【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
「簡単に言ってしまうと、”投降者に対する懐柔工作”の一環だな」
尋問という名目で対面に座るミーア・キャンベルにそうカガリは切り出した。
「どこまで理解してるかわからんが、オーブではプラントは国家扱いされてないし、ザフトってのは未だにテロ組織扱いだ。プラント本国にいる連中も精々民兵組織扱い。ヤキン・ドゥーエにいた連中は、ザラ派であろうがなかろうが、とりあえず一旦はテロリスト区分になる」
「そんなぁ~」
割と素でショックを受けるミーア。何せ彼女にしてみれば、参戦は言わば”貰い事故”のような物だ。
「とはいえ、ザラ派だと特定できた輩以外は、まあ、ザフトは軍人扱いできないから”民兵組織の投降者”って扱いに落ち着くと思う。ただ、繰り返すがいずれにせよ軍人、捕虜扱いは難しい。ジェネシスなんて頭のオカシイ兵器が使われた以上、オーブとしては友好国の目も流石に気にしないとならん。まあ、ユーラシア連邦と東アジア共和国、大洋州連合なんかはどうでもいいが」
そして、カガリは一旦言葉を切ると腕を組み、
「つまり、今回の作戦で捕縛した者も、オーブ本国で身柄を拘束された者も、ザフトの参戦者は須らく広義な意味で”武装犯罪者”って扱いになるんだが……ここにオーブのお国事情が関わってくるのさ。オーブとしちゃあ、亡命・移民申請してなおかつ受理できるプラント人以外は、できればさっさと宇宙の住処にお帰り願いたいんだ。はっきり言えば、テロリストや武装犯罪者として立件されて罪が確定すれば、かなりの人間を死刑にしないとならなくなる。戦争として認定しない以上、捕虜扱いもできないから必然的にそうなる」
オーブの司法に関してはいつか機会があれば書きたいが、基本的に軽犯罪法(少年法もその係累)は現在の日本と同じく一番重い量刑を規範とする”併合罪”だが、一般的な犯罪は刑罰を合算し量刑する『併科主義』の適応、いわゆる”累計罪”になる。
そして、オーブには普通に死刑制度があるし、刑の執行にどこかの島国のように躊躇いはない。
まあこれは”ある理由”から「異常なまでの冤罪率の低さ」も関係しているが……一つだけ言いたいのは、オーブは断じて”
こういう言い方は語弊があるかもしれないが……オーブは、人口当たりの死刑執行数が最も多い国の一つ(第三次世界大戦=再構築戦争やその後のC.E.が始まるまでの”
これが犯人引き渡し条約を締結してる大西洋連邦やその他の友好国なら、まだ執行されない可能性があるが、国家として認められてない=無国籍扱いのプラント人ではそれも望めない。
「だが、それをやっちまうとさっきも言ったように膨大な数の死刑執行をせにゃならなくなるし、それで余計な怨みも買いかねん。何より国家としても本音としちゃあ、そんな国として評判を落とすことはやりたくもないし、それを見てユーラシア連邦や東アジア共和国の阿呆共が『オーブが処刑したんだからウチもいいよね』ってプラント人の大量死刑執行を行う口実になりかねん」
多分、一番業腹なのは最後だろう。
「だが、犯罪者として定義している以上、何の理由も、あるいは大義名分もなくプラントに送り返すわけにもいかんだろ?」
ここまできて、ようやくミーアにも話が見えてきた。
「懐柔っていうのは、要するに慰問配信をしろってことですか?」
カガリは頷き、
「現在、対象者は”裁判保留”状態だ。お行儀よくしてくれているなら、『一般的な犯罪者と異なる特殊事情』を考慮した上での”特措法”が時限立法で可決できる。だが、それを制定している間に下手に暴れられると、全てが水の泡になりかねん」
要するに逃げ出した捕虜が民間人殺害なんかしてオーブ国民から『やっぱ全員、通常刑法の量刑適応(罪状的に死刑確定)でよくね?』って意見が出てきて、それが多数派になるのは政府としては極めて困るのだ。
確かにオーブは国是としてナチュラルとコーディネイターの共存を詠っているが、かと言って反コーディネーター・反ナチュラルの人間が0って訳ではないのだ。
そしてこの手の輩こそがご多分に漏れず国内の左派運動や右派運動に結びついていたり、今度はそれらの組織が海外の諜報機関や対外工作部、あるいは国際的差別団体に紐づけられているから対応を誤ると面倒事になりかねない。
「や、やります! やらせてくださいっ!」
本質的にミーア・キャンベルという少女の性質は善良なのである。
だから、同胞意識がそんなにあるわけじゃないけど、同郷の人間が一人でも多くプラントに帰れる、その助けになるのなら喜んで協力しようという気概にもなる。
対して皆さんもご存知の通り、カガリ・ユラ・アスハは生きるマキャベリストの大悪党であり……
「そうか。そう言ってくれると助かる。詳細は、オーブに帰還してから詰めるとしよう」
その顔には笑みが浮かんでいた。
⌚⌚⌚
「酷い
「そう言ってくれるな。これもお役目って奴だ」
ここはアークエンジェルに設けられたカガリとラクスのプライベートルーム。
ヘリオポリスから帰還したときに使っていた部屋に比べて比べて、何気にかなりグレードアップされている。
「実際、悪いようにはせんよ。限度はあるが、要望があれば聞くし、融通も利かす」
「その辺は、カガリの事だから心配してませんわ♡ ところで、どういう手順で”育成”するつもりですの?」
「脳量子波の事は伏せたまま、アイドルとして普通にレッスンさせるのが最初の段階だな」
「ふんふん」
興味深そうなラクスのピンクの髪をカガリは撫でながら、
「まあ、見れるように、あるいは聴けるようになったら、配信デビュー。配信ライブなんかも入れてもいいな。最終的にはお前とのコラボ配信を考えているが」
無論、収録スタジオや音響機器には脳量子波をはじめとする各種計測機器を仕込んでおくつもりなのだろう。
「カガリカガリ! それでしたら、わたくしがプロデュースをやってみたいですわ!」
「なんだ? そっちの方面にも興味があるのか?」
「ええっ♪ いつかはわたくしの手でアイドルを育ててみたいと思ってましたの♡」
「まあ、お前が協力してくれるなら、盤石になるだろう」
☆☆☆
さてさて、やるべき仕事が終わったらいつまでも艦隊をヤキン・ドゥーエに貼り付けておく必要はない。
艦隊を動かすのは今も昔も膨大な費用が掛かるのだ。
なのでオーブ艦隊と大西洋連邦任務群は現地解散。
大西洋連邦の船はそれぞれの拠点へ。
マネキン艦隊は、まだボアズの整備が終わってないし、プラント本国と同じL5宙域にあるため、ザラ派の生き残りが何かしでかさないかの観測と、しでかした時の対処の為にボアズへと戻る。
そして、アークエンジェル率いる”別動隊”も帰還の途に就く。
ただし、エターナルだけは所属の都合上L1宙域のターミナルの拠点”ファクトリー”へと戻る手筈なので別航路だ。
ただし、フリーダム・ルージュとジャスティス・ソーディアンは、アークエンジェルに移動しており、エターナルにはスーパーNミーティアだけが艦首に装着されている形だ。
ただし、厳密にはアークエンジェルを除く別動隊は、プロト・アルヴァトーレを回収した”コバヤシ丸”も含めてアメノミハシラの静止軌道ステーションの軍港区画に帰る予定だが、アークエンジェルと更にはドミニオンだけは別行動だ。
大気圏内効果能力があるこの2隻は、ドミニオンは北米大陸ノーフォーク、アークエンジェルはオーブの首都オロファトがあるヤラファス島にそれぞれ降下するように辞令を受けていた。
そう、最大級の政治イベント、”凱旋式典”の為にだ。
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大西洋連邦にしてみれば、パトリック・ザラを討ったとはいえ、未だにプラントと停戦も終戦もなっていないので”戦勝式典”とは言いづらい。
オーブにとっては、そもそも公式には戦争していないので”戦勝式典”とは言いづらい。
故に両国で話し合った結果、『ジェネシスを破壊して地球人類の危機は討滅したし、悪のテロリスト首魁パトリック・ザラも討った』ので、とりあえず一旦は”凱旋(=節目となる大きな戦いの勝利)として式典は行おう”ということになったらしい。
まあ、戦争は何処までいっても政治の一部であることを示す好例であろう。
大西洋連邦の方は、コープランド大統領が大いに張り切って準備を整えたらしい。
そっちはそっちとして……今はオーブ、ヤラファス島の港に目を移そう。
オロファトに隣接した港にゆっくりとアークエンジェルが降りてくる。
帰りの道中に特に波乱はなく、故にこれといった損傷もない美しい船体のままだ。
波しぶきを大きく立てずに着水させる様は、流石ノイマンと言ったとっころか?
出迎えるのは、戦勝艦アークエンジェルを一目見ようと押し掛けたオーブ国民に、”凱旋行進曲(G.ヴェルディ/歌劇アイーダ)”を奏でる軍楽隊。
無論、帰還者の家族や集まった国家の重鎮たちなどの式典参加者も勢揃いだ。
そして、壇上で報告を行うのはカガリで、
「地球の危機は去りました」
敬礼しながら短くそう報告すれば、
「よくやった」
正装したウズミは同じくそう短く返した。
そして式典会場に響く万雷の拍手と喝采。
ただ、この親子のあまりに”らしい”やりとりに、ウナトは拍手しながらも「不器用な奴め」と苦笑していた。
☆☆☆
さて、お家に帰るまでが遠足です……ではないが、式典が終わると同時に、一旦は各々が家路につく。
叙勲やら昇進やらそれ以外の式典やらは、とりあえず後回し。
ウズミによる「生きて帰れた者は、まずは待っていた人に無事な姿を見せて安心させてやれ」と中々に粋な計らいだった。
無論、故郷の鎚を再び踏むことがかなわず、
だが、いつ隣人がこの世から居なくなるかわからないこんな時代だからこそ、生者は生きてる悦びを嚙みしめ、生を謳歌すべきとも考えていた。
そして、”彼”は愛しい妻が待つ家へと辿り着く……
「えっと、その、ただいま。こんな時、どんな顔したらいいかわからないや」
マリューと出会ってから”あんなに一緒だったから”、こんなに離れたことはなかったから……キラはどうしていいか、なんて言ったらいいかわからない。
でも、本当は難しい言葉なんていらなくて……
「おかえりなさい。キラ君♡」
”ただいま”と”おかえりなさい”で十分だった。
これ以上ないほど明確に新たな命を宿した妻を抱きしめ、その温もりを現実だと認識したとき……ヘリオポリス脱出から始まる長い長いキラ・ヤマトの長い戦争は、ようやく終わりを告げたのだった。
あんなにずっと一緒だったキラとマリューは、きっとこれからもずっと寄り添って同じ色の、オレンジ色に海を照らすオーブの夕暮れを見ていく事だろう。
という訳で、原作よりは精神ダメージがずっと低いとはいえ、メンタル疲弊気味のキラ君がようやくマリューさんの元へ帰りつけました。
まずは、とりあえずミーアさんにネットアイドルを勧める理由っすね。
案の定、綺麗で優しい理由ではなかった模様w
カガリ:「いつまでもオーブ国民の血税で無国籍犯罪者食わす訳にもいかないし、かと言って正規の罪状当てはめて処するには数が多すぎるし外聞が悪い。特措法通して送還できるようにするからそれまで暴れ出さないように慰問配信ヨロ」
身も蓋もなくすとこんな感じです。
そして、まだ戦争自体は終わってないので大きな勝利を祝う凱旋式と……”家路”ですね。
もしかしたらお気づきの方もいらっしゃると思いますますが……
前にチラッと書いた「ヤキン・ドゥーエに何話か加えて終わる予定だった」本来の最終回はこのエピソードだったんですよ。
そう、長い戦争を終えて我が家ににたどり着いたキラと、優しく「おかえりなさい」と告げる二人の愛の結晶、新しい命を宿した愛妻マリュー……
いや、綺麗に終わらせるならここがベストで、「あんなに一緒だったのに」とは別の未来、同じ夕暮れを再び見ることができる二人ってエンディングだったんですが……
ふと思ってしまったんですよ。
「あれ? 登場人物が持ち回りで”ヨゴレ”を演じるこのシリーズが、こんなに綺麗に終わっていいのかな?」
と……
クソを投げつけ合うような大国同士の駆け引きとか書いてない……
gdgd確定の南米事情とか書いてない……
第一、マリューはともかくこの世界線のキラって、こんなにしおらしくねーべ?
という訳で、ここであの名台詞を言わせてください。
”もうちょっとだけ続くんじゃ”
次回は種出……種割れするキラでも書こうかなと。
果たしてキラは、月明かりの下で静かに眠れるのか?
どうかもうしばらく続くこのシリーズ、応援よろしくお願いいたします。