【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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箱庭の(自分たちにとって都合の良い)現実だけを見てきた者達の末路かな?

ラクス:「二曲目、いっきますわ♪」






第130話 ”覚醒” ~それで、君たちに何ができるっていうんだい?~ 【挿絵入り】

 

 

 

 

【挿絵表示】

「これはまた、わらわらという感じで出てきましたわねぇ~」

 

 何度か出てきたように、”フリーダム・ルージュ”に搭載されている”クォンタム・MIDI(Melodious Interactive Direction Interface)フレーム”は、「脳量子波を含む量子情報を音として認識する」特異な能力を持つラクスの為に、彼女専用に組まれた「音を視覚化し、戦場を”不協和音を消してゆく音ゲー”のようにしてしまう」双方向フィードバック・インターフェースだ。

 

 だが、これはあくまで”受動的(パッシブ)”な使い方だ。

 確かにこの状態でも強力なシステムである事は間違いないが、真価を発揮してるとは言い難い。

 まだ生まれたばかりのシステムで、発展途上も良いところの未熟なシステムだが、ラクスは本能的にその使い方を知っていた。

 

(絶対に歌った方が効果的なシステムですわよね?)

 

 普通なら歌いながら戦うなんて逆に集中力を失い危険なだけだろう。

 むしろ、歌いながら集中力を上げて行く熱気バサラの方が例外なのだ。

 だが、ここにも……この世界にもまた、例外は居たのだ。

 

 イメージするは、遥か遠方より飛来する(SEED)

 それが弾けて、宇宙空間に極彩色の音符を振りまき、音が宇宙を染めて行く!!

 

 

【挿絵表示】

「歌いましょう、フリーダム・ルージュ。かつての人の業と戦火に消えた、忘れられしその歌を……!!」

 

 

 

それでもいったいこの僕に何が出来るって言うんだ

窮屈な箱庭の現実を変えるために何が出来るの

 

 それはかつてラクスがプラントという場所に閉じ込められていた時、自分に対する問いかけで……

 

人生の半分も僕はまだ生きてない

逆らって 抱き合って無意識に刻まれてゆく経験のタトゥー

 

 その拙かった何も知らず、何も見ようとしなかった自身への思いでもあった。

 

 

 

 

 

 

 フリーダム・ルージュより発せられた脳量子波化された歌声は、アニューを介してヴェーダへと繋がり、ヴェーダから返された情報はアークエンジェルを通してクラッキングという形でザフトの情報網/通信網を侵食してゆく……

 

崖っぷちに立たされた時 苦難が僕の腕を掴み

自分自身の在りかが初めて見えたんだ

もっと広いフィールドへ もっと深い大きな何処かへ

予測もつかない世界へ向かって行くだけ

 

『こ、この歌声は本当にラクス様っ!?』

 

『ラクス様が、まさか戦場に来てるのっ!?』

 

 ”A Sai en”で揺さぶられた情動が収まりきらないまま出撃を強制されたザフトのパイロット達。

 抱えたままの心の揺らぎは、ラクスの歌声で更に揺れ幅を増幅させられる。

 

 仕方のないことだ。

 仕方のないことなのだ。

 前話にて、ボアズ詰めのパイロットの半数以上が開戦後に訓練生として入った最近になり即席で実戦要員になった者で、全パイロットの3割強がこの戦いが初陣になるという話はした。

 だが、もう少し細かく実情を語ろう。

 

 信じ難いことかもしれないが、原作でもこの世界線でもパトリック・ザラは、かつて教育関連(アカデミー)の要職に就いていた事がある。

 そして、その経験とコネを活かして、ある「徴兵ないし学徒出陣の一歩手前」の発布を、8月に出していた。

 曰く、

 

”志願者のアカデミー繰り上げ卒業とザフトへの入隊優遇”

 

 つまり、志願すれば「直ちにアカデミーを卒業扱いにし、ザフトへの入隊を認める」という趣旨であった。

 辛うじて「志願者のみ適応」という形で体裁を整えているが、実質的にプラントの教育制度を根底から破壊する発令だった。

 特に「ナチュラルはこの世から殲滅されて当然」と狂信的ザラ派の生徒、ないし()()()()()()()()()()()()()()が、挙ってこの破滅的な新制度に参加して(させられて)いた。

 そして上記の「初陣の3割」のうち幾ばくかは、その制度の犠牲者たち……「新兵にさえもなりそこなった半端者」だった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ははっ! コイツぁいい。ゴキゲンなナンバーじゃねぇか!」

 

 そう獰猛な笑みを浮かべるのは、スローネフィーアを駆るアリー・アル・サーシェス。

 キラやカナードなど、オーブの見どころのある少年達に対しては存外面倒見のいい傭兵隊長ではあるが、年齢如何に関わらず敵兵を慮る腹積もりはない。

 傭兵とは金で雇われるプロフェッショナルな兵士、一流の兵士とは割り切りも一流なのだ。

 何せ割り切らなければ戦場で死ぬことを知っているからだ。

 C.E.になって久しいこの時代においても、少年兵という存在は性別を問わずに世界中の戦場に存在し、また傭兵としてそのような場で戦ってきたのもまたサーシェスなのだ。

 

「動きが鈍いぜえっ!!」

 

 距離があれば左手のGNマルチモード・ビームライフルで屠り、GNファングのオールレンジ攻撃で死角から虚を突き、近づけばGNバスターソードと両足のつま先に仕込まれたGNビームサーベルで八つ裂きにする。

 兵隊の半分が少年少女という戦争は、何もボアズだけじゃない。

 「紛争地帯で生まれたにしては、()()()()()()()()()()()」。そう言い切れてしまう程度には、まだまだ世界は残酷だった。

 それを知るサーシェスに迷いも躊躇いも無い。

 ただ、撃ち抜き、貫き、切り伏せる……例え、通信機が国際救難チャンネルで垂れ流される、母を呼ぶ悲痛な少年少女の声を拾ったとしても。

 

(輪廻転生なんてモンが本当にあるのか知らんが、)

 

「次はもうちょいまともに生きれるよう祈ってやんよ。俺に祈る神は居ねぇがな」

 

 アリー・アル・サーシェス、残虐に非ず。残酷に非ず。冷酷に非ず。

 されど、生粋のプロの傭兵なり。

 

 

 

教えて「強さ」の定義 自分 貫く事かな

それとも自分さえ捨ててまで守るべきもの守る事ですか

 

サバンナのガゼルが土煙りを上げる

風ん中 あいつらは死ぬまで立ち続けなければいけないのさ

 

 つらい現実を語らなければならない。

 ザフト兵の動揺を増幅し続けるラクスの歌声。だが同時に今となっては……「太陽と獅子の女王」の番となり、その生涯を添い遂げると誓ったピンクの姫君の歌声は、オーブ将兵にとって、

 

 ”戦場で流れるのが当り前の応援歌”

 

 であるのだ。

 その歌声は味方を鼓舞し、士気を跳ね上がらせる!!

 

 

【挿絵表示】

「ほう……これが噂に聞く”歌姫の生戦歌”か。確かに悪くない」

 

『西暦時代に歌われた、”ヘミソフィア”って曲らしいですよ?』

 

 通信機越しに入る僚機(キラ)の声に、ピーリスは口の端を少しだけ釣り上げた。

 

「悪くない。ああ、悪くない。これがいわゆる”萌えるシチュエーション”というのだな? コーラサワー中尉がよく言っている」

 

『ピーリス中尉、なんとなくですが字面と意味が微妙に違う気がします』

 

 キラ、既に覚醒(SEED)状態に入っているのか妙に鋭い。

 

「そうなのか? オーブ語は奥が深いな」

 

 ユーラシア連邦の超兵機関が出自の彼女にとり、表現の幅が多いオーブ語は中々に難解らしい。

 だが、音楽というのは、いや歌というのは「たとえ歌詞の意味が分からなくても、心を突き動かす」。

 聞き覚えのない海外の歌を聴いたとき、聞き覚えも何を歌っているのかも分からないのに、心の琴線に触れた経験はないだろうか?

 歌には、そういう魔力……国境も民族も、歴史すら超える力がある。

 

「ヤマト中尉、斬りこむのだろう? あのナスカ級に」

 

『フォロー、お願いできますか?』

 

「任せろ。中尉の背中程度なら、完璧に守ってやろう」

 

『感謝を!』

 

ヒトは歩き続けて行く ただ生きてゆくために

不完全なデータを塗り変えながら進む

始まりの荒野を独り もう歩き出してるらしい

僕は灰になるまで僕で在り続けたい

 

 ピーリスのジンクス・タオツーが立て続けに発砲したGNマルチモード・ビームライフルは狙い違わずキラを囲もうとしていたゲイツとジン×2機をスクラップへと変貌させ、背中のフォルティスビーム砲を牽制に、いや敵艦に命中させながら突出するナスカ級に突っ込んだキラのジャスティス・ソーディアンは片手に一振りずつ握る”シュベルトゲベール改ⅡN”を並行連結させると同時にリミッター解除の延伸レーザー刃を発生させ……

 

「チェストォォォーーーーーッ!!」

 

”ギュワン!!”

 

 迷いなく振り抜かれた光学刃は抵抗を感じさせぬまま、まるで赤く焼けたナイフをバターに押し付けたようにナスカ級を張り付いていた護衛モビルスーツごと真っ二つに溶断して魅せたっ!!

 

「うむ。良い腕だ」

 

『どうも。ピーリス中尉』

 

「ああ。敵はまだ居なくなった訳ではないからな。征くぞ、ヤマト中尉!」

 

『了解!』

 

 鮮烈な赤とピンクの閃光が、先陣を切り暗礁宙域とボアズの狭間を駆ける。

 ナチュラルだろうがコーディネイターだろうが、常人では反応すら難しい速度で宇宙(ソラ)(はし)るキラとピーリス。

 互いが互いを補えるだけの身体能力と技量を持つ二人に、支援砲撃の必要はほとんどない。

 ただ、縦横無尽にソラを駆け抜け、武器が閃く度にザフトの命が爆ぜる。

 あまりに一方的な戦い……キラとピーリスの2機編隊(ロッテ)を止められるザフトの戦力は、この宙域には居なかった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

遠い昔 何処から来たの 遠い未来に何処へ行くの

知らないまま投げ出され 気づく前に時は終わるの

始まりの荒野を独り もう歩き出してるらしい

僕は灰になるまで僕で在り続けたい

 

 

【挿絵表示】

「結局さ、アンタ(ザフト)らって、最初から最後まで兵士にも何ににもなり切れなかったなのよ。そんな中途半端な覚悟で、ウチの女王様や姫君に歯向かおうってのが、そもそもの間違いなのよね」

 

『ひゃハハッ! ネーナの指揮で戦えるなんて最高だよなァッ! 兄貴!』

 

『ふむ。確かに悪くない気分だ』

 

 通信機越しに入ってくるのは、GNロングレンジ・キャノンとGNファング、GNミサイルの一斉射でまとめて数機の敵を消し飛ばした次兄ミハエルと、GNメガランチャーのいわゆる”薙ぎ払い”の持続砲撃で直掩モビルスーツもろとも母艦を撃沈した長兄ヨハン。

 加えて、

 

『ネーナちゃん、お姉さんにも次の指示ちょうだい♪』

 

『ネーナさん、お願いします!』

 

 いつの間にか暗礁宙域の突端に陣取り要撃を行う中間迎撃(インターセプト)組に組み込まれ、自分の指揮下に入っていたヒリングとニコル。

 ピーリスの臨時編入により8機に増えたアークエンジェル直轄モビルスーツ隊のうち、実に半分がネーナの指揮下に入っていた。

 

(どうしてこうなったんだか)

 

 と内心で苦笑するネーナ。

 元々は、各種シミュレーションの能力判定から、

 

『ラクスは全体指揮官の素養が高く、ネーナは意外なほど前線装甲指揮官の適性があるようだな。無論、機体特性も込みでの話だが』

 

 というカガリの評価から始まったように思える。

 まあ、確かに自分の愛機”スローネドライ・トゥルブレンツ”は、GN粒子を用いた電子戦とサポート能力が高く、GN粒子を防御に回せば打たれ強く、電子戦の演算リソースを指揮統制に回せば、前線指揮もこなせる器用さがある。

 

 そして、広域ジャミングの役割を終えたネーナと愛機は、暗礁宙域に突っ込んで来ようとする敵機を兄2人が効率良く迎撃できるように陣取ってたら、そこにニコルとヒリングの2機編隊(ロッテ)が合流したという訳だ。

 

 確かにニコルのNブリッツ・天改とヒリングの1ガンダムは、最前線でアマギのGN-X(ジンクス)隊と一緒になって常識外れのハイスピード・アタックを繰り返して敵の機先を削ぐキラ・ピーリスコンビに追従するにはスピードに不安があり、アークエンジェルの前、直掩位置に陣取り砲兵の役割もこなすラクスのフリーダム・ルージュの位置まで下がって支援砲撃を行うには射程が足りない。

 なるほど。そう考えれば確かに合理的な配置だ。

 

 (ザフト)は動揺を相殺できないまま、まとまり無く出撃してきて、こともあろうか合理性がイマイチ感じられない……というか、統制が取れないような動き・フォーメーションで部隊を分け、一方をアークエンジェルを中核とする暗礁宙域へ向けてきた。

 

 ラクスの歌声で更に情動を乱され(デバフをかけられ)たボアズ艦隊は、さぞかしキラとピーリス、GN-X隊には鴨に見えた事だろう。

 先制攻撃をかけるそれらの間隙を縫って、即座に練度の低いパイロットを集中的に狙って落としてゆくサーシェスの抜け目の無さは流石と言えた。

 ネーナとしては人物的にはどういう訳かサーシェスが好きになれないが、その能力だけは高く評価している。

 

 そんな攻撃で徹底的に体制が崩された中、それでも無理を押して暗礁宙域へ突入を果たそうとするのだ。

 ネーナ達にとってそれは、「スリルのある程度に撃ってくる標的艦や標的機」ぐらいなものでしかなかった。

 

 

 

崖っぷちに立たされた時 苦難が僕の腕を掴み

自分自身の在りかが初めて見えたんだ

もっと広いフィールドへ もっと深い大きな何処かへ

予測もつかない世界へ向かって行くだけ

 

僕は僕のことが知りたい

 

「アンタ達は自分が何者かも知ろうとせず、目を瞑り、耳を塞ぎ、崖っぷちに立っている現実を見ようともせず、苦難を安易な手段で解決しようとし、狭い世界に閉じこもった……その結果がこれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、ラクスとネーナの「何となく覚醒しちゃってるっぽい回」でした。

うん。ラーゼフ○ンの”あのシーン”を再現してみたかっただけかもしんないw

ラクスはもちろんハイスペック(という枠組みで良いのか? コレ)ですが、実はこの世界線のネーナ、生まれも育ちも原作と違いせいで、カルマ値は中立で、外道成分は低いんですが、補うように「直接戦闘能力以外の能力値」が高いみたいです。
直接戦闘能力も低くはないんですが、この戦場に居る他の面々(友軍)と比較してしまうとw

カガリの言い回しだと、ただの前線指揮官ではなく「前線装甲指揮官」。戦略眼や兵站や補給を含む戦域全体の把握能力は低いけど、戦術的行動とか戦場での動きが抜群に良いタイプ……C.E.版”ロンメルの卵”?
虎さん(再登場予定)、あんまりロンメルタイプじゃないしなぁ~。どっちかってーとライバルのモントゴメリーの方が近いような?

皆様の予想通りザフトの紳士淑女少年少女がボコボコにされてますが……サーシェス、「楽な標的ばかり墜としてるように見えて、実は汚れ役を自ら買って出てる(戦後で若年兵云々をせっつかれた場合の対策)」ことは、熊さんとかを筆頭にモロバレな模様。だから誰も何も言わないという小ネタw

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☆☆☆


ちょっとした小ネタ。
戦後、”ヘミソフィア”を聞いたある兄妹(放課後デート中?)の会話

シン:「あれ? なんかこの曲、初めて聞いたはずなのに懐かしいというか……こう、心の琴線に触れるというか」


【挿絵表示】
マユ:「きっとそれは、平行世界とか別世界につながるお兄ちゃんのカールチューンが呼び覚まされているからだよ♡ ちなみにマユも歌えるよ?」

シン:「俺はどこのゼントランだよ」

※ヘミソフィアは、シンの中の人の嫁さん(=マユとルナマリア中の人)の持ち歌ですw

オーブの気候から、ブレザーの制服はないかな? 画像はマユのキービジュアルってことでw



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