【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた 作:種再燃祭
前半は、ウズミは、オーブは”オペレーション・スピットブレイク”をどう総括と定義するかというお話。
後半は、久しぶりのオーブと大西洋連邦が誇る悪党同士(いや、悪党同志か?)の悪巧みです。
さて、お騒がせな三人組の話も一段落したのでそろそろ”オペレーション・スピットブレイク”の顛末と『後始末』に入ろう。
オーブは国民感情も含めて、不思議なほど怒りのゲージは上昇していなかった。
これは偏に、
『パトリック・ザラとザフトだから、いつかやると思った』
という認識があったからだ。
そして、拍車をかけたのが、以下のウズミ・ナラ・アスハのコメントだ。
『国民の皆も知っての通り、先日、我がオーブ首長国は”ザフト”を僭称する非合法武装組織に現代的に組織化されたテロリズムによる攻撃を受けた。諸君らも知っているだろうが、我々はこの組織化されたテロの撃退に成功した』
とまず結果を述べてから、
『だが、テロリズムからの国防に成功したが、現在、問題となっているのはその取り扱いだ。ザフトの後ろ盾となっている”プラント”は、我が国は公式的には国家として承認していない。だからこそ、自称”義勇兵団”とするザフトも国軍として認めることはできない』
本来は大西洋連邦に対する政治的な義理立て程度な物で、「公式な国家として承認して無くとも、地域コミュニティや生活共同体以上の”準国家”としてプラントを扱ってきた」という事例はある。
だが、ここにきて「建前でしかなかった国家として未承認」が大きな意味を持つ事になる。
『故に今回の事例、法律の定義上、オーブは国防任務で軍を投入したが公式には「国家間の戦争における軍事行動」ではなく「治安活動も含む警察行動の一環」であると定義する。つまり、対象が重武装テロ組織であったために警察装備では対処不能であり、軍が警察行動の代行を行ったという見解だ』
いわゆる”代行軍”の発想である。
『また、繰り返すがプラントが正式な国家でない以上、今回降伏した便宜上、”捕虜”とするが彼らは無国籍扱いとなる』
実はこれ、割と重い話なのだ。
『ありていに言えば、今回の警察行動は”
今でいうハーグ陸戦条約やジュネーブ条約の対象外となるという事だ。
『以上の条件を踏まえ、我々は捕縛した便宜上の捕虜を、”テロ実行犯”という罪状の犯罪者として捕虜収容所ではなく軍刑務所に収監する事を決定した。一般刑務所でないのは”戦闘訓練を受けたコーディネーター”が持つ危険性ゆえの判断だ』
そして、一呼吸置いてから、
『だが、国民の皆は不思議に思うだろう。いわゆる”終わらない雨事変”で、思想的な理由などで亡命者として認められなく”捕虜”として扱われる人員が居るのに、それでは”ダブルスタンダード”なのではないか?と』
そして、ウズミは資料を開示して、
『だが、これは断じてダブルスタンダードではない。まず先の”捕虜”は亡命申請を受け付けられなかっただけで、その時点ではオーブに対するテロ行為は確認されていない……少なくとも、現行犯でなかったことが一つ。だが、これは大きな理由ではない』
ウズミは悲痛な表情(無論、演技だが)で、
『先頃、プラントでパトリック・ザラとザフトが主導する軍事クーデターの発生が確認された。彼らが言うところの”オペレーション・スピットブレイク”の発令と同時だったらしい。つまり、オーブ攻撃に反対しそうな穏健派の議員や中立派の議員まで捕縛・拘禁対象になったそうだ……』
そして怒りをあらわにして机をダンッ!と叩き、
『諸君! 現在、今やプラントではかつてない悪行が行われ、議会の機能は停止し、独裁者が主導する軍事政権に成り果てたっ!! そのもとで行われたのが今回の”オペレーション・スピットブレイク”なのだっ!!』
そして怒りの表情を治めぬまま、
『故に私は、私達は認識を改めねばならんっ! かつて我々は”プラント市民”として受け入れることも可能だった。だが、パトリック・ザラと彼の子飼いであるザフトがプラントの実権を掌握した以上、我々は相応の対処をせねばならぬとっ!!』
そして腕を広げ、
『国民よ! 私は断じてプラントに住む者を”宇宙の化物”だの”宇宙人”だのとは思わんっ! だが、同時に今のプラントは「コーディネーターとナチュラルという人種差別主義」を金科玉条とする危険思想の独裁者に牛耳られた場所だと理解せよっ!!』
呼吸を整え、
『あまりに哀しい現実である。だが、これも現実なのだ。故に今後、我々はザフトが軍事行動として行うであろうそれらを、「パトリック・ザラの命令でテロ組織ザフトが行う国際テロ活動」と見做さねばならん。これを国家間戦争と定義してしまえば、本土への空襲をされた以上、我々はプラント全土への全面攻撃をせねばならなくなる。なぜなら、報復こそが正しき戦争の姿であるからだ』
数多の戦争を紐解けば、その理由の多くが本質的には「何かに端を発した報復合戦」であることに気づくだろう。
戦争とは、どこまでも政治活動の一環、交渉で解決できない問題を武力で解決しようという行為なのだから。
『後世、きっと私は”甘い”と誹りを受けるだろう。だが、そうだとしてもザフトと無関係な無辜の民が暮らすプラントを攻撃できるのか? 国民に問う。宇宙に住まう民間人を、全て物言わぬ躯に変えることを承服できるのか? その重さに、諸君らは耐えられるのか?』
『だからこそ、私は”オペレーション・スピットブレイク”以後の全てのザフトの行動をテロリズムと断じねばならぬのだ』
それは地球規模で”ザフト=テロ組織”の図式が定着した瞬間だった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
後世に”ウズミの慈悲深き断罪”として語り継がれることになるこの演説、拍手喝采で視聴する者がいた。
「いやぁ~、名演説、名演説♪ これでザフトを”テロ組織”とすることに疑念を持つ者は表舞台から一掃される事でしょう。何しろ『テロ組織として扱ってやることが、むしろプラント市民に対する慈悲』なんて言われたらねぇ?」
すると画面の向こう側、秘匿回線の先に居る……
『まったくだな。確かに甘くはあるが、流石は人道主義者で通した父様だというところだ。私が同じ事を言っても、噓くさくてかなわん』
と嫌そうな顔をするカガリ。
どうやら、お互い「なんか気持ち悪い」ということで既に敬語はやめたようだ。
「その様子だと、どうやらご不満のようで?」
『別に不満はないさ。ただ、この戦争の方向性が決定づいたと思っただけでな』
「まあ、貴女も僕と同じで、必要であればいくらでも殺すし、必要なければ殺さないタイプですからねぇ」
『当然だ。誰が好き好んで労働者を殺したいと思う? 飯のタネだぞ』
「ごもっとも。ですが戦争の方向性が決定したのなら、大分やりやすくなったのでは?」
『まあな。ところで、そっちにもザフトが行くぞ? オーブでの圧倒的な敗北に加えて、世界中に「義勇軍ではなくテロリスト」として喧伝されたんだ。”明確な勝利”が連中、いや、パトリック・ザラには必須だ。オーブがらみの失態、少しでも払拭しなければ、流石に政治生命が終わる』
さらっとした物言いで剣吞なことを言い出すカガリに、
「でしょうねぇ。独裁者にとって勝利は政治生命を支える重要な栄養素ですから」
同じくあっさり返すアズラエル。
『その反応なら、もう的は絞れているのか?』
それはわからないからの質問ではなく、確認作業であり……
「勿論ですよ。”オペレーション・スピットブレイク”の本来の目標、”パナマ”を置いて他にないでしょう」
『その理由は?』
「ザフトが現在、地上の配備兵力も含めて手を出せる場所で、現有投入可能兵力である程度の華々しい勝利を飾ろうとすれば、もうあそこしかありせんよ」
『なるほど……”
「一応、現在は大西洋連邦の管轄にはありますがね。現状、ザフトが『オーブ攻略に失敗した以上、アラスカとパナマ、どっちを狙うかわからない』という触れ込みで、引き続きユーラシア連邦や東アジア共和国の兵団を”パナマに駐留”させてますよ」
実は地球連合という枠組みではなく、「大西洋連邦にとっては」パナマのマスドライバーを喪失しようと、損失ではあるが大きな問題とはならない。
オーブと濃密な友好関係にあるとは、そういう事だ。
無論、オーブは大西洋連邦や他の友好国以外へのカグヤ島のマスドライバー貸し出しは拒否するので、ユーラシア連邦や東アジア共和国は陥落はしたが、マスドライバー自体は未だ健在の他の地区の奪還を目指さねばならなくなるだろう。
『ちらつかせたエサは? ニュートロンジャマー・キャンセラーの配布だけじゃないんだろ?』
上記の理由、「パナマが地球連合の現状保有する最後のマスドライバー」だからといって、ユーラシア連邦や東アジア共和国が無条件で大軍を配備させる事はないだろう。
ちなみにアズラエルがユーラシア連邦や東アジア共和国に供与するニュートロンジャマー・キャンセラーは「個別用のニュートロンジャマー・キャンセラー
ライセンス生産に必要な情報は供与に含まれていない。繰り返すが、渡すのは現物だけだ。
当然、ユーラシア連邦や東アジア共和国の事だから分解してリバースエンジニアリングを狙うだろうが、念入りにブラックボックス化され、下手に分解すれば自壊装置が働くそれのコピーは簡単ではない。少なくとも年単位の時間……今次の戦争に間に合うことはないだろう。
オーブルートで供与された技術情報をタダでユーラシア連邦や東アジア共和国にくれてやるほど、アズラエルもビジネスに疎くはない。
「最新鋭の量産型モビルスーツ”ダガー”のパナマ駐留軍への優先配備。連中、自国でのモビルスーツ開発に行き詰ってるから無償のライセンス生産権譲渡もちらつかせたら、喜んで大兵力を送り込んできましたよ。ええ、モビルスーツのテスト部隊もかねてね」
モビルスーツ開発の遅れだが、ユーラシア連邦に至っては、カガリが唆してアクタイオン社をアズラエルが買い叩いたことが直接の原因で、ユーラシア連邦と東アジア共和国両国へはオーブが一切のモビルスーツ関連技術の供与を拒絶している。
そりゃあ、自国にモビルスーツを向けてくることが確定してるからだ。
『ああ、あの間に合わせの”安普請”か』
弟の”ダガー”への評価を思い出しながら言えば、
「安普請は酷いですねぇ。せめて、”必要な機能を備えた廉価版”と言って欲しいところです。まあ、間に合わせなのは否定しませんがね」
ククッと苦笑するアズラエルをカガリは呆れた目で見て、
『虎の子”105ダガー”やバスターもどき、デュエルもどきを秘匿してるあたり、理事長の思慮深さを感じるよ』
「何しろ、まだ大西洋連邦でも”公式には量産が始まってない機体”ですので。それに”連中”の工業力では、今のところダガーで手一杯ですよ」
正確には、ダガーの設計仕様書の段階で「ユーラシア連邦や東アジア共和国でもライセンス生産可能な技術で作成すること」が盛り込まれていたのだが。
『パナマじゃ地理的には”サイクロプス”のトラップも仕掛けられないだろ? どうにかなるのか?』
「精々、”地球連合”の同志たちには奮闘してもらいましょう♪」
カガリは溜息を突いて、
『分かった。こちらも”テロリスト討伐”の下準備くらいはしておくさ』
「ああ、でもあんまり早い登場は御遠慮を。”潰し合い”も計算に入れてるのでね」
『心得た。
悪党たちの夜は続いてゆく……
という訳で、前半と後半の温度差が滅茶苦茶あるエピソードでしたw
ウズミが「オーブ国民が望む正義感ある熱血人道主義政治家」を演じてる間、カガリとアズラエルはせっせと次の戦いに備えて下拵えw
このお姉ちゃん、弟だけに仕事させるような事はしません。
そして、アズラエルはやはりやり手。
オーブから技術供与されたニュートロンジャマーの「現物支給」と「
作中で少し触れましたが、パナマのマスドライバーが陥落しても、「オーブと安全保障条約」を締結してる大西洋連邦は大して困らないんですよ。
普通にカグヤ島のマスドライバーや軌道エレベーターを申し出れば使えますし。
パナマが陥落して困るのは、自前のマスドライバーが軒並みザフトに奪われているユーラシア連邦と東アジア共和国の方なんです。
なので、ユーラシア連邦や東アジア共和国にしてみれば、
『宇宙へ物資打ち上げ必須のマスドライバーを確保するだけで、ご褒美が出るボーナスキャンペーン』
大西洋連邦に得があるかというと、
『自軍の兵を消耗せずにダガーでどこまでザフトと戦えるかを確かめられる絶好の機会』
そしてオーブは、
『相手は何をしでかすかわからないテロリストなんだし、保険をかけておくか。政治利用もできそうだし』
ってな感じです。
さて、この章も次のエピソードでラスト。
ある意味、末期的なプラントを描いてみようかと。
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☆☆☆
ちょっとこの世界線のアウラ・マハ・ハイバルについて
先頃、劇場版小説の後編で、
”若返りの薬を浴びて幼児化した”
という描写がありましたが、この世界線では以前の設定どおりに
”幼体クローン・ボディに脳味噌を乗せ換えたサイバーパンク風味”
で行きます。
いや、正直、あの設定を呼んだ時に、
「それなんて江戸川コナ○?」
って気分になってしまった物でw
いやでも実際、若返りの薬なんてあったら、「殺してでも奪い取る」輩が大量発生して、アウラ自身の身がヤベー気が……
ここはC.E.世界、「身体を切り刻んで浴びた薬の残留物質を調べれば若返りの薬が再現できるかも」とか思う連中が普通に居る世界です。
幼児化の薬の秘密がバレたら、それこそファウンデーション王国建国どころではなくなってたでしょうしw
それに……「幼女になった理由が違う」方が、「原作と行動理念が違う」理由付けになったりしてw