ゲヘナ生「ミカさんと友達になりたいんです!!」   作:あめざり

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申し訳ありません、納期徹底いたします


決別

コツコツという音が聞こえる。

先生と私の足音、こんなにも感覚が研ぎ澄まされているのは、いまだスタートラインに居るからなのだろうか。

 

"それにしても……アユタはどうして補習授業部の皆を助けようとしてるの?"

「助けるだなんて……そんなつもりはないよ。私の目的を果たすために考えた作戦がたまたまあの子たちの役にも立ちそうだったから提案しただけ」

 

ハナコは過去を忘れられる場所を守るため、アズサは虚しさの中であがき続けた先の居場所を守るため、コハルは自分の正義を果たせる居場所に戻るため、ヒフミは皆の居場所と幸せをを守るために陰謀と戦ってる。

そんな彼女らを見るたびに、私の居場所が無くなって行っていくことが思考によぎる。

 

"……その目的って?"

「ただの仲直りだよ……一度背を向けた幼馴染がもう一度手を取り合うだけの、どこにでもある話さ」

 

そう言ってまたしばらく言葉を交わさず歩き続ける。ただ、そんな静寂も一つの轟音によって消し飛ばされる……

 

 

 

ダダダダッッ!!

 

私の体に向かって銃弾が連射される。最近撃ち合ってなかったからか痛みで少し体がふらつく。

 

(この銃声はアズサの……!!)

 

不意打ちに慌てながらも銃を構えるが、最初の発砲と同時に投げられたスタングレネードのせいでまともに照準を定めることなどできるはずもない。

五感が戻ったと思えば私の周りには囲みこむような形で配置されたスモーク……というかまず、なぜアズサは私を攻撃してくるんだ?結構うまいこと纏めたつもりだったんだけど……

 

 

あ…………

 

そういえばカバンにゲヘナの制服いれっぱだったっけ?

……ああもう!!肝心なところで詰めが甘いな私は!!

 

だがそんな事を考えている間にもスモーク外からの射撃は続く、サーマルスコープでも使っているのだろうか?

 

それに……ほら来た。

「先生に対する射撃」

正直これが一番厄介だ。シャーレという後ろ盾を失ったらできないような作戦をするつもりだからな私は。

つまり私は「アズサの発する銃弾の軌道を即判断して先生を庇う」必要がある……まあアズサの射撃の腕なら誤って頭を打ちぬくようなことはないだろうが、それにしても頭がパンクしそうだ。

 

「ハハ……戦いにくいなあ……」

 

ミカさんやツルギのような圧倒的な戦闘力でねじ伏せるのとは違う、一方的に有利を押し付け続ける戦い方。ハッキリ言ってめちゃくちゃめんどくさい。

だが完全に勝ち筋がない訳じゃない……

 

「先生は今すぐ逃げて!!それと誰でも良い!出来れば正実だけど……とにかく誰か呼んできて!!」

"わ、分かった!"

 

大声で叫んだ後、先生は急いで走り出す。

ただアズサがその隙を見逃すわけもなく、先生の両足に一発ずつ弾丸が放たれた。

アズサはあまりの痛みで倒れこんだ先生に照準をを合わせる。

 

「……アユタ、大人しく武器を捨てて出てこい。さもなければ次は頭を撃ち抜く」

「全く、戦闘経験の少ないやつは……」

 

 

「簡単に操れて助かるね!!」

 

強く地面を踏み込み、声の聞こえ方やマズルフラッシュで予測したアズサの位置に向かって突撃する。

アズサの銃口が先生から私に向くまでの数瞬で先撃ちを決め、胴体を蹴り倒す。

 

「……アリウスで教わらなかった?『人質は肉壁にでもしておけ』って」

 

私はアズサの額に冷たい銃口を押し付け、マガジンの許す限りの弾を意識がなくなるまで撃ち続けた。

 

 

 

 

「あ、3人とも起きた?」

 

椅子につながれたハナコ、コハル、そしてアズサに対して視線を向ける。

 

「ごめん……こうなったのも全て私が負けたせいだ……」

「いえ、アズサちゃんのせいではありませんよ……それに、話を聞くいい機会ですしね」

「そうよ!カバンからゲヘナの制服出てくるし急に襲い掛かって来るしで……信じてたのに……友達だと……思って……っ!」

 

アズサの責任にも、ハナコの不信にも、コハルの涙にさえ返す言葉が思い浮かばない。このまま友達でいたくなかったと言えば噓になる、私だってこのまま仲良く終わりたかったさ。ただそれじゃだめだと気付いた。このままじゃ皆にとんでもない苦難が押し寄せるだろう。

 

「……まず、みんなが思っている通り私はゲヘナ生だ。その目的は『裏切り者を探す事』で、この補習授業部だって容疑者をかき集めるための物」

 

 

「でも、私の作戦の目的はそうじゃない。……ねえアズサ」

「……何?」

「『すべては虚しいだけ』だなんて、馬鹿げてると思わない?」

「ああ、それは同感だ。だから私は足掻き続け、進み続け、『vanitas vanitatum』を否定し続けるさ」

「……とある聖書の言葉に『わたしは日の下で人が行うすべてのわざを見たが、みな空であって風を捕えるようである』という言葉がある。でもさ……」

 

「風だって掴めると思うんだ」

 

("私の生徒たちに不可能なんてないよ")

 

「『どれだけ虚しいことがあっても』」

 

("たとえ代えがたい未来があったとしても")

 

「『いつかは風さえ握りつぶして見せようじゃないか』」

 

("責任は私がとるから")

 

「さあ始めようか、風を掴むための作戦を」

 

("いってらっしゃい")

 

 

 

 

 

そして第三次試験直前……

 

「ナギサ様は安全な場所に隠してきましたっ!」

「弾薬、トラップの準備も万端だ。いつでも行ける」

「それじゃ、始めましょうか~」

「敵はアリウス分校、防衛目標は桐藤ナギサ、最終目標は試験開始までにアリウス側の全滅もしくは撤退ね?」

「さ、作戦行動……開始っ!!」

 

運命を分ける戦いが始まった。

 

 

 

トリニティで火薬と血が飛び交う。

過去類を見ないような地獄絵図が繰り広げられている……ここの建物にはしっかりと目に焼き付けてもらいたいところだな。

 

「それにしても数が多すぎない!?もう限界なんだけど!!」

「想定よりも数が多い……アユタ、あの作戦を実行しよう」

 

そんなアズサの言葉と共に私は最前線へ、集中砲火を受けながらも進む。

大規模の部隊が来た場合に、私が敵陣で暴れまわり進行を遅らせる作戦……まさか本当に実行することになるとは思わなかったな。

 

「じゃあ皆、試験会場でまた会おう」

 

そして私は奥へ奥へ、さらに奥の、彼女のところまで向かう。

アリウスの奴らには目もくれず……

 

 

 

「こんにちは……止めに来ましたよ、ミカさん」

「アユタちゃん、結局裏切ったって事でいいんだよね?……はぁ、これだからゲヘナの奴らは嫌いなんだよね☆」

 

互いに銃を構える。

そこに一切の油断はなく、思い出もなく……

 

「せめて少しは楽しませてよね!!」

「ええ!!前みたいには終わりませんよ!!」

 

同時に一発目が放たれた

 

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