【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
まずは”ヘリオポリス戦役”あるいは”第一次ヘリオポリス防衛戦”を終えた後のプラントの情景を……
第21話 プラントの風景
さて、少しだけ場所と視点を変えよう。
アークエンジェルからの粗点を軸にしたのがこの物語の基本であるが、時には閑話休題も必要だろう。
メタな発言にはなってしまうが、丁度20話を超えたところで一区切りというところだ。
さて、原作ではしつこくアークエンジェルを追撃していたラウ・ル・クルーゼとその一味だったが、今作では冒頭のヘリオポリス襲撃で僚艦2隻と搭載モビルスーツの大半、G兵器3機の持ち帰りの時に一緒に戻ってきた一部突入隊を除けばヘリオポリス内部に押し入った強襲部隊全員とは音信不通、生死不明になるという大敗北を喫した。
そうであるが故に国防委員長の”パトリック・ザラ”は、ラウ・ル・クルーゼを処罰する訳には行かなくなったのだ。
「G兵器強奪という戦術目的の達成」を軸に、大損害を糊塗するために勝利宣言をし、そして多大な犠牲を困難極まりないミッションを成し遂げたラウ・ル・クルーゼを頂点とする”生還者”たちを
例え、自分の息子の名前が、未帰還者に入っていたとしても、だ。
要するに、怨敵である地球連合の「エンデュミオンの鷹」と同じ扱いをされたというわけだった。。
それに気づいたラウ・ル・クルーゼは仮面の下で渋い顔をしたし、犠牲者の中に自分の一人息子がいたパトリック・ザラも複雑な心境で”ネビュラ勲章”をクルーゼに授与するしかなかった。
そして、クルーゼ隊は3機のG兵器をプラント本国に持ち帰り、解析と整備をとりあえずは終えた今となっても、未だに再出撃できないでいた。
式典付けというのもあったが……
『なあ、アスラン・ザラ。パトリック・ザラの息子よ。分かってるのか? エイプリルフール・クライシスで全人口の5%が死に、計算上はその5%がコーディネーターだ。正確な数字かはともかくとして、プラントとザフトはエイプリルフール・クライシスだけで2500万人、血のバレンタインの実に”100倍”に達する地球在住のコーディネーターを殺した計算になる。言い方を変えれば、ほぼオーブの総人口に匹敵するコーディネーターが地球上で死んだことになる』
『死んだ2500万人の家族が、お前と同じく報復を叫んだらどうなると思う? これは一例だが……オーブには現在、エイプリルフール・クライシスで故郷を後にせざるえなくなったコーディネーターの大量移住が起きている。そして、オーブ国防軍には、移住してきたコーディネーターが凄まじい勢いで連日入隊志願に押しかけてるそうだ。それこそ、”このままだ人事部で戦死者が出る”なんてことが冗談ではなく言われてるくらいにな』
『その憎悪を、復讐心をプラントは受け止めきれるのか?』
そう、(おそらくは”ターミナル”とかの手によってだろうが)、”アスラン・インタビュー”が地球全域にとどまらずプラント全域でゲリラ放送されたのだ。
それも1回じゃない。
当局が消しても消しても、あるいは逮捕者が出ても、「まるで人間ではなくAIが最適解をその都度選んで情報開示してるように」繰り返し流されたのだ。
これがとんでもない混乱の災禍をプラント並びにザフトにまき散らし、揺るがしていた。
まず、パトリック・ザラだけでなくタカ派全体で良く引用される「ユニウスセブンを撃った”ナチュラルの野蛮な核”に対し、ニュートロン・ジャマ―で核分裂反応を抑制しただけの自分達は理知的」という論拠が崩れさった。
結果として、自分達が地球人口の5%、そしてプラントの総人口の半分に届く2500万人の”
そう、それまで「数として認識してなかった」あるいは「いない者として扱っていた」地球在住のコーディネーターの存在を思い出してしまったのだ。
人間というのは総じて自分の住環境を起点でしか物を考えない。
先進国の富裕層が、最貧国のスラムの生活を知識としては知れても、体感として理解するのは不可能なのと同じだ。
そこは自称”進化した人類”であるコーディネーターも何ら変わらない。
彼らにとって実感として認識できるコーディネーターは、プラント在住者のみだった。
嘆かわしいことに、市民から最高評議会の人員まで大差はない。
そして……
『宇宙、地上を含めてオーブの総人口は最新のデータで約3000万人。そのうち800万人以上はコーディネーターだ。おそらくは今でも避難してきたコーディネーターは数を毎日増やしているだろうさ。地球上全てのコーディネーターとは言わん。だが、オーブに住むコーディネーターはな……』
『きっとザフトを、やっと得た平穏な生活の破壊するお前たちを許さないだろうさ』
オーブを攻撃したことにより、地球上の”同胞であるはずのコーディネーター”と決定的な敵対関係に入ったこともまた認識してしまったのだ。
☆☆☆
プラント国防委員長にしてザフト最高司令官のパトリック・ザラの機嫌は急降下どころの騒ぎじゃなかった。
自分の息子が、よりによってザフトの一兵士ではなく”パトリック・ザラの息子”という強いメッセージ性を持つ政治的立場で、ヘリオポリスの敗退よりも大きな舌戦的敗北を決したのだ。
正直、これでは戦死してくれていた方がまだマシな内容だった。
ぶっちゃけ、プラントの受けた大きな意味でのダメージは、ヘリオポリスでの物理的被害より大きいかもしれない。
例えばタカ派の中には……
『その通りさっ! ナチュラルにすがるしか能のない地球上のコーディネーターなど、すでに同胞ではないっ!!』
とデモ隊率いた該当のアジ演説で、コーディネーター優越人種主義丸出しで声高に叫ぶ者が続発した。
だが、それが大勢を占めるのは難しいとパトリック・ザラも理解していた。
プラントとて親族や家族が地球に居る者は大勢いるのだ。
とはいえ、明らかなナチュラル蔑視の差別的発言を繰り返す者を積極的に取り締まる事も命令しなかったし、ハト派(非戦派、穏健派)からそのような要望があっても、ザフトを動かしはしなかった。
それはザフト建軍の大義名分を揺るがしかねない、あるいは自分の支持基盤を失いかねないという政治家的な判断もあるが、それ以上に感情論としてパトリック・ザラは彼らに賛同していたのだ。
”ナチュラル、ことごとく死すべし”
そこに地球上のコーディネーターが巻き込まれても問題としない……言ってしまえば、それがパトリック・ザラの”
つまり……カガリが意図的にインタビューに紛れ込ませた「地球とプラント、それぞれに住むコーディネーターの分断ないし離間工作」は、少なくともプラントでは成功を収めつつあった。
☆☆☆
一方、顔を青くしていた政治家もいる。
そう、
「世の中、こんなはずじゃなかったことばかりだな……」
そう黄昏るのは、ご存知プラント最高評議長”シーゲル・クライン”氏だった。
「これで私は”5億人殺しの大罪人”確定だな」
実際、”オペレーション・ウロボロス”において「核兵器、核分裂エネルギーの供給抑止となるニュートロンジャマー散布」を盛り込んだのは、他ならぬシーゲル・クラインだったのだ。
だが、彼もまた「手段と目的と結果は気にしても、行く末を気にしない」典型的なコーディネーターの短絡思想に気づかずに毒されていたことに改めて気づかされてしまった。
だが、彼を精神的に追い詰める凶報はまだ続く……
「……”ラクス”がユニウスセブン近辺で行方不明……だと?」
愛娘の安否不明……そして精神的許容限界を超えたシーゲル・クラインは意識を閉鎖するのだった。
ということで、カガリが仕込んだ”毒”がじわじわとプラント、ザフトに浸透していってます。
穏健派や和平派が勢いをつけても、逆に過激派や抗戦派が勢いをつけても、どっちでも良いらしいです。
カガリ:「対処法や方法論が変わるだけで、どう転ぼうと結果は大差ないさ」
まずは、地球とプラントのコーディネーターを分断・離間させること。
コーディネーター vs ナチュラルとザフトが狙ってる構図を、「地球 vs プラント」という図式に塗り替えるのが第一の目的ですからw
ザラパパは平常運転。
ラクスパパは……まあ、この先に期待か?
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