【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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今回はウズミさんがちょっとため息をつきます。
そして、割と種二次ではレアなキャラが……






第182話 とある父親の憂鬱、そして「英雄」にならずに済んだ男の復帰と”月蝕計画” 【挿絵入り】

 

 

 

 その日の国防会議は終わりを告げ、”アロウズ”は設立される方向で動き始める。

 そして運用ノウハウと装備の調達面、更には正規軍人、モルゲンレーテ、ソレスタルビーイングの合同出資・合同運用という官民一体の”第三セクター”方式で運用する必要性……つまり額面上の常備兵力の増加を最小限に抑える必要がある以上、何よりこれまでの実績と国民からの信用度でアロウズの総帥はカガリが務めるしかない。正確には、他に選択肢はない。

 それがウズミには歯がゆかった。

 

 

【挿絵表示】

「ままならんものだな……私自身は一線を去るというのに、一人娘に後始末を押し付けるというのは」

 

 盟友であるウズミの吐露に、

 

「じゃあ代表首長からの引退、とりやめるか?」

 

 ウナトの面白そうな笑みにウズミは溜息を突き、

 

「それが出来れば苦労はない。だが、そうもいかんだろう? オーブは戦後、大きく国家体質を変えねばならん。ドクトリンの変更……専守防衛を金科玉条としそれが正しいと、それで十分と考えていた”旧時代”は終わる。だが仮にも『平和の国』と銘打たれた!”()()()()()()()()”を慈しむ国民もまた多い」

 

「例えそれが、『中立国とは中立の意思を貫くためにこそ重武装国家となる』という事実を糊塗する”幻想”だとしてもか?」

 

 そう、中立国とは「誰の敵にも味方にもならない代わりに、どこの国から攻められても誰も味方になってくれない」という意味だ。

 原則、自分の身は自分で守るしかない。

 中立国の国防は、「攻め込んだら痛い目を見ると敵対者に認識」させる程度の質と量がいる。

 「簡単に侵略できる」とナメられたら最後なのだ。非武装中立を掲げた国が他国からどういう扱いでどうなるかは、歴史が証明している。

 

「そうだ。例えそれが幻想だとしても、だ。その『幻想を国民に信じさせる』事こそが私の役割だったのだからな。だが、国際情勢は今後、明確な動乱期に入る。行き着く先は私には見えんが、それでも始まることぐらいは肌で感じる。だからこそ……」

 

 ウズミは目に力を籠め、

 

「”幻想の平和”が、それを信じていた”旧時代”が終わりを告げた事を愛すべきオーブ国民に知らしめなばならん。これ以上ないほど、明確にな」

 

「確かに中道左派、人道主義者で知られたお前(ウズミ)ならば、これ以上ないほどの適任だろうさ。ああ、皮肉じゃないぞ?」

 

「分かっているとも」

 

 中道右派として、あるいは金権主義者として名高いウナトの言葉にウズミは苦笑し、

 

「名残惜しき”古き良き時代”と決別するには、その象徴が求められる……これはそういう話だ」

 

 そう、一つの時代の終わりを告げる象徴にウズミはなろうとしていた。

 

「だから代わりに”戦争責任”に該当する政治負債は私の辞任と共に持ってゆく。カガリには”旧時代”の負うべき責任など何一つ残してやらん」

 

 するとウナトは苦笑して、

 

「出来の良すぎる子供というのも考え物だな。親としてできることを少しは残してやりゃあいいのに」

 

「……笑うな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは関係各位が戦後処理に向けて明け暮れる晩秋……は日本語的表現だな。

 オーブは南半球で季節逆転、というか赤道の国だから年間平均気温25℃、年がら年中海水浴が楽しめる常夏の国だ。

 とにもかくにもとりあえず11月が終わろうとするこの日、ソレスタルビーイング本部のカガリの執務室に、珍客……ではないが、普通なら訪れない人物が訪れていた。

 

「とりあえず、退院おめでとうだな。”グゥド・ヴェイア”

 

 カガリの祖先の先に居る銀髪の青年は綺麗な敬礼と共に、

 

 

【挿絵表示】

「はっ! ありがとうございます。その節は大変お世話になりました!」

 

 ”グゥド・ヴェイア”

 原作外伝ではコロニー・メンデルで研究されていた地球連合軍の戦闘用コーディネイターとして”製造”されるも、心理コントロールの失敗により二重人格、理知的な人格と凶暴な人格の解離性二重人格となっていた。

 本来の歴史であれば、彼は処分を逃れる為にザフトに入隊し、”英雄”の二つ名を持つほどのエースとして名を馳せるが、戦いが嫌になりザフトから脱走し、その後、コロニー・リティリアの宇宙船化計画に力を貸す。(そして、パトリック・ザラは脱走したヴェイアに暗殺命令を出している。暗殺ばっかやなこの男……)

 紆余曲折あってサーペントテールのイライジャ・キールと友誼を結ぶが、凶悪な人格が暴走し、最終的にイライジャに討たれてその生涯を終える。

 そして、外伝のアイコンとも言えるクローン、”ソキウス”シリーズのオリジナルこそが、このヴェイアである。

 

 だが、この世界線のアズラエルがそんな勿体無い使い方をするだろうか?

 断じて否!

 調整失敗が分かった時点で、アズラエルは(シャル)の勧めもあり、ヴェイアをオーブ……いや、ソレスタルビーイングに『売却』したのだ。

 その後、ヴェイアはナノマシンによるニューロン・シナプスレベルの治療を受けていたが、

 

「気にすんな。ウチ(ソレスタルビーイング)にも似たようなのがいるしな」

 

 ※おそらく、アレルヤ&ハレルヤの事。

 

「それにお前さんの場合は、普通の”解離性同一性障害”とは勝手が違ってな。要するに技術者たちが下手を打って調整失敗した……その代償として高い戦闘力を得た訳なんだがな」

 

 言ってしまえば、疑似的なアレルヤとハレルヤの状態だ。

 

「まあそういう理由で人格の統合その物はそこまで手間じゃなかったんだが、せっかく得た能力だ。潰してしまうのは惜しいだろ? それで人格統合と思考と反射の融合を同時に行ってそれを矛盾なく連結・連動する調整が手探りでな。おかげでここまで時間がかかっちまったって訳さ」

 

 なので、未だにヴェイアは実戦の経験はなく、故に”英雄”は未だに生まれておらず、またソキウス・シリーズが生み出される未来も消えた。

 

「それで……本当に”アロウズ”志願でいいのか? リハビリの一環としてやらせているモビルスーツ・シミュレーションでも良い結果を出している。正規軍でも十分通用するぞ? ぶっちゃけ”アロウズ”はかなりの重労働になる予定だからな」

 

「その僭越ながら……」

 

 ヴェイアは少し照れくさそうに、

 

「出来れば、その……カガリ代表に御恩返しできればと」

 

 カガリは柔らかい微笑と共に、

 

「……そうか。その気持ち、ありがたく受け取ろう」

 

 そして、カガリは引き出しから極秘のスタンプが押された資料を出し、

 

「まだ本格的に開発が始まっていない……構想段階の機体だがな」

 

 ヴェイアに読むように促し、

 

月蝕計画(ECLIPSE PLAN)?」

 

「ああ。如何にも秘密兵器っぽい感じの仰々しい計画名だが……何のことはない。モルゲンレーテ主導で開発が行われる予定の、既存技術をブラッシュアップさせる『長距離要撃用の()()()()()()の開発計画だ」

 

 そしてカガリは苦笑しながら、

 

「”月蝕”ってのは世界中の神話で不吉な物とされてるからな。他国が頑張って諜報活動してこの計画名を知ったら、血眼になって全容を探ろうするだろうな」

 

 そう、まだ形になってないが、原作外伝の漫画「機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE」に登場するエクリプス・プランの今生版だろう。

 だが、オリジナルが”日蝕計画(日蝕=太陽が光を失う=もし表沙汰になれば太陽を象徴とするオーブが闇に落ちるという暗喩)”という、何やら自虐っぽい後ろ暗さを感じるのに対し、この世界線では英語表記では同じく”エクリプス・プラン”だが、日本語表記だと”()()計画”、つまりは開発目的も別物なら、おそらくは開発されるモビルスーツ”エクリプス(仮称)”もおそらく別物になるだろう。

 そもそもこの世界線のオーブに後ろ暗い自虐ネタな開発計画名を付ける理由がない。

 

「要するにアレだ。如何にも意味ありげな名前をつけて、モルゲンレーテ社が”()()()()()()()()()()開発”する……軍事機密のベールに包まれた盛大な釣り餌さ」

 

「という事は実際に開発しないので?」

 

「いや、するぞ? 本気で開発しなければ、大きな獲物は食いつかんからな」

 

 そう笑い、

 

「冗談だ。実際、かなりの高性能機に仕上げてもらわんと困るのさ。何しろ、”アロウズ”の本部直轄迎撃機、遠間合い火消し役となる要撃機を目指しているんだからな」

 

 カガリの腹案としては、機動的運用を行う……要するに地上も宇宙もなく遠隔地で戦闘を行う『改装型アークエンジェルを中核とするモビルスーツ20機以内の初動的緊急展開兵力』と、本部直轄で緊急性の高い国防ミッションを行う『緊急発進スクランブル要員』の二つの柱が揃って成立する。

 アークエンジェル隊(必要ならエターナルも招聘する)は強力だが、万能ではない。

 遠隔地に出撃して即座にオーブ本土へ戻ってくる事は不可能だ。

 故に非常時において即座にスクランブル発進ができる『モビルスーツ単体で長距離哨戒ができる高速で相応の火力を持つ機体』は是非とも欲しい。

 実際、アークエンジェルが本土に留まってる場合でも、出航までの時間稼ぎ、いわゆる遅延攻撃を行うなど『足が長く速い機体』の使い道はいくらでもある。

 現用機に例えるなら、冷戦時代の機体に例えるとSR-71戦略偵察機の速度性能と航続距離・ステルス性を備えた、F-15Cの制空戦闘能力とF-15Eの対地・対艦攻撃能力とペイロードを持った航空機……もしあったらかなり重宝するのではないだろうか?

 

 ”月蝕計画”はそういう機体を既存技術の研磨と積み重ねと組み合わせで実現しようとする開発計画だ。

 

「それで、だ。ヴェイア、いきなりで悪いがなるべく早くモルゲンレーテのテストパイロット養成プログラムを受けてもらえるか?」

 

 ヴェイアは聡明な男である。

 だからこそ、カガリの言わんとする事が即座に理解できた。

 

「テストパイロットとして開発段階から参加し、機体の慣熟を行った状態で実戦配備に就けということですね?」

 

 カガリは頷き、

 

「頼めるか?」

 

「お任せください!」

 

 

 

 

 

 

⌚⌚⌚

 

 

 

 

 

 

  

「ハッ!? 何やらカガリがぽっと出の何者かにNTRされている気がしますわっ!!」

 

 

【挿絵表示】

「……ラクス様?」

 

 まだラクスの奇行に慣れてないのか、怪訝な表情をするミーア。

 まあ、そのうち見慣れるだろう。

 

「コホン。失礼しました」

 

 ここはソレスタルビーイング本部のあるクニノミハシラ島の一角にあるカフェテリア。

 まあ、ソレスタルビーイングの社員ご用達の店の一つという感じだ。

 

「え~と、確かミーアさん、ご要望があったのですわよね?」

 

「ええ。その実は……」

 

 ミーアは一体、何を相談したのだろうか?

 次回、それが明らかに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳でグゥド・ヴェイア氏、戦線復帰です。

作中でも触れしたが、原作と異なり「戦闘用として作られたコーディネーターだけど調整に失敗したのでオーブ(ソレスタルビーイング)に売却された」ってオチになりました。
それでオリジナルが健全な精神状態と健康な肉体を取り戻したので、ソキウス・シリーズが作られることはないでしょう。
それにしても原作TVシリーズのシーゲル、外伝でのラクスとグゥドとパトリック小父さん、本当に暗殺好きやな~。
ホント「実はC.E.のプラントではなく1920年代の帝政ロシア在住の方ですか?」って聞きたくなるくらいにw

そして無事に社会復帰(?)を果たしたグゥドは”エクリプス・プラン”にパイロットとして合流予定になりました。
そして、”エクリプス”自体が自虐臭のする”日蝕”ではなく、”月蝕”由来になってるという。(英語だと日蝕も月蝕もECLIPSE)
「機動戦士ガンダムSEED ECLIPSE」とは真反対に、逆に盛大に「各国の目を引くように次世代機として堂々と開発する」予定になっています。

そして、ちゃんとオチをつけてくれるラクス様w
(まだラクスの奇行に慣れてない)ミーアとソレスタルビーイングのお膝元でお茶していたようですが……いや、ホント自由だなコイツらw

次回は、ラストに出てきたようにミーアからちょっとしたおねだりが……

どうか応援よろしくお願いいたします。
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