ゲヘナ生「ミカさんと友達になりたいんです!!」 作:あめざり
原作既読前提で話が進む話ですので不安な方は見返した方がいいです。
私……鏡裂アユタは今、トリニティの校門前にいる。
人生二度目の訪問……周りのからは以前のような軽蔑の眼差しは無く、トリニティの制服もしっかりと馴染んでいるようだ。
今回の目的は爆破ではなく補習授業部への入部……トリニティの裏切り者を探し出すための潜入調査の初日だった。
以前と同じように堂々と校門を抜け、補習授業部の部室へと歩みを進めた。
「そういう事ですので……短い間ですが、これからよろしくお願いします」
ガラッとドアを開けたらすでに自己紹介が終わっていた……
どうやら最悪のタイミングで来てしまったらしい。
「君が鏡裂アユタさん?よろしくね」
どう話を切り出そうかと考えていたら先生がナイスフォローを入れてくれた。
それにしてもなかなか……シャーレの先生とやらは顔立ちも良いらしい。
「よろしくお願いします。一応、簡潔にだけど自己紹介でもしておこうか。私はゲh……トリニティ総合学園の一年生鏡裂アユタ、よろしくね」
あっぶなかった……
初日でゲヘナカミングアウトするところだった……
「私は浦和ハナコと言います、よろしくお願いしますね。嫌ならいいのですが、アユタちゃんと呼んでもいいですか?」
「どう呼んでくれても良いよ。というか私の方が後輩だし、敬語使った方がいいかな?」
「いえいえ、同じ補習授業部の仲間ですので気を使わなくても大丈夫ですよ」
その後も各々が軽く自己紹介を交わす。
そしてその日は解散、明日から本格的な『補習授業』が始まるのであった。
そして翌日
放課後に5人が集まり教えて教えられての勉強会がスタートした。
ハナコはアズサに勉強を教え、ヒフミは1人で復習、アユタは片手間に問題集を解きながら裏切り者を探し、そしてコハルは……
「コハル、勉強しなくて大丈夫なの?」
「えっ……わ、私は正義実現委員会のエリートよ!まだ実力を隠してるだけなんだから!」
アユタの質問に対して、コハルは目を逸らしながらそう答える。
(怪しい……もしかして退学の事を知っていて、補修授業部ごと尻尾切りしようって事?)
「でもさ、1人だけ勉強しないって無責任だと思わない?それで一次試験で不合格になったらどうするつもり?」
「えっと……それは……」
「そうだよね、逃げずに勉強するべきだよね。大丈夫、私が教えてあげるから」
(とりあえず今日はコハルの監視かな……)
〜〜〜
「ごめん……これどうやって解くの……?」
「どれどれ〜…………!?」
(これ一年の序盤で習うやつじゃん!簡単な公式さえ覚えてれば解けるような基礎の基礎!えっ……演技?もしかして素で分かんない?いやいやいや!!)
そして勉強会開始から30分、コハルの質問数は60を超え、アユタの脳は完全にキャパオーバー。
その内容は多岐に及び、国語では基本漢字の読み、数学では基礎計算、理科社会は小学生で習うような単語すらあやふやだった。
アユタもそこまで頭が良いわけではない。
学力は平均的なもので、一部の科目は中の下……その上昔はミカの追っかけをやっていて最近は温泉開発で授業もあまり出席していない。
そんなアユタでも分かる問題の大半を、コハルは解く事ができなかった。
(これは……コハルは裏切り者じゃないかも……一次試験で合格されると裏切り者を探すまでの時間も無くなるし……熱心に教えすぎるとこっちがおかしくなる)
こうしてコハルの監視は1日で外れ、そこから校門が閉まる直前まで、アユタは無数の質問に追われ続ける事となった。
そして一次試験は終わり……
結果
・ヒフミ…72点 合格
・アズサ…32点 不合格
・コハル…18点 不合格
・ハナコ…2点 不合格
・アユタ…54点 不合格
結果は散々だった。
合格者はヒフミのみ……無事、合宿が決定したのであった。
「……で、裏切り者は見つかった?」
「いえ……最初はコハルを疑ってはいたんですが……色々な理由があって裏切り者では無いかと」
「そう……ですか。ですがまだ時間はあります。合宿中に交流を深め白状させるも良し、強行手段で無理やりにでも吐かせるのも良し……どんな方法を使ってでも、裏切り者を見つけ出して下さい」
ナギサの顔には焦りが見える。
シャーレの先生は『私のやり方でやらせてもらう』と言い去って行った……アユタの方もまだ時間がかかる……
『もしこの間に裏切り者が密かに計画を進めていたら?』と言う考えが頭をよぎり、眠りにつく事すら出来ない。
「ただ……私に一つ作戦があります。結構なギャンブルルートですけどね」
しかし、アユタのその一言でナギサの顔は驚きに代わった。
「……というのが、ナギサとミカさんと一緒に話してた内容ね?」
合宿が始まって数日、アユタはそう言い放つ……昨日の秘密会議の内容と共に。
「いや……え?ちょっと待ってください!話に全くついていけな……」
「まあついていけなくても問題ないよ。本題はこっからだし」
「……『裏切り者をここで炙り出す』という事ですか」
「ハナコは理解が早くて良いね、その通りだよ」
ハナコも突然の展開に戸惑いを隠せない。
まさか全員の前で話を切り出すとは……そこに居る全員がアユタの真意を理解できなかった。
「でも正直、裏切り者って言い方は合ってないと思う。スパイって言った方が分かりやすい……他校からのね」
「それで結局、その裏切り者は誰なんですか?」
「……それはね」
「ヒフミ……君でしょ?」
「え……?私?」
「ナギサと最も親しい存在、ただそんな子の目的はティーパーティーのホストの座……どう?結構筋通ってると思わない?」
「…………」
皆黙るしかなかった。
アユタがミカとの関わりを持っていることは知っている。
ならばナギサ……ティーパーティーの情報も持っているに違いない。
それに対してヒフミが裏切り者では無いと断言できる要素がない。
「と、いう事で……ティーパーティーの席まで行こうか。そこですべての証拠を見せてあげるよ」
「わ、私はそんな事やってな……!」
「はいはい、続きはお茶会で聞きますね~」
ヒフミが無理やり拘束され、連れていかれそうになっていた。
「……私だ」
そう言って名乗りを上げたのはアズサ、ヒフミと最も打ち解けていた友人であった。
「私がトリニティの裏切り者……アリウススクワッドのスパイだ」
「……アズサちゃん、そんな嘘つかなくてもいいんです……私は大丈夫ですから」
「本当だ、証拠だって出せる!!だから……ヒフミは……」
アズサの声がかすれていく、何度も弁解をする、『ヒフミは何もしていないんだ』と『私がすべて悪いんだ』と
『vanitas vanitatum, et omnia vanitas』
アズサがアリウスで叩き込まれたその言葉が頭をよぎる。
虚しい日々に現れた光を、また奪われるのかと
新しく出来た居場所も、初めてできた友人も失うのかと
「……まあ、これくらいで良いかな」
アユタはあっさりとヒフミの拘束を解いた。
「先生、説明してあげてよ。"少し"野蛮な作戦の全てを」
今回おまけ書くような内容じゃないので聞きたいことあったら感想とかでどうぞ