【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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後半、いよいよ満を持してあの二人がようやく出てきます。

前半、アニューさん、またしても……(ホロリ)






第86話 代表のオーダーと”砂漠の虎”改め”大西洋上の苦労人”+2

 

 

 

 時は少しだけ遡る……

 

 

 

「はぁ? 陽電子砲(ローエングリン)の砲撃による陽電子と大気の干渉で疑似的真空状態と特殊な磁場(ポジトロニック・インターファライアンス)を形成して、カグヤ島のマスドライバーに頼らない大気圏離脱ができるか……ですか?」

 

 アークエンジェルの艦長、トダカ中佐はソレスタルビーイングの、というよりいつのまにやらアークエンジェルという試作軍艦全体の技術総監の地位をを、(主に技術方面の師匠と妹弟子の絡みで)押し付けられてしまったアニュー・リターナーに問うた。

 

 いや、まあ艦長と兼任していたマリューよりはマシだとは言え……本当に哀れ。

 まあ、フェイズシフト素材やラミネート装甲のオーソリティーであり、艦船技術全体にも詳しいマリューが今生ではご懐妊中なので仕方が無いと言えば仕方が無い。

 というか、もう直ぐ産休期に入るらしいし。

 

「そりゃまぁ、理論上は……」

 

 と言おうおとするが、

 

(ポジトロニック・インターファライアンスの中は極小気圧で残存大気がプラズマ化して電荷をマイナスになってる筈。その中をアークエンジェルが電磁誘導体として進むとして、必要な推力は……イズモ級なんかのプラズマブースターを改修して装着すればイケそうね)

 

「いえ、技術的には可能ですが」

 

 わずかな時間で計算できてしまう、己のイノベイドの能力がちょっと恨めしいアニューだった。

 

「ところでなんでそんなトンチキなアイデアを? まさか……ソレスタルビーイングの師弟(バカ)共に何か吹き込まれました?」

 

 もしそうだったら、とりあえず「お仕置き暴徒鎮圧用電撃銃(テイザーガン)」でもお見舞いしてやろうと決意する。

 ただ、何故か「こんなこともあろうかと!」と台詞付きで防がれてしまう予感はあったが。

 

「いや……その可能性を探るように言ってきたのは、実は君たちの”代表”の方だよ。近々、『とても厄介な事が起きる。カグヤ島のマスドライバーは間に合わないかもしれない』とね」

 

 本来、カグヤ島にあるマスドライバーではアークエンジェルは大きすぎて乗せられないのだ。

 そして、軌道エレベーターは宇宙戦艦のような大質量の物は分割して部品単位で軌道ステーションまで持ち上げ、そこのドッグ組み立てるような仕様であり、そもそも「大型宇宙船をそのまま運ぶ」ような施設ではない。

 

 そこで現在、カグヤ島のマスドライバーは射出質量の拡大を目的とした拡張工事をしているのであるが……

 

「カガリ代表が? しかも”厄介”と?」

 

 アニューは表情を真剣な物に変えて、

 

「それは、ほぼほぼ間違いなく起きますねぇ……それもマスドライバーの改修工事が終わる前にその”厄介ごと”が起きると踏んでいる、か」

 

 トダカは同意を示すように頷き、

 

「そう言う事でしたら大至急、草案を仕上げます」

 

「すまんな」

 

「いいえ」

 

 アニューは首を横に振り、

 

「ウチのマッド師弟のやらかしに比べれば、可愛い物です。ええ、本当に」

 

「う、うむ。そうかもしれんな」

 

 ”なんか気が付いたらちょくちょく仕様が変わってる実験艦”を預かる身として、トダカとしても色々と思うところがあるのだろう。

 複雑なトダカの表情からそれを察したアニューはぺこりと頭を下げ、

 

「いつもいつも、ウチのバカ共がご迷惑を……」

 

「い、いや、その度に確実にアークエンジェルの性能が上がっているのは確かだしな」

 

「それ、絶対にあの二人には言わないでくださいね?」

 

 アニューは歴戦の猛者であるトダカさえ怯ませる表情で、

 

「絶対、ちょーし付きますから」

 

 その顔は暗に『もっと手が付けられなくなりますよ?』と告げていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その作戦は、”オペレーション・スピットブレイク”の反省から、深く静かに準備が進められた。

 ザフトの作戦部にも反省ができる面々が残っているのは幸いである。

 立案から発動まで、情報漏洩が起らぬように慎重に行われた、まさに「奇策に頼らない教科書通りの強襲降下作戦」だ。

 

 ただ、残念なのは……その全容が、ほぼ大西洋連邦とオーブに予測されてしまっていた事だ。

 ”ヴェーダ”を介した情報戦の賜物ではない。

 ここまで読んでいただいた皆様のお察しの通り、ごく普通の「情報の蓄積と情報の誘導」の成果だ。

 ”ヴェーダ”が活躍したとすれば、その裏付け……シミュレーションによる推測と情報解像度の上昇くらいだろおう。

 これは現代の軍用サーバーでも普通にやっている。

 

 そして、知らぬはパナマに配備されたユーラシア連邦と東アジア共和国の駐留軍のみ。

 いや、厳密には彼らとて「近日中にアラスカないしパナマにザフトの大規模攻撃の可能性高し」という報告は受け取っていたし、警戒(デフコン)レベルは跳ね上がっていた。

 だが、具体的な日時までは特定できていなかった。

 

 彼らが決戦の時が近いと感じたのは、”砂漠の虎(バルトフェルド)”が率いる水陸両用艦隊が、砂漠を出て大西洋に進出した報告を本国より受けた時だ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「ディアッカ、いよいよ決戦の時だ。この作戦を成功させ、ザフトはヘリオポリス以降の汚名を返上せねばならん」

 

 そう覚悟を決めた表情をするのはイザーク・ジュール。

 

「そうだな。それにしても、ヘリオポリス以来のようやくの実戦か……」

 

 そう感慨深い表情をするのはディアッカ・エルスマン。

 二人揃って精鋭の証である”ザフト・レッド”だ。

 

 当然、イザークの顔には傷は無く、アサルト・シュラウドをまとったGAT-X102”デュエル”は新品のようにピカピカだ。

 それはGAT-X103”バスター”も同じことだが。

 

 確かに砂漠でも小規模な戦闘はあったが、それはあくまでこの二人にとって「重力と大気圏内に慣れるチュートリアル」のような物であり、機体が目に見えるような損傷は無かった。

 そこは腐っても赤服という事だろう。

 そして、この二人には原作の初期にあったような「慢心と傲慢の空気」は無かった。

 一つはオーブにおける「ザフトの大敗」を動画配信という形でほぼリアルタイムに見てしまった事も大きいだろう。

 

 だが、それ以上に同僚であるアスランが捕虜になり、ニコルが亡命し、部隊が解散の憂き目にあうという「ガンダムを奪い取った英雄から転落した臥薪嘗胆の日々」が彼らを僅かばかり人間的に成長させたようだ。

 

 人は順風満帆では学べない事も多いのだ。

 加えて、この2人……原作に比べて微妙に幸運値が高いようである。

 根拠はというと……

 

 まずイザークは、話の展開から「民間人の乗ったシャトルを的にする」機会がなかった事だ。

 無論、この世界線では「戦闘中に非武装無防備のシャトルを出す」なんて事が起こりえなかったことを承知で書くが……もし、やっていたらオーブは草の根出しても探し出して、必ず「生け捕り」にし戦争犯罪人としてその罪を白日の下に晒して名誉を全て剥ぎ取った挙句、凶悪犯として処刑していた。

 これは確定だ。無抵抗の民間人殺しの主犯を逃がすような甘さを今生のオーブは持たない。くれてやるのは「犯罪者としての不名誉な死」だけだったろう。

 そのような状況になればその過程で、何人のザフトやプラント市民が死のうが、母親を巻き添えで殺そうが、”砂時計”がいくつ壊れようが、「オーブは一切気にしなくなった」だろう。

 それほどの怨嗟の対象になっていたはずだ。

 

 そして、ディアッカ。

 彼はこれまでアークエンジェルにろくに関わらなかったこと自体が幸運だ。

 もし、追撃戦に加わっていたら、「高確率で戦死していた」だろう。腕前や機体性能の問題ではない。

 これまでのアークエンジェルが参戦した戦闘を考えれば、当然の帰結と言えた。

 まあ、”バスター”確保のため生きたまま鹵獲された可能性はあるが……それに期待するのも楽天的過ぎるだろう。

 それに「最悪、機体の確保さえできれば良い」のなら、別にパイロットの生存に固執する必要はない。

 

 

 

 そして、アフリカに無事配された二人の幸運は、まだ続いているようだ。

 

「お二人さん、気合い入れているところ悪いがねぇ。そこまでいきり立つことはないぞ?」

 

「「バルトフェルド隊長!」」」

 

 姿勢を正し、ザフト式の敬礼をするイザークとディアッカ。

 

「今回の俺たちの役目はあくまで作戦の側面支援。言ってしまえば降下してきた部隊をパナマの大西洋側で回収してマスドライバー(ザフトが確保しているビクトリアの”ハビリス”)まで送り届け、宇宙へ還すことだ」

 

「しかし、それでも戦闘はあります」

 

 そう返すイザークに、

 

「そうだな。だが、主戦力、主戦域の担当はあくまで降下部隊の管轄だってことを忘れるなよ? 戦場ってのは自分の役割を忘れた奴から死んでゆく。そういう風に出来てるのさ」

 

 そして、この言葉は現実となる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アニューさん、有能すぎるゆえにマジに戦時中は(あるいは戦後も?)苦労と面倒が絶えません(挨拶

まあ、原作SEEDの「オーブからのアークエンジェル脱出シーン」のオマージュ、正確にはその準備段階のお話です。
カガリ、マジで動き回ってます。情報型ナノマシナリー・チルドレンは伊達じゃない?

そして後半、イザークとディアッカは割と幸運持ちなのが判明。
「原作と同じ行動」をとってたら、ほぼ確実に死んでた二人です。特にイザーク。

もし、イザークが(展開として無いですが)民間人のシャトル撃ちなんかやれば、その時点でオーブは「ザフトは上から下まで全員テロリスト」認定し、徹底的な殲滅にかかったでしょう。
また、「敵性勢力の民間人(プラント市民)」を巻き込むことに躊躇が無くなります。

まあ、そうならなかったのはプラント込みでアークエンジェルとこれまで関わってこなかったのは幸運かなっと。

そして、今回は引率込みで苦労しそうなバルトフェルドw
彼の苦労は報われる日は来るのか?
いや、でもザフトだしなぁ……

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☆☆☆



こことは別の世界線、基本SEED要素のみでアスランが一応の主人公、アスランママが大活躍の「国家の体裁を整えたプラントに一応は正規軍のザフトを組み合わせたら、何故かギャグになった件について(https://syosetu.org/novel/341111/)」というお話を書き始めました。
こっちはネタが思いついたら書く感じの不定期更新になると思いますが、宜しければ読んでやってください。




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