【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

155 / 200
さて、そろそろ合流しますかね?






第155話 分進合撃と照射、そして這い寄る恐怖 【挿絵入り】

 

 

 

 そして、舞台は再び大西洋連邦特別任務群旗艦”ドミニオン”のブリッジへ……

 

 

 

「ハルバートン提督、オーブ連合艦隊、マネキン提督より入電ですっ!」

 

 通信オペレーターに頷き、

 

「繋いでくれたまえ」

 

 そして、立体投影スクリーンには思ったよりも鮮明な画像で、

 

 

【挿絵表示】

『お待たせ致しました、ハルバートン提督。オーブ艦隊、計画通り迂回によりザフト艦隊に配置、展開完了。これより半包囲にて挟撃いたします』

 

「いえいえ、待ってなどいませんよ。思ったよりずっとお早いお着きだ」

 

 ハルバートンは柔和な笑みと共に、

 

「通信越しとはいえ、二度のヘリオポリス防衛戦を成功させ、ボアズすらも陥落せしめた”不敗の女傑”殿とこうして邂逅し、同じ戦場で戦えるとは実に光栄」

 

 するとマネキンは少しくすぐったそうな表情で、

 

「過分な評価、ありがとうございます。こちらこそ”大西洋連邦きっての名将”と名高いハルバートン提督と共に戦えること光栄に思います」

 

 きれいな敬礼を返した。

 ここにオーブと大西洋連邦の誇る名提督二人が同じ戦場に会する事になった。

 無論、多くのネームド・エース達と共に。

 ハルバートン提督が無理な進軍をしなかった為に辛うじて拮抗を保っていたヤキン・ドゥーエ沖の戦場は、マネキン艦隊の登場で大きく天秤が傾き、いよいよ持ってザフト艦隊は窮地に陥るのだった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

【挿絵表示】

「墜ちろっ!」

 

「グラハム・エーカー見参っ!!」

 

 真っ先に戦場へ切り込んできたのは、マネキン艦隊の切り込み役、ご存知ピーリスのジンクス・タオツーとグラハムのGNフラッグ・グラハムカスタム!

 無論、間髪入れずに続くは……

 

「各自、2機分隊(ロッテ)3機分隊(ケッテ)を維持しつつ、敵を機動分断せよっ!」

 

「あの髭オヤジ(ハルバートン)、中将に色目使いやがってぇーーーっ!!」

 

 冷静沈着なスミルノフに率いられたGN-X隊。因みにコーラサワーは平常運転なので、固有スキルの不死身バフはアクティブ状態だろう。

 

「ははっ! コイツぁ、入れ食いだなぁっ!!」

 

 GNファングで貫き、GNバスターソードで切り裂くサーシェスに、

 

「ふん。とりあえず、片っ端から落とさせてもらう!!」

 

 と実は微妙に昂ってるカナード。

 

「うわっ、本当にうじゃうじゃいるわね~」

 

「教官の言う通り選り取り見取りだね、こりゃ」

 

「でも、嬉しくはないかな?」

 

 とこっちも平常運転の、先の戦いを超えて一回り精神的にタフになったかもしれないアストレイ三人娘。

 

 それはまさに(ザフトにとっての)地獄絵図であった。

 ザフト艦隊がマネキン艦隊の発見に遅れ、むざむざ接近を許してしまったのは、ニュートロンジャマーの影響というより、周辺警戒の索敵隊を出す余裕が失われていたのと、戦闘宙域に入る前に展開していたスローネフィーアやGN-X隊が撒き散らしたGN粒子の電波攪乱効果の方が大きいように思える。

 どうやらマネキンもまた、体感的に疑似太陽炉モビルスーツの使い方を覚えてきたようだ。

 

 完全に虚を突いた形となったモビルスーツ隊の強襲と、臆することなく砲撃ポジションにつく3隻の重装戦艦の陽電子砲の艦砲射撃に、ザフト艦隊の陣形は大いに乱された。

 

 それを指をくわえて見てるほど、オーブのパイロットも大西洋連邦のパイロットも、そして船乗りたちも甘くはない。

 ザフトのモビルスーツ濃度が薄まった間隙を突いて、宇宙水雷戦隊とも呼ぶべき大西洋連邦の艦艇と対艦ミサイルを装備したメビウス隊がザフト艦(モビルスーツではなく的の大きな船を狙うのがミソ)に突撃し攪乱すると、いよいよ距離を詰めた両陣営艦隊による陽電子砲だけでなくゴットフリートなど陽電子砲以外の大威力艦砲による艦砲射撃が始まる。

 

 サンドバッグ……ザフト艦隊は、まさにそう呼ぶに相応しい状態にまで落とし込まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、苦戦するザフト艦隊に、ヤキン・ドゥーエ直掩のモビルスーツを増援を差し向けようかパトリック・ザラが判断しようとした時の事だった。

 

「あれ?」

 

 その時、オペレーターの1人が”ジェネシス”より異常を知らせるアラートが出ていることに気づいた。

 

「噓、なんで、えっ?」

 

「どうした?」

 

 オペレーターの上官が声を掛けると、

 

「えと、”ジェネシス”に異常発熱を確認! フェイズシフト装甲の消費電力が徐々に上昇しています! 直ぐにフェイズシフト・ダウンすることはないと思いますが、このまま上昇を続けると、いずれオーバーフローを起こしますっ!」

 

「何が起きているっ!?」

 

 その報告に真っ先に反応したのは、こともあろうにパトリック・ザラ本人だった。

 パトリック・ザラは「ジェネシスさえあれば勝てる」という意思が強すぎ、人知れず過敏になっていたのだ。

 同時に、その瞬間に増援の可否が頭から抜け落ちていた。

 コーディネーターだって消耗も疲弊もするし、疲労もたまる。そうであるが故のミスだった。

 歴史にIFはないというのは使い古された言葉だが、もしこの時にパトリック・ザラがモビルスーツの100機でも増援隊を送り出していたら、もう少し艦隊が壊滅するまでの時間は稼げたのかもしれない。

 結果は変わらないかもしれないが、もう少し勝負になっていたのかもしれない。

 だが、現実は常に残酷だ。

 

「不明ですっ!」

 

「直ちに調べろっ!!」

 

 パトリック・ザラは、ここに来て初めて焦っていた。

 ジェネシスが使え無くなれば、本懐が遂げられないからだ。

 すでにこの戦いの勝敗など些事と切り捨てられていた。無論、今壊滅の危機にある艦隊もだ。

 彼にとって重要なのは、「地球にジェネシスを撃てるかどうか」だけだった。

 

 

 

 そしてパトリック・ザラにとり永遠に等しい数分後……

 

「こ、これは……ジェネシスは外部からの高エネルギー照射を受けている模様です!」

 

「どこからだっ!?」

 

「解析きます! 方向はボアズ近辺からです! このエネルギー波形は……まさかっ!?」

 

「報告は正確に素早くしろっ!!」

 

 パトリック・ザラの怒号に身をすくませながら技官の男は、

 

「照射元、特定しました! ボアズに設置されたオーブの送電衛星からの標準送電波長の近赤外線領域の太陽光励起レーザー照射ですっ!!」

 

 そう、第136話の後半でクジョウがチラッと仄めかしていた”アレ”だ。

 太陽光励起レーザーとは現実世界でも研究されている技術で、太陽電池などを介さず直接的に太陽光をレーザーに変換し、それを効率の良い近赤外線領域のレーザーにして送電しようというシステムである。

 計画では一定の変換効率を達成できれば宇宙に直径数十m規模の集光ミラー、そして地上に直径数十m規模の太陽電池を配備することで、MW級の出力が得られるとする試算もある。

 そして思い出して欲しいのは、「ボアズを”ソロモン焼き”できるほど持ち込まれたシートロール・ミラー」だ。

 そして、C.E.は効率80%以上で太陽光を電力に変えられる技術がある世界。そして、太陽光発電のプロフェッショナル集団であるソレスタルビーイングの仕事に卒は無く、レーザー送電衛星の出力は、街どころか小国一つ丸々の電力を余裕で補える出力があった。

 ぶっちゃけ、現状で世界最大規模の原子力発電所より出力は上なのだ。

 

「なぜ、たかが送電用レーザーでジェネシスがフェイズシフト・ダウンを起こすような事態になるっ!?」

 

 どうやらパトリック・ザラはガンマ線レーザーには詳しくても、近赤外線レーザーには詳しくないらしい。

 

「ジェネシスにレシーバー機能がないからです。近赤外線は性質上、物体に最も吸収されやすく赤外線自体が伝熱効率が優れているので……」

 

 ちなみに不可視領域のレーザーなので肉眼で観察することはできず、またジェネシスのように星間ガスを帯電加熱発光させるほどの出力ではないために発見が遅れたのだ。

 だが、ガンマ線だろうが近赤外線だろうが波長の違いだけで電磁波であることは変わりなく、エネルギーはエネルギーだ。

 ついでに言えば、フェイズシフト装甲は質量弾には高い効果を発揮しても、ビーム兵器にはさほどでもない(でも通常装甲より耐ビーム性はある)理由の一つは、熱変動による脆弱性があげられている。

 そして、受電機能のないジェネシスに照射されるのは、熱線とも呼ばれる赤外線レーザー。当然、極小時間で超高出力を発生する瞬間最大出力が命のガンマ線レーザー砲台に、「長時間、小国一つの電力を賄える高出力近赤外線でじんわり全体を熱せられる」ことなど想定されてない。

 内部での高温高圧の核爆発に耐えられるとしても、外部からジェネシス全体を熱せられる事など想定して設計などできる訳もない。

 おまけにジェネシスは基本的に砲撃方向を変えられるだけで動かせないし、ヤキン・ドゥーエから今以上に離せば、要塞からの遠隔操作ができなくなる。

 

「くっ、かくなる上は射線上に船、いやモビルスーツを配置して煙幕を張らせれば……」

 

 どうやら、パトリック・ザラも全く頭が回らないわけでは無いらしい。確かに波長から考えれば雲でも霧でも近赤外線波長の電磁波は拡散吸収される。

 ただし、出力とレーザー光の太さから考えると、その程度では焼け石に水だということを除けば。

 繰り返すが、「ジェネシス全体を過熱させ、やがてはフェイズシフト・ダウンさせるほどの太さと出力の近赤外線レーザーの長時間照射」なのだ。

 

 だが、パトリック・ザラは気がつかない。

 ヤキン・ドゥーエの電磁的探知手段が、ある方向に関しては全く機能していないことを。

 そして”本当の災厄”は、まだその尻尾すら掴ませてないという事を……

 だから、

 

「こ、これはっ!?」

 

「今度はなんだっ!?」

 

「赤外線センサーに感ありっ!! こ、この熱量は……戦艦級!? 戦艦級複数が高速でジェネシスに接近してますっ!!」

 

「索敵は何をやっていたっ!!」

 

 ほーら。足音を気づかせず、這い寄る恐怖(アークエンジェル)がすぐそこまでやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で伏線回収エピソード。

第136話(https://syosetu.org/novel/335614/136.html)の後半で、クジョウさんが仄めかしていたレーザー送電衛星の有効利用回ですw
そりゃあ、受電機能のないジェネシスが、小国丸々賄えるエネルギーゲインの近赤外線レーザーなんか照射され続けたら、じんわり全体が熱せられるような~と。
レーザー送電衛星は、わずかな時間に膨大な量を撃ち出すガンマ線レーザーとは真逆に、長時間安定的に照射し続ける物ですから、「ガンマ線レーザー発射後の排熱設備」じゃ普通は対応できないですよね。
いや、そもそもレーザーでじんわりジェネシス全体を炙られるなんてこと想定していないでしょうし。

ハルバートン任務群とマネキン艦隊、ついに合流!
個人的にはハルバートンに嫉妬するコーラサワーが、書いててなんかツボでしたw
いや~、ソレスタルビーイングのガンダム・マイスターを除く、オーブと大西洋連邦のほぼほぼトップエース・フルメンバーと戦う羽目になったヤキン・ドゥーエのザフト・パイロットの皆さんに明日は来るのか?

ヤキン・ドゥーエの艦隊戦力は、一部の例外を除き大体壊滅。
次回はいよいよ、ジェネシス破壊の”本命”が到着しそうですよ?

最終決戦、どうか応援よろしくお願いします。



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。