【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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今回は、地球連合の内部対立メインのお話。

カガリ:「まあ、世の中には実より名をとりたがる者もいるという事だな。私には理解できない感覚だが」

みたいな感じかなと。






第101話 地球連合における対プラント・ドクトリンの確執と故事来歴

 

 

 

(正直、想定よりザフトは負けすぎ、パトリック・ザラの軍事独裁政権でプラントは疲弊している……少々、都合が悪いな)

 

 前話で書いたように、「反動的コーディネイター隔離地(棄民先)」や「地球上の戦争抑制装置」として、加えて自分達の財政から切り離す事も含めてオーブと大西洋連邦は”プラントの独立国化”を望んでいる。

 だが、プラントが弱体化し過ぎるのは、大変よろしくないのだ。

 

(ユーラシア連邦と東アジア共和国が、ほぼ確実に”占領統治と再編入”を言いだすだろうからな)

 

 地球連合(O.M.N.I.Enforcer=Oppose Militancy & Neutralize Invasion Enforcer)という組織は、何度か書いたように決して一枚岩ではない。

 その本質は、旧プラント理事国の寄り合い所帯、イメージ的には”呉越同舟”という四字熟語がしっくりくる組織だ。

 信じられないかもしれないが、軍という単位で見ても大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国はそれぞれ独立した指揮系統を持っており、「地球連合軍としての統一最高司令部」というものは、形だけでしか存在しない。

 

 そもそもが、大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国はそれぞれ別個の政体でありブロック経済圏だ。

 互いに融通し合ったり協力体制をとることはあるが、「確固たる地球連合という単一政体」であることはまずないと考えていい。

 

 それはプラントに対する考え方にも現れていて、「名を捨て実を取る」……さっさと”1億人にも満たない、統治に金ばかりかかるマーケット”を損切りして戦後復興という巨大なマーケットに歩みを進めたい大西洋連邦と、「プラントは純然たる国家資産であり、国家の威信と面子に関わる問題」として是が非でも”自国の宇宙植民地を奪還”=自国領土を奪われることが国民感情的にも許容できないユーラシア連邦と東アジア共和国とスタンスが違いすぎるのだ。

 

 まあ、それぞれの勢力の”中核となった国家のドクトリンや国民性”が実に色濃く出ていると言える。

 言い方を変えれば、非プラント理事国のオーブは大西洋連邦とは歩調を合わせられるが、仮想敵国だからというだけでなくプラントや戦争に関するスタンスの違いからユーラシア連邦と東アジア共和国には同調できないのだ。

 

 だが、ザフトとプラントの必要以上の弱体化……「国家という体裁すら保てなくなる程の疲弊」を起こしてしまえば、ユーラシア連邦と東アジア共和国の主張こそが正当性を持ってしまうのだ。

 どういうことか?

 

(プラントが独立国家としての存続や維持が不可能となれば、”保護”の必要が出てくるからな……)

 

 そうなれば、オーブ国内でも「人道的見地から救済措置」を言いだす者が必ず出てくる。

 厄介なのは利敵行為という視点ではなく、国民性から考えて「自分の国すら維持できなくなった敗者=弱者」に対する憐れみなど、「ボロボロのスペースコロニーにコーディネイターとはいえ無実の人間を住まわせ続けるわけにはいかない」と”純然たる善意”からの主張となる可能性が高い。

 

(敵が敗北を認めてしまえば、途端に対応が甘くなるのは目に見えてるからな……)

 

 そして、国家代表のウズミの政治スタイルから「純粋な善意から出た国民の声」を拒絶するのはかなり難しいだろう。

 

(オーブはプラント理事国ではないが、大西洋連邦との兼ね合いで間接的にプラントへの戦後処理や再編入に力を貸さざるえなくなるだろう)

 

 具体的に言えば、宇宙要塞と化した”ヘリオポリス”から定期的にプラント監視の為の定期巡回艦隊(パトロール)を出すなどだ。

 簡単に言えば、「ロンドベル隊の真似事」をせねばならなくなるということだ。

 国庫にかかる負担は、馬鹿にできない金額になること請け合いだろう。

 おまけにそれは「赤字確定の不採算事業であるにも関わらず、外交と国防の観点から行わねばならない政策」となるのだ!

 

(戦後を考えれば、軍拡自体は仕方ないと割り切るとしても、血税はもう少し有効に使いたいしな。ぶっちゃけ、”死に金”なんて冗談じゃない)

 

 アズラエルだけでなくカガリもまた「面子より金貨」を優先するタイプの人間だ。

 だからこそ、カガリは思案し提案する。

 

「アスラン・ザラ……一応、戦後も”プラントという政体”を生き残らせる事はできなくはないぞ?」

 

「ど、どんなだっ!?」

 

 思わず身を乗り出すアスランを、当たり前のように同席していたラクスが無言で目で制す。

 

「やるとしたら、”ナチス・ドイツの戦後処理方式”しかあるまいさ」

 

「???」

 

 よくわからないという顔をするアスランにカガリは苦笑しながら、

 

「端的に言えば、一切合切の戦争責任をプラント・ザフトを問わず”ザラ派に押し付ける”ってやり方だ。”全てはザラ派が悪い”とな」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

”ドイツが東西分割されても第二次世界大戦後も国家として存続できたのは、ヒトラーとナチス(ナチ党、SSを含む)に戦争責任の全てを被せたからだ。だからこそ、戦後のドイツは徹底的にナチスを否定せねばならなくなった”

 

 戦後の歴史に詳しい人間なら、まあ、大体は知ってる話だ。

 これは言い方を変えると、

 

『悪いのはヒトラーとナチスであり、一般のドイツ人もまた”彼らに()()()()()()()”である』

 

 となる。

 そこ、「そのヒトラーやナチスを熱狂的に支持したのもドイツ人じゃないんかい?」とか言わないでやってほしい。

 少なくとも、これがワールドワイドでオフィシャルな見解なのだ。

 歴史は強者(勝者)の都合で作られると言い換えてもいい。

 実際のナチスの”やらかし”とその真偽は、深堀すると大体ロクなことにならないので割愛するが……

 

「まあ、西暦時代の解釈では”そういう事”になっているのさ。まあ、現状での”プラント”は、その時代に比べればいくらかマシなんだが」

 

「どういう事ですの?」

 

 ようやく発言したラクスに、

 

「プラント市民全体がパトリック・ザラとザラ派、故事来歴に準えるなら”()()()”と”()()()()()()”を熱狂的に支持してるって訳じゃないからな。厳密に言えばパトリック・ザラを熱狂的に支持してるのはザラ派一党で、プラント内は上品に言って『軍事独裁のクーデター政権』、ストレートに言えば、『恐怖政治の温床』ってところだ」

 

 そして、カガリは言葉を選びながら、

 

「だからこそ、そこに『付け入る隙』ができる。パトリック・ザラの”重圧”に我慢ならないってプラント市民もまた多いのさ。アイリーン・カナーバのような穏健派だけでなく中立派の議員まで事実上の軟禁状態になってる事がさらに市民の不満を搔き立ててる。今は武力で抑え込んでいるが……」

 

 カガリはアスランをじっと見て、

 

「パトリック・ザラ独裁政治はそう長くはもたん。私の見立てだと、市民が暴発するのは()()()の発令あたり、あるいはアカデミー生徒の()()()()あたりじゃないかと見てる」

 

「はっ!? いや、まさかそんな……」

 

 どうやら人類の繰り返してきた”負の歴史”に明るくないらしいアスランにカガリは溜息を突き、

 

「あのなぁ……追い詰められた国家のやること考えることなんてのは、古今東西似たり寄ったりなんだよ」

 

「しかし、まさか父がそんな常軌を逸したことを……」

 

「いや、もう愚かしい真似ならオーブでもパナマでもしてるだろ? それでも信じられないって言うなら、面白いものを見せてやるよ」

 

 カガリは、空間展張スクリーンにあるパラボラ型の巨大宇宙建造物を投影した。

 

「……これは?」

 

「亡命者(アマルフィ夫妻)が持ち込んだデータの中に計画書やら仕様書が紛れ混んでいた”Gamma Emission by Nuclear Explosion Stimulate Inducing System”、通称”G.E.N.E.S.I.S(ジェネシス)”。地球の住民丸ごとチンするためのガンマ線バーストの巨大原子レンジ……」

 

 カガリはスッと目を細め、

 

「お前さんの父親が、ナチュラル、コーディネイターを問わず地球上の人間、いや全ての生物を根絶やしにするために作らせている”狂気の産物”さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実は、カガリはお師匠様(リボンズ)から徹底的に人類史、特に20世紀以降の近世から近代、現代までをVRフルダイブの追体験方式で徹底的に学ばせられたようですよ?

まあ、第一次世界大戦、第二次世界大戦、ベトナムにアフガン、そして第三次世界大戦(再構築戦争)……こんなもんを追体験すりゃあ、そりゃロアナプラでマフィアの親玉になれるくらい図太くなるってなもんですw

まあ、その結論が……

「ドイツが国家として生き残るために、ヒトラーとナチ党に戦争責任を全部おっかぶせたように、パトリック・ザラとザラ派に戦争責任押し付けるしかあるまい?」

という物であるのが何ともはや。

歴史は繰り返すと言いましょうか……実際、それが実戦投入できるかどうかは別にして、追い詰められた国家が起死回生の手段(決戦兵器)を考えたり、泥縄式の戦力投入したりなんてのは、現実でもよくある話です。
そして、ザラ・ザフトは着々とその段階へと……

そして、ついにアスランに開示された”ガンマ線巨大原子レンジ”……さて、アスランは果たして何を思うのか?

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