【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

49 / 200
日曜日、朝から昼にかけて投稿時間が取れない可能性が高いので、深夜アップにします。

まず。この49話と次の50話は対になる話で、同時にチャプターエンドとなります。
なのできり良く、明日の夜にはなんとか50話を投稿したいなと。

そして……C.E.史上最悪かもしれないプロパガンダ戦が始まります……






第49話 もしかしてC.E.史上最悪の情報戦? ~明日へ続く扉をいつの間にか見失った者達に捧ぐ歌~

 

 

 

 そして、波乱が始まる……

 

 

 

「”らくらく☆ちゃんねる”、もう何回目の放送?って感じですけど、なんと、今回はチャンネル開設以来、初めてのゲストをお招きしました♪ なんととびっきりな美少年くん? ちゃん?ですよ~♪」

 

 スッと画面がパーンして、

 

「ラクス()()、せめて”君”にしてください。ボクにも一応男の矜持ってものが……」

 

 映ったのは明るい緑色の髪の「女の子と見まがうばかりの可愛い系美少年」で……

 

「では、自己紹介をお願いしますわ♪」

 

「プラント・マイウス市代表の最高評議員ユーリ・アマルフィの息子、”()”ザフトの赤服で、現在は”オーブに()()”したニコル・アマルフィです。あっ、これ身分証明のID」

 

 その美少年は、いきなり爆弾をぶっこんできたっ!!

 ちなみにIDはいざという時、機体ごと投降できるように”ブリッツ”の中へ赤服と一緒に置いて来ていたらしい。

 勿論、”ブリッツ”共々回収され、『分かりやすい演出の一環』として現在、ニコルは赤服を着用していた。

 

 

「まあまあ。”ザフト・レッド”と言えば、選りすぐりのエリートさんじゃないですかぁ。どうして亡命を?」

 

 だが、(事前に顔合わせと打ち合わせがあったとはいえ)全く動じていないのはラクスで、

 

「実はですね。上からこのオーブのどこかにいるだろうパトリック・ザラ最高評議長の息子アスラン・ザラ、そしてラクスさんを探し出して奪還、ないしそれが不可能ならば”暗殺”しろと命じられまして」

 

 更なる追加の爆弾!

 だが、自分が仮にも暗殺対象だったというのにのほほんとしたいつもの調子のままだ。

 

「それは穏やかではありませんわねぇ~。あれ? ここにお一人で来ているということは、他の方たちは? まさかお一人なんてことは……」

 

「そのまさかです。なんと驚きの単独(ソロ)ミッションです」

 

「えっ? 本当にオーブの何処にいるかわからないわたくしとアスランを探し出して、殺せと……? 冗談ですわよね?」

 

 ニコルは、タハハとかわいらしく笑い、

 

「ところが正規の命令書まであった”本当の作戦”なんですよ。もう無茶ぶりもいいところでしょ? 多分、最初から失敗前提のミッションだったと思うので、上も本気で暗殺を狙っていたとは考えにくいんですけど……オーブに潜入できたのはいいけど、やっぱり最初からマークされてたみたいで、あっさり捕まっちゃったんです」

 

「それは大変でしたね~」

 

「実は大変だったのは捕まるまでで、それ以降はそうでもなかったんですよ? ”色々あって”亡命を申請したら、あっさり受理されてしまいまして。ただし、亡命条件として受けた公式な役職は”ソレスタルビーイング専属のテストパイロット兼配信ピアニスト”としての就労でして」

 

 するとラクスは表情をほころばせ、

 

「まあ♪ それではニコル君は、わたくしとご同輩ですのね? わたくしも、現在はソレスタルビーイング専属ネットアイドルですのよ♪」

 

「聴きましたよ~。”誇り高きアイドル”と”命に嫌われている。”、これまでのラクスさんにはないジャンルの曲でしたよね?」

 

「うふふ。ご視聴ありがとうございます♪ このチャンネルの趣旨は、『わたくしが歌いたい歌を歌う』ですもの」

 

「良いコンセプトだと思います。本当に。”本当の自分”かぁ……ボクも本当は軍人じゃなくて、実はピアニストになりたかったんですよ」

 

 ここは”ザフトは軍じゃねーし”と突っ込むのは流石に無粋だろうか?

 

「まさか、こんな形で夢が叶うとは思いませんでしたが」

 

 ニコルの傍らには、クラシカルなデザインのキーボードが用意されており、

 

「それがあるという事は、1曲弾いて下さるんでしょう?」

 

「お望みとあれば」

 

 少し芝居がかった口調にラクスはくすりと微笑み、

 

「では、1曲お願いしますわ。皆様、聴いてくださいませ。せ~の」

 

 二人は声を揃えて、

 

「「”明日への扉”」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 端的に言って、プラントの空気は”最悪”だった。

 

 先ずは、”命に嫌われている”の放映直後……

 

「俺、ザフトに入隊するつもりだったけど、やめるわ。なんか、そんな気がなくなったっていうか……そんなことしてる場合じゃないよなって気がしてきてさ」

 

「わたしも……」

 

「命に嫌われている、か……こんな時代だもんな。誰もがそうなのかもな」

 

 ニコルの予想は半ば的中していた。

 ラクスが歌ったのは、これまでのような”()()()()()()平和を願う歌”などでは断じてなかった。

 だが、そうでなかったからこそ、”刺さった”。

 飾らない”剝き出しの歌”が、刺さってしまったのだ。

 「熱が浸透するような歌声」がプラントに伝播されてゆく……

 そして、ザフトが、あるいはパトリック・ザラが無意識に恐れていた空気がプラントに徐々に蔓延してきた。

 そう、”厭戦気分”だ。

 

 だが、この3曲目の披露となったニコルゲスト回放送の衝撃は、さらに上を行った。

 

 

 

「「「「「ザフトがラクス様を暗殺だとっ!!?」」」」」

 

 一気に沸点に達し、暴動に発展しようとさえした殺気だった空気!

 だが……

 

 

 

”いつの間にか 隙間あいた心が満たされてゆく”

”ふとした瞬間のさりげない仕草”

”いつの日にか夢を語る あなたの顔をずっと”

”見つめていたい 微笑んでいたい”

 

 

 

 

「あっ、優しい歌……」

 

「そうだよな。激しいのも嫌いじゃないけど、やっぱりラクス様はこういう曲の方が似合う気がする」

 

 皮肉にも、事態を鎮静化させたのもまたラクスが歌う”明日への扉”だった。

 しかし、この鎮静化は必ずしもザフトにとりプラスとはならなかった……

 

「ザフトなら、確かにやりかねないか」

 

「強硬派のパトリック・ザラもね。確かに自分の息子でも暗殺しろとか言いそう」

 

 鎮静化したということは冷静になる時間ができたということだ。

 ザフトやプラントの広報が、「ニコルの告白」という非常事態に有効なカウンターを模索する前に、すっと心に入り込むような”いかにもラクスらしい優しい歌声”が触媒となり”ラクス(とアスラン)の暗殺未遂”が「事実」として配信を見たプラント市民に認識されてしまったのだ。

 皮肉なことに、無理に証拠固めをした「説得力がある告発」をするのではなく、サラッと世間話のように「短く、分かりやすく、事実と要点のみを話した」ことが結果として「頭で考えるのではなく、心で理解する」事を促進させてしまったのだ。

 

 いくつもの意味を込めた”染み付いたイメージ”という物の効果だろう。

 こうなってしまっては、パトリック・ザラもザフトも有効打を打つのは難しい。

 皮肉だが「アスラン・ザラとラクス・クラインのどっちを信じられる?」とプラント市民に聞いた時、その答えは……言うまでもないだろう。

 

「パトリック・ザラって奥さんがユニウスセブンで亡くなったって話だけどさ、」

 

「でもちょっと……」

 

(((((なんか、おかしいよな……)))))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、ニコルの伴奏で歌われる”明日への扉”はこうエンディングを迎える。

 

”気がついたら 心の中 優しい風が吹いて”

”明日への扉 そっと開く”

”言葉が今 時を越えて永遠を突き抜ける”

”いくつもの季節を通り過ぎて たどり着いた二人の場所”

”長すぎた旅路のあと 誓った愛を育てよう”

 

 

 

 気がついたら、その男は泣いていた。誰という訳でもない。名も無きプラント市民Aだと思ってくれても構わない。

 無論、”ネームド”の誰かだとイメージしてもらってもよい。

 泣いてる理由は彼自身でもわからなかった。

 だけど……

 

「なあ、誰か教えてくれよ……俺達の”明日への扉”はどこにあったんだ? どこにおいてきてしまったんだ……どうしておいてきてしまったんだよぉ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こういうのをあとがきで書くのは興醒めかもしれませんが、ちょっとだけ「何が最悪」だったのか解説を。
下に書く文章は、本文に入れるとなんか味付けが悪くなる気がして……

※前提として、ラクスとニコルが「意識的にやったか?」は言及しません。

・暗殺という禁じ手を、証拠を周到に準備して告発するのではなく、単純明快に要約して日常会話のようにサラッとばら撒く

・暗殺者と暗殺対象を「仲良く並べてセッションさせる」ことで、「作戦の大失敗」と「計画が裏目に出て最悪を超えた最悪の結果に至った」ことを特にザフトに突きつける

・「ニコルの伴奏でラクスが歌う」「ラクスが”ラクスらしい”と大衆が思う優しい歌を歌う」。この二つの非日常と日常を触媒として、「簡潔な事実」を「真実として」プラント市民に浸透させる

しかも、その前の”命に嫌われている。”で厭戦気分って下地を既に生み出していたり……

ここまでえげつない「敵国の民心操作」は、いかにプロパガンダ戦が大好きな現実の某大陸国家だって普通はやりませんし、しません。

このような暴挙を容認しているあたり、”歌姫計画(Project DIVA)”の統括責任者のカガリが、既に「プラントを国と、ザフトを軍と、完全に”()()()()()()()”」ことの裏付けです。

カガリは腹黒でも、あれで申し訳程度の良識はあります。
なので、とりあえず普通は”国”に対して「面子を真正面から叩き潰す」ような真似は基本的には控えます。(絶対にやらないとは言いませんが……)
今も昔も、国際社会は”ナメられたら最後”ですからね。カガリはそれを「中立国は中立を守るために必然的に重武装国家になる」程度には良く知っています。
でも、プラントやザフトには何の良心の呵責もなく、平然と仕掛けます。
カガリにとりプラントは、もはや「国の好き嫌いの範疇にすら入っていない」ようです。
今回は、例えばそういうエピソードでした。

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