリウスも全員まとめて、ハッピーエンドにしてあげよう」

 




アユタは意外と年相応の楽観視+ハッピーエンド大好き民です
ただミカの話になるとイカれちゃうだけで……
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