ゲヘナ生「ミカさんと友達になりたいんです!!」 作:あめざり
本当に評価に色付くだなんて思わなかったです、ほんとにありがとうございます。
「それじゃあ作戦会議開始だ」
そう言ってアユタと先生は黒板の前に立つ。
"まずは私から説明させてもらおうかな"
「ああ、よろしく頼む」
先生はチョークを手に取り黒板に文字を書きながら話し始めた。
"昨日の夜、アユタにすべてを教えてもらった。私はナギサとは別の方法でやっていたからティーパーティーの動きは把握しきれてなかったんだよね"
「ちょっと待ってよ!!アユタはヒフミを囮に裏切り者を炙り出してナギサ様に突き出す、それだけでいいはずでしょ!?なんでこんな回りくどいことする必要があるのよ!!」
「補習授業部にいる人たち全員に真実を伝えたかった……逆に言えば、補習授業部の外にこの話が漏れるのは都合が悪いって事」
「……ヒフミちゃんとアズサちゃんの仲を使って炙り出したという事は……アズサちゃんが裏切り者だと知っていたんですよね。なかなかに性格の悪いやり方ですね」
ハナコが雰囲気を変え、アユタの事を冷たく睨みつける。
「ハナコは慣れてそうなやり方だと思ったんだけどね?まあ、そこまで踏み込むつもりはないけど」
"……そろそろ話を続けても良いかな?"
「ああ、そうだね先生」
"コホン……その後アユタに話されたのはとある作戦、この補習授業もエデン条約もどちらも終わらせるためのね。それについて説明するにはまずエデン条約について……"
「……前置きが長い!!もういい、私が説明するから」
"……ごめんね"
「いや……私が短気なだけだから気にしないで」
アユタは先生の代わりにチョークを取る。
「はい、これが現状ね?ここから二次試験、三次試験と続いた後に調印式があるわけだけど……まずに二次試験は捨てます」
『!!??』
「あーあーそんな驚かないで、三次試験でちゃんと受かるから」
「いや……三次試験で受かる保証なんて無いんですし、チャンスは多い方がいいじゃないですか!!」
「大丈夫、カンニングするから。試験の問題をめちゃくちゃ簡単な問題に変えておいた。ミレニアムの超天才美少女な知り合いに頼んだものだから、トリニティのカスみたいなセキュリティだと絶対に見抜けない。それに4人受かればいいわけだし」
「……4人?補習授業部は総勢5人……まさかアズサちゃんを切り捨てるつもりじゃ」
「いや、ティーパーティーに突き出すのはヒフミだよ?」
「でもそれだと……ヒフミが退学になる……」
「私たちの目的はエデン条約までスムーズに進めることでもある。ナギサにこれ以上暗躍されても困るし、アズサを突き出したらアリウスとのいざこざがめんどくさい」
アリウススクワッドとの争いが激しくなればエデン条約を妨害される可能性すらある。そうなった場合の犠牲は計り知れず、また悪しき歴史が生まれてしまう。
「そこでナギサからの信頼があるヒフミの出番な訳。ナギサはきっと、ヒフミが本当に裏切り者なのかって確証を得ようとすると思う……ティーパーティーは実質的にナギサのワンマン組織だから、ナギサさえ足止めできれば時間稼ぎとしては十分。だからヒフミには『私は裏切り者じゃない』って言い続けて、ナギサの良心を揺さぶり続けて欲しい」
数秒間の沈黙があった後、最初に口を開いたのはハナコだった。
「……アユタちゃんを信じましょう、唐突な話ではありますが……話は通っています」
「まあ確かに……確実な方法ではある……かも?」
「じゃあ決定だね。私は先生と一緒にヒフミを突き出してくるから」
「それは本当なのですか……?まさか……ヒフミさんが」
"本当だよ、嘘だと思うなら証拠でも探してみればいい"
「裏切り者を見つけることがあなたの目的だったはずですよね?ナギサ様?」
「……分かりました……ヒフミさんにしっかりと話を聞いた後、判断させていただきます」
ナギサが紅茶を口に含み顔を下に向ける。
ティーカップを持つ手は小刻みに震えていた。
その頃……旧校舎では
「先ほどはああ言いましたが……正直言ってアユタさんは怪しいと思います」
「私も同意見だ、なぜ私が裏切り者だと見抜いたのかも気になる」
「も、もしかして……二人目のアリウスから来たスパイなんじゃ……!?」
「いや……私はアユタの事を見たことはない。顔を変えて潜入している可能性もあるが、その線は薄いだろう」
「……それなら少し調べてみましょうか、アユタちゃんのカバンの中身。もしかしたら重要な何かが入ってるかも知れませんよ?」
そうして3人はカバンの中身を机の上に出し、教科書やファイルの中身を見始めた。
「何これ……制服?それもゲヘナ学園の……」
「これは……」
「ハナコ、何か見つけたのか?」
「……この学生証の発行日、今年の入学式と同じ日なんです。なのに一切の汚れも傷も無い……学生証だけじゃなく、教科書もカバンも全部新品同然の物です。コハルちゃんが見つけた制服と比べるとあまりにも不自然。ゲヘナに居る知り合いからの貰い物と言う可能性もありますが……」
「アユタはトリニティに『最近来た』元ゲヘナ生……?」
「それだけじゃありません……アユタちゃんは『ティーパーティー内の会話を知っていた』と言う時点で怪しすぎるんですよ。ティーパーティーの動きを止めると言う事はエデン条約までの時間を稼ぐと言うことも、司令部を麻痺させ他校からの攻撃の対応を遅らせると言うことでもあります」
「……私はアユタに直接話を聞きに行ってくる、それと先生にも」
「分かりました……それまでに私とコハルちゃんは出来る限りの情報を集めておきます」
アズサは愛銃を手に取り、手榴弾やナイフなどを装備する。
『話を聞きに行く』と言ってはいるものの、確実に戦闘や武力制圧を想定に入れた行動だった。
アズサは考える。
もしヒフミの身に何かあったら?激しい尋問を受け、嘘でも『私が裏切り者だ』と無理やり吐かされていたら?それに相手はアユタだけでは無い、先生……シャーレの特権を振りかざし、ヒフミや補習授業部に対する処分をより重い物にすると言われたら?
そうなって仕舞えばもうどうしようも無い。
先生は悪い大人では無いと思っていた、生徒の事をよく考えてくれる良い大人……ただ、それも全て演技だったとしたら……
「……全て話してもらうぞ」
アズサは旧校舎を飛び出して行った
アユタは補習授業部の事を『頭脳や計画の面では自分に絶対に勝てない』と考えてるんですよね。
だからハナコにそこまで疑われるなんて思って無いし、アズサから攻撃受けるなんて微塵も考えて無い。