【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

200 / 200
泣いても笑っても最終話です。
皆様の応援のおかげで、何とかここまで辿り着けました。
本当にありがとうございました。






第200話(最終話) The LAST SONG 【挿絵入り】

 

 

 

 C.E.72年3月某日

 ”ユニウス条約”の調印も無事に終わり……仮初めかもしれないが和平への道筋が見えたことで、オーブ首長国代表首長”ウズミ・ナラ・アスハ”の勇退が大々的に報じられ、世界中のメディアを賑わせた。

 

 

【挿絵表示】

「ヘリオポリス襲撃より始まる、全てのザフトを僭称する国際テロ組織との戦闘は我が責任とする。世界から戦乱が去るというのなら、我が役割もここで終わるということなのだろう。それがこの戦乱の時期に代表首長を務めた私のけじめとしよう。国民よ! 愛すべきオーブの民よ! 戦いの日々は過去となるのだっ!! 古き衣を脱ぎ捨て、新しき時代に生きようではないかっ!!」

 

 その宣言を聞いた時、誰かが言った。『古き良き時代の終焉である』と。

 別の誰かが言った。『微睡みの時代は終わり、混沌の時代の始まりの終わり』だと。

 また誰かが言った。『人道主義を貫く己がが通じぬ時代が来るからこそ、ウズミ様は身を引くのだ』と。

 

 それらの言葉は、間違いでもあり正しくもあり、誤解もあれば理解もあった。

 ザフトとの戦闘と大西洋連邦との共闘を非難するオーブ国民は他国と繋がりがある者や『どんな状況でも不戦を貫くべきだった』とする頑迷な絶対平和主義者、三大理念原理主義者などごく少数であり、国民の多くは「取るべき戦争責任はない」と考えていたが、同時に納得もしていた。

 ウズミの気性を考えれば、むしろこうなることを予想していたと言い換えてもいい。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 時間というのは誰でも平等に流れる。

 そして、時間は良くも悪くも変化を生む。

 ウズミの辞任が世間を賑わす中、今は子育てに仕事に大忙しのヤマト家のお隣、アスカ家のリビングでは……

 

「ははっ! やった! やったぞぉっ! 俺はやり遂げたんだっ!!」

 

 珍しいくらい大はしゃぎする(シン)の姿に、

 

「どったの、お兄ちゃん?」

 

 思わずきょとんとする(マユ)である。

 

「マユ、これを見てくれ!」

 

 そうウッキウキで見せてくるシンの端末を見ると……

 

アロウズ(ARROWS)特別研修生 合格通知”

 

 という文字が躍っていた。

 

 

【挿絵表示】

「おお~っ。お兄ちゃん、やったじゃん♪」

 

 さて、ちょっとだけこの兄妹の補足でもしておこう。

 元々、オーブ軍全面協力のリクルート映画の影響でモビルスーツのパイロットに憧れたのは、妹のマユの方だった。

 だが、彼女は三半規管が弱く、モビルスーツのコックピットを模した”エクストリーム・モビルファイト”というシミュレーター型ゲームの筐体にちょっと乗るだけで虹色リバースするくらい乗り物酔いする体質だったのだ。

 

『お兄ちゃん、マユはどうやらここまでのようだよ……仇、とって……ね……』

 

 ……いや、なんで回想のセリフ回しが死亡シーンっぽいんだ? 乙女の尊厳が死にかけたからだろうか?

 妹の願いと夢を叶えようとシンは一念発起。

 飛び級してさっさと義務教育修了相当のエデュケーション・プログラムを終了させると、高卒エデュケーション・プログラムを受けながらモルゲンレーテとソレスタルビーイング合同主催の「少年少女モビルスーツ操縦士講習」を受講していた。

 実はその頃に何の因果か……というか主にどこぞの金髪のせいでオーブに来る破目になったリデラード・トラドールとエンカウントしてたりするが(第58~60話参照)、その後に上記のパイロット講習を受講終了。

 年齢的に正規軍には入隊できない(オーブの成人年齢は16歳。入隊資格は成人以上)が、モビルスーツ・パイロット資格は取ることができた。

 そしてそして、折よくカガリが提唱し編成準備に入っていた軍ではなく政府直属の緊急展開任務群”アロウズ”が、青田買い……もとい将来的な人材開発を見越して特別研修生名目で、様々な分野で募集をかけていたのだ。

 特にモビルスーツ・パイロット部門はパイロット資格を有してるなら年齢制限が無かった為、オーブ本土防衛戦(”オペレーション・スピットブレイク”)にて数多のエースパイロットの活躍を目の当たりにしたシンの魂に火がつき、本格的にパイロットを目指すため迷わずに応募したのだった。

 

 そして本日、どうやらめでたく希望が叶ったようである。

 妹は両親共々大過なく戦乱を生き残った。

 故に少年は、故国にしっかりと根を張り、パイロットとしての第一歩を踏み出した。

 シン・アスカ……近しい者の死を回避した彼がどのような未来を歩むことになるのか、今は誰にもわからない。

 

 ただ、原作の某監督によれば「本来、シンは明るくて素直な可愛い楽しい子」、中の人に言わせると「本来はわりと天真爛漫。最初の設定では普通の明るい子と言われていた」であるらしい。

 少なくとも”ignited -イグナイテッド-”の歌詞のようにはならない気がする。

 

「よし! お兄ちゃん、お祝いにマユとデートしようぜっ♪ ケーキバイキングで豪遊しよう♪ あっ、もちろんお兄ちゃんのオゴリでね♡」

 

「いや、俺がおごるんかい! 祝われる側だぞ?」

 

「おやおや~。お兄ちゃんは可愛い妹におごらせるのかにゃあ?」

 

 可愛らしい小悪魔系メスガキムーブをかます妹に、シスコン気味のシンに勝ち目があるはずもなく、

 

「わかったわかった。すぐに出れるのか?」

 

「やった! もっちろんだよ♪」

 

 なんとなく、本当になんとなくだが……マユやかつてのリデラードとの掛け合いを見てると、どうにもギャルゲー主人公臭がキラとかよりも強い気がする。いや、ジャンルはわからないが何やら女難の相、「変わった娘に好かれやすい」ようなバフ?デバフ?がかかっているような気がしないでもない。

 

 シンの未来に、幸多からんことを。

 

 

 

 

 

⌚⌚⌚

 

 

 

 

 

 

 その日、”ターミナル”からジャンク屋組合を経由して、とある1隻の船がオーブに辿り着いた。

 そこに誰が乗っていたかというと……

 

 

『さて、皆様。1年中夏の陽気なオーブですが、かつてご先祖様が暮らしていた故国では、3月は春で別れの季節、4月は出会いの季節って呼ばれていたみたいですわね?』

 

 どうやら今日は久しぶりに、

 

『という訳で、今日の”らくらく☆ちゃんねる”は、Pをお休みして春を感じる歌を久しぶりに自分で歌ってみようかなって。正確にはちょっとだけ季節外れの歌になってしまうかもしれませんが……では、お聴きくださいませ♪ 恋愛の時空

 

 

 

 

【挿絵表示】

桜が散るころに

偶然会いましょう

見馴れない服を着て

他人の顔をして

 

もう一度 はじまる

いつだって 戻れる

長い時間をかけた

最高の恋だもの

 

 

 

【挿絵表示】

 ラクスの歌声が新曲ととも流れるその日、一人の男がオーブの街を散策していた。

 風になびく金髪が印象的な美丈夫だが、言ってしまえばそれだけの男だ。

 どうやらジャンク屋稼業は本日は休みらしい。比較的関係良好な相方の赤毛とは、今日は別行動のようだ。

 ふと、男は天空を見上げる。

 青空の彼方には、”プラント”がうっすらと見えていた。

 

(エザリア、今頃どうしているのか……)

 

あなたと出会った

あの頃のわたしは

あなたのいちばん

きらいなタイプだった

 

いつでもわたしを

無視してた あなたは

話の合わない

ヤボったい男だったわ

 

 片時も忘れていなかったと言えば、噓になる。

 オーブで新生活の基盤を築くまでは、それなりの苦労があったのだ。

 でも、ふとした疑問につい惚れた女の面影を追ってしまうのは、哀しき男のサガだ。

 

ああ 熱い恋に

予感なんてない

少しずつ 少しずつ

ふたり 変わった

 

 

【挿絵表示】

「……ラウ?」

 

 それは今にも泣きだしそうな顔で……

 

桜が散るころに

偶然会いましょう

見馴れない服を着て

他人の顔をして

 

「エザリア、なのか?」

 

もう一度 はじまる

いつだって 戻れる

長い時間をかけた

最高の恋だもの

 

「うん……うん!!」

 

 エザリアは、ただ真っ直ぐにかつてラウ・ル・クルーゼと呼ばれた男の胸に飛び込んだ。

 

ああ 熱い恋が

甘いはずはない

すれ違い 傷ついて

知ってゆくのよ

 

桜が散るころに

偶然会いましょう

見馴れない服を着て

他人の顔をして

 

「会いたかった! 会いたかったよぉっ!」

 

 そこにはもうかつてのプラントの重鎮なんて肩書や大人の女なんて余裕は微塵もなく、ただただ愛しい男の胸で幼子のように泣きじゃくるただの女が居るだけで……

 

もう一度 はじまる

いつだって 戻れる

長い時間をかけた

最高の恋だもの

 

桜が散るころに

偶然会いましょう

見馴れない服を着て

他人の顔をして

 

「俺もだ。エザリア」

 

 そんな女を男は優しく抱き留め、伝えたいのはたった一言のシンプルな言葉。

 

もう一度 はじまる

いつだって 戻れる

長い時間をかけた

本当の恋だもの

 

「愛してる」

 

 

 

 

 

 

 

 時にC.E.72年3月31日

 

 後年の歴史書に”第一次連合・プラント大戦”と記されることになるこの戦いは、こうしてようやく公式に終焉を迎えた。

 翌4月1日より”ユニウス条約”は連合、プラント双方で施行され、「戦後」と呼ばれる新しい秩序の時代が始まる。

 無論、各国……特に戦争当事国の国家首脳部は誰もこれで恒久的な平和が訪れるなどとは考えていない。

 終戦はなったが、誰もがそれは「暫定的な物、一時的な物」であることを理解していた。

 

 地球上であれ、宇宙であれ、火種はまだまだ多く、戦いを望まぬ者同様に戦いを望む者もナチュラル、コーディネイター問わずに数多く存在していた。

 政治経済問わずに問題は各国で山積、戦後復興を考えただけで頭の痛い政治家が大量生産されている。

 

 だが、それでもとりあえず戦争は終わったのだ。

 小競り合いや小規模な軍事衝突は頻発しそうな気配はあるが、それでも一歩間違えれば人類絶滅戦争になっていた地球全土に宇宙を巻き込む巨大戦争は幕を閉じた。

 それは喜ぶべきことなのだが、

 

 

【挿絵表示】

「願わくば、戦いのない日々が一日でも長く続くことを願うのみだな……」

 

 カガリ・ユラ・アスハはそう呟くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




物語全体のあとがきにかえて


ここまで「種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた」ご愛読いただいた皆様に、心からの感謝を!

正直に言えば、「無印SEEDの再構築物」なんて当初はどこか途中でエタる危険性が高い無謀な挑戦だと自分で思っていたんですよ。
実際、評価がガクンと下がった時は何度も執筆やめようかと思いましたし、またプライベートの事情で休載していた時期もありました。
それにまさか、200話に手が届く、単行本換算で7冊になるほどの文章量になるなんて当初は思ってもみませんでしたw

まさかまさかの幻になっていたガンダムSEEDの劇場版が公開され、それに触発されて書き始めたのですが、やはり完遂させるのは困難で、誇張ではなく応援して下さる皆様のお気に入り登録、ご感想、高評価が無ければこうして完結することはなかったと思います。

ぶっちゃけてしまうと別名義で発表しているこれまでの執筆作品全て含めても、もっと短い物ならともかくここまでの長さで完結できたのは初めてです。
もしかしたら、もう二度とできないかもしれないと思ってるぐらいなんですよ。



この最終話なんですけど、プロットを作ってる段階から「ガンダムらしくないエンディングにしよう」って漠然と考えていたんです。
そこで、

・主要生存キャラが不幸な結末を迎えないエンディング

この作品は戦記物でも政治劇でも青春群像劇でもない、その本質は「単なるラブコメ」ですから、それに相応しいエンディングをって訳ですw
だから、

”問題は山積、戦争の火種はあちこちに残っているけど、それでも戦いの日々は過ぎて身近な幸せを探せる日常が戻ってくる”

みたいな感じですかね?
だから、「古き時代の終わり」、「次世代の芽吹き」、そして「死んだはずの男と表舞台から消えた女の大人の恋の結末」を最後に入れてみました。
ついでに言えば、最後の曲をTVアニメ版のグランドエンディング・テーマ”恋愛の時空”にしようと決めたのは、「かつてクルーゼと呼ばれていた男とジュールという姓を捨てるだろう女の異国での再会」を最終話に持ってこようと決めた時ですね。

改めて、ご愛読頂いた皆様、本当に応援ありがとうございました。
次回作、というか”種運命”篇は今回で無印を終わらせて別作品としての執筆予定で予定していますが、現状まだ1話も書けていないので気長にお待ちいただければ幸いです。

これまでありがとうございました。
またお会いできましたら、よろしくお願いいたします。













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