【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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なんというか……マリューさん色々パネェっす。





第191話 色々な意味でマリューさんがメインヒロイン回かも? 【挿絵入り】

 

 

 

 さて、「ミーア、ネットアイドル☆デビュー計画」は一先ず置いておき……

 

 C.E.71年12月23日、世はクリスマス休暇真っただ中だというのに、ここヤマト家の若夫婦ベッドルームには、通信機材が持ち込まれて夫婦揃ってオンライン会議に参加中だった。

 社畜には盆も正月もクリスマスも産休も関係ないというのは、C.E.になっても変わらないらしい。

 

 一応、言っておくがカガリもブラックな思考は良しとしてないので、会議参加の強制はしておらず、何なら後でアーカイブ送るから出産が終わって暇ができればゆっくり見てくれ程度の話だった。

 

 しかし、骨の髄まで社畜精神が染み付いた(?)キラが、『いや、流石にオンラインで良ければ最低限お会議くらい参加するよ』と表明。すると新妻マリューも『キラ君が参加するなら私も是非』と言い出した。

 困ったのは今回の会議、『月蝕計画(ECLIPSE PLAN)』の主催者のカガリだ。

 出産までカウントダウンが始まるような身重に無理はさせたくないが、かと言って世界屈指のフェイズシフト素材のオーソリティーである才媛、マリューがいるいないでは会議の効率が違う。

 

 という訳で、カガリは苦肉の策としてポケットマネーで「ちょっとした自動車が買える高級電動リクライニングベッド(セミダブル)」と秘匿機能の付いた通信機材一式をヤマト家に”新婚祝い”と称して送り付け、「体に負担のかからないような状態でなら参加して良し。そして具合が少しでも悪くなったら退室してよし」と念押しした上で二人の参加要請を許諾した。

 つまりリクライニングの半身起こしで参加しろということだ。

 

 

 

 会議の内容としてはまず、”開発マイルストーン01”として提示されたのは、ソレスタルビーイングがジェネシスαで鹵獲し、早くも調査が終わった”ZGMF-X12A テスタメント”を、マリューが提唱した多目的二重フェイズシフト装甲”Multi-merit Twin Variable Phase Shift Armor”、”MTVPS装甲”のテストベッドとして再利用しようという物だった。

 理由においては割とシンプルで、”テスタメント”自体がリジェネの丁寧な仕事のおかげで最小限の損傷で鹵獲できた(第163話参照)こと、元々テスタメントは「ストライカーパックシステムの有用性をザフト側が検証する為に開発された試作機で、背部に連合製ストライカーパック用プラグを有しストライカーパックをほぼ無調整で使用可能」という機体特性を持ち、他にもユニット構造が限定的に採用されており、アップデートに必要な冗長性や拡張性、発展性がある程度担保されていた事。

 多くの予備部品がジェネシスαで接収できた……どころか”ZGMF-X11A リジェネレイト”と同じくジェネシスα内の製造設備自体まで手に入った事から、消耗品などの供給に不安が無かったことなどが挙げられる。

 

 要するにオーブ軍の現行機ではないために好き勝手弄って良いテストベッドとなったのだ。

 現在、テスタメントはQ-IFSシステム入りのオーブ式コックピットブロックにとりあえず換装され、動力システムはザフト製のそれよりも安定した高出力なキラ設計の複合核動力”NBSC(ニュークリア&バッテリー・スーパーコンダクティブ)ハイブリッド・パワーパック”に交換されていた。

 外部からの受電には両肩にフィン状のブレードアンテナを追加することで対応している。

 

 さて、テストベッドの説明が終わった後にマリューは発言を求められ、

 

「あの~、”この子(テスタメント)”って”エクリプス”のテストベッドっていうことでいいんですよね?」

 

 と確認。カガリが頷くと、

 

「だったら、装甲材のテストベッドとして使うだけじゃもったいなくありませんか? 一応、月蝕計画の概要は読みましたがシンプルな長距離要撃任務に使える高速哨戒機ってコンセプトが決まっているのなら、自ずと必要な技術開発も絞れますし」

 

 カガリは興味深そうに、

 

『マリュー・()()()技官。この会議はブレインストーミングも兼ねている。実現可能かどうかはどうでもよく、まとまってないものでも構わないから意見を聞かせてほしい』

 

「えっとですね……テスタメントの製造設備が入手出来ているってことですので、フレーム素材の高強度が必要としない部分を”フラッグ”と同じ蓄水素素材(水素吸着フレーム)に変更して、逆に高負荷部分をVTP素材に変更して全体的に強度バランスを取るのはどうでしょう?」

 

『いいな……興味深い。つまり推進剤タンクを削減する、か』

 

「ええ。おそらく大気圏内で使う場合は膨大な電気量で燃料入らずのプラズマ電磁(MHD)推進だけでも飛行自体はできそうですけど、速度を出すには推進剤を用いた内燃機関、それこそプラズマ・パルスデトネーションエンジンなどがあるに越したこと無いですもの。それに宇宙空間では電磁加速させる大気が無いですから、加速噴射させる流体は必要です。理想から言えば高温高圧プラズマが理想的で、フレーム自体に水素を蓄積できるなら、外装式の強制酸化剤を搭載すれば宇宙でも高い機動性が確保できるはずです」

 

 少し補足すると、電磁推進は「大気を加熱して熱膨張させる」ことから始まる。例えば、同じ圧力なら摂氏3000度まで加熱すれば体積は11倍、5000度まで加熱すれば18倍にまでなる。密閉空間ならそれだけ圧力が上がる、とここまでが第一段階。

 第二段階は高温化した大気に放電し、熱平衡プラズマ(高温プラズマ)化を行い高まった高温・高圧の電離気体(プラズマ)を一定方向に噴出させ推力とする

 ただし、この程度の膨張では大きな推力にはならないのでローレンツ力(MHD)によりプラズマをさらに加速させてそれを補うという物だ。

 ちなみ機外に放出されるプラズマガスでMHD発電もできるので、いくらかの電力回生は可能だ。

 この状態なら、大気その物を推進材として使う為に、電力が続く限り航続距離は無限だ。

 だが、これでは重量100tの物体を超音速巡航させるような使い道には、やや非力だ。

 

 マリューが考えたのはまさにそこで、”イージス・エンデュミオン(第65話)”で採用された”プラズマ・パルス・デトネーション・エンジン(PPDエンジン)”とMHD推進システムを融合させる事により大気圏内外を問わず高出力を発揮できるエンジンを搭載しようというのだ。

 これは既に現実にも近い構造の物が考案されていて、その名を”MPDアークジェット”といい、コンパクト&高出力で火星有人ミッションを始めとする次世代の大規模惑星間輸送を担う宇宙機において本命とされている。

 

「それに改めて思ったのですが……フェイズシフト素材を二重装甲化するのであれば、装甲を密着化させずに中空装甲化してその隙間に充填剤としてミラージュコロイドを仕込めば、省スペース化にもつながるのではないかと」

 

 やっぱりマリューの本職は技術屋ということだろう。

 モビルスーツのトータルデザインということではキラに軍配が上がるかもしれないが、こと装甲材・構造材に関してはマリューの方が一段上に思える。

 

『なるほどな。ゲシュマイディッヒ・パンツァーとミラージュコロイド・ステルスのデュアルモードだけでなく装甲材その物にミラージュコロイドのコンフォーマル・タンクとして機能持たせる……”マルチメリット”の名に恥じないか』

 

「いえ、せっかくミラージュコロイド搭載量と複合核動力による電力量を確保できるんですもの、ここは一歩発想を進めようかと思いまして……一応、試算データを作成したのでご覧ください」

 

 とマリューがファイルを開いて情報共有したのは……

 

『これは、ゲシュマインディッヒ・パンツァーを応用した流体制御……だけじゃないな?』

 

 第189話において”フォビドゥンブルー”のゲシュマインディッヒ・パンツァーを応用した水圧コントロール理論、更にそれを応用した空力制御を考案していたが……

 

「あくまで略式計算ですが……最初は大気の流体制御の副次効果で断熱圧縮熱を逃がすという事を考えていたんですが……”エクリプス”にはモノフェーズ光波シールドないしモノフェーズビームシールドを搭載予定ですよね?」

 

『ああ』

 

「でしたら、そのビームシールドを単なる防御装置ではなく、可変式アクティブ空力カウリングとして使うことで空気抵抗を低減、それとゲシュマインディッヒ・パンツァーの空力整流を併用すれば、更なる大気圏内の高速巡航が可能となるはずですが、そうなってくると断熱圧縮の問題が出てきます」

 

『続けろ』

 

 マリューは頷き、

 

「そこで発想を変えて表層のミラージュコロイドに蓄熱しアクティブ制御で熱対流を起こさせ圧縮熱を回収。それを電磁推進用のチェンバーに排出するというのはいかがでしょう? あと、繊細なミラージュコロイドの制御ですが、テスタメントにはせっかく立派な2本のブレイドホーン・アンテナがついているんですもの。それを使ってみませんか?」

 

 そう、先ほど「大気を加熱して熱膨張させる」圧力容器に断熱圧縮熱を入れてしまおうというのだ。

 

『面白い。なるほど機体表層の熱を最終的に排気に混ぜるか……いいな。ある資材をすべて利用しようというのは、オーブ好みのエコ思想にも合致している』

 

「ありがとうございます」

 

 そしてカガリは会議参加者全員に、

 

『今のマリュー・ヤマト技官の概念を”月蝕計画”の開発優先課題に採用しようと思うが、異論のある者はいるか?』

 

『『『『『異議なし』』』』』

 

 そして全然発言していないキラなのだが……改めて自分の妻の規格外さを思い知ったのか、ただただポカンとした姿が印象的だった。

 

 

 

 

 

 

⌚⌚⌚

 

 

 

 

 

 

 

 そしてその日の深夜、日付がクリスマスイブに変わって程なく事態は急変する。

 マリューが産気づいた、具体的には陣痛が始まったのだ。

 

 キラはカガリに「産気づいたら電話しろ」と渡されたソレスタルビーイング直属病院に連絡を入れて救急車を回してもらう。

 

 

【挿絵表示】

「キラ君、大丈夫だから、ね?」

 

 病室ではかなげに微笑むマリューにオロオロしてしまうキラ。

 お産で男が役に立つことなど稀だろう。

 ラマーズ法? ソフロロジー法?

 C.E.のオーブでは、そもそも立ち合い出産自体が廃れている。

 何しろ化学薬品の麻酔ではなくオーブ自慢の()()()()()()()、ソレスタルビーイング(より正確にはイノベイド)謹製体内注入式ナノマシンの一種である”医療用ナノインプラント”をコントロールしての無痛分娩が主流だ。

 言うなれば分娩室は母体とプロフェッショナルなスタッフたちの領域だった。

 

 そして……

 

”おぎゃあ! おんぎゃあ!!”

 

 C.E.71年12月24日クリスマス・イブ、サンタは一日早くプレゼントを届けに来た。

 ヤマト家第一誕生。

 

 元気な女の子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、短時間でMTVPS改良案を考えつくは出産するはで大忙しのマリューさんでしたw

オーブの医療技術は、ナノマシン(イノベイド謹製)治療にIPS細胞などを用いた再生治療などなんでもござれ、おかげで化学薬品系は医療薬としては現在よりオーブではシェアは少ないですね。
まあ、という訳で安心安全なノーリスク出産で、母子ともに健康です。

それにしてもテスタメント君、外伝出身機なのに次世代技術開発テストベッドとして大活躍の予感w
これも原作では地球連合に鹵獲されて”RGX-00”にリニューアルされた因果を引き寄せたのでしょうかね?

さて、次回は産まれたヤマト家のニューカマーな女の子の名づけイベントやオーブのクリスマスや年末年始の風景でも。

ちょっとストックが少なくなってきましたが、どうか応援よろしくお願いいたします。




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