【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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唐突ですが……皆様、いきなり梯子外されるお話はお好きですか?
今回は、多分そんな感じのエピソードです。





第176話 gdgd南米事情は思わぬところに飛び火するみたいですよ? 【挿絵入り】

 

 

 

 戦争には四方山話というのが付き物だ。

 あるいは、悲喜こもごも。

 

 さて、ここはフロリダ半島大西洋連邦ケープ・カナベラル基地。

 目と鼻の先には南米大陸

 そして、その士官用食堂の一角で……

 

「Oh……」

 

 ”切り裂きエド”ことエドワード・ハレルソンが「orz」状態になっていた。

 

「どうしたんだ? エドの野郎、なんか愉快な状態になってるが……お前さん(ジェーン)、エドに別れ話でも切り出したのか?」

 

 たまたまカフェに来ていたシュバリエ・モーガンが大体いつも元教え子のハレルソンと一緒にいるジェーン・ヒューストンに声をかけると、

 

「まさか。さっきまで結婚の日取りの話をしていたのよ? まあ、そっちは正式に戦争が終わってからってことになったけど……そうじゃなくて。テレビのニュースを見ていたら、ああなっちゃったのよ」

 

 ジェーンが指差した先の画面に映るその内容は……

 

「ん? ”南アメリカ合衆国、住民投票の結果、大西洋連邦からの離脱を()()!!”? ああ、なるほどね」

 

 

 

 さて、少しバックグラウンドを説明しよう。

 そもそも話は昨年、C.E.70年2月19日に起きた「大西洋連邦の南アメリカ合衆国侵攻と大西洋連邦への武力併合」に端を発する。

 この時期、なぜ大西洋連邦がわざわざ独立国の南アメリカ合衆国に侵攻したのかと言えば……当時の南アメリカ合衆国政府(と大洋州連合)が、前日の18日に当時プラント最高評議会議長だったシーゲル・クラインが提唱した、地球連合非参加国には優先的に物資を提供する「積極的中立勧告」を受諾してしまったからだ。

 ただの中立ではなく、わざわざ「積極的」って文言を入れる辺り如何にも胡散臭いが……まあ、対価として物資の提供を言いだしている以上、言葉通りの中立というより「地球連合に非協力的な中立の維持」と解釈すべきだろう。

 

 距離のある大洋州連合はともかく、西暦時代(アメリカ合衆国時代)からの”裏庭”とも言える南米が利敵行為するなど大西洋連邦が我慢できるはずもない。

 例えば、”キューバ危機”の時の米国の対応を考えるとわかりやすいかもしれない。

 故に南米侵攻である。

 ただ、大西洋連邦は永続的に南米を支配する気はさらさらなく、プラントとの停戦(終戦)成立後は、「親プラント的政策の否定」を条件に再独立を確約していた。

 エドワード・ハレルソンはその約束が守られなかった場合、南米独立戦争に身を投じようとしていた訳だが……

 

 事態は、妙な方向へ転がり始めた。

 呼び水はオーブであり、ソレスタルビーイングだ。

 C.E.70年4月1日、”エイプリルフール・クライシス”で世界中の原子力発電所が止まった時、オーブは国策として安全保障条約相手国である大西洋連邦に、いわゆる”友好国価格”で中継衛星や地上送電衛星・地上受電施設を供給した。(そのあたりは第13話に詳しい)

 当然、その対象には併合された旧南アメリカ合衆国も入っていた訳だ。

 しかも大西洋連邦本体は購入だったのだが、南アメリカ合衆国地区は経済状態や武力併合→再独立などの政治的状況から、格安のリースプランが提示されたのだ。

 なので南アメリカ合衆国は極端なエネルギー不足に悩まされずに済んだのだが……

 

『再独立するなら、宇宙送電ネットワークのリースは打ち切るよ。売電を継続するなら、適正価格でだから。南アメリカ合衆国とオーブ政府で話し合って詳細詰めてね』

 

 とソレスタルビーイングとオーブ政府連名で戦争の終わりが見えた先日、通達があったのだ。

 驚いたのは「再独立準備委員会」、つまりは旧南アメリカ合衆国首脳部の面々だ。

 ソレスタルビーイングに問い合わせたら、オーブ政府に聞いてくれとたらいまわしにされ、

 

 

【挿絵表示】

「元々、南アメリカ合衆国はオーブの友好国でもない。安全保障条約相手国(=大西洋連邦)の庇護(カサ)の下から出るってんなら当然の処置だろ? そもそも南米大陸送電システムのリース料金の支払元は、大西洋連邦の一般会計だぞ?」

 

 そう正論すぎる返答がオーブ首長国外交代表ウナト・エマ・セイランから突きつけられたのだ。

 無論、再独立準備委員会は「友好国価格での継続」を打診したが、

 

「それを許せばそれが前例となり、ユーラシア連邦や東アジア共和国、大洋州連合さえも同じ価格で供給しなければならなくなるんだが?」

 

 そう返され、交渉は暗礁に乗り上げた。

 極秘裏に武力による接収も検討されたが……それで接収可能なのは地上設備だけで、肝心の中継衛星や地上送電衛星はどうにもならないと結論付けられた。

 おまけにその「武力による接収計画」が盛大にマスコミにリークされ、

 

「流石、南米だな」

 

 そう冷笑され、オーブより交渉凍結を打診された。凍結ということは、南アメリカ合衆国が再独立を果たしても現状維持される訳ではなく、再独立の時点で最低でも交渉が再開していなければ、有無を言わさず宇宙の送電衛生群は撤収。地上の受電施設は破棄という流れになる。

 つまり南アメリカ合衆国には、「宇宙から送電される見込みのない地上のレシーバー施設だけが残る」事になる。

 更にその後、全世界で……

 

 ”パトリック・ザラの地球上全生物殲滅宣言とその賛同者たち”(第150話参照)

 

 がネット、テレビなどあらゆるメディアを通じて公開される。

 これで激怒したのが南米大陸市民だ。なにせ前に地理的にも近い”パナマでのザフトの捕虜虐殺”が記憶に新しい状況だ。

 

『我々の前指導者達は、あんな狂人どもと手を組もうとしたのかっ!?』

 

 南米各地で市民運動が勃発、更には再独立準備委員会の面々が正にその時の当事者であることに恐怖を感じて暴動にまで発展した。

 無論、準備委員会の面々だって言い分はある。

 

”自分達が手を組もうとしていたのは、あくまでシーゲル・クライン氏であり、断じてパトリック・ザラのような交渉不可能な狂人ではない!”

 

 だが市民代表は、

 

『そっちも”エイプリルフール・クライシス”引き起こした、5億人殺しの大罪人じゃねーかっ!!』

 

 と反発。更にはシーゲル・クラインからの旧南アメリカ合衆国首脳陣に対する賄賂(ただし、これは南米の密林に極秘裏に建設された『ハーフコーディネイターの隠れ里』の言わば”手数料”であり積極的中立とは無関係)が発覚し、さらに火に油を注ぐ結果になった。

 

 最終的には流血沙汰にまで発展し、結局、再独立準備委員会は解散の上に関係者は全員、逮捕の末に拘禁。裁判を待つ身となった。

 そして、新たに立ち上がった「南米市民議会」は、再独立の是非を問う国民投票を実施。

 

 圧倒的多数票で、「大西洋連邦への残留」の賛成となった。

 実際、南アメリカ合衆国市民が心配していた「棍棒政策じみた弾圧」はついぞ行われることはなく(これは、戦争で大西洋連邦にそんな暇がなかったせいもある)、逆に政治的には併合前よりも安定していたのも大きい。

 

 そんなこんなで南米より「大西洋連邦への残留希望」が出されてしまい、祖国の再独立を夢見たエドワード・ハレルソンは、茫然自失状態となった訳だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、茫然自失となったのはエドだけではない。

 

「Oh……」

 

 ここは大西洋連邦首都ワシントン。更には大統領官邸の執務室で、ジョゼフ・コープランド大西洋連邦大統領は机に突っ伏していた。

 なぜなら、彼は南アメリカ合衆国の再独立に向けて水面下で色々準備していたのだ。

 コープランドにとり、南米の運営なんて負債マシマシの”目に見えてる地雷”だ。

 ぶっちゃけ、親プラント的な政策なぞ南アメリカ合衆国がしなければ、好き好んで攻め込みたくはなかった場所である。

 

 故に南米側が再独立を言いだすなら喜んで手放すし、そのための手続きも進んでいた。

 だが、逆に南米側から大西洋連邦残留を希望するならば……

 

「議会は承認せざるえないだろうな……」

 

 大西洋連邦から攻め込んだ手前、道義的に残りたいという相手に「NO」とは言えないのだ。

 植民地の独立を阻止するための戦争は宗主国の勝敗に関わらずいくらでもあるが、まさか独立したくないという相手に「独立しろ」と戦争吹っ掛けるわけにもいかない。

 コープランドは徐に電話を取った。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ええ。想定されてた終戦像の中でも、あまりよろしくない状況ですねぇ……そうですね。わかりました。”その件”はお受けしますよ。ええ。まあ、”彼ら(ロゴス)”の方はこちらで対処しますので。ええ」

 

 そしてムルタ・アズラエルは徐に電話を切った。

 

 

【挿絵表示】

「どうしたの? もしかしなくても厄介ごと?」

 

 本日は、とある好事家が高級ホテルの大広間を借り切って主催している”気の早い身内の戦勝記念パーティー”に妻と参加する予定だったが……

 

「まあ、そういうことです。今日は適当に挨拶だけして帰ることにしましょう」

 

 いつまでも若く可愛らしい妻の、パーティーの趣旨に合わせたどちらかと言えばカジュアル寄りのドレス姿に「スクールユニフォームもフォーマルドレスも良いですが、これもまた愛らしい」と癒されながら、これから起こるであろう面倒に頭を悩ませるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、エド(+コープランド大統領)がめっちゃ凹む話でしたw

オーブ:「そりゃお前、大西洋連邦から抜けるってんなら友好国価格での売電は停止するさろう。普通に考えて」

南米市民:「前政権・現再独立準備委員会は、あんなヤベー奴らとつるもうとしていたのかよ!?」

再独立準備委員会:「いや、我々が手を組もうとしたのはパトリック・ザラではなくシーゲル・クラインで……」

南米市民:「そっちも5億人殺しじゃねぇかっ!!」

奇しくも南アメリカ合衆国再独立準備委員会の言い分は、大洋州連合の言い分とものの見事に一致していたという。
そんな訳で、南米は大西洋連邦に残留が決定しましたw

いや、実は原作で「南アメリカ合衆国は戦後再独立したのに、何故か種運命では大西洋連邦に再編入されていた」ってのがあまり明確な説明が無かったために、整合性を持たせる為に「再独立自体をご破算に」してみました。

まあ、これでエドが恋人や教官たちを刺客に差し向けられる未来は消えたので、それはそれで良かったのではないかなーと。
この後、ジェーンは落ち込むエドを慰める為にめちゃくちゃ……後は皆様のご想像でw

次回、南米の大西洋連邦残留が思わぬ方向に飛び火しそうですよ?

どうか応援よろしくお願いいたします。

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