【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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P.Z氏:「忠勇なるザフト諸君の為に新しい役職作った、ワシ偉い(ドヤ顔)」







第123話 ボアズ方面軍司令官 【挿絵入り】

 

 

 

 さて、件の”暗礁宙域”に潜入ではなく堂々と侵入した”アークエンジェル”。

 予想されていたザフトからの要撃はなく、あまりにもすんなりと暗礁宙域へと入れてしまえたのである。

 

 

【挿絵表示】

「困ったな。こりゃあ敵は、相当に優秀かバカかのどっちかだぞ……」

 

 アークエンジェルのブリッジ、今回の戦闘の為に設えられた提督席で、カガリはそう難しい顔で独りごちる。

 そして、アークエンジェルの艦長にして、今回の艦隊総司令官付参謀を兼任する事になったトダカは、

 

「そのこころは?」

 

「優秀な奴が敵の頭だとすれば、我々はまんまと誘い込まれ、未だに見えない罠を張り巡らされて掌の上だな」

 

「無能ならば?」

 

「より面倒だ。知恵比べや読み比べが通じん。逆に何をしてくるかわからかんから、面倒臭くなる場合があるな。いきなり督戦だの玉砕アタックだのかけられたら対処できないとは言わんが、迷惑この上ない」

 

「カガリ司令官殿はどちらとお思いで?」

 

「十中八九、後者だ。残念なことにな。単艦とはいえ敵艦が要塞の目と鼻の先、しかも暗礁宙域に居座ってるんだぞ? 遠巻きに見るだけの定期便(哨戒活動)を寄越すだけで、居座ってる意図を強硬偵察でも何でもやって探ろうとしない奴があるか」

 

「おそらく、ザフト……いえ、”ボアズ”の首脳部は、我々が彼らの予想通りに動いてると思ってるんでしょうなあ」

 

「だから通り一遍(やっつけ)の消極的な確認作業でやり過ごすって? トダカ、果たして”徹頭徹尾、相手が予想通り動いた”作戦なんていくつあるんだろうな?」

 

「浅学につき存じ上げませんなあ」

 

 カガリは溜息を突くと、

 

「確かに敵を騙すコツは、”こちらが敵の望むとおりに動いてやる”ことなんだが……かといって信じられすぎるのも、どうにも座りが悪いな。上手くいきすぎると不安になるのは因果なもんだ」

 

「司令官とはそういう役割なのでしょうな」

 

「ホント、因果なもんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、ここで視点を変えてみよう。

 そう、カガリたちが戦う相手にだ。

 

 もともと、この宇宙要塞”ボアズ”の司令官は、”ウォーレン・レミントン”という男だった。

 極端に有能という訳でもないが、大きなミスもしない、堅実さと慎重さを兼ね備えた男だ。

 プラントではなく、地球上の別の国家に生まれて軍に入ってもそこそこ出世できる……ザフトではレアと言える才覚、いわゆる”将器”というものがあった。

 

 だが先日、急遽として(ザフト内においても、すでにその悪名が広まっている)”憲兵隊”を引き連れてやってきた、”ダオピン・ハン”という男が、新たなボアズ司令官として就任することとなったようなのだ。

 無論、パトリック・ザラを頂点とする(議会が機能しなくなった為)プラント最高意思決定機関”ザフト最高司令部”直々の意向、ごり押し人事だ。

 

 艦隊指揮経験のはあったが、このハン、拠点防衛の経験はほとんど無かった。

 そう、この人事は彼の軍歴をもって推された健全なものではなく、「パトリック・ザラへの忠誠心とナチュラルへの憎悪」が人選の赴任理由だった。

 

 

 

 前々からパトリック・ザラは、要である”ボアズ”の司令官がザラ派でないことを不満に思っていた。

 ハンに限らず、今のザラ派は「身内を、大切な人をユニウスセブンで失った者」が大半だ。

 だが、レミントンはその経験もなく、また旧クライン派に近い人物という噂があった。

 

 だが、いくらパトリック・ザラでも「”新星”攻略戦」より部隊指揮官を務める古参で、その後も過不足なく”ボアズ”を治めてきた人望あるレミントンを無暗に左遷するのはリスクが高すぎた。

 だからこそ、パトリック・ザラは「新たな(上位)役職」を作ったのだ。

 

 ”ボアズ方面軍司令官”

 

 ボアズとその周辺艦隊を包括的に指揮権を統括する役割で、本部をボアズに置くことにする。

 誰も損をしないアイデアだと自画自賛した。

 少なくとも表面的にはそういうことになっている。

 

 そもそも階級が存在しないザフトは、パナマでその弱点が露呈したように「部隊長(バルトフェルドやモラシム)」が最先任、最大の指揮単位になるのが通例だ。

 武隊長同士は、原則として(あるいは建前的には)同格という扱いであり、上位指揮権は本来なら本国の作戦部となり、あくまで現場の最先任は武隊長だった。

 だが昨今、ザフトとて1個部隊で済む作戦などほとんどない。

 そもそも攻勢作戦は、第116話でも出てきた”攻撃側3倍の法則(3:1 rule)”がその一例を示すように、攻勢側は守勢側よりも多くの戦力を抽出する必要がある。

 開戦当初は、ニュートロンジャマーやモビルスーツ、コーディネーターの素体能力などの戦力倍加要素により辻褄や帳尻を合わせてきたが、コーディネーターも多く、太陽光発電大国でありプラント以上のモビルスーツ先進国であったオーブを戦争に引き込んだことにより、その優位性は失われた。

 

 故に対処療法として、パナマがそうであったように同じ同格の部隊長の中でも、作戦ごとに最先任を設定するようにもした。

 皮肉にもごく一部を除いて戦線が崩壊し、縮小した為に「階級を持たない弊害」が噴出することは無かったが……

 

 もはや、ボアズ、ヤキン・ドゥーエ(と”ジェネシス”)、プラント本国の防衛という大規模戦しか想定できない戦場しかないと考えるとそうも言っていられなくなった。

 

 

 

 本来は「自分の不満」から出た発言だったとはいえ、上記の時節と状況に見合った発言だった為、”ボアズ方面軍司令官”の設立は、「流石、ザラプラント最高指導者」という満場一致により受け入れられた。

 ザラ派のイエスマンばかりで側近が固められていた弊害で、大した精査もされずに導入が決定されてしまったのだ。

 おまけに「まず、ボアズに試験的に方面軍司令官制度を導入し、そこでブラッシュアップを行い、ヤキン・ドゥーエやプラント本国防衛にも導入する」という方針まで決定されてしまった。

 

 更に”健全な軍隊”では起こらない事態が人事で起きた。

 建前的には、「コーディネーターらしい優れた部隊指揮統制能力」で選ばれたことになっているが……

 それ以上に優先されたパラメータは、

 

 ・ユニウスセブンで関係者が犠牲になっていること

 ・ナチュラルに強い憎悪を持っていること

 ・近親者に”離反者”が居ないこと

 ・パトリック・ザラの「ナチュラル殲滅思想(ザライズム)」に傾倒していること

 ・上記の条件を満たしたうえで、ザフト並びにパトリック・ザラに強い忠誠心を持つこと

 

 上記の条件を過不足なく満たしたのが、ハンだった。

 両親と妻をユニウスセブンで亡くし、長男がアフリカで次男がパナマで戦死し、もはや身寄りはいない。

 失う者も守る者もなく、そうであるが故にザラ思想とザフトに強く依存していた。

 部隊指揮官や組織運営、作戦立案などの「上級軍人として能力」は……控えめに言って「大したことはない」が、ハンは”軍人以外のパトリック・ザラが求める条件”を完璧に満たしていた。

 

 このような恣意的な人事がまかり通ってしまうのが、今のザフトだった。

 

 さて、ここまで読んでいただいた皆様に問いたい。

 この男に、太平洋戦争に例えるのならサイパン島やテニアン島防衛を任せたいと思うだろうか?

 おそらく、この男の素養から考えて、史実での正規軍指揮は難しく、せいぜい”アインザッツグルッペン”の部隊長が精々だろう。

 そしてザフトは、パトリック・ザラは、この程度の男に”憲兵隊(シュタージ崩れ)”をつけていた。

 そう、”督戦隊”と「味方を後方から撃つ権利」を与えてしまっていたのだ。

 

 信じられないことかも知れないが、これは事実であり、また似たような事例はロシア革命から冷戦、あるいはそれ以降の歴史・時代に散見できるのだ。

 

 

 

「ハン方面軍司令、”アークエンジェル”への対応は、距離を置いた長距離哨戒の追加だけでよろしいので?」

 

 そう確認するのは、

 

「”レミントン()()()”、貴君はそれでは不服かね?」

 

 2週間前まで”ボアズ司令官”と呼ばれていたはずのレミントンは、権限は変わらないが明らかに格下扱いになった役職名に対する不満を表情筋の下に隠しながら、

 

「不服というより不足ですな。せめて相手の出方や意図を探るために、強硬偵察艦隊を編成して一当てすべきでは?」

 

 こっちが有力な戦力で強硬策で出た場合、さっさと後退するのか、あるいは戦闘も辞さないと堅守するのかである程度意図は絞れるとレミントンは言っているのだが、

 

「何を言いだすかと思えば……」

 

 ハンは小ばかにした表情を隠そうともせず、

 

「相手は我らが確認できる位置から一切動いていない。これ以上、何を確認するのかね?」

 

 確認すべきは、まさにその「動かない理由」なのだが……

 

「よいかね、要塞長。本国作戦部の解析により”アークエンジェル”が暗礁宙域に居座っている理由は、遠距離からのボアズの監視と『監視されている』という状態で圧迫をかけることと判明している。要するに本質的には我々に対する”ハラスメント攻撃”なのだよ」

 

 ハンは興が乗ったのか、上層部の見解をさも”自分の意見”のように、

 

「歴史上、戦艦一隻で陥落した要塞などありはしない。アークエンジェルが言われるほどの強力な戦艦だとしても、1隻に搭載できるモビルスーツは精々10機だ。これではどうにもならんのだよ」

 

 また、この世界線ではブリッツによる”アルテミス”襲撃イベントが発生しておらず、「要塞戦=物量戦」という図式が、より支配的だ。

 実際、アークエンジェルも”単艦で”しかける気はない。

 

「単艦でできることを白み潰してゆけば、自ずと結果は出る。アークエンジェル1隻が暗礁宙域でとどまる事によってできるもっとも効果的な作戦とは、まさにハラスメント・アタックなのだよ。あの場所にとどまり、可能ならば偵察隊を誘い出して本命の地球連合が来るまでの間、哨戒網を疲弊させる。それがわかりきっているのに、なぜ我々がそれに乗ってやらねばならんのかね?」

 

 ハンはきっと完璧な理論、完璧な読みだと思っている事だろう。

 レミントンは、内面を表情に出さず、

 

「了解致しました」

 

 とだけ返すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これが今回の作成で戦うカガリの相手です。
相手なんだよなぁ……(遠い目

ハン司令、とりあえずレスバ好きそうw
名前の由来はジェネレーター作成なので特に無いですが、なんか日本海挟んだ隣国臭がするw
登場したもう一人のオリキャラ(苦労人枠確定)、ウォーレン・レミントンさんは鉄砲屋からいただいたレミントン姓が先にあって、後から語呂が良さそうなウォーレンがくっつけたって感じです。

それにしてもパトリック、やってくれるなぁw
これ、太平洋戦争に例えるなら1944年5月のサイパン島に牟田○配置するような素敵人事っすよ?

さり気にカガリ、初挿絵化。
この娘、私の使ってる生成AIだと少年としてプロンプト組んだ方が雰囲気が出るというw(というか男装の少女っぽいプロンプトにするとヅカっぽく……)

お気に入り登録、ご感想、高評価などしていただけたら本当にありがたいです。






☆☆☆


書いてて割と真面目に心荒んだ(特にザフト×2)ので、ちょっと潤い分補給的な本編に入れられない「一方、その頃」系エピソードを……


そろそろ残暑も終わった大西洋連邦某所……

「”むったん”、差し入れ持ってきたよ~♪」


【挿絵表示】
※注意:三十路妻、経産婦で三人の子持ちです。

「その呼び方、お願いですから人前ではやめてくださいよ」

「しないよ~」

「それにしても…………またそんな女学生みたいな格好を」

「むったん、意地悪だよ。私がビジネススーツとかすっごく似合わないの知ってるくせに~」

※イラスト作成しましたが、「無理して大人ぶってる感」がw

「いや、まあ、それは……」

「す、スクールユニフォームは万能フォーマルなんだからね? 冠婚葬祭だってこなせるんだから!」

※そりゃ学生ならば、ね。

「言いたいことは分かりますが……その、そんな可愛らしい格好で太もも剝き出しで迫られますと、理性がヘル・アンド・ヘブンされてしまうと言いますか……」

「ヘルはいらないけど、ヘヴンいっちゃう?」

「……よろしくお願いいたします」



とある仲良し夫婦の日常会話。
夫:愛車がムスタングというわけでもなく、持ってるギターがムスタングというわけでもない。妻に対する愛情値MAX、精神耐性0。
妻:16歳固定体質。仕事服が夏を除いて大体ブレザー。どこかの学校の制服を着てるのではなく、あくまで制服風の仕事着(オーダーメイド)。夫の性癖をよく理解している。喋り方がちょっとどこか某名雪さんっぽい。
娘×3:C.E.71年時点で8歳、6歳、4歳。登場するとしたら10歳、8歳、6歳の頃の予定。長女は夫婦の営みを完全に理解している。

仲良き事は美しき哉(糖分過多)




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