【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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やっぱり、偉い人が無理をし始めると、それを押し付けられた国民の我慢が限界に達して爆発するんですわ。
それを煽る勢力が国内に潜伏してるなら尚更。

ところで皆様、”女の貌に戻った綺麗なママ”はお好きですか?
つまり……微エロ注意です。








第138話 プラントに血風吹き荒ぶ政治の季節到来。それはそれとして無関係な顔して大人がラブコメしてても許されると思う 【挿絵入り】

 

 

 

 後年の歴史研究者の多くは、パトリック・ザラを”浅慮で短慮で直情径行な人物”と異口同音に評することになる。

 そして、その人物評の論拠としていの一番にあげられるのが、「学生の徴兵」とそれに纏わる出来事だ。

 

 一般に”ザフトの学徒出陣”という歴史用語で知られるそれは、当時のザフトの戦力が事実上、枯渇状態……度重なる敗北で、特にモビルスーツ・パイロットが払拭されていたが、それでも浅慮にして短慮の誹りを受けるのは当然といえた。

 

 当時のコーディネーターは世代を重ねると、加速度的に出生率が下がるという事実がすでに明らかになっていた。

 そのための婚姻統制だったが、そのような小手先の方策でどうにかなるような状態ではなかった。

 

 つまり、「子は宝」という表現は些か大時代的な表現だとしても、子が貴重というのは当時のプラント・コーディネーターには浸透していた考え方であり、故に”それ”は起こった。

 

 事の発端は、「強制卒業に強制入隊だと!? ふざけるな!!」と激怒したアカデミーに我が子を預ける非ザラ派の親たちが、アカデミー校舎に押しかけた事に始まる。

 そして、それを「国家総力戦を前に非プラント国民的な振る舞い」と激怒したお馴染み”憲兵隊”が殺到。

 押し問答の末に、自制心に問題のあったパトリック・ザラに心酔する雑兵の1人がしびれを切らして、ついに”怒れる父母会”に向けて発砲したのだ。

 そう、「我が子を取り戻さんとした非武装の市民に向け、ザラ派が発砲した」のだ。

 

 ザラ派は即座に報道管制を敷こうとしたが時すでに遅く、おそらくは反ザラ派の内部工作により、その流血画像は一斉にプラント中、いや世界中に配信されたのだ。

 ザラ派が消しても消しても、あらゆる手段でアップロードされる画像に業を煮やしたパトリック・ザラは、

 

「非国民どもめっ!!」

 

 と叫びながら、民間回線全てのシャットダウンを命じる暴挙に出た。

 現代で言えば、軍用回線以外のインターネットを全て遮断する行為だ。しかも中継機器を物理破壊まですることまでやった。

 

 と~ころがぎっちょん!

 それを予見していたカナーバ率いるクライン派残党と穏健派、中立派があらかじめ用意していた代替え機材で最低限の通信を復旧させることに成功させてしまったのだ。

 しかも、独自機材を入れたことでザラ派からの干渉も受けつけない形で。

 無論、ザラ派も黙っている訳はなく、流血は確実にエスカレートする方向へ動き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 だが、まるで外の血生臭い喧騒が別世界の出来事のように愛し合う男と女が居た……

 

 

【挿絵表示】

「”ラウ”……私、今とっても幸せよ。もしかしたら、生まれて初めて心からの幸せなのかもしれないわ」

 

 公平に見て、エザリア・ジュールという女性は、さほど幸運な半生とは言えなかった。

 子供を授かっただけでも幸せとプラント人は言うかもしれないが……彼女がザラ派に加わることになったナチュラル蔑視の人種感は、そもそもが彼女の物とは言い難い。

 迫害され苦労してプラントへやってきた両親の、ナチュラルへ対する恨み節を日頃から聞いて育てばこうなるという、まあプラントではありきたりな家庭環境で育った。

 このナチュラルから言わせれば毒親以外の何者でもない両親に育てられた少女は、プラントで成人として認められる歳で両親の強い勧めで、婚姻統制で選ばれた相手と結婚し、イザークを身籠った。

 

 だが、その直後に両親は”メンデル”襲撃事件で死に、ブルーコスモスへの憎悪を募らせる。

 本当に愛していたかを問われると「わからない」と答えるしかないエザリアだったが、それでも両親を殺したのは顔も知らないナチュラルだった。

 

 そして、C.E.63年。機械工学の技術者だった夫がモビルスーツ開発中の事故で他界した。

 仕事であまり家に帰らぬ、エザリアとしても最後までどう接していいか、どう愛してよいかわからぬまま夫は逝った。

 エザリアに遺されたのはイザークだけだった。少なくともこの世界線である時期、イザークに重い愛を向けていたのは、愛すべき対象がイザークしか居なかったからだ。

 そして、一人息子のイザークがアカデミーに入ると、ぽっかりと心に穴が開いてしまった。

 そこに声をかけてきたのがザラ派だった。

 彼女の両親がナチュラルに殺されているので、資格アリと判断されたらしい。

 エザリアにも、自分がザフトと教育界隈に強い影響力があるザラ派に入れば息子の栄達に役立つという打算もあった。

 

 そして、付け加えておかねばならない。

 少なくとも”血のバレンタイン”以後のパトリック・ザラにエザリアが心酔したことは、一度もないと。

 

「いいのか、そんなことを言って? ”俺”はナチュラルだと言う事は、もう話しただろうに」

 

 瓢箪から駒、噓から出た実。ラウ・ル・クルーゼとエザリアは、本当に”男と女の関係”になっていた。

 クルーゼが二人きりの時、ベッドルームとはいえ素顔を晒していることが、どれほどエザリアに心赦しているかを物語る。

 

「そんなこと、関係なかったのよ。関係なかったの。エルスマンに言われるまで、本当に私は何も見えてなかったの……」

 

 第81話で語られたタッド・エルスマンとの会合は、どうやら彼女にはプラスに働いたようだ。

 「無知の知」という言葉があるが、自分が何も知らないという事を知ることは、何かを知ることの始まりだ。エザリアは無知のままで居ることよりも、知ることを選んだ。これはそういう話だ。

 

「お前がそれでいいなら、いいさ」

 

「ラウ、好きよ……」

 

「こんないい女を遺して先に逝くとは、前の夫も運がない」

 

 そうクルーゼはエザリアを抱きしめそっと銀髪を撫でる。

 クルーゼは知らない。エザリアは、婚姻統の果てにある子を為すための義務のような性交渉しか知らなかったことを。

 こうして心地よさそうに目を細めることなど、前夫の間ではなかったことを。

 もしかしたら、エザリアはようやく女としての生と性を満喫しているのかもしれない。

 

「ラウ、本当にヤキン・ドゥーエに行くの……?」

 

「俺にしか扱えない機体があるって話だしな。心配か?」

 

 

【挿絵表示】

「!? 当たり前じゃないっ! だって、ヤキン・ドゥーエよ!? 私、もうオーブ軍の強さは疑ってないわ。”ジェネシス”があろうがなかろうが、きっと私達は負ける……」

 

「だろうな」

 

 だからこそ、クルーゼは「オーブ軍とは」まともに戦わない腹積もりであるが、それは口にしていいことではない。

 

「やりようはあるさ。それより、エザリアはどうするんだ?」

 

「残って、最後の決着をつけるわ」

 

 彼女は覚悟を決まった目で告げた。

 

「この騒ぎ、もう収めようがないわ。きっとカナーバも裏で動いてると思う。彼女は優秀だもの、機を逃さないわ」

 

「そうだろうな。おそらく、既に動いているだろうさ」

 

 無論、クルーゼとて計画の青写真を全て知っている訳では無いが……そう思えるだけの確証はあった。

 

「この先、暴動は沈静化することなく拡大の一途。おそらく、クーデターまで発展するわね。パトリック・ザラは取り巻きと動かせるザフトの全軍を連れて、ヤキン・ドゥーエに引きこもることにならざるをえなくなる」

 

 そこまで断言するエザリアに、

 

「それでも、残るのか?」

 

 クルーゼの言葉にエザリアは苦笑し、

 

「これでもザラ派のNo2らしいから。それに国内治安担当だもの。誰かが残って尻拭いしなければならないのなら、それは私の役目よ」

 

「……本当にいい女だな。お前は」

 

 抱きしめる力を少しだけ上げる。

 

「ねぇ、ラウ……」

 

「ん?」

 

 

【挿絵表示】

「死なないで」

 

「そんなしおらしいこと言うのは、この口かぁ」

 

「きゃん♡」

 

 クルーゼは強く、だが優しく抱きしめ……

 

「まったくエザリアは悪い娘だ。そうやって、体を重ねるたびに俺に生きる意味を与えてしまう。生きていたいと願わせてしまう」

 

「私がもし、ラウの生きる理由になれたのなら、それはとっても嬉しいわ♡」

 

「そんな悪い娘には、お仕置きの時間だな」

 

「うん♪ いつもみたいにいっぱいラウの事、体に躾て刻み込んで♡」

 

 

 

 外が大騒ぎなのに不道徳?

 大いに結構だ。

 もはや、ただの男と女に戻ったベッドの上の二人には、プラントなどその程度の価値しかない。

 

 きっとそれは、”戦争の仇花”と呼ばれてしまう恋。

 その女は、生まれて初めて本当の意味で恋をした。

 その男は、生まれて初めて誰かを愛した。

 

 だが、女は滅び行く組織のNo2であり、男は死地にて”終焉”を見届けることを望んだ。

 

 本来なら、歴史の狭間に消えてゆくはずだった、刹那的に愛し合う二人……だが、この残酷な世界。救う者など滅多にいないが、存外に”掬う者”ならば居るものだ。

 

 今は祈ろう。ラウ・ル・クルーゼとエザリア・ジュールが、掬い手に取りこぼされないことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、クルーゼ隊長とエザリアママの(肉体)関係がガチになってた件について(挨拶

記念にエザリアママの艶姿AIイラスト三連発!
いや、無印に出てきた時は「なんじゃこの女?」と思ったものですが、なんか登場するたびに憎めないキャラになったというキャラなんですよ。この銀髪ママ。

なんでこの世界線では原作の「息子の嫁に口出したがる有閑マダム的な後日譚」ではなく、しっかり大人の女として恋愛してもらおうかと。

刹那的な恋愛っぽいですが、何だか2人が重なると途端に”極太の生存フラグ”が立ったように見える件についてw
いや、折られようとするとフェイズシフトするんじゃね? このカップル生存フラグ。
エザリアさん、クルーゼに生きる意欲と意味を肢体(からだ)で分からせちゃったから、仮面外してリラックスしだす始末だしw

とはいえ、憲兵隊の阿呆が「非武装の市民デモ隊に発砲」なんて三流独裁国家あるあるやり始めたもんだから、まあプラントは大変なことに。
二人の甘いひと時は、所詮、このご時世じゃ”泡沫の夢”って時間だったみたいです。

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※追記:特に深い意味は無いですが、プラントの成人年齢は15歳らしいですね?
つまり、エザリアがイザークを生んだのは……
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