【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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という訳で、ボアズ要塞に立てこもるザフトサイドのお話です。




第125話 ハン司令は絶好調に持論を展開し、レミントンは最悪の事態を憂う 【挿絵入り】

 

 

 

「ハン方面軍司令官。アークエンジェルの行動確認に向かっていた哨戒部隊が、暗礁宙域で消息を絶ったようです」

 

「ふむ。不用意に近づきすぎたか?」

 

(どうしてそうなるっ!!)

 

 ”ボアズ”を預かるレミントンは、内心の怒りを表情の下に押し込め、

 

「これまで積極的な戦闘行動を取ってこなかったアークエンジェル積極的戦闘を行った可能性がある以上、暗礁宙域での警戒レベルを引き上げた方がよろしいのでは?」

 

「逆ではないかね? 仮にアークエンジェルが積極的戦闘行動が近いとしたら、むしろそれは地球連合のボアズ攻勢が近いという意味ではないのかね? 事実、ユーラシア連邦と東アジア共和国のみならず、大西洋連邦も積極的にオーブのマスドライバーや軌道エレベーターより繫盛に物資を上げていると聞く。確かに大規模攻勢が近いのやもしれぬ」

 

「それ以外にも、オーブ軍拠点”アメノミハシラ”より有力な艦隊が出撃したとの情報もあります」

 

「ああ、例の『月までの航路警備』を行うとかいう”露払い艦隊”のことかね?」

 

 『第116話 クジョウ式「これまでのあらすじ」とボアズ攻略確認事項』の中で出撃が示唆されていたアメノミハシラの”クサナギ艦隊”と”スサノオ艦隊”の事だ。

 クサナギには”Nアストレイ・ハイペリオン”を駆るアサギ達オーブ三人娘と重装備のストライク・タオツー隊が、疑似太陽炉モビルスーツ運用母艦として内部改装されたスサノオには、”GNフラッグ・グラハムカスタム”のグラハムを筆頭にダリルやハワードの”GN-X”隊が合計10機搭載されている。

 

 この二つの艦隊の目的は、公式的には「地球から月面にある地球連合軍プトレマイオス基地までの航路確保・維持」を目的として出撃したと発表されている。

 つまり、ザフトの通商破壊作戦に対する警戒だと。

 故に、今のところ目立った通商破壊作戦を行っていない(できる状態にない)ザフト上層部からは、「戦力の無駄遣いの”露払い艦隊”」と認識されていた。

 

「ユーラシア連邦や東アジア共和国はともかく、大西洋連邦も本格的な宇宙攻略作戦に打って出ようと言うのだ、アークエンジェルに限らず腰巾着のオーブが何もせんというわけには行かぬのだろう。”小国の悲哀”という奴だな」

 

 少なくともハン、いやパトリック・ザラをはじめとするザフト上層部は多かれ少なかれそのような認識だった。

 

(まるでプラントが大国であるかのような言い回しだな)

 

 確かにオーブの約2倍のプラント総人口ではあるが、それでも地球連合の三大国家に比べれば、圧倒的に少数だ。

 

「それでも無警戒はいかがなものかと」

 

 内心の苛立ちを隠しながらレミントンはそう食い下がるも、

 

「君の心配性はウンザリするな」

 

 ハンはただバカにしたような表情で、

 

「我が優秀なザフト情報部の調査によれば、拠点防衛ならいざ知らずオーブ軍のモビルスーツの機動的運用能力は総じて低い。彼らは戦艦級の大型艦でしかモビルスーツを運用できておらんのだよ。戦闘艦であればどのような艦種であれモビルスーツ運用能力を誇る我らとは根本的に異なるのだ」

 

 珍しくそれは的を射ていた。

 オーブでモビルスーツ運用可能な宇宙艦は、アークエンジェルとイズモ級、アマギ級のいずれも戦艦クラスだ。

 一応、輸送艦を改装した”特装モビルスーツ母艦”もあるにはあるが、主にモビルスーツの輸送任務に運用されている。

 では、オーブにも配備されている”ネルソン級”や”ドレイク級”はどうなっているのか?

 

 元々、オーブでは”メビウス”を運用していなかった(地球連合軍でメビウスが配備されていた時期には既にモビルスーツが実戦配備されていて、その運用母艦として過不足ない戦闘艦として設計されたのがイズモ級)ので、現行で艦載機と呼べるのは脱出艇を兼ねた宇宙観同士の人員や物資の行き来を行う宇宙内火艇ぐらいで、リソースは全て火器に振り分けられている。

 特に現在では、「対モビルスーツ艦隊防空」に趣を置いた防空火器の変更や増設が行われており、「大規模艦隊防空網(コンバットボックス)」を形成することを主な目的としていた。

 ザフトは未だに太平洋戦争時代の日本人のトラウマ「統制された高密度火線網(ハリネズミ)」の恐ろしさを知らないようだ。

 

「レミントン要塞長、君が心配するような状況……アークエンジェルにオーブの2個艦隊が加わったとしても、最大兵力たかが25隻程度の艦と30機程度のモビルスーツに過ぎない」

 

 そして、ハンは一席演説をぶつように大げさに腕を広げ、

 

「対して、見たまえ! 我がボアズには30隻近い戦闘艦に300機を超えるモビルスーツが配備されているのだよっ!」

 

 大体、ボアズの配備兵力は”オペレーション・スピットブレイク”の動員兵力と同等と見ていい。

 

「これだけの戦力差、どうやって覆すのかね? 戦闘艦数に大きな差はないが、モビルスーツでは10倍もの戦力差! かの”オペレーション・スピットブレイク”において、我々には戦力的倍加要素が無数にあったのにも関わらず、ほぼ同数の戦力しか有しないオーブ本国を落とすことは出来なかった!」

 

 ちなみにオーブ本土防衛戦におけるザフトに、戦力倍加要素なんて物は存在しない。

 むしろ、モビルスーツに限ってもパイロットの技量、機体性能双方でザフトは劣っていた。その結果が、あの大敗である。

 ハン方面軍司令、自分達がコーディネーターであること自体が戦力倍加要素だとでも考えているのだろうか?

 

「然るに! 今度は逆にボアズにこそ圧倒的な戦力的な優位があるのだよ! ”攻撃側3倍の法則(3:1 rule)”に従えば、ボアズ陥落には100隻以上の戦闘艦と1000機のモビルスーツの投入が必定っ!!」

 

 いよいよ興が乗ってきたハンは自分が偉大な演説でもしてるような仕草で、

 

「いずれも小国オーブに用意できるものでは無いっ! であるならば、彼らができるのは小手先の戦術のみっ!!」

 

 その内容を否定する者は、少なくともザラ派にはいない。

 我が意を得たりという顔をする者ばかりだ。

 

「だからこそ、我らは無駄を押さえ、合理的に、効率的に備えねばならぬのだ。核を振りかざしてやって来るだろう、地球連合の愚かなナチュラルを殲滅するためにっ!!」

 

 ハンは知らない。

 既に”アマギ”、”オルテュギア”が既に合流し、これにアメノミハシラから迫りくる2個艦隊が加われば、正面参加モビルスーツ数だけでも50機近くなり、作戦参加戦闘艦合計数ではオーブ隊がザフトのボアズ駐留艦隊を優越しているという事を。

 ザフトが思考から外している、ソレスタルビーイングという「戦力外の戦力」の恐ろしさを。

 何より……

 

 ”敵はラクス・クライン”

 

 という想像を絶する恐怖を、ハンは何も知らない。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

(たかがモビルスーツの数が10倍程度でどうにかなる相手なら、我々はここまで敗北を重ねないという物の……)

 

 レミントンは自分が隠れたクライン派だからこそ、”ボアズ”という俯瞰できる位置から戦争全体を見ていた。

 祖国の行った最大の失敗は、オーブに手を出した事だとレミントン自身も考えていた。

 確かにかの国は、地球連合の一角、大西洋連邦と安全保障条約を締結していたが、それは本来、歴史的敵対構造のあるユーラシア連邦や東アジア共和国への牽制目的であり、断じて対プラント/対ザフトを想定したものではなかった。

 事実、安全保障条約は当初、穏健な物で「条約締結国が戦争状態になった場合、中立以上の義務は持たない」とする片務的な物だった。

 だが、ザフトによる”ヘリオポリス襲撃”が状況を変えてしまった。

 多くは無いとはいえ、民間人にも犠牲者が出た「宣戦布告なき攻撃」……

 

(本国は未だ、最大級の政治的失策だと気づいてない……)

 

 それどころか、「隠れて大西洋連邦とモビルスーツを共同開発していたのだから戦争幇助だ。十分に攻撃理由になる」と開き直っている始末だ。

 そして、その理由を押し通し、アメノミハシラ沖会戦とオーブ本土攻撃……これでオーブへ完全に「ザフトはテロリストとして対処し、殲滅する」という大義名分を与えてしまった。

 この意味は、重い。

 ザフト上層は、これを「法的問題を回避するためのオーブの政治的ブラッフ」と断じているが……

 

(そんなわけあるか! 法的は法的でも、ザフトを国際テロ組織扱いにした事で『()()()()()()()()()()()()()()()()()』大義名分と特権を得たのだぞ!!)

 

 『他国への侵略や領土侵犯』ではなく『テロ組織拠点の制圧』。

 『戦争』ではなく『代行軍による警察行動の延長』

 オーブの理念たる「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」に一切抵触する事なく、オーブの国内法である「一連のテロ対処法」だけで、ザフトが明確な拠点としている全ての場所を、拡大解釈の必要すらなく攻撃できるのだ。

 

(それを使わない戦中政治家などいるものか……)

 

 レミントンは、「要塞司令官」だった頃から使ってる執務室に、それなりに手のこんだ料理を持ってくるよう言いつけた。

 未だに剝奪されていない特権の一つだ。

 そして、その場で料理の仕上げをするために来ていた”料理人(コック)”に問いかける。

 

「”マッケンジー”、遺憾ながらどうやらこの要塞はここまでのようだ」

 

 レミントンには確信があった。

 暗礁宙域に留まるアークエンジェルの不可解な行動、月への航路確保名目で出撃しているオーブ2個艦隊、それに……

 

(L3宙域、ヘリオポリス方面の動向が全くつかめていない……)

 

 ヘリオポリス襲撃に加え、先の”オペレーション・スピットブレイク”の一環で行われた二度目のヘリオポリス攻防戦で大損害を受けたザフト宇宙兵力は必然的にその哨戒活動範囲を狭めており、実際に地球を挟んだ反対側にあるL3宙域を観測する余力は今のザフトにはない。

 

(動いていないわけはないな……)

 

 部屋へと来た長身で筋肉質、黒髪に黒い瞳のコックは際どい話題に、

 

 

【挿絵表示】

「”掃除”は済んでるので?」

 

「盗み聞きできる者はいないよ」

 

 マッケンジーと呼ばれるコックは無言で頷く。

 

「我々は負けるだろう。だとすれば、より良い負け方を選択したい。できるうちに、な」

 

 レミントンは言葉を切り、

 

「その時が来たら”君たち(ターミナル)”の力を借りたい」

 

「御意。要塞内のザラ派の洗い出しは既に終えています」

 

「戦闘になれば、あの似非司令と子飼いの憲兵隊(ゴロツキ)どもは司令室に籠るだろう」

 

「そちらも問題なく。憲兵隊到着前に司令部要員や交代要員に腕利きを潜り込ませております」

 

「仕事が早くて助かる」

 

「タイミングはお任せします」

 

「心得た」

 

 ウォーレン・レミントンは『隠れクライン派』の一派に属していた。

 そして、”ハリー・マッケンジー”……お察しの通り”ターミナル”の一員である。

 本来は黒色であるはずの瞳は、人知れず金色に鈍く輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




唐突に生えてきたオリキャラ、マッケンジー君w

名前の由来は懐かしの「スクールランブル」より播磨拳児より。実は、ハリー・マッケンジーも原作最終話近くでネタ絡みで登場w

ただし、キャラデザ的には「置鮎さん声のイノベイドを黒髪にして、一回り以上ゴツくして肉弾戦向きに調整」された、「見るからにイノベイド」を目指してプロンプトを組んでみました。
キャライメージは、「某セガール氏が演じた”実は最強だった戦艦のコック”の若い頃」ですw
まあ、隠れキリシタンならぬ隠れクライン派であるレミントンの”安全装置”ですね。

ハン、断片的には「常識的なこと」言ってるように聞こえるが質が悪いんですよね~。ただ、客観的現状認識に著しく難があり過ぎるだけで。
現実が見えてないとも言うw



ちょっと書いてる方も心荒む色気不足のギスギスした話(なんと女性登場キャラ0)だったので、最後に夏らしい癒しのサービスショットを……


【挿絵表示】
シェリリン:「レアなシェリリンの白ビキニをお届けなのです♪」

シェリリンと言えば黄色ビキニな気がするけど、引き締まったボディの褐色娘に白い水着が妙に刺さりましてw



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