【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
唐突ではあるが、少しこの世界線におけるオーブが開発している実戦投入可能なモビルスーツについて整理してみよう。
最初に出てくるのは、開発こそ「戦闘も可能な汎用人型重機」だが、登場から10年以上たった今も改良が続けられ未だに第一線に立ち、輸出仕様は大西洋連邦限定で輸出されている”ティエレン”だ。
人類最初の人型機動兵器として残したマイルストーンとしての意義は極めて大きい。
そして、次にオーブが開発に踏み切ったのは、可変形態型モビルスーツだ。
正確には人型から航空機形態へ機体単独で変形できるのではなく、基地での装備換装によって航空機形態と人型を任務に応じて使い分けられるという、良くも悪くも当時の技術的限界を示す物だった。
そもそも、なぜオーブが純粋戦闘用モビルスーツを技術的ハードルの高い可変型モビルスーツとして設計したかについては、単純にオーブの置かれた地政学的条件が主な理由だ。
オーブは島国であり、領土は大きくはない。
故に効率的に国防任務を行おうとすれば必然的に海と空を使うしかない。
何しろ敵対者は、必ずそのどちらかからやって来るのだ。
軌道エレベーターやヘリオポリスのような半宇宙、宇宙拠点・重要施設もあるが、真っ先に本国国土防衛を考えるのは、自然な話だ。
その時代、オーブは基本となる技術的デモンストレーターを完成させ、それを雛形に2機種のモビルスーツを開発する。
”ヘリオン”と”リアルド”だ。
2種の同時開発を行う最大の理由は、「片方が開発に失敗した場合、もう片方が保険となる」というリスク分散の発想だが、同時に双方が開発に成功した場合に備えてこの2種には「基地での換装による航空機形態と人型への切り替え」という共通要素がありながらも、明確なコンセプト分けがなされていた。
開発が先行していた”ヘリオン”は、当時の国防の最適解を出すべく最大公約数的な要素を求められ、足りない分は順次アップデートを重ねて行くというコンセプト(実際、ヘリオンは初期型、中期型、現行型の大きく分けて三世代があり、初期型もパーツ換装で現行型へのアップグレードが可能)で、後発のリアルドはより新しい技術やコンセプトを用いれるメリットを生かして分解・組み立てが容易なブロック構造を採用するなど、より先進性が目立つ。
兵器というのは開発が終了したその瞬間から陳腐化が始まる宿命であるが、”ヘリオン”開発チームも”リアルド”開発チームも、須らく自分たちの作り上げた機体の後継機を、間髪入れずに始めることになる。
先行したのは、ヘリオン開発チームだった。
理由は単純で、オーブ国防委員会技術研究本部から要求された次世代機のコンセプト、
・基地での換装ではなく、モビルスーツ単独での”人型⇔航空機形態への相互変形”が可能なこと。
・指向性マイクロウェーブやレーザー送電による外部からの無線電力供給を可能とすること。
を盛り込みながら、国防の最適解とされた”ヘリオン”のコンセプトを発展/拡張させる明確な方針が決まっていたからだ。
そして、それが結実したのが”イナクト”であった。
対して、リアルド開発チームは、上記のコンセプトを盛り込みつつ、主任開発者にエイフマン教授、サポートのカタギリ技師、テストパイロットの武士道(?)などを迎えてより先鋭的、そしてモビルスーツのスタンディングアローンで侵攻作戦を狙える野心的なハイエンドモデル路線を狙って行くのだが……この機体は、残念ながら未だ試作機しか完成していない。
既に先行量産型がヘリオポリスをはじめ各地で試験運用を兼ねた実戦配備されている”イナクト”に比べれば出遅れ感は否めないが、やがて文字通りの”オーブの
余談ながら”ティエレン”の開発チームは、ティエレンの発展と改良、様々な派生型に加えティエレンの正式な後継機である全環境対応の次世代機”ティエレン・タオツー”の開発をはじめ、派生型やタオツーの開発が一段落着いたこともあり現在、一部は大西洋連邦系モビルスーツ開発チームと合流しているようだ。
いずれにせよ、大西洋連邦からフェイズシフト装甲や某粒子に依存しないビーム兵器の技術移転が為されるため、その将来は暗いものでは無いだろう。
☆☆☆
さて、このような経緯で完成した”イナクト”はこの時代の技術水準を考えれば、驚くほどの高性能量産機であった。
ヘリオポリスのオーブ軍基地から照射される無線送電により、活動時間は宇宙空間であるが故に
また、受電範囲から外れても、オーブ自慢のパワーエクステンダーなど優れた電力/電装系を搭載している為に、素の状態でも合計軸出力や稼働時間でこの時期に実用化されているザフトのモビルスーツに遅れをとることはまずない。
むしろ、総合性能で対抗できるのはGAT-Xシリーズくらいではないだろうか?
そして、現状においては豊富な電力量に裏打ちされ、火力では遠近共に確実にザフト製モビルスーツを優越していた。
例えば、同じく量産機のジンの主力兵装はMMI-M8A3/76mm重突撃機銃にMA-M3重斬刀だが、前者は旧態依然とした金属薬莢式の火薬砲であり、基本的には20世紀に設計されたオート・メラーラ76㎜砲のスーパーラピッドをMS用ライフルに仕立てたような物だし、重斬刀に至っては特に耐ビームコーティングのような処理はされてない高強度金属の塊だ。
対して”イナクト”の方はと言えば、手持ち武器のライフルは火薬式ではなくリニア式であり、速射モードでも初速・発射速度でジンのライフルを優越し、高電圧で威力を増大させる単射(高出力)モードに至っては、その威力は後年に登場するMMI-M15クスィフィアスレール砲(フリーダム・ガンダムのレールガン)に匹敵する。
また、格闘武器の超高硬度カーボン製のアサルトナイフであるソニックブレイドは指向性高周波微細振動刃、つまりGAT-X105のアーマーシュナイダーと同様の基礎構造と機能を持っており、これに加えてプラズマ・ロングブレード発生装置も有しており、その場合は一種の疑似的なビームサーベルとして使用可能だ。
ジンが武装で勝るとすれば、むしろ性能や威力ではなくその多彩さ、選択できる武器の多さだ。
だが、いずれにせよ防御力では素材の差はあれど極端な差はなく、出力重量比でイナクトはジンを優越(本体重量でイナクト:66.8t、ジン:78.5t。イナクトが10t以上軽量なうえにモーター合計出力、スラスター合計推力はイナクトの方が高い)しているため、武装での優越を含めてイナクトはジンを圧倒できるのだ。
ジンには「操縦系統は高度な反射神経・運動能力・判断力・認識力が必要とされ、扱いの難しいOSによってコーディネイターにしか操縦できない」という設定があるが、そんなことを言えばプラント/ザフトよる数年先んじてモビルスーツを実用化、実戦投入していたオーブの技術者に鼻で笑われるだけだ。
『コーディネーターのくだらないプライドだかなんだか知らんが、自動化が遅れた制御システムを自慢すんなや。腕があればマニュアル車の方がオートマ車より速いとか、何百年前の感覚だよ?』
くらいは言われるだろう。ぶっちゃけコーディネーターにしか使えないモビルスーツなど、ナチュラルとコーディネーターとその中間が共存するオーブの技術者に言わせれば「唾棄すべきナンセンスで時代錯誤の代物」だ。
これらの性能差に加えて、オーブは(実質的に)国営PMCなどを使って既に地球とプラントが戦争を始めるずっと以前からモビルスーツを地域紛争などに実戦投入してるし、また旧世紀のトップガンのように異種モビルスーツ同士の戦闘訓練を実機を用いて、あるいはシミュレーターを用いて頻繫に行っている。
つまり、ノウハウの蓄積が全く違うのだ。
そして、数少ない実戦を経験し、多くの模擬戦とシミュレーターを含めて合計2000回もこなして勝利し続けたパトリック・コーラサワーは、まさに紛れもなくオーブのエースパイロットであった。
少なくとも栄えあるイナクトのお披露目式典で、デモンストレーションパイロットに任命されるほどの腕前だ。
「これでリアルでも俺様、エース確定だぜっ!!」
3機目のジンをプラズマブレードで引き裂いたコーラサワーは高らかに宣言する。
以前参戦した地域紛争の介入で2機の敵機(モビルスーツではないが)を撃墜し、今回でザフトのモビルスーツ、
これは、生涯通算撃墜数がこの時代では極めてレアな3桁に届くことになる、オーブの”不死身の撃墜王”伝説のほんの幕開けに過ぎなかったのだ。
実は、疑似GNドライブやら核動力登場以前のバッテリー式量産機でも強いオーブ軍。
技術的な物だけでなく、先行していた故に運用やパイロット育成を含めた全般的なモビルスーツのノウハウが、「コーディネーターしか使えないモビルスーツ」の開発でイキッてるザフトより断然上です。
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