【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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さて、いよいよこのヤキン・ドゥーエ&ジェネシス攻略準備章のラストエピソード。
作戦名と概要が明らかになり、「ある男の原作との大きな差異と乖離」が語られます。




第146話 ”オペレーション・ソロモンピラー・ブレイク”と「ピースメイカー」ではなく「ピースキーパー」である理由 【挿絵入り】

 

 

 

 さて、L1宙域の”ターミナル”の工廠兼拠点”ファクトリー”のブリーフィングルームにおいて盛大にカガリの『わからせ』が発動した。

 そして、その姿になんだかご満悦のラクス姫。

 

(わたくし自身、他者を傅かせる事も傅かれる事も興味はありませんけど……)

 

 

【挿絵表示】

「こう、主人(カガリ)が王の器量と風格を発露させ、他者の膝を折らせる姿を見るのは、妻としては中々どうしてクるものがありますわ♡」

 

 なんか唐突にSっぽいことを言い出すラクス。いや、言葉自体に噓はないが。

 実際、ラクスは他人を屈伏させる事も屈伏される事に興味はない。彼女は女王や王になりたいわけじゃないからだ。

 むしろ、王に仕えたい。妻となり主人を支え、歌姫として王を癒したい……というのがラクスの欲求らしい。

 千夜一夜物語に例えるなら、「腹は黒いが気質は善良、カルマ値は中立なシャフリヤール王と、悪役令嬢ではなく悪女としての気質と才覚に溢れ、でも夫の為に全知全能と歌唱力と奸智(感知)に使うシェヘラザード」だろうか?

 ごめん。物語が変わってしまった。

 なんかアレキサンダー大王に憧れたシャフリヤール王とそれを支える王妃シェヘラザードによる東方遠征録が始まりそうだ。

 そして、現実には東方どころか宇宙にまで戦場は広がっている。

 

「とまあパトリック・ザラとその一派、並びにジェネシスに関する共通見解ができたようで何よりだ。これで具体的な作戦の話ができる」

 

 カガリは一度座りなおしてから、

 

「今回の作戦、正式名称”オペレーション・ソロモンピラー・ブレイク”は、作戦名の通り本質的にはヤキン・ドゥーエ攻略を主軸に”立案される予定”になっている」

 

 ご存知かもしれないが、ヤキン・ドゥーエの”ヤキン”はソロモン王の立てた神殿にある一対の円柱の右側の柱(左の柱が”ボアズ”)の事で、ドゥーエはイタリア語の”2”。つまり”二代目ソロモン神殿の右柱”という事になる。

 だからこそ「ソロモンピラー・ブレイク」なんて露骨な名前がつけられたのだろう。

 ついでに、アラスカで肩透かしを食らった”オペレーション・()()()()()()()()”への当てつけや意趣返しもネーミングに入ってるのかもしれない。

 

「立案者は”大西洋連邦作戦部”、きっかけは『ジェネシスの発砲により危機感を覚えた大西洋連邦により、ジェネシスをヤキン・ドゥーエごと破壊するため急遽立案』されたことになる手筈だ」

 

 立ち上がり画面を操作しながら説明するカガリの口調は台本の試し読みのように淡々とした物で、

 

「”オペレーション・ソロモンピラー・ブレイク”の主戦力となるのは、ハルバートン提督の第8艦隊を軸に再編された特別作戦任務群。その艦隊をボアズより出撃するマネキン提督率いる臨時編成連合艦隊が側面支援する形になる。基本は力押し……に見せかける」

 

 カガリはニヤリと笑い、

 

 

【挿絵表示】

「だが、ハルバートン提督艦隊の本当の目的はヤキン・ドゥーエとジェネシスからの防衛戦力の誘引。要するに戦闘艦やモビルスーツを剝ぎ取ることだ。だからこそ、最低でも1射、可能なら2射、ジェネシスを撃たせる必要が出てくる」

 

 カガリは腕を組み、

 

「理由は1射目は大西洋連邦出撃の大義名分を得ることはもちろんだが、1射目で威力が明らかとなれば、いくらパトリック・ザラでも射線上に友軍が居れば早々撃てなくなる。敵ごと味方を背中から撃つようなのの為に戦える者は、例え復讐に狂った者でも少数派だし、仮に居たとしても士気は確実に下がる。それでは防衛はままならない、確かにジェネシスは威力もさることながら、手元の資料通りに全体がフェイズシフト素材でできていて膨大な核爆発に耐えられるほど頑丈だが、同時に戦時急造兵器らしい欠陥も抱えている」

 

 カガリは次の資料を閲覧するように促し、

 

「ジェネシスってのはガンマ線レーザーの化物だが、その威力・出力故に核爆発で発生したガンマ線を一度では集束しきれない。パラボラ型の本体部二次反射ミラーの前に、円錐鉄塔型の一次反射ミラーを設置し、そこにガンマ線を予備集束させ、それを更に二次反射ミラーで追加集束して本射へ移るんだが……その構造上、必ず一次反射ミラーは自ら照射するガンマ線レーザーに飲み込まれて融解するのさ」

 

 その模式図を立体投影スクリーンに出しながら、

 

「要するに、”発射の度に砲身を交換しなきゃならない大砲”ってことだ。そして、2発目を撃たせることで交換に必要な所要時間が判明する」

 

「それに欺瞞をかけられる可能性は?」

 

 バルトフェルドの質問に、

 

「ほぼないな。シミュレーションでは最短でも数時間はかかると出てる。そして、ユーラシア連邦のドクトリンから逆算すると、攻略艦隊がガンマ線レーザーで壊滅したら、可能な限り短時間でプトレマイオス基地に待機させている制圧艦隊を出撃させて、『撃った兵器がなんであるかを確認する前になりふり構わず破壊しようとする』だろう。彼らの発想は昔から『ぶっ壊してから残骸を回収して検証すれば事足りる』だ」

 

 使われる前ならば、無傷でそれを入手しようとするだろうが、自分たちに砲口が向けられているのなら、「なんであれ」なりふり構わず破壊しようとする……まあ、いつものユーラシア連邦だ。

 東アジア共和国も、それに関しては反対しないだろう。

 

「当然、制圧艦隊にもニュートロンジャマー・キャンセラー付きの核兵器が搭載されていると考える筈だ。ついでにプトレマイオス基地に予備弾頭か? 実際、そうだろうしな。そして、いかにジェネシスだろうと核ミサイルをつるべ撃ちされたらどこまで持つかわからん。いや、例え本体に十分な損傷が与えられなくとも、一次反射ミラーが折れ曲がるだけでも発砲できなくなる脆さがあるのさ。ジェネシスにはな」

 

「だとすれば、パトリック・ザラは核がジェネシスを射程距離に収める前に叩かなければならない?」

 

 カガリは頷き、

 

「ジェネシスの一次反射ミラー交換とプトレマイオス基地よりの艦隊出撃、我々の計算ミスがなければどっちもシビアなタイムレースになるだろうさ。これで大体、予想はついたろ?」

 

 カガリはブリーフィング参加一同見回しながら、

 

「ハルバートン提督の任務群は、第1射と同時に出港し、ジェネシスとプトレマイオス基地の射線上に入らぬよう留意しながら、ザフトの警戒網を迂回しつつヤキン・ドゥーエに接近。第2射後、第3射の前にボアズのオーブ艦隊と連携して、『一次反射ミラーの交換を妨害するように進軍・攻撃する』。ザフト、いやパトリック・ザラは成功体験から『撃てれば勝てる』と確信してるだろうから、全力で迎撃するしかない……逆にそこまで混淆した戦場になれば、我々別動隊に出番が回ってくるという訳だ」

 

 

 

「我々の作戦はいたってシンプルさ。ザフトの警戒網の薄い所から広域ジャミングをかけつつジェネシスに接近し、頃合いを見計らって一気呵成に攻める」

 

 そして、そのためにソレスタルビーイングの正規ガンダム・マイスターは別任務に就いてるが、ジャミングのオーソリティたるネーナ・トリニティと兄二人の”チーム・トリニティ”がアークエンジェルに同行していたのだ。

 

「相手はコロニーサイズのフェイズシフト装甲の化物、それを3隻の戦艦と保有戦力だけで何とかしようと……?」

 

 バルトフェルドが無謀と思うのは無理もなかった。

 彼はオーブ人ではないのだから。

 

「できるさ。それだけの準備はして来たんでな」

 

 

 

 さて、愛すべき読者の皆様に、少しだけヒントを。

 実は原作でのエターナルとクサナギの有効射程ギリギリからのローエングリンの砲撃で、ジェネシスのオペレーターがこんな報告をパトリック・ザラにしている。

 

 『ジェネシス外装70、相転移変動率98%』

 

 つまり、耐えはしたが割とギリギリだった臭いのだ。

 そこで転じて、現状の別動隊戦力を見てみよう。

 

 ・カガリの”プロト・アルヴァトーレ”は、「大使砲モード」が使えるため、主砲のフレキシブル・GNビームキャノンに関しては原作アルヴァトーレを確実に上回る。

 

 ・キラのジャスティス・ソーディアンとラクスのフリーダム・ルージュ+スーパーNミーティアの組み合わせは、原作C.E.73のストライク・フリーダム、インフィニット・ジャスティス+ミーティアの延伸ビームソードと同等かそれ以上の刃渡りと威力のビームソードを発生できる。

 

 ・アークエンジェルのローエングリンは、貫通/広角射撃切り替えが可能であり、また陽電子サブチェンバーの搭載で連続陽電子砲撃が可能。

 

 これに門数は4門から2門に半減しても最新鋭ローエングリンを装備した”アカギ”も加わる。他にも支援する火力の”アテ”はある。

 しかも……

 

 ジェネシスに対する直接的な攻撃力にはならないかもしれないが、これ以外にもスローネ・トゥルブレンツ・シリーズを駆るチーム・トリニティ、ニコルとアスランの核動力機、疑似太陽炉(GN-T)を搭載したヒリングの1ガンダムに、アカギを母艦とするGN-Xチームの8機が加わるのだ。

 この世界線の住人には知る由もないが、原作のヤキン・ドゥーエ攻略戦に比べれば、この三隻同盟+1だけでも遥かに凶悪な戦力だった。

 

「それに全部を私達で壊す必要はない。ぶっちゃけ、本体の二次反射ミラー(デカいパラボラ)を破壊して、ガンマ線レーザーを撃てないようにさえできれば十分なのさ」

 

 カガリは小さく笑い、

 

「何もかも吹き飛ばす宇宙土建屋稼業は、大西洋連邦が引き受けてくれるそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カガリの説明によれば、()()()()()()()隊”なる部隊をアズラエルは事前に用意し、ハルバートン提督の特別任務群の最後方に配置するらしい。

 まず、原作ガンダムSEEDに登場する”ピースメーカー隊”ではない事に留意して欲しい。

 言葉遊びのように聞こえるかもしれないが、「平和を創出する者(ピースメイカー)」ではなく「平和を維持する者(ピースキーパー)」と名付けたのは、原作とこの世界線におけるムルタ・アズラエルという人物の深層心理の差異が如実に現れているのだ。

 

 原作において”ピースメーカー”と付けられたのは、「パトリック・ザラやザフトだけでなくプラントのコーディネーターを()()()()()()()()()()()平和は作れない」という思考が読み取れる。

 対してこの世界線は、「パトリック・ザラとその一派、そして最悪の破壊兵器ガンマ線レーザーをまとめて討ってしまえば平和は維持できる(=平和に戻る)」と考えていることが窺え痴れる。

 

 もっと言ってしまえば、原作アズラエルが「コーディネーターがいる限りこの世は平和ではない」と考えているとしたら、この世界線のアズラエルは「パトリック・ザラとその一派が出てくるまでは世界は”それなりに平和”だった」と考えているのだろう。

 「今が平和じゃないから平和にするために敵を討つ」と「元凶を討って元の平和な世界に戻して維持する」では、似て非なるどころか天と地ほど意味が変わってしまうのだ。

 

 そして皆さんもピンと来てるかもしれないが、「このアズラエルの在り方の差異」こそが、カガリの差異と同等に”この戦争”の推移に影響を与えていた。

 本質的には……アズラエルは、溺愛する妻と三人の娘たちとの生活が守れればそれでよい、どんなに腹黒い事を画策しようと根っこの部分では呆れるほどに”小市民の男”だったのだ。

 実際、彼が生まれる前からコーディネーターは居たし、その中で家族仲良く暮らしてこれたのだ。

 だが、そんな小市民の”漢”だからこそ、家族と生きるために平和を維持する事に意欲を燃やし、熱意を傾ける。

 何せ世界がある程度平穏でないと、家族が安心して暮らせないのだから。

 

「選抜パイロットによる24機の”GAT-333A 先行量産型レイダー”に宇宙戦用パッケージを装着し、新型核ミサイル”Mk7高機動熱核反応弾”を副翼型ユニットを介して1機辺り6発携行させる……それが”ピースキーパー隊”の陣容だそうだ」

 

 熱核反応弾というネーミング、どこかで聞いたことある気がするが……

 GAT-333A先行量産型レイダーは、ほぼ”レイダー制式仕様”と考えて良い。ただ、オーブとの技術提携でパワーエクステンダー系の電力ユニットが使え電力量に余力があるので”アフラマズダ”を装備した「後期型」仕様を先取りしていること、そして宇宙戦用のパッケージが用意されている事が違いと言えた。

 加えてMk7高機動熱核反応弾。重量350kg/核出力約500ktのW105ニュートロンジャマー・キャンセラー付テラー・ウラム型多重(3F)熱核弾頭を採用し、それを搭載するMk7高機動熱核反応弾の本体は重量は1tを超える程度でMk5核弾頭ミサイルより遥かに小型だ。

 大気圏内なら弾頭威力は戦略級だが、熱や衝撃波の伝播触媒のない宇宙での核爆発はそのほとんどがプラズマ火球と電磁波になってしまうため、Mk7は「宇宙空間での戦術仕様」に特化された設計で、射程は長くは無いが高機動熱核反応弾の名に恥じず高速で運動性が高いミサイルだった。

 

「私達別動隊がジェネシスのガンマ線レーザーとしての機能を殺す”ジェネシス・キラー”なら、ピースキーパー隊は機能不全を起こした宇宙巨大原子レンジを再利用不可能なスクラップに変える”ジェネシス・ブレイカー”ってところだ。そして私達の任務には、ジェネシスを撃たないようにした後、このピースキーパー隊の突入支援も入っている」

 

 カガリは小さな微笑みと共に、

 

「パイロット諸君は喜べ。ピースキーパー隊突入支援の大義名分で、存分に対モビルスーツ戦で腕を振るえるぞ?」

 

 微かなパイロット組からの笑い声。

 カガリは小さく咳払いをして、

 

「まあ、以上が”ジェネシス攻略”の道筋と我々別動隊の”オペレーション・ソロモンピラー・ブレイク”における主な役割って訳さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




平たく言ってしまうと「プラントの人造宇宙人(コーディネーター)皆殺しにしないと平和が来ないんだよ!」な原作アズラエルに対し、この世界線のアズラエルは「とりあえず世の中乱してる連中を始末すれば、平和は維持できるでしょう」って考えてるって感じです。

どっかの大佐(軍法会議の末に銃殺刑済み)が口火を切ったとはいえ、それまでは彼の認知できる世界は概ね平穏でしたし。愛する妻と三人も子作りできたし、その三人の娘は健やかに成長してますし。

それにアズラエルは、プロの経営者であり、組織の長であり、資本家であり資産家であり投資家であり政治家なので、「戦争の落としどころ」ってのを考えなくちゃいけない立場なので。

そんな訳で”オペレーション・ソロモンピラー・ブレイク”は、「ジェネシスの発射」をキーに「そんな物騒な物があるとは知らなかったよ! 大急ぎで作戦立案しなきゃ!!」という体で発動予定ですw
いや~、政治狸共の名演に期待。



長々と続けてきた物語ですが、残すところあと2章。ようやくゴールが見えてきました。
次章で決戦、その次がエピローグになる予定で、のんきな戦後の話でもエピソード集的な感じでまとめてみようかな~と。

評価下がって何度も落ち込んだり、色々あって更新止まったり、もうこのシリーズがランキングに載ることはないだろうな~と切なくなったりしましたが、皆様の応援で何とかここまでやって来れました。

大団円になるかは微妙なラインですが、まあ何とか域覆い任せで走り抜けてしまおうと思ってます。

クライマックス・ステージになる次章、どうかよろしくお願いいたします。

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