【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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さて、いよいよ最後の時が迫って来ました。






第199話 C.E.72年3月1日、”ユニウス条約”調印 【挿絵入り】

 

 

 

 C.E.72年3月1日、懸念された”ユニウス条約”調印式に対する地球連合・プラントの和平反対派テロのテロも未然に防がれ、事なきを得たことにより調印式は恙なく、むしろ和やかな雰囲気で執り行われた。

 もっともこれは調印式の前に開催されたレセプション・パーティーに現れた……

 

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 カナーバのビジュアルのおかげと言えなくもない。

 ハニトラとまでは言わないが、自分の容姿すらも外交工作に用いようとするカナーバは中々に強かだ。

 実際、地球連合代表として調印式に出席していたコープランド大西洋連邦大統領は、見事に鼻の下を長くしてたし。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 調印の前のレセプションと聞いて、「そんなシーン、原作にあったっけ?」と疑問に持たれた方はいるだろうか?

 面白いのは調印場所に選ばれたのは原作世界では破壊されたオーブのスぺ―コロニー”ヘリオポリス”だったということだ。

 原作ではユニウスセブンの残骸にて調印式が行われこの世界線でも当初はそうする予定だったが……、

 

 

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「果たしてそんな場所で、両国の重鎮が参加する式典に対する十分な準備や対テロ対策ができますかね? それにレセプション、調印署名式、共同記者会見はどこで行うんです? 降伏文章の調印でもあるまいし、まさかどちらかの国の軍艦で行うおつもりですか?」

 

 大西洋連邦復興長官(ムルタ・アズラエル)が、平たく言えば「互いが礼節に欠けてきわめて非常識」と苦言を申し立てたのだ。

 別の言い方をすれば、

 

「国際条約というのは、式典の成否すらも組み込まれるのです。国家間条約を無礼(ナメ)るのも大概にして欲しいですねぇ……国家の品格という物を問われ、国民にその模様が晒されるということは少しは考えてください。見栄も張れない国際式典で、あなた方は何をアピールするつもりなんです?」

 

 表の権力者となったムルタ・アズラエル長官は、「大西洋連邦のユニウス条約調印に関する全権委任特使」を買って出た。

 そこで彼が各国の実務担当者に提案したのは、

 

「僕が代表交渉しますから、オーブの”ヘリオポリス”で行いませんか? 場所も地球からもプラントからも等しく遠いL3宙域ですし、あそこは元は研究学園都市として運用されただけあり、各国の重鎮を招いた研究発表会を行えるレセプションホールを備えた公館もある。オーブは中立国ではありますが、幸いにして大西洋連邦の安全保障条約相手国、コネも伝手もありますし」

 

 だが、意外なことに最初に難色を示したのは歴史的敵国であるユーラシア連邦と東アジア共和国では無くプラント代表担当官だった。

 彼は穏健派でカナーバからの信頼も厚く、そうであるがゆえに『オーブを激怒させて、戦争に積極参加しザフト殲滅大会を嬉々として始めるきっかけになった場所』の使用提案を行うこと自体が、今のところは矛先を収めて大人しいオーブを著しく刺激するのでは?と恐れたのだ。

 その怯えっぷりは、まさに『人喰い獅子に対峙するが如し』だったとアズラエルは後に語っている。

 

(まあ、無理もありませんけどね。もっとも多くのザフトを殺してるのはオーブでしょうし。それも負けなしで)

 

 民間人を含めるならプラント在住者をもっとも殺したのは”血のバレンタイン”を起こした大西洋連邦だろうが、ザフトに限ればおそらくオーブがトップで僅差で大西洋連邦だろうか?

 地球連合というくくりではもしかしたら逆転するかもしれないが。

 

「プラントから言いだせば確かにその通りかもしれませんが、仮にも共闘した我が国からの提案ならば、少なくとも門前払いにはならないでしょう。必要経費も地球連合とプラントで持つと言えば尚更です」

 

 そして、アズラエルの唆しが始まった。

 

「本当の目的は、オーブをどんな形であれ”ユニウス条約”に関わらせることなんですよ。条約自体に批准させる事は、もはや何があっても不可能です。彼らは決して”戦争”と認めませんからね。だけど、会場を貸すことで彼らは軽くとも関わりを持つ、小さくとも道義的責任が発生すると考えるでしょう。オーブとはそう言う国なのです」

 

 やけに自信満々に言うアズラエルに、何か言いたげなユーラシア連邦と東アジア共和国の代表担当官だったが、

 

「それに見てみたいと思いませんか? この場の誰も知らない”宇宙要塞と化した後のヘリオポリス”の内部を」

 

 こうして満場一致で調印式の開催予定地が決まり、オーブへの打診は思惑通りにアズラエルに一任される事となった。

 

 

 

 

⌚⌚⌚

 

 

 

 

 さて、この打診を受けたオーブとしては、

 

 

【挿絵表示】

「プラントにユーラシア連邦と東アジア共和国を招き入れるのは確かに業腹だが、ここは『諸経費が相手持ちで大西洋連邦に貸しを作れる』と開き直るしかないだろ? 確かに式典失敗で条約ご破算となれば、オーブも他人面してる訳にはいかなくなる」

 

 マフィアのドン、もとい外交代表のウナト・エマ・セイランの発言からわかる通り、オーブ国内の反応は「吝かではない」という物が大半だった。

 民間人居住が今のところ原則禁止されている”宇宙要塞ヘリオポリス”ならば、予想されるテロだの襲撃だのの対応はしやすいというのはごもっともな話と言えたし、まあ「停戦条約に向けた協力」ならば反対する理由はない。

 国民の大半は、プラントから手を出されない限りオーブがこの戦争にこれ以上コミットすることが無いことは理解していたが、かと言って戦争状態が継続されることが良いとは思っていないという考え方だ。

 

 ちょっとこの頃のオーブの世相を表す情景を描いてみよう。

 いったいどこから資金提供を受けたのかはあえて書かないが……ごく少数の”和平反対派”を標榜する集団が、内務省国家公安部の環視の中でデモ行進を行ったのだが、

 

『そもそもオーブは戦争当事国じゃねーしwwwww』

『会場貸すだけだろ? オーブを条約批准できなくとも、どうにかして巻き込もうという意図が見え隠れしてるがw』

『こいつら一体何と戦ってんだ?www』

 

 哀しいかな国民の一般的な反応は概ねこんな感じ、失笑や冷笑であった。

 トドメに、

 

「戦争当事国では無いとはいえ、偶には平和貢献というのも良いだろう。誰の損になるわけでも、国益を損なうわけでも無いんだからな」

 

 その『気を抜いた、肩肘張らない平和貢献』という緩くて耳障りの言い発言が決定打となり、民意の後押しもあり方針は決まった。政治的古狸の本領発揮である。

 それに、勘の良い皆様はもう気づいたのではないのだろうか?

 実はこの”大西洋連邦の実質的なトップであるアズラエル長官”と、”次期オーブ代表首長が確定しているウナト”の会談その物が強力な外交カードになっているということが、だ。

 つまり、

 

 ・条約に批准しないと言い切ってるオーブを動かす権勢を示したアズラエル

 ・大西洋連邦最高権力者に「貸しを作る」という名目で強固な繋がりをアピールしたウナト

 

 という図式である。

 つまり、戦後もオーブと大西洋連邦の二国間の関係は、強化されても衰退することはないという他国への示威行為だ。

 無論、無自覚ではなくアズラエルもウナトも意識的にやっている。

 そもそも意識的でなければ、ウナトではなくウズミが対応したことであろう。これも戦後の新秩序、”ウナト代表首長・アズラエル長官体制”に向けた布石だと考えて間違いない。

 

 そう、原作世界であった「ウナト・オーブと地球連合体制」とは全く異なる世界へと、第一歩が踏み出されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、オーブのあるソロモン諸島やビスマルク諸島、ニューギニア島東部は赤道にほど近く、年間の寒暖差の近い常夏の国と言ってよかった。

 年中温暖な気候と呼ぶには暑い気もするが、太陽は燦燦と輝き空も海も蒼いという気候風土だ。

 

 

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「カガリ、カガリ♡ 海が気持ちいいですわよ~♪」

 

 まだ3月だというのに休日のビーチデートでご満悦の歌姫が居ても何らおかしくはないのである。

 まあ南半球では北半球と季節が逆転するのでもう3月という言い方の方が正しいのだが、年間平均気温25度以上の国を甘く見てはいけない。ちなみに温暖化が進んでいるとされる21世紀の年間平均気温でも東京で15~16度、沖縄でも24度に届かないくらいだ。

 

 もっとも海水浴やマリンスポーツのみならず、僅かばかり海風が心地よい涼しさを感じさせる時間帯ならば、公園を散歩するのも悪くない。

 時折、”お散歩プレイ”に興じるカップルだか夫婦だかもいるが、そこはオーブ。細かいことを気にしても仕方が無い。

 

 さて、そんな数ある海沿いの公園の一角で、黄昏ている一人の少女がいた……

 

 

 彼女の名は、”フェルト・グレイス・レゾナンス”。第120話以来の久しぶりの登場だ。

 ソレスタルビーイングの支援組織の一つ”フェレシュテ”の頭目夫妻にして元ガンダムマイスター、ルイード・レゾナンスとマレーネ・レゾナンスの間に生まれた一人娘で、現在多感な14歳。

 飛び級で既に義務教育課程どころか高等学校相当のエデュケーションプログラムを終えて、はれて4月よりソレスタルビーイングへの正規採用が決まっていたが……

 

 

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「どうしよう……本当に好きになちゃったかも……」

 

 ……本当に悩みの多いお年頃のようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そしてラストにちょっこっと00要素を入れて行くスタイル(挨拶

歴史の転換期って意味も含めて、このエピソードではユニウス条約調印式自体にスポットを当ててみました。
原作では軽くモノローグで流されてますが、この手の国際条約調印式は暗闘じみた外交交渉とは一線を画した衆目に触れる外交の花形、一大イベント、ついでに自国民向けにも対外向けにも絶好のプロパガンダになるんですよね~。
生粋の資本主義の権化である政治的動物のアズラエル長官はそれを良く弁えていたわけで、そこで同類であるオーブ産の政治的古狸に話を持って行ったって訳です。
無論、話に出てこないだけでカガリを通じてw
当然のようにこれらの行動は「戦後世界を見越して」のことであり……

とまあ生臭い政治話だけでもあれなので、最後にチラッと悩める少女の姿を清涼剤代わりに入れてみましたw



唐突ではありますが、以前の宣言通り、次話の第200話で一旦、物語を完結させようかと思っています。
元々、このエピローグはヤキン・ドゥーエ戦後からユニウス条約締結までのエピソードをまとめたものにしようと思っていたもので、こうして条約も調印できたことだしそろそろ終わりで良いかなと思いまして。

無論、まだ回収していない伏線もあるのですが、そっちは完結後のエキストラ・エピソードにするか、いっそ次回作のプロローグに組み込むか迷ってるんですよね~。
いや、次回作を書く覚悟もまだ固まりきってないしで。

とはいえ、最終話はとにかく「ガンダムらしくない終わり方」を目指そうと思っています。

本当にここまで読んでくださりありがとうございます。
残すところ1話となりましたが、どうか最後まで応援よろしくお願いいたします。






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