【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
そろそろ事後処理と呼べる感じになってきました。
では、そろそろ”宿題”を片づけるとしましょう。
「パトリック・ザラは討たれ、ヤキン・ドゥーエは自爆した。カナーバ議長に報告すべき事が増えたな」
それを遠目から見届けられる位置から確認したレイ・ユウキは呟いた。
「進路このまま。プラントへ」
「ユウキ隊長……友軍の回収は行わないので?」
一見すると、ヤキン・ドゥーエからの脱出者を見殺しにするような指示に副官は小さな不満を覚えるが、
「……脱出できた何割が、我々を友軍だと認識できるんだろうな。それを我々は果たして判別できるのか?」
「隊長……?」
「いったんプラントへ戻り、報告を最優先とする。そののち、カナーバ最高評議長の指示を仰ぎ、命令出次第、ヤキン・ドゥーエ脱出者の救難と回収にあたる。今の我々の上はカナーバ評議長だからな。今できる最善手はそれだ」
「ハッ!」
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確かに”オペレーション・ソロモンピラー・ブレイク”は、ハルバートンの宣言で終わりを告げた。
だが、それは即ちヤキン・ドゥーエを巡るすべてのイベントが終了した事を意味するものでは無い。
『キラ……俺は”父親殺し”になってしまったよ』
四散したナスカ級の残骸を見つめながら、アスランはそう呟いた。
「アスラン……僕は君が”正しい選択をした”なんて無責任な事は言わないよ。だけど、”必要”なことではあったと思う」
『キラ……』
「あのねアスラン……君が討たなくても、この場に居る誰かが、僕を含めた誰かがパトリック・ザラを必ず討ってた。それは間違いないよ。正直に言えばアスランじゃなくても、パトリック・ザラを討伐出来れば作戦は完遂できたんだから」
キラの言葉に間違いない。キラにピーリス、グラハム小隊。
それも全員がザフトの水準を遥かに凌駕する、時代の水準を超えた高性能モビルスーツに座乗している。
例えアスランが親子の情に流され躊躇ったとしても、誰かが”ヴェサリウス”を沈めただろう。
「だけど、アスランが自らの手で沈めた……これにどんな意味があると思う?」
『意味、か……父親を討ったという以外でだろ?』
「うん。お父さんを討った……それも事実だけど、それ以外の見方もあるんだ。例えば、”ザラ派ではないプラント市民が、数々の悪行と蛮行に対する義憤にかられて、反ザラ派の義勇兵となり悪漢パトリック・ザラを自ら討伐した。それを成したのは実の息子。父親の過ちを正すために剣をることを選んだアスラン・ザラ”……こういうシナリオならどうかな?」
『……えっ?』
「つまり、”プラント市民全体が
やはり、キラ・ヤマトはカガリ・ユラ・アスハの双子の弟であった。
(面倒臭そうなので)政治に関わりたくはないと心底思ってそうだが、かと言って政治センスがない訳じゃない。
「きっとカガリはそこまで考えた上で、アスランの意思を確認して”征け”って背中を押した……『自分の手でケジメつけてこい』って言ったんだと思う。戦後にプラントに政治的逃げ道を残しておくために」
(完全に包囲して逃げ道を全部塞げば、逃げ場を失った兵は捨て鉢で”死兵”になりやすいって言ってたし……)
姉の何気ない一言もしっかり覚えているキラ。
実はこれ、ハルバートン任務群とマネキン艦隊によるザフト艦隊殲滅戦でも活かされており、あの時(第155話)、合流したマネキンが『半包囲する』という発言をしたのを覚えておいでだろうか?
逃げ道が無ければ人間はヤケクソにもなるが、逃げ道があるならそれに縋るのもまた人間という物だ。
確かに戦闘艦は全て沈めたが、半包囲から脱出したザフト・モビルスーツは確かに存在する。
人間というのは生存本能の強い、存外に生き汚い生き物なのだ。
『……なんだか凄いな』
「ん? 何が?」
『お前もカガリ代表もだ。俺にはそんな政治家みたいな発想はできないさ』
「そうかな? 思考法と慣れの問題だと思うけど」
そうキラの返答を聴きながら、やっぱり自分には政治家は向いてないと改めて思うアスラン。
正直に言えば、メイドたちとの暮らしがあれば、今はそれで十分だと思ってしまう。
母親の復讐なんて最初から考えてないし、プラントの未来も自分以外の誰かが担えば良いと思う。
悪政を敷くのでなければ、自分はそれを支持しようとも。
もっともアスランもそう吞気に構えてもいられなくなりそうな気配はあるが……具体的には2年ほど先には。
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さて、時間軸はヤキン・ドゥーエ爆発直後まで戻る。
1時間の間に十分な安全マージンがとれる距離まで後退していたオーブ軍と大西洋連邦軍にこれといった被害はない。
いや、それもあるがヤキン・ドゥーエの爆発の仕方が少しだけ妙だった。
それは爆発というより、むしろ「爆破解体」という感じで、自爆による破片の四散は少なく、イメージ的には起爆と同時にヤキン・ドゥーエが全体的に崩れて行く……そんな印象だった。
その様子を見ながら、仲間と共にアークエンジェルのそばまで戻っていたキラは思わず呟いた。
『どうして、僕たちはこんな所まで……』
「業務命令だったからのではなくて? あるいは危険手当とか出向・出張手当とかのためとか?」
めちゃくちゃ現実に引き戻すことを言いだすラクスであった。
『……ねえ、ラクスって一々台無しにしないと気が済まない性分なの?』
せっかく格好つけてた(原作の台詞を再現した)のに台無しにされて、唇を尖らせるキラ。
「そんなつもりはありませんわよ? でも、お金は大事でしょ? これから結婚式に出産に育児、何かと出費はかさみますわよ?」
『ラクスって変な所でリアリストだよね』
「これでも賢いお嫁さんを自負してますので♡」
『あー、はいはい』
「むっ、やや不満の残る反応ですわね?」
今度はラクスが唇を尖らすが、
『じゃれ合うのもいいが……ラクス、お前なんか私に用事があるとか言ってなかったか?』
と通信に入ってきたのは、カガリの声だ。
「はっ!? そうでしたわっ!! カガリ、もう1曲歌わせて欲しいのですが構いませんか?」
『それは別に構わんが……何かあるのか?』
するとラクスはにっこりと微笑み、
「ちょっと人探しをしようかと思いまして。おそらく現在絶賛宇宙漂流中の♪」
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「し、死ぬかと思ったわ……}
そう、こちらジェネシスの破片に運良く? 運悪く?乗って宇宙旅行(強制)中の、”ドレッドノート・アーティラリー”のコックピットで愉快な姿勢で転げているミーア・キャンベルだった。
そして、改めて操縦席に座り直し……
「むしろよく死ななかったな、私」
驚いたことに無傷である。本当に掠り傷一つない。
この娘は異能生存体かなんかだろうか? 真面目に原作コーラサワー並みの「モビルスーツが踏んでも壊れない」強靭さと強運なんだが。
「あーでも、スラスター周りは、ほとんどオシャカかぁ~。武装もほとんどNG、ビームライフルもどっか行っちゃったし」
コックピット中に点滅するアラートサインが、現状のドレッドノート・アーティラリーの惨状を物語る。
「電源が生きてるのが救いだけど……酸素は、どれくらい持つんだろ? 残ったスラスターだけで、酸素があるうちにプラントに辿り着けるかなぁ……せめて通信機だけでもまともに、あっ、ダメかぁ~。これ通信機その物よりアンテナがやられてるっぽいなぁ」
原作でもフェイズシフト装甲を持つはずのフリーダムが、ラストで特に空力弾性翼のような薄いパーツがボロボロになっていたが、ドレッドノート・アーティラリーも同様で細いアンテナ類や繊細なセンサー類のダメージが特に大きいようだ。
流石にちょっと不安になるが……
「あれ? えっ?」
ミーアは、ふとその”感覚”に気づいてしまう。
「これ……ラクス様の歌?」
キラの原作再現を台無しにするラクスが結構お気に入り(挨拶
キラ、もう妻帯者でもうすぐ”お父さん”になるので、やっぱり原作より芯がしっかりしとります。
というか、たま~に
まあ、こんな展開ですので原作のように世捨て人っぽい展開なんてあるはずもなく……実はラクスのセリフも戦後も続くキラの社畜道を暗示していた?
キラだけじゃなくアスランも、多分、戦後の立ち振る舞いが大きく変わる予定です。
そしてミーア、愉快な格好で再登場w
機体半壊するほどのミキサーコックピット・シェイキングな目にあって、ミンチになるどころかかすり傷一つなくピンピンしてるとか、本当に異能生存体かなんかでしょうか? この娘。
さて、原作では最終回に相当するこの第10章、残すところあと1話となりました。
そして、そこで終了という訳ではなく、その後に「原作では描かれなかったユニウス条約締結までのエピソード」を入れるエピローグを執筆しようと思っています。
よろしければ、応援よろしくお願いいたします。