【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

150 / 200
今回はヤキン・ドゥーエ視点からです。
記念すべき150話なのに内容が……







第150話 壊れている男とその狂信者、そしてその巻き添え 【挿絵入り】

 

 

 

 二度の”ジェネシス”の発射、ザフトに言わせれば「二度の歴史的大勝」により、ヤキン・ドゥーエのザフト将兵は、ザラ派を中心に「やはり、ザラ閣下は正しかったっ! 我らの正道その物っ!!」と大いに盛り上がっていた。

 まあ、彼らが浮かれるのも無理はない。圧倒的な力という物に人は容易く飲み込まれ、狂乱する者だ。

 例えば、核兵器を世界で最初に実戦使用した某国は、どんなに言い繕おうと「手に入れた人類史上初の力を、とにかく使ってみたかった」という本音を隠しきれていない。それと同じ事だ。

 

 ユーラシア連邦と東アジア共和国の保有する宇宙戦力の八割がたを、地球連合の一大拠点でプトレマイオス基地ごと屠る事に成功したのだ。

 まるで1945年8月15日に大日本帝国海軍の被害状況のようなダメージを回復させるのは生半可な事では不可能であり、国民が餓死するような軍事費を傾けても、今後数年はかかるだろう。

 むしろ、船より人的被害の方が重くのしかかる気がする。

 

 余談ながら、これより難を逃れたモビルスーツ・パイロットを一人紹介したい。

 その名は”モーガン・シュバリエ”。原作で「月下の狂犬」とうたわれた彼だが、本来は原作と同じくユーラシア連邦所属のモビルスーツ・パイロットだった。だが、地中海やヴィクトリア宇宙港奪還戦で紆余曲折(一説によれば大西洋連邦とユーラシア連邦のモビルスーツの性能差や戦術差に心惹かれて)があり、引き抜きを受けて今は大西洋連邦に移籍したようだ。

 愛機は、ガンバレル・ストライカーを装着した特別仕様のストライク・ティエレンタオツーであり、ハルバートン提督が抱える期待のエースの一人となっていた。

 

 一部のザフトの基準から考えれば良識派に入るドン引きしていた面々もいたが、そのような浮ついた空気も敵第2波艦隊の残敵掃討にあたっていたレイ・ユウキからの

 

『敵、大規模な艦隊見ゆ。おそらく100隻規模。艦隊中心にアークエンジェル級と思わしきものを確認。陣容から察するに、大西洋連邦正規艦隊と思われる』

 

 この報告で再び引き締まる。

 通信位置から考えて、一次反射ミラー交換が終わる前に殺到してくるのは明白で、またレイ・ユウキの艦隊とも音信不通になっていた。

 だが、

 

「ふん。臆病者どもがようやく巣穴からお出ましか。確かにユーラシア連邦や東アジア共和国の艦隊と一緒に葬れなかったのは残念ではあるが」

 

 演技ではなく本気の余裕綽々という笑みをパトリック・ザラは浮かべながら、

 

「諸君! いよいよもって我らコーディネーターの絶対的な優良性をナチュラル共に思い知らせる機会が到来したのだっ!! 何のことはない! 一次反射ミラーの交換まで”たかが100隻の艦隊”を抑え込めれば、我らの勝利は揺るがない物となるのだっ!! 我々は、これまでの戦いで何隻の敵艦を沈めた!? 我らの叡智の結晶たるジェネシスのただの2回の砲撃で何隻屠ったっ!? それに比べれば、どうということはない数にすぎんっ!!」

 

 そして満面の笑みを浮かべ、

 

「そして、一次反射ミラー交換の暁には、次の標的を”地球”とするっ!! 我々はついに()()()()()!!

 

 ヤキン・ドゥーエのそこかしこから()()()()()()()

 そう、つまり歓声を上げた者達は、「地球の滅亡に賛同した」のだ。

 これが即ち、地球人類、いや地球上全ての生物の敵対種……その名も”ザラ派”であった。

 

 そして、その模様は……この”狂気の宴”は何者かによりヤキン・ドゥーエ各所に仕掛けられた高解像カメラで克明に記録され、歓声を上げた者達の顔にモザイクが入ることなく、改竄さえも許されず「個人を特定できる形」で、地球/プラントを問わず何度も流されることになる。

 そう、

 

 ”パトリック・ザラの地球上全生物殲滅宣言とその賛同者たち”

 

 と銘打たれ、一切の噓が無い「地球に100%の出力でガンマ線レーザーが撃たれた場合の予想被害シミュレーションや予想画像」と共に延々と……

 後にギルバート・デュランダルやアウラ・マハ・ハイバルが、「パトリック・ザラに比べればまだマシ」と呼ばれる所以でもある。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「クルーゼ、お前は直ちに21隻の迎撃艦隊の先陣を切り、出撃。たかが100隻程度の艦隊、見事屠ってみせよ」

 

 さすがはヤキン・ドゥーエに立てこもるザフトの中のツートップ・パイロット、ラウ・ル・クルーゼとミーア・キャンベルは首魁パトリック・ザラ直々の呼び出しを受けていた。

 周囲の狂信的ザラ派(キモい取り巻き)からは羨望と嫉妬の眼差しを感じたが、間違いなく二人そろって愉快な気分であるはずもない。

 

「はっ!」

 

 綺麗な敬礼を返すクルーゼの心境は、いかほどのものか。

 

「キャンベル、お前は別動隊9隻と共にボアズ方面に展開。網を張れ」

 

「ボアズ方面ですか?」

 

 パトリック・ザラ直々の言葉に首を傾げるミーアだったが、

 

「小賢しいオーブの事だ。大西洋連邦に尻尾を振り、この機に乗じて攻め込んでくるだろう。心配はいらん。ボアズに詰めてる艦隊は精々30隻程度、我々の解析でそのうちモビルスーツの運用能力があるのは多くて4隻、モビルスーツ総数も最大で40機程度の小勢にすぎんよ」

 

 地球を滅ぼせばその後のプラントはどうなるかという具体的な考えは無くとも、一応これくらいは読める思考力は残っていたらしい。あまり救いにはならないが。

 

「でも、”あの”オーブ軍ですよね?」

 

 『ザフトが一度も勝ててない』と口に出さなかったミーアの胆力と判断力は褒められてよいものだろう。

 

「全て沈めろとは言わん。ミラー交換まで抑えこめれば良いだけだ」

 

 後の歴史家が判断に困るのは、まさにここだ。

 大西洋連邦はともかく、「第一次ヘリオポリス防衛戦以降、惨敗続き」のオーブに対して、明らかに戦力評価が間違っているのだ。

 実際、後年の研究結果により、ハルバートン任務群とマネキン連合艦隊の総合戦力値は、数差を埋めてほぼ同等という結果が出ている。

 おそらく、パトリック・ザラの判断を誤らせたのは……

 

「それにあの忌々しい”アークエンジェル”は、今回の作戦に参加せんよ。我々の情報部がアークエンジェルがボアズより出港し、未だ戻ってないことは確認済みだ」

 

 そう、これだ。パトリック・ザラにとり、オーブ最大の戦力で、最も警戒すべきは自国で開発した核動力モビルスーツ2機を運用するアークエンジェルだ。

 パトリック・ザラにとり強く印象に残っているのは、勝利しかけたパナマ攻略を台無しにした、あの強襲作戦だろう。

 だが、パトリック・ザラにとり、あの作戦はジャスティスとフリーダム、コーディネーターの正義と自由がいなければ成立しなかった筈……という結論になっていた。つまり、「プラントの科学力を横取りした上での勝利」だと思い込んでいた。

 奇妙なことにパトリック・ザラは、最後の最後まで「(モビルスーツ先進国の)オーブとプラントのモビルスーツ技術は互角」と考えていたようで、ニュートロンジャマー・キャンセラー装備核動力機の開発でオーブのモビルスーツ・テクノロジーを凌駕したと本気で思っていたらしい。

 

 もしかしたらパトリック・ザラは、”小国オーブ”を大西洋連邦の腰巾着と評価し、技術水準そのものを過小評価していたのかもしれない。

 根拠がないわけじゃない。

 地上の名だたる勢力で、プラントより人口の少ない国は僅かで、パトリック・ザラはコーディネーター優越論原理主義者だ。

 「人口が半分で、劣等種たるナチュラルが多数派の国家に、われら優良種たるコーディネーター国家が劣るはずはない。いや、全てにおいて勝っている」と現実を置いてけぼりにした判断をしていても全く不思議はないのだ。

 

 そこで敢えてクルーゼは問う。

 

「オーブの別動隊の存在は?」

 

「残るオーブ艦隊の所在ははっきりしている。イズモ級の残る2隻はアメノミハシラとヘリオポリスに立てこもり、所在の掴めぬ1隻……アマギ級の2番艦だったか?は就役したばかりで戦力にはならんだろう。仮に合流したとしてもどれほどの物だ? 迎撃部隊を除いても、ヤキン・ドゥーエには約300のモビルスーツが残るのだ。いくらアークエンジェル、ジャスティス、フリーダムとはいえ突破できんよ」

 

 知らないというのは実に幸せである。

 実はパトリック・ザラの元にも核動力モビルスーツ運用実験艦である”エターナル”が何者かに強奪されたという報告自体は届いていた。

 だが、別の場所に保管されていた主要装備である”ミーティア”は無事であり、今はこうしてヤキン・ドゥーエに運びこまれ、ラウ・ル・クルーゼとプロヴィデンス、ミーア・キャンベルとドレッドノート・アーティラリーと組み合わされ自らの強力な手札となっている。

 故に「速力と防御力は高いが、核動力モビルスーツとミーティアが無ければ火力はナスカ級以下の実験艦」など気にする必要もなかった。

 むしろ、盗んだ相手も扱いに困っているだろうとさえ思っていた。

 

「良いか? 我らが”創世の光(ジェネシス)”は()()()()()()()!! 次の砲撃を地球に撃ち込みさえすれば、あの星ごとナチュラルは滅び、全てが我々の勝利として終わるのだっ!!」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 そして、二人きりになれる待機部屋(ガンルーム)にて……

 

 

【挿絵表示】

「クルーゼさん、パトリック・ザラって」

 

「壊れているだろうな。間違いなく」

 

 何のためらいもなく返してくるクルーゼに、ミーアは一瞬ギョッとするが、

 

「……やっぱり、そうですよね」

 

 がっくりと肩を落とすミーア。それは質問というより確認だった。

 

「その狂人に率いられ、付き従うのが今のザラ派の正しき姿なんだろうさ。ところでキャンベル、お前は頃合いを見て適当な相手……ではないな。オーブ軍に降伏することを薦めるぞ? 何も若い身空で狂人に付き合って死ぬことはない。”大天使”に導かれて天国の門とやらを潜るには若すぎる」

 

 含蓄深いクルーゼの言い回しの意味を悟ったミーアは、

 

「……その言い回しだと、来るんですね? アークエンジェル」

 

「賢しい娘は嫌いじゃないぞ?」

 

 クルーゼは苦笑しながら、

 

「来ない理由が無いだろう? ジェネシスを破壊しに、躊躇うことなくやって来るだろうさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





という訳で、ある意味絶好調のパトリック・ザラ氏とその取り巻き、そしてそれを冷静に観察していたミーアに愉悦モードのクルーゼさんでした。

多少デフォルメはしてますが、他のキャラに比べれば原作とあんまり差がないはずのパトリック・ザラ……いや、書き起こしてみると改めて酷いな!?と。

実際、行動は原作と同じはずなんですよ。1発目で地球連合の艦隊を吹き飛ばし、2発目でクレーターを艦隊ごと撃ち、3発目で地球を狙うっていうね。

ただ、オーブと大西洋連邦の行動が原作と大きくかけ離れているし、冷笑クルーゼがねぇ。
まあ、いずれにせよアークエンジェルは準備万端に整えてくるでしょうがw
次回はその様子など。

当初は100話程度で終わらせるはずだったこのシリーズ、なんとなんともう終盤とはいえ150話に到達しました。
その150話の内容がこれなんですがw
いや、ある意味”種”の象徴的な場面でもあるからこれはこれで”あり”なのかな?

本当、中断を挟んだり、途中何度も心折れてエタりそうになりましたが、皆様の応援で何とかここまで来れました。
おそらく200話まではかからないと思いますが、どうかこれからも応援よろしくお願いします。








⌚⌚⌚




オマケ オーブってこんな国? りたーんず☆

いや、ちょっと内容的に書いててガチに頭痛がしてきたんで、ちょっと息抜きに



【挿絵表示】
マユ:「やっはろー☆ 全国のお兄ちゃんお姉ちゃん、オーブの文化・風習の語り部、マユだよぉ♡ 今日はオーブの街中からお届けだぁ!」

あっ、今日は大人ジョークとやらは入れないんだ?

マユ:「マユもそこまで持ちネタがあるわけじゃないからね。それで今日、街中に来たのには理由があってね」

ん?

マユ:「いや、オーブの海岸は全裸天国だの魔境だのってご感想あったけど、実はオーブって日本の法律にある”身体露出の罪”ってオーブにはないんだよね。つまり、法律からして別の国ってこと」

へっ?

マユ:「例えば、”ストリーキング”って知ってる?」

えっと、たしか1970年代前半に世界的に流行した素っ裸で走り回るパフォーマンスだっけ?
たしかF-15のレコード用特別仕様機”ストリーク・イーグル”の名前がストリーキング由来だったと思う。

マユ:「わっ、思ったより詳しい」

F-15、好きなんよ。日本もEXとか2040Cとか導入せんかな~。
それはともかくストリーキングがどうした?

マユ:「あれ、オーブだとメンタルヘルス法扱い」

へっ? パフォーマンスですらなく?

マユ:「うん。『裸で走り回りたくなるくらいストレス溜まってんだね』って」

それもスルー案件かい。

マユ:「一応、オーブにも公序良俗や公衆衛生に関する法律なんかで縛りはあるけど、まあ、街中をスッパで歩いたり走ったりするくらいなら、お目こぼしかな?」

……道理で雌犬調教プレイが一般性癖扱いになるわけだわ。

マユ:「露出癖の人達には、オーブって物足りない国かもね~。普通に笑顔でスルーされるし」

言ってるそばから、なんか裸で歩いてる女の子がいるんだが?

マユ:「あっ、ミキだ」

知り合いなんかい!?

マユ:「クラスメートだよ♪」

つづく?

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