【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
アスラン・ザラは現在、良くも悪くも『時の人』だ。
”憎悪に染まった悪逆非道の父親を、義勇の兵となりて自らの手で討つことで正道を示した英雄”
今のアスラン・ザラのオーブにおける世間の評価はそんな感じだ。
『第167話 獅子巫女のライオン、そして決着と決別』においてのアスランによるパトリック・ザラ座乗の”ヴェサリウス”撃沈は、ガッツリ編集されて地球ののみならずプラントでも”
無論、目的は
・地球における対プラント意識の改善
・プラントにおけるザラ派ネガティブキャンペーン
にある。
実はこの二つは表裏一体、一枚のコインの裏表で、「パトリック・ザラが最高評議長=独裁者になってから、悪いのはプラント全体じゃなくて全部パトリック・ザラとザラ派」という方向性で持ってい港としているからだ。
実はこの路線の原案自体はだいぶ前から出ていて、『第101話 地球連合における対プラント・ドクトリンの確執と故事来歴』においてカガリがアスランにこんな話をしたことを覚えておいでだろうか?
『やるとしたら、”ナチス・ドイツの戦後処理方式”しかあるまいさ』
「???」
『端的に言えば、一切合切の戦争責任をプラント・ザフトを問わず”ザラ派に押し付ける”ってやり方だ。”全てはザラ派が悪い”とな』
アスランのファイナル・アタックは、まさにそのストーリーのクライマックス、あるいはダメ押しに相応しい演出に奇しくもなったのだ。
そしてこれを利用しないオーブの政治家はいない。
しかも幸か不幸か、本人は「愁いを帯びた繊細さを感じる美形キャラ」のビジュアルだ。
常にネタに飢えているマスコミが飛びつき、報道合戦が過熱気味になるのも無理はない。
とにかく「古典作品のような”C.E.に甦った英雄譚”」は話題性に事欠かない。
そこでオーブ政府、厳密にはカガリ預かりとなっているアスランの身柄だが……
「まあ、現在は”暗殺の危険がある為”って名目で再軟禁だしな」
哀しいかなこれもただの大義名分ではなく、強ち処置としては間違っていないのだ。
世界の多数派たる種族・民族を問わない「反ザラ派」にとってアスランは確かに英雄かもしれないが、ザラ派にとっては怨敵、「父親殺しの裏切者」に他ならない。
(今頃は相変わらずメイド隊とイチャイチャしてるんだろうが……)
生還と再会の歓びも一入、感極まったアスランとメイド×3は、その日の夜から「24時間ベッド上耐久選手権・オーブ杯」を開催したらしいことはカガリも報告を受けていた。
レギュレーションは全裸であることだ。
「そりゃあ式にも出られんか……アスランの処遇も頭の痛いところではあるんだが」
「どういうこと?」
「まずオーブの基本方針としては、本人がオーブへの亡命を望まない限りはプラントへの送還なんだが……その目途が現状じゃ全く立たん。ザラ派の残党がどこに潜伏してるかわからん今のプラントじゃあ、暗殺の可能性が高過ぎる。何しろザラ派ってのは頭目のパトリック・ザラからして暗殺を好む傾向があったから」
「あっ、そうか……」
どうやらキラにも思い当たるフシはあるらしい。やっぱり本人にやる気が無いだけで、政治センス自体は悪くない気がする。
「カナーバ議長の人柄や手腕を疑いたくないんだがな……いきなり暗殺も怖いが、アスランを新たな御旗に仕立てようって阿呆な連中も出てくるかもしれん。当然、アスランは聞くはずもないだろうから……ズドンだろうな。結果は変わらん」
旧ザラ派の盟主を討ったのは事実だが、「事実のすり替え」で”自分達だけが通じる、自分達が信じたい事実”を捏造してしまえば良い。
自分たちこそが正義と信じて疑わない、日本でも掃いて捨てるほどいるマスゴミがよくやる”偏向報道”と同じ理屈だ。
「少なくともプラントの”掃除”が終わるまでは返せんし、まず地球連合との停戦条約が締結されるまではまず無理だな。”英雄の死”は、悪い意味で政治カードとして強すぎる。頭ザフトというか脳味噌ザラ派の連中なら、躊躇わずにやりそうだしな」
アスランが暗殺されれば、必ず水掛け論になるとカガリは踏んでいた。
停戦ではなく継戦を望む者は、プラントにも地球にもいるのは確定事項だ。
「じゃ、じゃあアスランはもうしばらくオーブに居られるんだね?」
キラの露骨な喜びにカガリは苦笑し、
「地球連合のお偉いさん達がさっさと話をまとめてくれりゃいいが、この調子だと年内に地球連合の統一停戦要求案が出るのは絶望的。連中が大好きなクリスマス休暇を挟むだろうから決着は早くても1月の半ば。それからプラントとの交渉で……上手くいっても停戦合意は3月までかかるだろうな」
どうやらアスラン、まだ当分はエロエロモラトリアムを楽しめそうである。
「とりあえず、またしても『クリスマスまでにこの戦争は終わる』が守られなかったってとこだな」
西暦時代から続くGN-X、じゃなかったジンクスである。
「良かった。アスランは今年のクリスマスと年末年始はオーブで過ごせるんだ♪」
「そう嬉しそうな顔をされてもな」
⌚⌚⌚
場所は変わり、カガリとラクスのベッドルームでは……
「うふふふっ♪ そうですか、キラが」
「ああ。お前の分、渡しておくな」
そう結婚式の招待状を渡すカガリに、
「確かに受け取りましたわ♪ どんなドレスを着ていこうかしら♡」
「頼むから新婦より目立つのは勘弁してくれよ?」
「TPOくらいわきまえてますもん」
ちょっとぷうっと頬を膨らませるラクスに、その頬を指でつつくカガリ。
「それにマリューさんより目立つのは不可能ですわ。こう、ボリューム的に……」
ちょっとだけ自分の胸を見る……ラクスは何だか切なくなってきた。
「安心しろ。私は平たい女の方が好みだ」
「♡ あっ、ところでカガリ、アスランの処遇は実は大枠では決まっているのでしょう? ”ターミナル”からもそのような話は伝わってきてますし」
忘れられがちだが、一応、ラクスは今でもターミナルと繋がりがある……というか、ターミナルには訓練されたラクス信者が多いのだ。
「”腐れ坊主”……ああ、マルキオの事な? アイツ、導師とか言いつつジャンク屋組合の影の後ろ盾になってるとか生臭すぎるだろ。ぶっちゃけ、底は知れてるがそれでも胡散臭過ぎて好きにはなれんタイプの人間だ」
※原作の某監督によれば「実はSEEDで当初はマルキオがラスボスだった」らしい。
しかも劇場版の時代は、孤児院放り出して行方をくらましているとか……よほど後ろ暗いことでもあったのだろうか?
(まあ、”一族”とも繋がってるのは確実だし……利用価値があるうちは見逃してやるが)
「とにかく、マルキオの非公式チャンネルも含めてターミナル挟んでプラントと水面下交渉してるよ。停戦合意が成立したとしてもプラント本土じゃ身の安全は保証できんし、おそらくは帰還後も当面はボアズ暮らしに落ち着くんじゃないか?」
「ボアズはプラントに返却するんでしたっけ?」
「いんや。対プラント用の事務局は常設する予定だが、形的にはターミナルの”フロント企業”への『資源衛星として売却』って形になると思う。軍港としては使わないって念書付でな」
「……守られますの? その念書」
「守られなくてもいいのさ。ボアズに駐留してるオーブ艦隊をヘリオポリスとアメノミハシラまで引かせる口実ができればいい。念書が破られたら……将来的にザフトが強制徴用するってんなら、その時はこっちの政治的手札が増えるだけだ。やりようはいくらでもある」
興味深いことにこの念書は破られることはなく、2年後のデュランダル議長政権下でもボアズは「宇宙交易港」を看板とするターミナルの拠点として機能する事になる。
アスランとメイドたちはそこにどう関わってゆくのか……それはまたいずれ別の機会に。
という訳で、アスランはどんなに早くてもユニウス条約締結まではオーブ、正確には前と同じメイドハーレム御殿に居そうですw
キラは素直に嬉しいけど、カガリにとっては割と頭の痛いのがアスランの処遇。
そして、たまに名前が出てきてはいちいち言動が胡散臭い
作中にも書きましたが、SEEDの原案ではマルキオこそが黒幕でラスボス、そしてFREEDOMの時代では孤児院振り出して行方をくらましているらしいです。
うん。ガチで怪しい。
それはさておき、原作と異なり時期はユニウス条約締結後ってぐらいではっきりしませんが、アスランはプラントに帰京する予定です。
ただし、当面は安全面と政治面を考慮し、返還(有償譲渡)になるボアズ住まいになる予定みたいです。
でも、そのうちデュランダルあたりに呼び出されそうな?
さて、次回からはいよいよキラの結婚式エピソード、ある意味、このシリーズ全体のクライマックスの一つです。
楽しみしてもらえれば幸いです。
どうか応援よろしくお願いいたします。