【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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今回は南米がら転がってきたネタが思わぬ方向に作用し、軋轢を生み再び南米へ戻る?ネタかな~と。





第177話 アズラエル氏の新たな力(権力)?地位?役職? + 新キャラ&”あの人は、今……” 【挿絵入り】

 

 

 

 C.E.71年11月後半、とあるビッグニュースが世界を駆け抜け、世間を賑わせた。

 

 

【挿絵表示】

アズラエル財閥総帥にして大西洋連邦重工業連盟会長ムルタ・アズラエル氏、”大西洋連邦復興長官”に就任!!

 

 記事の内容によれば、プラントとの戦争で傷つき、また旧南アメリカ合衆国からの要望でその地域を正式に統治下に治めることとなった大西洋連邦の戦後復興計画の主導的立場であり、復興計画やその関連事業に関する事であれば、大統領以上の権限を持つ立場という事だった。

 

 つまり、「復興終了まで」という曖昧な期限付きではあるがアズラエルは表世界でこれまでより更に巨大な権力者となった事を意味していた。

 コープランドが大統領特権まで行使して新たな役職を作り上げたのは、誰がどう見てもアズラエル財閥の力を当て込んでの事なのは明白だった。

 

 実際、旧南アメリカ合衆国を統治下に組み込まねばならなくなった大西洋連邦の司法・行政・立法や関係各省は、新たなルールと秩序作りに奔走しており、誰かが戦後復興計画を統括しマネージメントしなければ、いつまで経っても復興事業が進まないのは目に見えていたので、この判断も欧米人が好む合理的な物と受け入れられた。

 

 さて、アズラエルが最初に示したのは国民の目にも分かりやすい物……パナマのマスドライバーの再建と、

 

『私としては、軍民双方の宇宙港と太陽光発電システムの中核ユニット・地上送電設備を兼ねた複合目的大規模静止軌道ステーションを建設したいですねえ』

 

 要するに原作の”アメノミハシラ”の近似建造物だ。

 これは確かにとても見栄えのする復興の御旗になるだろう。

 

『実際、見積もりは既に出来ているんですよ。ただ、大西洋連邦の重工業界、いや工業界全般は軍需から戦後需要を見越した民需への転換でどこもいっぱいいっぱいで余力が無い。ええ。お察しの通りオーブに発注するつもりですよ。彼らなら安保相手国の我々には、友好国向けの良心価格で請け負ってくれますし』

 

 そうインタビューに答えるアズラエル。

 これには他国への過剰な技術供与とオーブ議会も紛糾し……という事にはならなかった。

 公式にソレスタルビーイング代表のカガリより、『そういうオファーがあった』旨の発表があり、安保相手国の大規模公共事業に参入できるなんて極めて名誉なことと付け加えた。

 

 まあ、オーブ人は今は歴史上の存在である日本人の末裔、公用語が日本語の世界唯一の国だ。

 例えば、他国に日本の新幹線が高速鉄道に採用されたと報道された時、どう思うか?をイメージすれば分かりやすい。

 そういう風に説明されれば、国民としては「オーブの技術が高く評価された結果だ」と素直に喜ぶだろう。物は言いようである。

 それを差し引いても、勉強した割引価格とはいえ、物が物だけにそこそこ良い外貨獲得にもなるし、宇宙開発事業の実績作りにもなる。

 要するに国益に直結するのだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 とまあ、大西洋連邦とオーブに関してはトントン拍子に話は進んだのであるが……

 

『アズラエル、貴様! ”ロゴス”を脱退するとは、どういうつもりだ!? しかも貴様が傘下にする財閥や大西洋連邦重工業連盟加盟企業が全てが同時脱退するとはどういう了見だっ!!』

 

 秘匿回線の画面の向こう側、どこか東洋風の詰襟白服で唾を飛ばして激怒する同年代の男に、

 

 

【挿絵表示】

「だから言ってるじゃないですか? 表稼業が忙しくなり過ぎて、ハイリスク・ハイリターンの武器屋なんて暢気にやってる暇はなくなったって」

 

 対してアズラエル、上質な自国産白ワイン(どうやらアズラエルはカリフォルニア州ナパ産のコングスガード・シャルドネを好むらしい)片手に軽く返す。

 

「他でも言いましたが正直、僕の財閥も傘下企業もそれどころか大西洋連邦のあらゆる産業が戦後の復興特需に向けて色々忙しいんですよ。戦後復興っていうのはありとあらゆる物資が必要なうえに、この先、プラントからの工業品は期待できない。ならば国内産業でどうにかするしかないでしょ?」

 

『その我々の資産たる宇宙工場を薄汚いコーディネイターの手から奪還するために戦っているのだろうがっ!!』

 

「はあ? もうウンザリなんですよ。あんなカントリーリスクしかない、仮に奪還したとしても治安コストばかりが嵩むような宇宙人の根城に産業基盤をおいておくのは。それにこれは地球国内に工業基盤を戻す良い機会だと思いませんか? 内需拡大に地場産業の活性化、大いに結構な事でしょうに」

 

 そう呆れたように言えば、

 

『貴様、自分が何を言ってるのかわかっているのかっ!?』

 

「分かってますとも。()()()()()()()()()、貴方こそ時間と資源と資金と資本は有限リソースだって分かっていますか?」

 

 要するにこれはアズラエルとジブリールの根本的な立ち位置の違いだ。

 アズラエルの本質は”ビジネスマン”。巨大資本のトップであろうと根底にあるのは損得勘定だ。

 対してジブリールは……なんだろうか? ユーラシア連邦の巨大資本家ではあるのは確かだが、その根底にあるのは思想的というか……実に”()()()()”なそれだ。

 少なくとも中身は原作と大差なく、アズラエルほどビジネスライクに物事を考えられないようである。

 

『なんだとっ!!』

 

 本当にうんざりしてきたアズラエルは、

 

「もういいです。”ロゴス”、国際軍需産業複合体の地位はジブリール、貴方に譲りますので、後は好きにおやりなさい」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 いともあっさりと”ロゴス”盟主の地位をくれてやるアズラエル。

 事実、表の権力の頂点に近いところに就いてしまったアズラエルには、「世界を股に駆ける()()()」というのはどうにも魅力に欠ける。

 そもそも軍事費や国防費が国家予算、あるいはGDPに占める割合を考えると、確かに軍需産業の市場は大きいが「()()()()()()()()()()」事がわかるだろう。

 また戦時には肥大し、平時には削られ萎むのがこの手の予算であり、同時に資本主義国家において例え戦時であろうと、軍需が民需を上回るのはそうそうないのだ。そもそも利ザヤという意味では民需品の方が往々にして大きかったりするのだ。

 何より兵器産業は雇用とテクノロジーは産みだすが、それ自体に生産性はない。

 ”ミサイルで畑を耕すことやネジを製造することはできない”……基本的に兵器は使われたら破壊だけで、何かを生み出すことはない。畑や工場を吹き飛ばせるだけだ。

 つまり、兵器で経済は回せてもそれ自体が金を生み出す力はなく、その製造資金は国費やその他、生産性のある場所から引っ張って来るしかないのだ。

 

(ビジネスモデルとして考えると、意外と面白くないんですよね。兵器産業というのは……戦争が終われば、旨味は減りますし)

 

「それにユーラシア連邦と東アジア共和国相手では、もう得られる技術メリットが少なすぎる」

 

 それでも軍備が必要なのは、国家や政治に武力が必要とされるからだ。

 だから予算は国家予算から捻出される。

 そして……この時点で大西洋連邦という母体ごと、ロゴスと縁切りできた事は、後に彼にとっても大西洋連邦にとっても大きな福となって返ってくる。

 それをアズラエルが知るのは、まだ2年の月日が必要であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、南米繋がりでもう一つネタを。

 ここは、南米大陸アマゾン川流域にある密林地帯某所、ひっそりと隠れるように作られた集落……見た目はどこにでもあるような村落だった。

 

 ”その男”は、とある来客を受けていた。

 その訪問者は未開の僻地の訪問医療を行う医療系NPO団体から派遣されたという、その黒髪の若い男……いや40代なのに20代に見える若作りの医者”テリシラ・ヘルフィ”というらしい。

 

 

【挿絵表示】

「つまり、今ならナチュラルとの共存を望むコーディネーターも、その結果生まれたハーフコーディネイターも受け入れられると?」

 

 そうその男、かつてはプラントの最高評議長だった”シーゲル・クライン”は聞き返す。

 テリシアは一通り医療活動を終えると、偽名を名乗っていたシーゲルを訪問し、「オーブはあなた方を受け入れる用意がある」という内容を遠まわしに切り出したのだ。

 

「ええ。そもそもオーブの国是は元々がナチュラルとコーディネイターの共存共栄。そこには当然、その間に生まれたハーフコーディネイターも入ります。プラントの頂点に居た貴方が知らないはずはないですよね? 何より貴方は、オーブの友好国であるスカンジナビア王国の出身の筈だ」

 

 つまり、テリシアはソレスタルビーイングから派遣されたエージェントでありスカウトという訳だ。

 その目的は、シーゲル・クラインが極秘裏に作り、現在進行形で潜伏している”隠れ里”の人員を、オーブに誘致する事だった。

 

「知識としては知っている程度だ。実際、彼の地を踏んだことはないよ」

 

 そうシーゲルは返した。

 

「では、真偽を確かめるに丁度良い機会では? まあ、リスクがあるとお考えでしょうが、少なくともクライン卿の『子孫を作る能力の低いコーディネーターは、ナチュラルの営みの中に自然回帰してゆくべき』という考え方は賛同してる国ですよ?」

 

 すると……

 

 

【挿絵表示】

「いいんじゃない? ”シーちゃん”。正直、いつまでここ(アマゾン)にアタシたちが隠れ住んでられるかわからないわけだし」

 

 そう、シーゲルの希望で同席が許された少女がそう答えた。

 

「……あまりクライン卿が突っ込んでほしくなかったようなので、あえて聞かなかったのですが……どちら様でしょうか? クライン卿とはどの様なご関係で?」

 

 黙っているならそのままやり過ごしてもよかったが、意見を挟むのであれば身分と関係性を確認せねばならなかった。つまりはシーゲル・クラインとそれだけ”近い”間柄の筈だから。

 事前の資料では、この少女の詳細はなかった筈だが……流石は隠れ里と言うべきか? 閉鎖的というより意図的な隠蔽と情報封鎖が行われているこの集落ではあまり情報端末の操作量が多くない為、ソレスタルビーイングとしても情報があまり多くはなかった。

 無論、衛星軌道から撮影した情報などはあるが、それでも十分とは言えなかったためにテリシアも半ば現地調査のような形でこの地に入っていた。

 

「アタシ? ”マレッタ・ミッレ”だよ♪ 強いて言うなら、シーちゃんの恋人かな?」

 

 名前からするとイタリア系っぽい(マレッタは伊語で”さざ波”、ミッレは”千”)が……

 いや、隠れたり逃げられると困るのでアポなし訪問した自分も悪いとはいえ……少なくとも部屋で下着でくつろぐ関係なのは間違いない。

 それもなんか、マレッタ少し上気した雰囲気からして……何やら”事後”っぽいし。

 

「失礼ですが、ご年齢は?」

 

「シーちゃんの半分……よりちょっと下くらい?」

 

 その瞬間、気まずそうにシーゲルを見るテリシアの視線の温度が急降下した。

 

「……つまり、クライン卿。親子ほども年の離れた娘と交際していると?」

 

 ぶっちゃけ、マレッタとラクスの歳の差はあまりないだろう。

 いや一応、マレッタの方が年上っぽいが……多分。

 

「そういえば、オーブには娘さん(ラクス)がおりましたね? まさかとは思いますが……オーブへの住民移住を渋ってる理由は、一人娘に自分と大して歳の変わらぬ娘と男と女の関係にある事を知られたくない、とかではありませんよね?」

 

 それにシーゲル・クライン氏がなんと答えたのかは残っていない。

 ただ、テリシアは前向きな返事を得られたようではある。

 

 

 

 一つ言いたい。

 プラントで阿呆共の尻拭いに忙殺されるカナーバ暫定評議長は、助走付きの全力顔面ドロップキックをシーゲルにかましても許されると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シーゲルさん、○リコン疑惑(挨拶

いや、疑惑の段階じゃねーべって?
そりゃまあ、マレッタちゃんは非処女ですがw
まあ、彼女の詳細は次回にでも。


とりあえず、アズラエル氏の権力(別に本人望んじゃいなかったんですが)、大拡大。
そりゃ地球連合の兵器産業より大西洋連邦全体の戦後復興事業の方が明らかに動く金額デカいですもん。
おまけに奥方のコネでオーブ(ソレスタルビーイング)より友好国価格で戦後復興の目玉、”大規模複合軌道ステーション(原作アメノミハシラ級)”を購入でき、国内の重工業にはパナマのマスドライバー再建に傾注や南米の再開発、そして戦後経済移行へのパラダイムシフトの時間稼ぎができるという。
そりゃあコープランド大統領、アズにゃんに色々投げるよな~と。
という訳で、大西洋連邦における表の権力の頂点に近いところに就いてしまった為に裏商売をやってる暇がアズラエルにはなくなってしまった為に……


ジブリール氏、(通信越しですが)華麗に登場!
この世界線では、彼の家はユーラシア連邦軍需産業複合体の統括っぽいですね。
という訳で、国際軍需産業複合体”ロゴス”(大西洋連邦抜き)の盟主の地位は、いともあっさりジブリールに投げつけられました。
ジブリールはかなりお怒りですが、実は「ロゴスの盟主降りたいアズラエル」と「ロゴスの盟主になりたいジブリール」の利害は一致しているので、移行は割とスムーズだった模様。
ユーラシア連邦の軍産複合体も「地球の兵器産業をリードするのは我々!」と頑張って巨大兵器を作ってくれることでしょうw

そしてシーゲルさん、やっぱり生きてた。
加えて(咥えさせてかもしんない)ちゃっかり若い? 幼い?恋人と隠れ里で同棲していたというw

とにもかくにもオリ含めた新キャラ出てくるわ益々混沌としてきたエピローグですが、ご感想やお気に入り登録、高評価などいただければ感謝の極みです。

次回はシーゲルさん&マレッタちゃんを少し掘り下げて、後半は伏線回収でもしようかと。
どうか応援よろしくお願いいたします。









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