【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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今回はニコル視点です。
そして、”2曲目”です。





第45話 ニコルは聴いてしまった。何に嫌われているかを。

 

 

 

 さて、再び視点を地上へと戻そう。

 

(なんでこうも簡単に揚陸できたんでしょうねぇ……)

 

 あまりにもあっさりとオーブの領海に潜入できたどころか、モルゲンレーテ社の本社があるオノゴロ島の端っこにある海岸線に「誰にも邪魔されず」上陸できたことに内心、かなり訝しみながらもニコルは、深く考えるのを止める。

 

(まあ、”僕の目的”のためには、悪い展開じゃなさそうですし)

 

 最悪の展開は、途中で運搬していた母艦ごとの撃沈だったが、そのような様子は微塵もなかった。

 ただし、”ブリッツ”をオーブ近海まで輸送したザフト潜水艦ボズゴロフ級”クストー”の音紋、赤外線輻射、そのほか諸々のデータは、がっつり全方向からオーブ海軍の水中聴音マイクや各種センサー、対潜哨戒機、水上艦艇、そしてニュートロンジャマー影響下でも全く問題のない、高温(室温)超電導高性能バッテリーパックガン積みの通常動力型攻撃潜水艦に記録されていた。

 余談ながら、ボズゴロフ級はオーブのソナーマンからの評判がすこぶる悪い。

 曰く、

 

『もうちょっと静かに水中を走ってくれっ!』

 

 口の悪いソナーマンは、「ボズゴロフ級の出す盛大な水中雑音こそが、オーブ・ソナーマンを苛立たせる音響攻撃だ!」などと言っている。

 あの大きさで水中抵抗をガン無視した形状なら仕方のないところだろう。

 何よりそれなりに防音設備・装備が申し訳程度にある機械的な物より、乗員が立てる物音がうるさいらしい。

 プラントの優れた科学力とやらで潜水艦をとりあえず建造できる技術(宇宙船と潜水艦は機密性と言う共通項があるため技術的応用は可能)はあっても、潜水艦乗員(サブマリナー)を一朝一夕で育てることはできない。

 彼らの多くは元々、宇宙艦からの転身組(地球侵攻までザフトに海洋艦艇は基本的に存在しない)だが、宇宙と海中では致命的な差異がある。

 真空である宇宙空間では音は外に漏れ出ることは無いが、海中では非常に音は良く伝播する……同じ様な内部構造のため、宇宙艦と同じ感覚で乗員が動けばどうなるか?だ。

 しいてザフト・サブマリナーの強みを上げるとすれば、生まれが生まれだけに「閉鎖環境に対する適応力が高い」ことだろうか?

 総括すれば、ザフトの潜水艦とは「潜水能力を付与した宇宙船モドキを乗員ごと海中に沈めただけ」の代物だった。

 

 

 ちなみにオーブ海軍水中戦隊は、「日本国潜水艦部隊の伝統を継承」している。

 本来なら、そんな状況で経済的排他水域を超えて領海ぎりぎりまでザフト潜水艦が近づき、揚陸ポッドを海中射出するなど不可能だ。

 だが、それが”出来てしまった”。

 

 ともあれ、”ブリッツ”をミラージュコロイドによるステルス・モードで移動させ、事前調査で上陸地点の近くにあることが分かっていた洞窟に隠す。

 

 それから、パイロットスーツから「南洋の街中に居る普通の少年らしい服装」に着替え、ニコルは街を目指した。

 オノゴロ島の市街地は、基本的に”モルゲンレーテ社”の城下町であり、小国の都市とは思えない活気にあふれていた。

 

(これが3000万人近くが暮らす国、その街の活況ですか……)

 

 プラントは、決して寂れた場所ではない。

 ではないが……理路整然とされ過ぎていて、

 

(こんな猥雑さは無いですね。どこもかしこも何処か作り物くさい)

 

 自分の国(プラント)にも人が住んでいるはずなのに生活感……熱量が低く、妙に映画のセットのような希薄さを持つような気がしてしまうニコル……

 

「いえ、今はそういう場合じゃないですね」

 

 そして、ふと街の商業ビルに掲げられた巨大モニターに、ラクス・クラインが映る……

 

(今日が二回目の配信日……)

 

 だからニコルは急いだのだ。

 プラント本国の混乱は、ニコルの集められるだけの情報を精査するだけでも、相当に酷い有様だった。

 

 ザフト広報からは公式に「あのラクス・クラインは偽物」と声明が出されているが、奇妙なことに本来ならば真っ先に否定せねばならないプラント最高評議会が沈黙を貫いていることだ。

 

(いくらパトリック・ザラとザフトに喉元へナイフが突きつけられているいるとはいえ、評議会もあれを偽物だとは言えないでしょうね)

 

 ニコルの見立てでも、あれは断じて「よくできたAI」などではなく、間違いなく本人だ。

 おそらく本国でもより正確な分析や解析がされた結論も同じなのだろう。

 

(だから、最高評議会は口を閉ざすしかない)

 

「真実も真相も公表できない国……それが今のプラントですか」

 

(正しく”軍事政権の独裁体制国家”の在り方ですね)

 

 その表情は、吐き捨てるようなそれだった。

 だから急いだ。

 ラクス・クラインの二度目の配信……それにより事態が好転するとは考えにくい。

 ならば、

 

(ザフトの勢力圏から一刻も早く距離を置くのが吉)

 

 もはや、「それはザフトの栄えある”赤服”」の発想ではないなと内心で自嘲する。

 だが、そんな思考も”その歌声”が無数にある街角のモニターから流れてきた瞬間に見事に瓦解する。

 

 

 

 

 

 シンプルだが美しいピアノパートから入ったその曲は、

 

”「死にたいなんて言うなよ」”

”「諦めないで生きろよ」”

”そんな歌が正しいなんて馬鹿げてるよな”

 

 最初、命を軽んじる様な言葉から始まり……

 

”他人が生きてもどうでもよくて”

”誰かを嫌うのもファッションで”

”それでも「平和に生きよう」なんて”

”素敵な事でしょう”

 

 それは、まるで彼女自身の否定のようでもあり……

 

”幸福の意味すら分からず生まれた環境ばかり憎んで”

”簡単に過去ばかり呪う”

”朝も夜も春も秋も”

”変わらずどこかで誰かが死ぬ”

 

 余りにも的確にコズミック・イラという時代を表していて……

 だがそれでも、

 

”命に嫌われている”

”結局はいつかは死んでゆく”

”君だって僕だっていつかは枯葉のように朽ちて行く”

”それでも僕らは必死に生きて”

”命を必死に抱えて生きて”

”殺してあがいて笑って抱えて”

”生きて生きて生きて生きて生きろっ!!”

 

 最後は強烈な生命讃歌(命の叫び)に帰結する!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




見事に的中させた方もいらっしゃいましたが、ラクスの”西暦楽曲カバー”の2曲目は……

”命に嫌われている。”

でした。紅白でもまふまふ様が歌っていたので、ご存知の方も多いと思います。
この曲は様々な歌い手さんが歌ってまして、特にこの作品で参照したのは、

”命に嫌われている。 / カンザキイオリ cover. by 柘榴-zakuro-”

柘榴様verです。
まふまふ様のようなエモーショナルな歌い方も好きですが、ラクスには「情熱が熱を維持しながら心に染み込んでくる」ような歌い方の方がしっくりくる気がして。

勿論、この世界線のラクスがどんな歌い方をしたのかは、皆様のイメージにお任せします。

それにしても……ニコル、あっさりオーブに潜入できましたね~w
あちこちから音紋ガッツリ採取されているのにw
オチは見えているかもしれませんが……次回、彼に転機が訪れそうな?

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