【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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この世界線、ガンダムというアニメシリーズが存在していない割に、宇宙世紀的なあれこれが出てくるという(特にキラ)






第30話 キラ・クリティカル! そして、オーブおっさん祭りかな? これは

 

 

 

「うあぁぁぁぁーーーっ!!」

 

 宇宙の彼方から種子が飛来し弾けるイメージ……極限の集中状態で、頭の中がひどくクリアになり、周囲の流れがやけに遅く感じる。

 一般的に言えば、「ゾーンに入った」と評されるような”覚醒の刻”……

 爆沈するローラシア級を踏み台にした跳躍、背部のエールストライカーの推力を合致させ(いわゆる”赤い彗星(シャア)機動”。ただし、通常の3倍の速度が出ていたかは不明)でキラが向かったのは……

 

「この宇宙から消えろぉぉぉーーーっ!」

 

 部下を率いて戻ってきて、ムウやグラハムたちと交戦していた敵の隊長機(シグー)を、背後の死角から正確にコックピットを対艦刀で貫いたのだ。

 シュベルトゲベールの切っ先に串刺しにされたまま爆散するシグー……

 

 後に歴史家より”アメノミハシラ沖会戦”と呼ばれる事になるこの戦いの最後のハイライトだった。

 

 

 

 

 

 

 

 正直に言えば、後は消化試合のようなものだった。

 残されたザフトのモビルスーツは母艦を失い、戻る当てもないまま第8艦隊のモビルスーツを加えるのなら数的にも、もはや劣勢でしかない状態で戦うしかなかった。

 増援のアテはない。

 所詮、プラントとは少数派のナチュラルを入れても総人口1億に届かぬ小国であり、その軍事力であるザフトも”少数精鋭”を看板に掲げる民兵組織でしかない。

 その軍事力は(ザフトがコーディネーターの軍という建前から)どれほど多く見積もっても総軍事力は、150万程度だろう。

 プラント在住のコーディネーターが老若男女合わせて6000万とされているから、40人に1人が軍人というのは常識的に考えて(プラントに常識が通じるかはともかく)多すぎるくらいだ。むしろ、社会を維持できるぎりぎりのラインじゃないだろうか?

 そして、彼らは宇宙/地上を問わず、地球連合と戦争状態にある。

 そんな状況で、むしろ急場で「意味のある時間内」にこれだけの戦力(数的には原作の倍)をかき集められた事が奇跡的と言っていいだろう。

 

 1機、また1機と墜とされる中、それでも最後まで降伏することなくザフト兵は機体もろともデブリになる道を選んだ。

 断じて勇敢だったからではない。

 彼らもまたビクトリアで起きた”ザフトの暴虐”を見ていたのだ。

 故に自分達がまともに捕虜として扱われると考えていなかったのだ。

 

”嬲り殺しにされるくらいなら、最後までナチュラル共と戦って死ぬ”

 

 それが彼ら彼女らの選択だった。

 だからこそ、軍事用語ではなく文字通りの”()()”。当然の帰結だった。

 きっとプラント本国では、「最後まであきらめずに戦った英雄」のような扱いを受けるのだろう。

 だが、本来なら宝石より貴重な6隻の戦闘艦と36機のモビルスーツ、その搭乗員やパイロットは永遠にザフトより失われた。

 

 つまり、ザフトに何も得る物の無い”一方的な敗北”だったのだ。無論、語り部が生き残らなかった以上、戦訓も含めてだ。

 そう、避難船団に1隻の撃沈もなく、オーブや連合のモビルスーツに損傷機は出ても撃墜された機体は無かった。

 

 

 

 あえて言おう。オーブのはるか上空の宇宙(ソラ)で、ザフトは蹂躙されたのだ。

 この小規模とは言えない戦いにより、戦争の風向きは明確に変わり、そしてザフトを、プラントを飲み込む大嵐へと発展する事になる。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 グラハムとフラッグ隊:見事な連携で11機のシグー(守勢隊長機)を含むモビルスーツを撃墜。

 ムウ・ラ・フラガ:ナスカ級(旗艦)1隻とモビルスーツ3機を撃沈/撃墜。

 キラ・ヤマト:ナスカ級1隻、ローラシア級1隻、シグー(攻勢隊長機)を含むモビルスーツ5機を撃沈/撃墜……

 

 これが「ただ一度の戦い」で発生した各人のスコアだった。

 この5人で、戦闘艦とモビルスーツの半数を墜とした事になる。

 とはいえ、残る半分の船を撃沈したのは第8艦隊のモビルスーツ部隊で、アークエンジェルを中心とする守備隊でモビルスーツ12機を墜としたのは上々の結果と言えた。

 また残るザフトモビルスーツの撃破は第8艦隊のモビルスーツ隊の戦果なので、ザフトに対する明確な一方的勝利であると同時に、モビルスーツ同士の戦いで初めて地球連合側が勝利した戦いとなる。

 

 しかし、この大戦果に頭を抱える人物がいた。

 そう、オーブ代表首長、ウズミ・ナラ・アスハだ。

 

「やり過ぎだ。バカ娘……」

 

 そして対して上機嫌なのは、

 

「なに、避難民の被害も出さずに防衛戦成功。おまけに戦果を独り占めせずに()西()()()()の艦隊に花を持たせることで恩も売れた。大いに結構なことじゃないか? カガリ嬢は、実に将来有望だと思うぞ? 何より政治的な嗅覚とセンスが良い」

 

 呵々大笑するのはオーブ外交部の首領、()()氏族の一人である”ウナト・エマ・セイラン”だった。

 あえて、地球連合ではなく大西洋連邦を強調するあたり、彼の政治家としての在り方や政治信条が現れていた。

 

「ウナト、既に形骸化しているとはいえ建前としてオーブは中立国だ。他の中立国に対する”示し”という物がある」

 

 ウズミは、(理想主義者や思想家、宗教家としてならともかく)政治家として完全に落第点な原作と比べれば、いくらか政治家としての資質が高い。

 だからこそ、今でも辞任という逃げは打たずに対して国民の非難も受けずに代表首長の椅子に座っていられるのだが。

 もっともカガリに言わせれば、

 

『善き父親ではあると思うし、人間としては私よりもよっぽど善人だろう。だが、残念なことに政治家向きとは言えない。腹芸もさほど上手くはないし、現実より理想の実現を重視するきらいがある。何より政治の方向性が性善説に基づいている。性悪説を根本とする私とは正反対だな。私は政治において性善説は不幸を招くと考えてるんだ。”まさかそんなことはしないだろう”というのは甘えになる。「まさか」をするのが人間って生き物だ。政治に妥協は必要だが、甘えは無用だ。政治家というのはまずリアリストであり、同時に物事を強引に進められるマキャベリストであるべきだ。そうでなければ、国の舵取りなど難しいだろうさ』

 

 と割と手厳しい。

 

「なに。やったことは自衛さ。オーブの理念とやらには反していない。相手が全滅しようと、降りかかる火の粉を払っただけに過ぎんさ」

 

 ふふんとウナトは笑い、

 

「そもそも武装解除しようとせず、最後まで抵抗したのはザフトだ。既存のあらゆる戦時規定に照らし合わせても、我らになんら非はない」

 

「”アレ”を見せられて降伏はできんだろうさ。娘はそうなることを予見して流したのだろう」

 

 まあ、不正解ではない。

 

「カガリ嬢は、”宇宙のゴミ掃除”に余念がないのさ。宣戦布告なき領土攻撃を受けたという大義名分があるのだ。何の問題もあるまい?」

 

「確かに問題は無いが……ますます、オーブの理念が形骸化してゆくな」

 

 オーブの理念とは「他国を侵略せず・他国の侵略を許さず・他国の争いに介入せず」の三原則だが、

 

「ついにオーブも戦争の当事国になったのだ。そうも言ってられまい? ウズミ、そもそも建国の理想や理念という物は方便だ。国民の生命や財産より優先して良いものでは無い」

 

「わかってるさ。だが、それでも理念や理想は可能な限り守りたかったんだがな。それが私の政治信条でもある」

 

 未練を感じるウズミの言葉にウナトはばっさりと、

 

「だが、大西洋連邦とのモビルスーツ共同開発にGoサインを出したのはお前自身だろ?」

 

「それがオーブの大きな国益につながる以上、是非もなしさ」

 

 それがウズミなりの理想と現実の接合点だった。

 ”ダブスタクソオヤジ”とか言ってはいけない。頑迷な理想家や思想家よりはマシだ。少なくともオーブ国民にとっては。

 

「わかってるじゃないか?」

 

 ウナトはニヤリと笑い、

 

「方針は大西洋連邦との関係強化。軍事同盟とはいかないが、”安全保障条約”の締結でいいか? ヘリオポリスとの一件と、今回のアメノミハシラ沖での共同戦線による大勝で呼び水には十分だ。頭の固い連中にも”オーブとつるむメリット”を存分に提示できた」

 

「ああ、その方向性で調整を頼む。確か、大西洋連邦の外交官、アレスター外務次官だったか?が都合よくオーブ入りしてたな」

 

「ああ。それと”アルスター”な? アレイスターでもクローリーでも無いからな? それはともかく……カガリ嬢が何やら根回ししていたようだな。あの娘はなんて先まで読んで布石を打ってることやら……頼もしくもあり、末恐ろしくもありだ」

 

「まったくだな。ウナト、くれぐれも国内のコーディネーターやハーフコーディネーターのことは……」

 

「いつも言ってるだろ? 国民の生命と財産を守るのも国家の義務だと。どのような人種であれオーブの国民である以上は、最善を尽くすさ」

 

 

 

 

 

 

 

 後に”ウナトの英断”と呼ばれるのが、この時の話し合いをもとに締結された「大西洋連邦()()との”安全保障条約”」だ。

 甘い言葉で誘われても、軍事同盟でなく安保で踏み止まり、必要以上の干渉を防いだことが、まさに後に功を示す事になる。

 

 具体的には二年ほど後の話……

 

『あんな阿呆と組んでまともな戦争ができるものかっ!! 戦争を無礼(ナメ)るな小僧っ!!』

 

 これは大きな戦いを経験し、ウズミが勇退した後に順当に時の代表首長となったウナト自身が発した言葉である。

 この世界線のオーブは、例え修羅道に堕ちようと、自国の意志で戦うことを諦めはしない。

 だからこそ、オーブ首長国は”強い”。

 ”オーブの老獅子”より国と民を引き継いだ”オーブの妖怪狸”の躍動と躍進は、まだいくばくかの月日が必要だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ようやく、ウズミとウナトが書けました(歓喜)

この世界線のウズミ→理想主義者の成れの果てに現実の苦みを知ることになった”政治家”

この世界線のウナト→金とコネと権力の意味を理解している現実主義者(リアリスト)のマキャベリスト

という印象で捉えて頂ければ。
基本、イメージだとウズミが性善説、ウナトが中道でカガリが性悪説って感じですかね?
ウナトは意外とバランス型なんですが……ユーラシア連邦と東アジア共和国はあまり好ましくは思ってないような?
結果として、大西洋連邦とよくつるむという。正確には、旧プラント理事国の大国の中で、まともに交渉やら商取引ができる相手がここしかいないらしい。

そしてキラ、「3倍のスピード」かは不明ながら、シャア機動で隊長機を背後から串刺しにして爆散させました。
あれ? 「串刺しで爆発」は1stガンダムだった気も……
とりあえず、”アメノミハシラ沖会戦”のラストを飾ってくれたようです。

ザフトのオチは……まあw

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