【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
C.E.72年2月14日、”血のバレンタイン”から2年を迎えたこの日、地球連合とプラントは停戦合意に至った。
そして、開戦に、あるいは戦争自体に意味深いユニウスセブンからとって、この停戦と戦後処理の国際条約は”ユニウス条約”と呼称される事になった。
【1.リンデマン・プランの遵守】
【2.賠償金放棄】
【3.戦争犯罪者は各国それぞれで裁くものとし、国際裁判は開かない】
【4.旧プラント理事国への関税優遇】
【5.リンデマン・プランに関する査察の無条件・無期限受け入れ】
【6.ニュートロンジャマーキャンセラーの軍事利用禁止】
【7.ミラージュコロイドステルスの使用禁止】
【8.プラントのジブラルタル・カーペンタリア両基地の再建と台湾島基地の維持。在地球公館の設置】
【9.地球軍監視団基地・在プラント公館の設置】
【10.月の中立地帯化・両軍に同数の月面基地設置許可】
原作と比べるなら、プラントの戦後における拠点にザフトが維持し続けている台湾島基地が追加されたが、大きく破壊されたジブラルタルの復旧はともかく、カーペンタリア基地は0からの再建が必要となり、あったはずの【11.国境線の復旧】が抜け落ちていた。
戦前の国境線に戻すことは、当事国の誰もが口に出さなかった。
今更、戦前に国境線を戻すことは不可能だからだ。
この世界線における”ユニウス条約”は、現状における各国の支配領域と国境線の確認という意味がかなり強い。
なぜならば単なる停戦ではなく、暫定的でろうとなかろうと「次の戦争が起こるまでの線引きと秩序」を決めるのが、本質的な条約の目的だからだ。
正式な調印は3月1日に行われるとされ、施行は4月1日とされた。
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プラント暫定最高評議長であるアイリーン・カナーバにとり、”ユニウス条約”のアウトラインが出来たとはいえ、頭痛の種が収まったわけでは無い。
むしろ、これからが本番だった。
無論、地球連合との定期的な会談や折衝や協議は必要だが、それは織り込み済みだ。
加えて、オーブから早速密使が来た。
内容は単純に、「オーブで身柄を拘束しているザフトを僭称するプラント人を条約施行後の早い時期に送還したい。引き取ってくれるならオーブからの引き渡し条件は特にない。引き渡し方法やスケジュールに関して話し合いたい」という物であった。
「気持ちはわかるけど……オーブ、どんだけ送り返したいのよ?」
「そりゃあ燻り続ける火種をいつまでも国内に置いておきたくはないだろうからな」
最高評議員として復帰したタッド・エルスマンとそんな会話があったという。
「捕虜の引き渡し条件はないって事だけど、”ジェネシスα”に関して何も書いていないってことは、それが条件……身代金代わりとするって意味よね? 多分」
「おそらくな。プラント政府としては、『ジェネシスαに関しては存在を関知していない』というのが公式見解となる」
そうなのだ。
ジェネシス同様に、その原型となった試作品”ジェネシスα”はパトリック・ザラ独裁政権下で徹底的にその存在を秘匿され、記録を抹消されていた。
どうやら詳細な資料はヤキン・ドゥーエに補完されていたようで、今は海の藻屑ならぬ宇宙のデブリだ。
皮肉なことに”ジェネシス”関連の資料がもっとも残っているのは、そのデータを人知れず”抜いた”オーブ、正確にはイノベイドと”ヴェーダ”である。無論、オーブはそれを公表するほど馬鹿正直にはできていない。
故にカナーバ政権としては、「ジェネシスαの存在は把握していない」というのが公式見解となり、オーブに接収されたのは「未確認の施設」とするのが一番穏当であろう。
「エルスマン、仮にプラントがジェネシスαの返還要求を出したらどうなると思う?」
「ジェネシスがプロパルジョン・ビーム発生器から巨大ガンマ線レーザーに改造されたんだ。ならばその試作品であるジェネシスαをプラントが所有権を主張したら、同じ様に改造すると指摘されるだろうな。『今度は巨大エックス線レーザーで何をするつもりか?』と」
「やっぱりそうなるわよね~。そうなれば、”ユニウス条約”は即座にご破算になり兼ねないわね」
「どっちにせよ、今のプラントではジェネシスαなど無用の長物だ。実際、デブリの中に隠遁されたアレを守るために駐留戦力などない以上、変な連中に奪われるくらいなら、むしろオーブに『所属不明の施設』扱いで接収された方がマシとも言えるな」
「否定できる材料がないのが辛いわ。エルスマン、オーブがジェネシスαを何に使うか知ってる?」
「いや、その情報はまだ入ってないはずだが?」
「密使から私宛に直接連絡があったのよ」
※密使=イノベイド脳量子波ネットワーク
「新しい公的機関立ち上げて太陽系外、深宇宙観測の技術開発拠点にするんですって。皮肉よね? プラントよりオーブの方が、ジェネシスの本来の使う方を弁えているなんて」
「何と言うか……あるべき物があるべき所に収まったということか?」
カナーバは小さくうなずき、
「認めたくはないけどね。シーゲル様が夢見た”深宇宙開発の
そしてカナーバは両頬を気合いを入れなおすようにぺしりと叩き、
「さて、今は”ユニウス条約”の調印と施行に向けて、全力で動くとしましょう。捕虜の返還とかはそれからの話な訳だしね。忙しくなるわよ~。そのためにエルスマン達には大急ぎで復帰して貰ったわけだし」
「ああ。そうだな」
無愛想だが実直さがよくわかる表情でタッド・エルスマンは頷いた。
(やれやれ。シーゲル様は、今頃どこで何をしているのやら)
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では一方その頃、元プラント最高評議長シーゲル・クライン改め”シゲル・クライシ氏”(第178話参照)は何をしているかと言えば……
「へぇ~。新しい住処も悪くないじゃない♪」
火照った体を落ち着かせるように、
ここは正式にオーブ領土に編入されたニューギニア島東部、新規開墾予定の農地に設営された開拓村に隣接した雑木林だ。
そう、シゲルとマレッタは、ハーフコーディネイターとその肉親、賛同者が主な住人だった”南米の隠里”の面々と共に、新天地へと移住していた。
用意のいいことに、衣食住に最低限は困らない住居と水道や電気、通信などのインフラはニューギニア島東部のあちこちに道路とセットで村落単位で整備されていた。
各国で迫害を受けつつあったコーディネイターのオーブへの移民の増加は既に開戦前からムーブメントとしてあり、戦中・戦後に爆発的に増大する事を見越して、”隠里”の住人に限らず前もって準備していたのだろう。
オーブ本土と呼べるソロモン諸島やビスマルク諸島と異なり、当時は大洋州連合との係争地にも関わらずニューギニア島東部は、戦時中もこれといった大きな戦闘は無かった為に、移民受け入れの事前開発が殊の外上手く進んだらしい。
まあ、増大する受け入れ移民対策は急務だったし、何より夢の食料自給率100%を達成する為にオーブ政府も気合いを入れたのであろう。
少なくとも兵器開発よりは建設的な国家事業なわけだし、財務省も予算を出し渋る理由は無かった。
事業というのは予算と時間と人手があれば、ある程度はどうにかなってしまうという典型だった。
まあ、急場しのぎの為にニューギニア島東部各地に建設された住居は、21世紀現在でいう「
無論、それが開拓民という仕事を課せられてもだ。
衣食住の心配をしなくて良いだけでも、彼ら・彼女らにとっては故郷を捨て異国を射目指した甲斐があった……大半はそう思える程度には追い詰められていた。
「”住めば都”とも言うしな。人間というのは存外、しぶとい生き物なのだろう」
シゲル・クライシ。戸籍上の年齢はイアン・バスティと大体同じ。
現在の立場は「開拓村の取りまとめ役」、平たく言えば村長だ。
はてさて、彼の待望である”ただの雑貨屋のオヤジ”が叶うのが先か、愛娘に発見されて強襲されるのが先か、はたまたラクスに年の離れた弟か妹ができるのが先か……興味が尽きない事にはなりそうだ。
今回はユニウス条約の進捗と、一夫その頃二人は的な新旧評議長、お久しぶりのカナーバさんとシーゲル・クライン改めシゲル・クライシ氏の再登場です。
無論、出自的にカナーバはイノベイド自慢の”ヴェーダ”と脳量子波ネットワークもあり、情報学的に遅れを取ることは無いですが、だからといってそこまで仕事が減るということも楽になることもないというw
まあ、見えるものや知るものが増えるということは、できる事も増えるって意味ですしね~。
ちなみにカナーバが未だにシーゲルを様付けなのは、ちゃんと元評議長としてそして元穏健派のリーダーとしてちゃんと敬意を払っているからっぽいです。
パトリック?
いや、あれは評議長じゃなくて戦争指導者だしw
そしてシゲルさん、マレッタ共々、無事にオーブに到着。
さっそく新天地で周囲の状況確認をかねて森林浴デートする開拓(開墾)村の村長さんですw
ちょっと次回はまだ執筆してないので未定ですが、おそらくそろそろC.E.72年3月に入るのではないかな~と。
どうか応援よろしくお願いいたします。