【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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このエピソードから新章になります。
今回は、オーブ単独によるボアズ陥落を各国の視線から……って感じで。

今後の展開が、ある程度分かるようになってます。




第9章:終わりの始まりに向けて
第135話 ユーラシア連邦と東アジア共和国、そしてパトリック・ザラ 【挿絵入り】


 

 

 

 原作では、ボアズ陥落後に一気呵成に始まったヤキン・ドゥーエ戦(第二次ヤキン・ドゥーエ戦)だが、この世界線では「オーブが単独でボアズを陥落させる」という(一部を除き)誰も想定してなかった事態により、あらゆる陣営に困惑と混乱をばら撒くこととなった。

 敵味方問わず各位は情報収集に勤しみ現状把握に努めざるえなくなり、結果としてそれがヤキン・ドゥーエに対する攻撃を遅らせる事となるのだから、歴史とは実に皮肉に満ちている。

 

 

 

 

 

 

 事前通告なしのオーブの電撃戦によるボアズ陥落は、その鮮やかさもあって世界中に驚きをもって拡散されたようだ。

 ”ラクスの歌”に関しては、今後の事や投入された機材の機密性もあり、巧妙に隠されたが、「既存の兵器と戦術の組み合わせで、念入りに進めた第3段階までの概要」は公表され、その手腕が高く評価された。

 

 作戦司令官がカガリであることはプロパガンダの意味を込めて大々的に発表されたが、流石に作戦立案までもが彼女が主導したこと、また実行されなかった第4、第5段階の存在は伏せられた。

 

 蜂の巣を突いたような大騒ぎになったのは、かつて”新星”の持ち主だった東アジア共和国だ。

 彼らは(オーブの予想通り)、恥ずかしげもなく使節団を送り込み、いつもの厚顔で高飛車な態度でオーブに「新星の返還」を要求してきた。

 これに対応したのは、オーブきっての大の東アジア共和国・ユーラシア連邦嫌いで大西洋連邦シンパ、セイランさん家のウナト君だ。

 

我々(オーブ)が奪取したのは、宇宙テロリストが拠点としていた”ボアズ”だった筈だが? ”新星”なぞ宇宙の何処にもありはしない。返還を要求するなら、せめて現在進行形で実効支配している場所にして欲しい物ですな」

 

 と返すが、それでも「新星の所有権は東アジア共和国にある」と食い下がり、ついに領土紛争を仄めかす発言まで出た時……

 

「よろしい。そこまで言うなら”地上の何処に返して(落として)欲しい? 丸ごとでも分割でもきっちり運んでやるぞ?」

 

 このセリフと共にジロリと睨みつけてくるウナトに、流石の東アジア共和国外交使節団も顔をひきつらせた。

 これが、ただの”脅し(ブラッフ)”でないことを察したからだ。

 実際、オーブはカーペンタリア湾に”落として”いるのだ。

 本気で戦争をするなら、平然とボアズをユーラシア大陸東部に落としてくる……そんな凄味があった。

 

 

「同朋になんということを……」

 

 そう苦し紛れに言う、どうやら旧日本列島出身らしい外交官。

 だが、それがウナトの逆鱗に静かに触れた。

 

「同朋? 笑わせるな。日本国を歴史用語に変え、日本人を”抹消”したのは貴殿らだろうが? 我らが”再構築戦争”の後、旧国土で何が起きたのか知らんとでも思ってるのか……!!」

 

 現在、極東の弓状列島に住む人々、その血統的には……まあ、そういう事だろう。

 闇深い話はそこそこに、摘まみだされる形で使節団は会談打ち切りで強制出国、以後ボアズの件はオーブ側から交渉拒否を言い渡された。

 

 対して東アジア共和国は、報復としてオーブとの外交断絶を宣言したが……

 

 

【挿絵表示】

「なんだ、連中はまだ断交してなかったのか? 外交特使なんぞ寄越すのは久しぶりだったから、とっくにしているかと思ってたぞ」

 

 とウナトは実に涼しい顔をしていた。

 その表情は、「せいせいした」と言わんばかりであったという。

 その後にウナトは国民向けの会見でこう続ける。

 

「まあ、あれだ。オーブなら交渉で何とかなると思ったというより、月の彼方にあるプラントだのザフトだのには実力行使が必須だが、同じ地球上にある小国オーブなら、『脅せばどうとでもなる』と思ったんだろうさ。要するに、いつもの東アジア共和国ということだ」

 

 

 

 ちなみにオーブが行った報復措置は、「意図的に目こぼししてきた件の国とつながりのある(シャープパワーの手先)」企業、市民団体、報道機関、弁護士事務所などに強制捜査。

 軒並み主要幹部を逮捕し、とっくに固めて随時更新されていた証拠を突きつけ、次々と有罪へと持ち込んだ。

 まあ、地味と言えば地味だが……罪状が、騒乱罪、騒乱予備罪、騒乱準備罪、重国家反逆罪、国家反逆罪、外患誘致罪、防諜罪等々なのだから判決結果は推して知るべし。

 オーブは歴史的要因から、この手の罪状は「どこぞの国とは真逆」に豊富なのだ。

 極端から極端に走りたがる国民性は、相変わらずのようである。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 ただ、腹の虫がおさまらないのが東アジア共和国で、同じ大国でオーブから歴史的敵国認定されているユーラシア連邦に泣きついた。

 しかし、ユーラシア連邦としては疲弊してる現状で、「東アジア共和国が主張する資産」を取り戻すのに、わざわざ戦力を割いてやる謂れはない。

 国同士に真の友情は存在しない、その典型だ。

 

 というか、カガリとアズラエルの「(国を動かせる)悪党同士の愉悦友情」がイレギュラーと思っていい。

 

 そこで、何となく”ジブリール家の影が見え隠れする”ユーラシア連邦は、こう提案した。

 

『ボアズを取り戻すより、誰よりも先にプラントを屈服させてしまえば良い』

 

 と。その根拠は、

 

『ボアズのように強固に防護を固めた要塞ですら、()()()()()()に墜とされるのだ。つまり、』

 

 ”ザフトに兵無し”

 

 今のザフトは疲弊しており、事実上、地球での戦闘を放棄して、宇宙で凝り固まっている。

 そのような連中ならば、「復活した核兵器」で鎧袖一触できる。

 

『ヤキン・ドゥーエ? 攻略の必要などない。迂回すれば良いだけだ。見せしめに砂時計の群れを一つ二つ消し飛ばせば、如何に強硬なパトリック・ザラとは言え、流石に敗北を悟るだろう』

 

 そう結論づけたのだ。

 何というか……実に”ルーシ的楽観”に満ちた発想である。

 彼らの本質は、西暦時代となんら変わりが無いようで、何よりだ。

 

 東アジア共和国もこれに乗った。

 利権を考えれば、ボアズよりも「戦後の宇宙工場群」の支配権の方が旨味が大きい。

 忌々しいオーブは、元々がプラント理事国ではないためにその利権に関しては政治的に口を挟む事ができず、大西洋連邦は何故か戦後のプラント支配に消極的だった。

 

『今、墜としてしまえば、プラントは東アジア共和国とユーラシア連邦で牛耳れる』

 

 そう考えてもおかしくはなかった。

 プラントから手を引けば、ライバルである大西洋連邦が宇宙開発競争から後退するのは明白だ。

 

『もしかしたら、建国以来、初めて大西洋連邦に対し我が国は経済的優位に立てるかもしれない』

 

 東アジア共和国にとって、それは抗う事の出来ない誘惑だ。

 いつの間にか、彼らの頭からは小国オーブやボアズの事などすっかり抜け落ち、「プラント本国攻撃作戦」に注力してゆくようになる。

 

 

 

 

 その後、ユーラシア連邦は大西洋連邦との交渉で地球連合の合同軍事拠点である”プトレマイオス基地”の優先使用権を入手した(舞台裏に関しては、『第106話 カガリちゃんは、(自分に損がない方向に)撃たせたい!』を参照していただきたい)。

 これにモノフェーズ光波防御帯で守られた鉄壁の宇宙要塞”アルテミス”を加えれば、プラント攻略の宇宙拠点確保に不足はない。

 

 こうしてあっさりと、”ヤキン・ドゥーエの戦い”に関する最初の方向性が決まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 対して激怒したのは、ご存知プラントの独裁者パトリック・ザラだ。

 ”ボアズ”が半日も持たずに陥落した事に激怒し、邪知暴虐なオーブに天誅を下さんと、”ジェネシス”の使用を真剣に検討し始めた。

 だが、

 

 

【挿絵表示】

「お待ちください」

 

 待ったをかけたのは、ザラ派のNo2と目される女傑。

 国内の治安(銃後)担当を主任務とするエザリア・ジュールだった。

 最近は、同じような官職に回されているラウ・ル・クルーゼを副官のように従えている場面も多くなってきた(故に愛人疑惑が再生産され続けている)彼女は、「手に入る限りのボアズ戦の資料」を手に、

 

「分析の結果、オーブは既存兵器と従来の戦術の積み重ねで、”常識的な要塞攻城戦”を行ったようです。これに対し、”ジェネシス”のような超兵器を投入するのは、少々割に合わないと進言いたしますわ」

 

 ソレスタルビーイングの広域通信妨害や、指向性を持たせた攻撃方法などで”ラクスの歌”という戦略兵器の存在は隠蔽され、その為ボアズは……

 

 ・質量爆弾による攻撃と奇襲艦隊の出現→味方部隊の誘引と壊滅→通信妨害による救難要請の不可→陽電子砲による艦砲射撃

 

 という額面通りの方法で陥落したと判断されてしまった。

 皮肉にも、パトリック・ザラがそれを認めざるえなかったのは、自分が後押ししたハン方面軍司令が「要塞戦において能力未知数」である事を認めていたからだ。

 『第123話 ボアズ方面軍司令官』でも語られた通り、ハンは決して軍事的な能力や才能で推挙された司令官ではなかった。

 

 

 

 そして程なく、更にガンマ線巨大原子レンジのボアズへの使用を思いとどまらせる報告が上がってきた。

 そう、ユーラシア連邦と東アジア共和国の連合宇宙艦隊が、ニュートロンジャマー・キャンセラー装着済みの核兵器を満載し、プラント本国攻撃を狙っているというのだっ!!

 

 情報自体は事実なれど、「どこかの誰かさん達にとってあまりに都合の良いタイミング」での報告の気がするが……それを考慮する余裕はパトリック・ザラからは失われていた。

 

 「プラントへの核攻撃」は、この男にとってのトラウマであると同時に逆鱗。

 しかも、報告によれば大西洋連邦は、地球連合軍合同管理の筈のプトレマイオス基地を事実上、ユーラシア連邦と東アジア共和国に受け渡す採決をしていて、既に安保締結国であるオーブの宇宙施設に移動を開始しているのだという。

 

 この情報の信憑性は、極めて高いと言えた。

 最近の調査で、大西洋連邦の戦意は下降気味であり、戦争自体に消極的、民衆レベルでの厭戦気分が蔓延する兆候があるとされていた。

 地球連合の三大国家の足並みが崩れた事に、ザフト上層部がほくそ笑んだのは記憶に新しいところだ。

 

 またオーブは、プラントに対する戦意は高いが領土的野心は希薄であるという認識は続いている。

 実際、ボアズを狙ったことと、その後の東アジア共和国との外交的舌戦が、その論拠になっている。

 

 酷い誤解もあるが、実はオーブに対する認識は大きく間違ってはいない。

 敵意があるのはザフトに対してであり、プラント自体には支配権や所有権を含めてなんら興味が無いという注釈が必要だが。

 

 こうして、ザフト上層部でボアズ陥落は、「それ以上の優先対処事項」が出来た為に一時的に棚上げされた。

 

 ”ヤキン・ドゥーエの目と鼻の先に、敵の大規模前線基地”が設営された意味に気づかないまま。

 

 

 

 彼らは、太平洋戦争を知らない。

 知っているとしても、世界史の教科書に出てくる「古代の歴史事象」レベルだ。

 現代日本人が、サラミスの戦いやレパントの戦いを詳しく知る人間が、研究者などに限られるのと似ているのかもしれない。

 もしかしたらプラントのコーディネーターにとり、ジョージ・グレンが登場するまでの歴史は、「自分たちに直接つながらない歴史」として、無意識に切り捨てているのかもしれない。

 

 だからこそ、サイパンやテニアンが陥落した後の、”とある国の末路”を知らないのだ。

 そして、歴史を軽んじる民族は、歴史が何度も繰り返されることもまた知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まさかのウナト&エザリアママのAIイラスト化!(挨拶

流石にウナトの髪型、服装、キャッツアイがAIパイセンが理解してくれなかったので、この世界線のウナトはこんな感じだと思って頂ければw
イメージ的には「髪の毛が辛うじて残ったが、太った海坊主(シティーハンター)」かな?

そしてエザリアさん、ファインプレー記念にイラスト化♪
いや、この時、パトリックの阿呆が激情に駆られてボアズに向けていたら、流石に看過できないってんでカガリ代表の”上司”が強制介入決定して筒先を向ける方向が変わってたんじゃないでしょうか?
まあ、エザリアさんもパトリックを思っての発言かと思えば、そうとは言いきれない部分も……
ちなみに原作の青い法衣にAIパイセンの再現で一番近かったのは、青いフロックコートだった為、原作より衣装がゴージャスにw

そして、ウナトさんに煽られた東アジア共和国と、これ幸いに隙を突こうとするユーラシア連邦、そしてそれを迎え撃つザラ・ザフトって構図が完成しました。

原作では、ボアズの直後にヤキン・ドゥーエですが、この世界線では「オーブが単独でボアズを陥落させてしまう」というイレギュラーが起ったためにタイムスケジュールが大幅に狂い、おそらく軽く1ヶ月以上はヤキン・ドゥーエ戦は先延ばし、下手をすれば11月入ってからになりそうだなっと。

その間のエピソードをこの章では入れて行こうかと思ってます。
原作とかなり展開が違う故に、原作と全く違う動きをしたり、あるいは登場するはずのないキャラが出てきたりしますが、そういうのを含めて楽しんでいただけると幸いです。

それでは、新章もどうかよろしくお願いいたします。


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