【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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今回はちょっと視点を変えて、大きな意味でザフト視点から。
また、とある”代替イベント”の始まりかも……?





第40話 とあるピアニストの不運な巻き込まれ事情

 

 

 

 さて、唐突だが舞台は変わり、ザフト地上拠点、カーペンタリア基地

 

「えっ? オーブに潜入し、アスランとラクス様の奪還……ないし不可能なら暗殺ですか?」

 

 プラントから降り立ったザフト赤服の一人”ニコル・アマルフィ”は、その日、そのとんでもない密命を受けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、少し経緯を話そう。

 ヘリオポリス襲撃と3機のG兵器強奪……その1機のパイロットにニコルは選ばれた。

 そして、数々の混乱がプラントやザフトに吹き荒れる中、彼の愛機となったミラージュコロイドを用いたこの時代最高のステルス機能を持つGAT-X207”ブリッツ”は、データ取りの傍ら、黙々と調整と訓練が行われ、ある日、ニコルと”ブリッツ”に「カーペンタリア基地へ出向せよ」と極秘命令が下る。

 

 肉親にも誰にも告げることが禁じられた極秘命令……それに怪しい物を感じながらも、ニコルに拒否は許されなかった。

 そして、カーペンタリア基地に到着後、基地司令と二人きりになり明かされたのが、上記の密命だったのだ。

 

 ザフトにしては慎重なことに、ニコルには準備期間が与えられ、情報端末でオーブの事を事前調査することが命じられた。

 軍事的なものでは無く、「潜入工作となる以上、文化・風習も熟知しろ」とのことだ。

 

(これは明らかに胡散臭いですねぇ……)

 

 データを見ながら、ニコルは思考を沈降させる。

 奪還はわかる。だが、暗殺は……

 

(アスランとラクス様の死をオーブに擦り付けて、戦意高揚と戦争の正当性を主張する……というところでしょうか?)

 

 そこまで、ザフト……いや、プラントの世情は悪化していた。

 ヘリオポリス襲撃の真実と、明らかにされた「ビクトリアの蛮行」。

 今はパトリック・ザラが国防委員長兼任の最高評議長となった事で、急進派(強硬派)が政治の主導的な立場となり、熱心な国内向けプロパガンダ工作をしているが、プラント市民の中にも徐々にではあるが、この戦争を疑問視する声が上がってきていた。

 首魁であったシーゲル・クラインが政界を去っても、アイリーン・カナーバ評議委員やニコルの父親のような穏健派(停戦派)が未だに一定の支持を得ていることからもそれが伺える。

 それはともかく、

 

(この作戦の成功率は、どう考えても決して高くはない。いえ、実質的には不可能に近い)

 

 いくらミラージュコロイドがあると言っても、それは万能でも魔法の道具でもない。

 ”ブリッツ”のパイロットだからこそ、ニコルはその欠点も分かっていた。

 

(そもそも、ミラージュコロイドは水中では無用の長物なんですけどね)

 

 オーブは島国であり、潜入するなら海からが鉄板だ。

 しかし、”ブリッツ”のステルス性の要であるミラージュコロイドは水と著しく相性が悪い。

 なぜなら「水中ではコロイドが水に溶解し、装甲に定着しないために使用不可能」なのだ。

 作戦ではニコルが座乗した”ブリッツ”を「潜航艇ポッドに封入」してオーブへ射出、上陸させるというものだ。

 そして、ミラージュコロイドを使うのは、「上陸してから」だという。

 一体、どんな状況で使えと言うのか、作戦立案者を小一時間ほど問い詰めたいニコルであった。

 

(それ以前に、アスランやラクス様の居場所も完全に特定できず、現地調査で特定してから実行しろとか無茶もいい所ぶりですよ)

 

 ニコルの本業はパイロットであり、潜入工作員ではない。

 そういう特殊部隊のような訓練を受けてはいる(だからG兵器の強奪作戦に加わり、成功させた)が、別にその道のプロ(スネーク)ではないのだ。

 

(現地協力者がいるとの事ですが……)

 

 それもどこまで信用できるか不明瞭だ。

 いや、そもそも信用できようができまいが、原作ではまんまとアスラン達の潜入を許し「ゆるゆるの平和ボケ」という表現さえ生ぬるいオーブの諜報力、特に防諜能力だが……この世界のオーブは原作と正反対の「極めて優秀」という評価が一般的だ。

 何しろ、開戦前から日常的にユーラシア連邦や東アジア共和国の諜報員や工作員が”行方不明”になるのが、この世界線におけるオーブの風景だ。

 特にヘリオポリス襲撃以降、価値の高い軍事情報は極端に入手しづらくなっている。

 

(そんな国で潜入破壊工作? それも専門家でもない僕に? それも単独で?)

 

 もう明白な無理難題だ。

 

(いえ、これはむしろ失敗を前提として練られたプラン……)

 

「ということは、別の意図があると考えるべきでしょう」

 

 

 

(どうやら、僕はスケープゴートにされたようですね?)

 

 しばしの思考の後、聡明な頭脳を持つニコルは、そう結論付けた。

 まさか原作以上にクルーゼの素顔に興味を持ったから……が理由ではないだろうが、状況証拠は、いくらでもあった。

 

(例えば僕が任務失敗して死んだら、さぞかし父を急進派に入れやすくなるでしょう。アスランには悪いけど、如何にもパトリック・ザラが考えそうなことです)

 

 彼の父であるユーリ・アマルフィは、代表評議員であると同時に工学博士であり、「ニュートロンジャマ―・キャンセラー」の開発者でもあった。

 だが、彼はその一存でニュートロンジャマ―・キャンセラーの実戦投入を渋らせているというのが現状だった。

 

 もっとも、「やや利己的で自分の迂闊な行いに対し責任感の欠如している面もある」と評される事もある通り、やや流されやすく情けない部分もある。

 例えば、原作でもアスラン達がヤキン・ドゥーエ中枢の執務室に突入した際、真っ先に逃げ出す描写があったりするのだ。

 ニコルは、そんな父親の弱さをよく知っていた。

 

 加えてその原作でも「洞察力と感覚に優れる」とあるように、パトリック・ザラの危険性、その言動の端々に宿る狂気にも勘づいていた。

 

(実際、シーゲル・クラインが姿を消したことで、父はかなり動揺してましたし、一押しすれば容易に転ぶでしょう)

 

「よしんば生き残り捕虜になったところで、やりようはいくらでもありますし」

 

(僕を脱走兵とでもしてしまえばいい。そうすれば、僕の助命嘆願を取引材料にすれば事足りる)

 

 そして、ザフトが恣意的に運用されるそういう組織だという事も理解していた。理解してしまっていた。

 

(本当にロクでもない事に巻き込まれたみたいですね……)

 

 

 

 改めて自分を取り巻く状況に憂鬱になった、その日……

 地球上で再建されたネットワークに接続し、目ぼしい情報をあさっていた端末が突然クラッキング(これはザフト、プラントの全回線同時だった)され、

 

『初めまして♪ それとも久しぶりかな? ラクス・クラインです』

 

 ニコルはその瞬間、座っていた椅子から転げ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、「死亡シーン回想回数ダントツNo1(なんとテレビシリーズの劇場版合わせて合計34回!)」という珍妙な記録を保持しているニコル・アマルフィ君の登場です。

いや、そんなに再生するなら彼の死にきちんと意味を持たせようかなーと。
ただし、死亡フラグを圧し折ってこそのこのシリーズ、「普通の意味で死ぬ」とは一言も言ってないw

まあ、とりあえずは原作とここまでの流れが大幅に変わっている上、愛しの(?)アスラン(&ラクス)がオーブに”捕まって”いるために、オーブに潜入する所から。
原作でも単独ではありませんがやっていましたが……普通に無茶ぶりですよねぇw

しかも、ニコルは何だか不穏な空気に気づいた様子……とはいえ、まあザフトのやることですしね(意味深)






これまで、そして前回のことで高評価を入れて下さった皆様に厚く御礼申し上げます。

正直、疲れて仕事から帰ってきて、パソコン立ち上げいざ更新しようかなと思うときに評価が下がっていると、これが結構、こたえるんです。
「更新するたびに評価下がるんじゃあなぁ……」と更新を迷ったことは、一度じゃありませんでした。
朝勤と夜勤が一週間ごとに入れ替わる仕事についているので、実はモチベーション維持と執筆時間のやり繰りが存外に大変でして。
ご感想、お気に入り登録も勿論ですが、皆様からの高評価は本当に励みになります。
改めてお礼申し上げます。




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