【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
お休みなので一日二度投稿。ただし、明日は出勤(泣)なのでできて1回になりそうです。
さて、原作では”低軌道会戦”という戦闘が発生する。
だが、この世界線ではその発生条件は決して満たされることはない。
まず、ラウ・ル・クルーゼ率いるクルーゼ隊は、艦隊としては事実上の壊滅状態であり、未だプラント本国での再編を終えていない。
奪取したG兵器3機だけでも早期投入したらどうか?という意見もあったが、それもアスラン・インタビュー、それに続く一時的なプラントの歌姫ラクス・クラインの行方不明、そしてその後の国際オープンチャンネルで流された「追悼の歌と生存報告」……ヘリオポリスよりの脱出船団(ザフトの見解)により保護されたというのだ。
プラントは混乱の極致にあった。
ザフトでは、「軍事的威圧によるラクス・クラインの奪還」を声高に叫ぶ者が続出した。
もともと希薄だった正気を、今や完全に失ったようなザフト……
それを横目で見ながら、プラント最高評議長であるシーゲル・クラインは、
「そうだ。辞任しよう」
どうかマダオと責めないでやって欲しい。
想定していなかった”5億人殺し”の重圧と、娘の一時的な行方不明、そして生存確認できたと思ったら自分が攻撃を許可していなかったオーブのコロニーからの脱出民を乗せた避難船団に保護されるという政治的皮肉以上の何か……
もはや、一人の政治家としてあるいは親としてのキャパシティーを完全に超えていた。
シーゲル・クラインの辞任は、まるでそれが予期されていたようにあっさり受理され、即日の緊急会議で新最高評議長にパトリック・ザラが国防委員長兼任で就任する運びとなった。
カナーバ評議員など一部の穏健派や中立派が引き留めようとしたようだがシーゲルの意思はかたく、そして引き留めの声も大きくなかった。
政界からも完全引退したシーゲル・クラインはふらりと行方をくらませ、以後の消息は不明となる。
そして、その時を待っていたパトリック・ザラは高らかに、
「プラントの至宝、歌姫”ラクス・クライン”の武威による奪還!!」
を宣言する。
一言言っていいだろうか?
”平和を願う歌”を歌う歌姫を武力で奪還とか……頭、大丈夫だろうか?
それと、プロパガンダ工作があったとはいえそれを大勢が支持したタカ派(強硬派)に毒されたプラント世論……実に救いがない。
後の歴史家は評する。
ヘリオポリス襲撃から続くこの宣言こそ、プラントとザフトと苦難と苦渋の始まりを告げたと。
そして、シーゲル・クラインは気づかない。
自分が奇しくも自身の死亡フラグを圧し折ったことに。
☆☆☆
とはいえ、ザフトは地球連合と全面戦争中、パトリック・ザラがいくら叫んだところで戦力がどこからともなく湧いてくる訳でもない。
だからこそ、投入できる戦力を全てかき集めた。
その総数は、ナスカ級×2、ローラシア級×4の合計6隻。搭載モビルスーツは合計36機、内訳はシグー×2にジン×34。
当時、時間内にアークエンジェルをはじめとする避難船団の航路上に展開できる戦力の全てだった。
クルーゼ隊不在とはいえ原作”低軌道会戦”のほぼ倍に達する大戦力、ザフトの本気あるいは必死さがうかがえた。
だが、増援艦隊と合流したヘリオポリス避難船団を守る護衛艦隊の総数は倍ではきかなく……
アークエンジェル
イズモ級イズモ
その他、11隻
合計13隻と船の数でザフトの倍。搭載モビルスーツの総数でも実は見劣りはしない。
アークエンジェルだけで”ストライク”と”イージス”、アストレイ・タイプ×3の5機。
イズモで宇宙専用ユニットを取り付けた試作型フラッグ×3+宇宙戦仕様リアルド×6
その他、各艦合計で宇宙戦仕様ティエレン×20の合計34機だ。
計算にはあえてソレスタルビーイングが”プトレマイオス”に格納しているガンダム・タイプは入れていない。
カガリは、必要であれば遠慮なく使うつもりだが、おそらくそれは自分がよほどのヘマを打った時の”帳尻合わせ”だと考えていた。
船団護衛というミッションの性質から、その大半を防空に回さねばならないが、それでも不利とは言えない戦力だ。
更にカガリには秘策があった。
それは、
『アスハ代表におかれましては……』
中継衛星を介した傍受の恐れの少ない指向性の高いレーザー通信。
通信の向こう側の相手は、自分が大将待遇である事を知っているようだ。
だからこそ、トダカではなくカガリ自身で通信を繋げたのだが。
「堅苦しいのはいいよ、”
そう、通信相手は地球連合第8艦隊提督、”デュエイン・ハルバートン”だった。
『はっ!』
カガリは艦長席ではなく普段はあまり使われていない”提督席”に腰掛けながら、
「ハルバートン少将、君に持論であるモビルスーツの優位性と集中運用による戦術効果測定の好機、何より……」
ラクスには見せたことのない政治家その物のアルカイック・スマイルで、
「君が中将に昇進する絶好の機会を進呈しよう」
☆☆☆
作戦概要を告げた後、カガリは思考に更ける。
(現状で打てる布石は全て打った)
もう、賢明な皆さんはお気づきだろう。
ユニウスセブン宙域で、カガリがラクスに生存報告、それもユニウスセブン近辺で救助されたことを含めたの全域通信を許したのは、ザフトを「武力によるラクスの奪還」へと誘導するためだ。
これまでのプラントとザフトの情報を重ね合わせれば、少々煽る方向を調整すれば武力に頼った方向に舵を切ることは明白だった。
シーゲル・クラインの辞任とパトリック・ザラの最高評議長就任は予想していなかったが、状況を考えれば、それはプラス方向だ。
(あの男なら、より過激で武断的な裁定を下すだろう。私の望むとおりに)
加えてヘリオポリスからユニウスセブンまでの航路、そして行き先が”アメノミハシラ”であることが分かっているのなら、航路を割り出すのも、そこに前もって戦力を配置するのも簡単だろう。
カガリの見立てだと、実はザフト軍の本当の厄介さはモビルスーツの性能でも個人の能力でもなく、宇宙を舞台にしたゲリラ戦、艦隊単位での不正規戦にこそあると考えていた。
機動力のある高速戦闘艦とモビルスーツという機動兵器の組み合わせ、長距離レーダーや長射程兵器の効果がニュートロンジャマ―により激減したことで多発するようになった遊撃戦のような戦いにこそ、ザフトは真価を発揮する。
まさにザフトが得意とする”少数精鋭による分散剛撃”だ。
あるいは宇宙版の浸透戦術と考えてもよい。
ならば、その対処法は明確だ。
(ちまちま散在して攻撃してくるゲリラなら、一か所に集めてまとめて潰せばよい)
だからこそ、ラクスだけでなく自分も含めてまとめて釣りだす餌にした。
罠を張り、事を成すためにかき集めた戦力は既に必要にして十分、ならば……
「後は手持ちの札を、どのタイミングでどれだけ切るかだな……」
シーゲル、何故か残念マダオ臭が漂い始めたような……でも、このシリーズではそうなると死亡フラグが根元から腐ってくるというw
そして、ザラパパは絶好調!
政敵が勝手に最高評議長を辞任してくれた上にプラント政界からも完全引退。おまけにどうやらプラント外へ旅立ったっぽいので、何の憂いもありません。
そして、第3のオッサンことハルバートン提督を唆すカガリw
まあ、確かに取り引き的にはWin-Winの原則は守られてはいるんですけどね。
実はカガリにとって、変に手心加えそうなシーゲルよりも脳筋一本槍な過激派パトリックのが正直与しやすい相手だったり。
それにしても、カガリが色々と引退した後に、機密指定が解除され明らかになった彼女の功績とか見た歴史家は、
『これじゃあ”オーブの金獅子”じゃなくて”オーブの金だけど黒獅子”だよ。腹の中的に』
とか言いだしそう。
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