【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
まあ、オーブは別段「綺麗な国」って訳じゃないですのでw
C.E.72年2月
地球連合とプラントの交渉団が喧々諤々の議論という弾丸が飛ばない戦場に居る中、オーブはオーブで色々とプロジェクトが動いている。
「ねえカガリ。やっぱり”エクリプス”は、核動力用のストライカーパック対応で汎用性を稼ぐより、むしろ”イージス”みたいにバックパックを専用設計のビルトインにした方が持ち味を活かせると思うんだ」
さて、1月いっぱいでたまっていた有給休暇と特別休暇を消化しきったキラは本来の仕事、エンジニア職へと復帰していた。
所属は、新設される緊急展開任務群”
つまり、現在のキラのメインな仕事場は『第63話 キラと”社畜部屋(笑)”、そしてハイペリオン&アストレイの将来像?』で初お目見えした”社畜部屋”だ。
『ふむ……なるほど』
今日の相談相手はカガリで、議題はどうやらオーブで開発中の次世代モビルスーツの一つ、核動力機の”エクリプス”についてらしい。
『第189話 ”Multi-merit Twin Variable Phase Shift Armor”』において、鹵獲した「ZGMF-X12A”テスタメント”」の改修機をテストベッドに現在、開発が行われているが……
最近のコンセプト会議で、
”変形機構を取り入れた高速移動形態を実装する”
という方針が固まった。
元々は、”試製ムラサメ”の変形パターン候補の一つにあった「両足の裏を合わせ、前へ投げ出すパターン」というちょっとスパロボ風の変形パターンを導入しようということになった。
より航空機に近い空力的に優れた”ムラサメ”の変形パターンだが、やや構造が複雑で、また構造的に従来型のストライカーパックへの対応が不可能であり、やや拡張性に欠けるという評価だった(故に特に宇宙戦用の専用バックパックの別途開発がプランとしてモルゲンレーテより提出されていた)。
エクリプスに採用予定の変形パターンは、ムラサメのそれに比べれば簡易変形の分類で空力的には劣るが、マリューが提案した”MTVPS(Multi-merit Twin Variable Phase Shift)装甲とモノフェーズ光波シールドの空力デバイス化でその辺はある程度の補いはつくと判断された。
何より、この両足を前に投げ出す方式は背中に各種ストライカーパックの接続が可能となるため、拡張性の大きさがメリットとして考えられていた。
そして現在、”テスタメント”にMTVPS装甲や蓄水素・VTP複合フレームの実験に加え、変形を前提とした下半身の改修とエールストライカーを元設計にした核動力機用のストライカーパック(後のマニューバストライカー)の開発が並行して行なわれていた。
『しかし、そうなればストライカーパック起因の拡張性や汎用性、発展性がオミットされるが?』
「汎用性はバックパックをユニット構造にして、武装をコンポーネント化すればある程度は補えるんじゃないかな? そうすれば交換だけじゃなくてメリットとかもやりやすくなるし。何より予想できるペイロードの増大とより強化できる性能は、ストライカーパックの特性をトレードオフしても十分お釣りがくると思う」
『ふむ……お前がそう言うなら、やってみるか? しかし、あまり時間はかけられんぞ? 既にストライカーパック対応型は開発が始まってるからな』
「バックパックの搭載武装とかを個別開発せずに現行のそれを流用すればなんとかなると思う。手持ちの装備は現行の物でいいわけだし」
『目星はついてるのか?』
「うん。”フォビドゥン”のフレスベルグ(曲射プラズマ砲)を改修して核動力対応にするついでにユニット化しようと思ってるよ」
実際、キラはシャニのフォビドゥンの核動力化を中心とする改修も行っていた(第79話参照)為、その経験が生かせるし、フォビドゥンの予備部品としてオーブにフレスベルグをはじめとするパーツが残っていた事も幸いしたようだ。
『分かった。基礎設計だけでも早めに上げてくれると助かる』
こうして”エクリプス”は原作と異なる経緯とコンセプトで、原作同様に1号機と2号機が開発されることとなった。
最も名称としては、何の影響かはあえて書かないが……名称は”初号機”、”弐号機”という名称が使われる事になる。
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さて、オーブで伸びているのは”次の戦争”に対する準備だけではない。
例えば……
あきらめないで 夢はきっと叶うから
頑張る君のそばに素晴らしい仲間たち
昔は顔も知らない人同士 今では不思議皆仲間さ
一人じゃできないコトだってそうさ 力合わせて絶対クリアできる
時々負けそうになっても
忘れないで一人じゃない 何度でも立ち上がるさ
あきらめないで夢はきっと叶うから
走り続けてる 君にたくさんの仲間たち
自分の殻に閉じこもっていないで外に出ようよ出会いがあるから
世界で一人しかいない君を待ってる人が必ずいるんだから
時には本気でぶつかるけど
共に笑い 共に泣いて 大きな夢を目指して
あの日出逢ったこと それは大事な宝物
これからもずっと心離れはしないよ ねぇ
涙を流して暗い道に迷っても
信じ続けてる君は一人じゃないこと
思い出して だから
あきらめないで夢はきっと叶うから
頑張る君のそばに素晴らしい仲間たち
ミーアが歌うのはアップテンポの「アガる曲」、西暦時代の「はっぴぃセブン 〜ざ・テレビまんが〜」というTVシリーズの主題歌だった”あきらめないで”だ。
歌詞の内容自体はいわゆる”応援歌”なのだが……ちょっと待って欲しい。
これを”ザフトの捕虜に聴かせる曲”、それも”暴徒化・脱走兵化などを抑制する”ことを目的と考えると、かなりえげつない選曲ではないだろうか?
なにしろタイトルからして「あきらめないで」だ。続く歌詞も「夢はきっとかなう」「一人じゃない、仲間たちがいることを思い出して」……例えザラ派であろうと、捕虜にとっての叶えたい夢が何かといえば、数々の歴史上の戦争捕虜事例を考えれば、戻りたくない理由がある者を除いて大多数は「故郷に帰りたい。故郷に残してきた家族にまた会いたい」などの望郷の念だろう。
特別収容所には一部屋に一台、受信専用の端末が配されているのだが、余計な情報を与えない為にストリーミング配信される内容は当然限られている。
大雑把に言えば、「どこか他人事のように淡々と停戦条約締結に向けた各国の動きを中心に流すニュース」とオーブという国を紹介する旅番組的な作りのプロパガンダ番組、ラクスやミーアの配信がエンタメとしては主だった物と考えていい。
オーブにはいかに公的にはテロリスト扱いとはいえ捕虜虐待する暇などないし、強制労働をさせてヘイトを稼ぐ意味もない。
無論、24時間体制で警備用オートマタを巡回させつつの監視対象だが、形通りの尋問を終えれば、特に他にすることもさせることもない。
故にザフト捕虜の大半は暇を持て余し、数少ない娯楽である端末に群がるのは当然の帰結と言えた。
その中で、停戦まで間近と思わせる「虚飾を排し事実のみを淡々と伝える味気ないともいえるニュース」とセットで、「あきらめないで。あなたは一人じゃない。夢はきっとかなう」と歌われるのだ。
しかも歌っている
無論、「強制的に歌わされているのでは?」と邪推する者もいたが、ラクスと仲良さげにトークしている姿が配信されれば、それをいつまでも引っ張ることは出来ない。
故にザフト捕虜にはミーアに対するシンパシーが生まれた。
考えてみれば自分達も身柄は拘束されているが、嗜好品はなくとも三食過不足なく食べられているし、特にこれと言った虐待や強制労働が課されているわけでは無く、また露骨な懐柔や裏切りの教唆などをされたことはない。(もっとももこれは、オーブがザフト捕虜に多くを期待していないという意味でもあるが……)
強いて言うなら退屈が苦痛なくらいだ。
であるのであれば、よほどのバカか拗らせた者でもない限り、「停戦がなされれば自分達はプラントに戻れる」と誰に言われるまでもなく思うことだろう。
当然だ。オーブはそれを狙って誘導しているのだから。
例えば、気がつけば故郷に思いを馳せながら、ザフト捕虜が”あきらめないで”を口ずさむというのが、オーブ管轄の収容所では当たり前の風景になっていた。
まあプラントと地球連合の合意が成れば、現実に即座にオーブは特使を送り、オーブ国内で拘留されているザフトの引き渡し交渉を始めるだろう。なぜならオーブには「受け皿の準備ができれば厄介者を国内に留め置く理由がなくなる」からだ。
既に法的な「特例措置」の準備は終わっており、送還予定者のリストアップも終わっている。
後は実際に話し合いで詳細を詰めるだけだ。
だが、ここで一つ書いておかなければならない事がある。
彼ら・彼女らは『プラントの現状を知らない』。
これも当然である。公式には『オーブは現在のプラント国内情勢の詳細を把握していない』事になっているのだから。
つまり知らないことを伝える事は出来ないのが道理だ。
文豪の室生犀星によれば「ふるさとは遠きにありて思ふもの、そして悲しくうたふもの」であるらしい。
なるほど、確かにその通りなのだろう。
思い出や記憶の中の故郷は離れるほどに懐かしく、現実は常に厳しいのだから。
繰り返すが、オーブは露骨な懐柔や内通者の勧誘などは、少なくとも表向きは行ってはいない。
そこまで捕虜に期待してないし、その必要もないのが根本的な理由だ。
しかし、映画「バルトの楽園」の”板東俘虜収容所”程ではないが、オーブでそれなりに平穏な……戦場から離れ、少なくとも三食に不自由ない退屈な時間を過ごした捕虜たちが、ザラ派の身柄拘束や公職追放が行われているプラントに戻った時の行動も関知するつもりはない。やっと帰ってきた故郷が、どのように迎え、どう扱い、その結果彼ら彼女らがどう思おうとだ。
それがオーブの方針であった。
なんかキラが”エクリプス”の2パターン目を開発することで、原作のエクリプス1号機と2号機を別の方式で再現する事になったようです。
ただし、どっちも核動力機で名称も初号機と弐号機になる模様w
絶対、計画関係者の上の方にエヴァのファンがいるだろうな~と。
ちなみにバックパック・オールインワンのキラ案とストライカーパック対応の原案、どっちが初号機になるか不明。
ストライカーパック対応の方は”テスタメント”をテストベッドに開発を進めてますし、キラは設計これからだけど、既存のコンポーネントを流用することで開発期間を短縮するみたいです。
そしてミーア、どうやらライブ配信(と短いスカート)に慣れ始めたみたいですw
いや~、知る人ぞ知るアキバ系の走りで今や懐かしい「Little Non」様のアップテンポ・ナンバー”あきらめないで”。
良い曲なんですが、選曲意図を考えると実は割とエグいチョイスw
ぶっちゃけ捕虜たちの暴発を防ぐだけでなく、実は戦後の仕込みも兼ねていたという。
次回はいよいよ”ユニウス条約”に話が繋がってきます。
執筆ペースがやや落ちていますが、どうか最後まで応援よろしくお願いいたします。