【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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そして、宇宙(ソラ)からも空中(そら)からも敵は来る……
ただし、それは予想済みでありまして。

とりあえず……鬼だな、オーブw






第72話 ”オペレーション・スピットブレイク” 空中ステージ 哀しい戦士達

 

 

 

 さて、宇宙戦ステージにおいて、ザフトは惨憺たる結果を示した。

 その失敗の原因は多岐にわたるが……

 

 だが、「ザフトなりによく考えられたプラン」と言えなくもない。

 例えば編成だ。

 大型輸送艦5隻、ローラシア級15隻、ナスカ級10隻という編成。

 実はザフトにしては珍しく「輸送艦1隻につき巡洋艦2隻を付ける防御に気を配った編成」であり、しっかりとオーブの戦力を警戒していた事がうかがわれる。

 

 また、作戦自体もローラシア級フリゲートを先行の強襲部隊と位置付け、ナスカ級でオーブの防衛艦隊を抑えているうちに本命の輸送艦を降下ポッド投下ポジションにつかせるという物だった。

 だが、最初にあげられるのは戦術云々よりも、ローラシア級の構造的欠陥をザフト自身が理解していなかった事だまず大きい。

 ローラシア級は「格納庫を降下ポッドとして使える」、言い方を変えれば「降下ポッドを外付けの格納庫としてるような船」だ。

 通常の艦隊戦ならともかく、大気圏への降下作戦が前提のこの作戦なら、ポッドの投下シーケンスに入ろうという状態にモビルスーツを発艦させる事は難しいのだ。

 ザフトの作戦目標が、「1機でも多くのモビルスーツを目標へ降下させること」である以上、致し方無い部分はあるが……

 だが、運良く捕虜になれたザフト兵が語る、

 

『ナスカ隊10隻がオーブ艦隊を抑えている以上、ローラシア級の火力と防御力なら、十分にオーブの防衛網を突破できると判断された』

 

 は、流石に見通しが甘すぎるだろう。

 また、ナスカ級10隻でオーブ艦隊を抑えようというのも、「幾たびの地球連合との宇宙戦における勝利と言う成功体験」から導き出された判断だろうが、結局はオーブの戦力を十分に把握できていなかった事がここからも分かる。

 確かに10隻のナスカ級、搭載機である60機のモビルスーツなら、なるほど30隻程度の標準編成の「連合の艦隊」なら正面から相手どれ、普通に勝利できたかもしれない。

 

 だが、相手はモビルスーツ戦に一日ではないどころの長があるオーブだ。

 加えて、ザフトは地理的条件、ここが軍事拠点(軍港)でもあるアメノミハシラの軌道ステーションのすぐそばだということを失念していたと考えられる。

 つまり、オーブ基地より「モビルスーツの増援」が普通に飛んでこられる作戦行動半径内だったのだ。

 また、ザフトは「オーブ艦隊を抑える」つもりだったが、当時の資料を読み解く限りオーブもまた「戦闘力の高いナスカ隊を()()()()()」役割に専念していたようだ。

 これは無論、「軌道エレベーター防衛」の大義名分を得たソレスタルビーイングのガンダム・タイプが強襲してくる事を見越した上での判断だろう。

 実際、オーブのモビルスーツは艦隊防空の任に付いていた機体の方が多く、またこの艦隊戦で沈んだナスカ級の多くは艦砲射撃、つまり艦隊砲撃戦で致命傷を負っていた。

 オーブ宇宙艦は、陽電子砲4門を搭載した高火力艦の使い道を間違えてはいなかった。

 

 そして、輸送艦は全滅した……これこそが大きいのかもしれない。

 まあ、撃沈される前に降下ポッドの強制射出に成功した船もあったが……結果として言うなら、3割近いポッドを「大気圏内に突入させられた」のは、むしろ奇跡的と言ってもいいかもしれない。

 

 だが、どこかの誰かの台詞ではないが…

 

『起こらないから奇跡って言うんですよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーブ上空、蒼穹、高度20,000m付近

 

 オーブ直上、”アメノミハシラ”周辺宙域での戦闘は、大西洋連邦の第8艦隊の助勢もあり、防衛側であるオーブの圧勝で幕を閉じた。

 しかし、それでも投下に成功した効果ポッドもあるのだ。

 

 だが、投下に成功したからと言って降下に成功したわけでは無いのが現実の非情なところだ。

 

「ノイマン君、すごいね~。”アークエンジェル”みたいな図体の大きな船、空中でほぼ垂直方向にピンと立てちゃうなんて。しかもここ、成層圏だよ?」

 

 ※赤道付近では成層圏は高度17,000m以上

 

「お褒めの言葉、どうも。成層圏の方が気流が安定してるので、実は姿勢制御自体はやりやすいんですよ」

 

 アニューが感心したのは、言葉通り”艦首を()()()()()()姿勢”で、アークエンジェルを微速前進させている天才操舵士ノイマンの腕前だ。

 バレルロールのような派手さは無いが、必要な技量な同じく高水準を要求される。

 

「艦長! 敵降下ポッド群、ローエングリンの射程に入りましたっ!」

 

 オペレーターの声にトダカは頷き、

 

「ローエングリン、1番、2番、”広角射”にて()ぇっ!! 開幕の号砲だ。派手にぶちかませっ!!」

 

 貫通力が低下する代わりに砲口から円錐状に広がるワイドビーム化された陽電子砲が、大気圏を抜けてオーブへと迫るザフトの降下ポッドを飲み込んだっ!!

 どうでもいいが、トダカ艦長……大分、周囲の若い連中に感化されてないか?

 とにかく地表への影響(ガンマ線汚染や大気汚染)を極小とするために、わざわざ成層圏まで昇っての陽電子砲の発射である。

 広角砲撃の実験(試射)も兼ねた砲撃だが、結果は概ね良好。規定通りの破壊範囲と効果を齎せた。

 

 だが、”アークエンジェル”が行う陽電子砲撃は、この作戦ではこの1回のみ。

 

「では諸君、ゴットフリートとヴァリアントにて”射的”を始めよう。砲撃開始!」

 

 運よく陽電子砲に飲み込まれ爆散しなかった降下ポッドの受難は、まだ続くようである。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 大気中でモビルスーツがばら撒かれる前に降下ポッドを狙うのは、何もアークエンジェルだけではない。

 

「我が祖国を狙った代償、その命で贖ってもらおうっ!」

 

 グラハム・エイカーの率いるフラッグ・グラハム・カスタムに率いられる完成したばかりの”オーバーフラッグ”隊、合計12機が成層圏を舞台に戦っていたのだ。

 オーバーフラッグは、オーブ・モビルスーツの中でも特に航空性能が高く、このような高高度迎撃任務も難なくこなす性能を誇っていた。

 加えて、

 

「落ちろ! 落ちろ! 落ちろぉーーーっ!!」

 

「砕け散れっ!!」

 

「光になれーーーっ!」

 

 オーブ各所から撃ちあがる凶悪なビーム高射砲撃! いや、最後のは何か違う気もするが……

 そう。三人娘のストライク・タオツーが装備するストライカーパックの”アグニ”や、軍のストライク・タオツーが装備する連結式超高インパルス砲の対空射撃だ。

 どちらも、当たりさえすれば高度30,000mの降下ポッドを中のモビルスーツごと撃破できる火力がある。

 

 そして、戦場と化したオーブ全域に流れるメロディーは……

 

「あっ、この歌……」

 

哀 ふるえる哀

それは 別れ歌

 

「「ラクスさんっ!!」」

 

 そして、グラハムは愛機のスペシャルな機動で次々に”的”を射貫きながら、

 

「ほう。良い曲ではないか!」

 

 コクピットで実に良い笑顔を浮かべていた。

 そして、上がったテンションのまま、

 

「グラハム・エイカー、推して参るっ!!」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 敵は何も宇宙(ソラ)から来るだけではない。

 300機と想定されていたのは攻略艦隊で、カーペンタリア湾のザフト基地からの攻撃隊の数は、一応は未知数とされていた。

 だが、悲しい現実を言おう。

 残存するカーペンタリア基地の戦力から逆算して、

 

『最大出撃数でも許容範囲で対処可能』

 

 と判断されていた。無論、質や性能を加味してだ。

 戦力が”終わらない雨事変”で目減りしたとはいえ、カーペンタリアのザフト基地はまだまだ戦力としては十分な数のモビルスーツを有していた。

 飛行能力のある”ディン”や、サブフライト・システム”グゥル”に騎乗したシグーやジンがオーブに迫りつつあった。

 「宇宙と地上からの同時飽和侵攻」である。

 だが、残念だがこの程度の戦力ではオーブの防空能力を飽和させることはできない。

 無論、正規軍も迎撃に上がっているが、オーブ防空識別圏にはある種、異色な一団が空中で陣取っていた。

 

「お前ら、気合い入れろよ! 1機墜とすたびにボーナスがつくんだからよぉっ!!」

 

 気炎を上げるのは、国営PMC”カタロン”のモビルスーツ隊総隊長、キラお手製(?)のイナクト・カスタムを駆る我らがアリー・アル・サーシェス。

 カタロンには国からの正式な依頼として「カーペンタリアよりの攻撃隊の対処」が舞い込んでいた。

 モチベーションアップの為だろうか? 危険手当込みの正規報酬とは別に、今回の任務には1機落とすごとに現代日本円で約10万円の個人特別報奨金がパイロットには約束されているようだ。

 

「ははっ。そりゃ愉しみなこって」

 

 2丁拳銃よろしくショーティー・カスタムのブレイドライフルを握るライル・ディランディのイナクト・カスタムⅡに、

 

「ふん。俺の強さを証明する良い機会だと思ってやる」

 

 と未だサーシェスに0勝のカナード・パルスの乗るイナクト・カスタムⅡ。

 武装は、ハイペリオン時代から引き続き、パワーセル式から掌からのエネルギー供給式に改造したビームサブマシンガン”ザスタバ・スティグマト”。

 銃剣部分はオーブ・モビルスーツの標準装備ともいえるプラズマソード機能付きソニックブレイドに変更されていた。

 

 そして、各種センサーに捉えられる敵影に、

 

(思ったより数が少ねぇが……)

 

「さぁ、野郎どもっ! ”空飛ぶ札束”のお出ましだぜぇっ!!」

 

ひろう骨も 燃え尽きて

ぬれる肌も 土にかえる

 

「ははっ! 良い曲じゃねぇかっ!」

 

荒野を走る 死神の列

 

「ここは荒野じゃなくて大空だけどなぁっ! 死神の群れってのは間違いじゃねぇぜっ!!」

 

黒くゆがんで 真っ赤に燃える

 

「”カタロン”全機、攻撃開始っ!! ザフトのクソ野郎どもを1機残らず燃やし尽くせっ!!」

 

 その発令、まさに”焼け野原ひろし”の面目躍如なりっ!!

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 そして、マスドライバーのあるカグヤ島沖上空では……

 

「こんなところまで来てくだらん事やってないで、さっさと巣へ帰れっ!」

 

 元がメビウス・ゼロ乗りの習性からか?

 大気圏内での高い飛翔能力を獲得した”イージス・エンデュミオン”をモビルアーマー形態にして高速飛行しながら、”スキュラ”の曲射弾道ビーム砲撃で敵機をまとめて一閃するムウ・ラ・フラガ!

 

 複列位相ビーム砲という性質上、威力はあるが集束率が高いわけでは無い”スキュラ”の射程は特に大気圏内では長くは無いが、ムウの優れた技量と空間認識が組み合わされ放たれる「直線だけでなく曲線で飛んでくるビーム」は凶悪すぎた。

 

哀 生命の哀

血の色は 大地に捨てて

新たな 時を開くか

生き残るか 哀戦士たち

 

(生き残りさえすりゃ、別の人生があるかもしれねぇってのに……)

 

「このバカ共がっ!!」

 

 

 

 

 

 

 戦いは、まだ続いてゆく……

 そして、その戦いが長引くほど、またザフト兵士の命が加速度的に消えてゆく。

 これが、この戦場の宿命であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ノイマン君は相変わらず天才操舵手でした←アークエンジェルを成層圏で垂直空中静止させた男w

・ほぼフリーフォール状態のザフト降下ポッドに開幕陽電子砲広角対空砲撃(鬼畜スギィィィ……)+追撃のクレー射撃

・哀戦士がフルヴォリュームで流れる中、ハムさん率いるフラッグ隊による高高度迎撃とストライク・タオツー隊による地上からのアグニと超高インパルス砲の夢(悪夢)の共演

・カーペンタリアからの遊覧飛行組には、サーシェス率いる”カタロン”モビルスーツ隊とムウさんがお出迎え♪

うん。もう、こうなんか……ボロボロですね?
果たして何機、残骸にならずオーブの土を踏めたのやら。

ザフトを空飛ぶ札束扱いするサーシェスに対し、ちゃんと敵の身を案じて怒れるムウさんの善人っぷりよw

今回の”哀戦士”で参照したのは、よつべで活躍中の姫生のーむ様のカバーver

【機動戦士ガンダム】哀 戦士 - 井上大輔 / Covered by 姫生のーむ

です。
なんか、すっごく惹かれるアレンジと声なんですよね~。
おかげでオーブ側はテンション爆上げ&殺意マシマシw
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、この「オーブ本土防衛戦」のイメージって、1stガンダム劇場版第2作「哀戦士」のジャブロー攻防戦なんですよ。
あのジオンのガウが押し寄せるところから始まる攻防戦がかなり好きです。
ただ、このシリーズではザフトへの難易度が高過ぎですがw

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