【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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いよいよ、パナマ戦が始まります。
前話との温度差に、お風邪を召さぬようご注意ください。

八十八はおめでたい数字のはずなのに、作中は何故か……地獄の始まりです。







第88話 ”オペレーション・スレッジハンマー”、それはパナマを地獄に変える最悪の呪文であった……

 

 

 

「これより”オペレーション・スレッジハンマー”を発動するっ!!」

 

 C.E.71年6月15日、”オペレーション・スピットブレイク”より約1ヶ月……奇しくも原作の「地球連合のオーブ侵攻作戦」があったこの日、パトリック・ザラの高らかな宣言と共にザフトによるパナマ侵攻作戦は発動した。

 ”スレッジハンマー”とは「加治屋の使う大鎚」の事で、そのハンマーで砕くのは言うまでもなくパナマのマスドライバーだ。

 

 

 

 オーブ侵攻作戦の失敗を経験とし、発動直前まで作戦名まで伏せられたこの戦いは、「教科書通りの理想的強襲降下作戦」となった。

 パナマ上空宙域を守っていたのは、ユーラシア連邦や東アジア共和国所属の”地球連合”の艦隊。

 

 一つ告げなければならないのは、この世界線の第8艦隊(ハルバートン提督の艦隊)のように「(オーブ製の高性能な)モビルスーツを定数一杯まで配備している艦隊」は、地球連合には他にないということだ。

 

 大西洋連邦所属の他艦隊でさえ、ようやく大西洋連邦製のモビルスーツの配備が始まって間もないという状況だった。

 つまり、この時上空を守っていた地球連合の艦隊にモビルスーツの配備は無く(陸上に配備を集中させていた)、その結果は原作の”低軌道会戦”よりなお酷かった。

 これは連合側の問題と言うより低軌道会戦の数倍の兵力、特に先の戦いの反省から一斉に降下部隊以外のモビルスーツを発艦させ、集中攻撃で一気呵成に攻めたことに他ならない。

 この時、パナマ上空を守っていたのは2個艦隊に過ぎず、そうであればこそ瞬く間に壊滅するのは当然だった。

 

「ははっ、やっぱナチュラルなんて相手にならねぇじゃねぇかよっ!!」

 

 この戦いに参加していたとある「ジンの新米パイロット」の言葉である。この時、彼はモビルアーマー”メビウス”を2機撃墜していた。

 この言葉に代表されるように、この時に初陣を飾った新米たちは大きく自信をつける事となり、また艦隊勤務の経験の浅い者達は「ザフトは威信を取り戻した」と確信したようだ。

 この時、モビルスーツ隊を指揮していた隊長ポジションの者達、例えば”サトー”などはそれに対して何も言わなかった。

 当然だろう。彼らザラ派にとって「ナチュラルなど勝って当然」の相手なのだから。

 そして、ローラシア級や輸送艦は、何の憂いもなく降下ポッドを投下し始める。

 

「やはり、所詮はナチュラルなど我らコーディネーターの敵ではないな」

 

 その様子を見ていた将校がそう呟く。

 パトリック・ザラの”改革”の波に乗れたザラ派のその男、名を”ハリ・ジャガンナート”と言った。

 

 

 しかし、原作と異なるのは彼らがモビルスーツ用の降下ポッドと同時に、秘密兵器……高強度EMP発生器である”グングニール”も同時投下している点だ。

 実は、彼らには時間が無かったのだ。

 ザフトでも地球連合の最精鋭艦隊として知られる件の”連合第8艦隊”が全速でパナマ上空を目指していると(予想通りの)通報が入ったからだ。

 2倍の同じ地球連合の艦隊を倒したザフト艦隊は自分達が「ほぼ同数の連合の艦隊」と対峙して負けるとは思っていなかった。

 だが、パイロットの消耗と想定より多いモビルスーツ用の弾薬の消費の多さ(つまり、それだけ無駄弾を撃つ未熟なパイロットが多かったということなのだが……)から連戦は不利と考え、作戦通りに投下後に即時後退を選択したのだ。

 

 賢明な判断と言ってよかった。

 はっきり言えば、オーブ製の宇宙戦用第モビルスーツを定数一杯まで保有する8艦隊と正面からぶつかれば、まず勝ち目はなかった。

 だが、ザフトのコーディネーターはそういう結論ではなく、「(負けはしないだろうが)久しぶりの勝利に被害を出して水を差したくない」という心理と、パトリック・ザラの「1隻でも多く帰還させるように」という厳命があればこその判断と言えた。

 これは将兵の命を惜しんで……というのも否定しないが、それ以上にオーブに対する立て続けの敗北で、ザフトが保有する宇宙艦艇が心許ない数字になってきた事が大きいだろう。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 オーブの降下部隊を迎えたのは、1stガンダムのジャブローもかくやと言う対空砲撃。

 だが、逆に言えば”その程度”だ。

 そして、ジャブロー(あるいはJOSH-A)と致命的に違うのは、「もともな地下要塞が無い」事だった。

 あるのは隠蔽壕やトーチカ、対空陣地。

 また、ニュートロンジャマー影響下では精密誘導兵器はそこまでの効力を発揮できない。

 だが、あえて言わせて欲しい。これが”普通”なのだ。

 

 宇宙から地表まで、あれほどの濃密な防空網を敷けるオーブがどれほど異常なのか、どれほど「ユーラシア連邦や東アジア共和国よりの侵攻を真剣に考えていたのか?」がよくわかる。

 そして、空中で散開するモビルスーツ部隊。

 オーブでの作戦の反省からか、降下部隊の中にはシグーやジンだけでなく飛行ができるディンも混じっており、着地するザフトモビルスーツ隊の航空支援に就いていた。

 まあ、オーブと違いカーペンタリアのような大規模支援ができる基地が近くにない故の苦肉の策かもしれないが。

 

 しかし、ユーラシア連邦や東アジア共和国の合同軍もタダでやられる訳はない。

 

「死ねっ! 宇宙の化物どもっ!!」

 

 カモフラージュネットの中から飛び出したのは、多数の連合が誇る虎の子のモビルスーツ、GAT-01”ダガー”。この世界線では、ストライカーパック非対応のこの簡易量産機からは”ストライク”の名前がアズラエルの鶴の一声で外されていた。(35話参照:https://syosetu.org/novel/335614/35.html)

 

 しかし、モビルスーツ用のコンパクト化されたビーム兵装を主体とする原作となんら劣らぬダガーは、基礎性能の劣るこちらも原作と変わらぬ性能のジンを圧倒する。

 しかし……

 

「キャニスター12番装着完了!たっぷり喰らえナチュラル共!!」

 

 そして、惨劇が幕開ける……

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「なんだ、あれは?」

 

 その時、母艦の”レセップス”から離れサブフライトシステム”グゥル”の愛機”デュエル(アサルトシュラウド装備)”で上空哨戒をしていたイザークは、マスドライバーが不可視の力でへしゃげて崩れ落ちるのを確かに見た。

 

『ああ、おそらく例の”グングニール”の効果だろうぜ』

 

 返信があったのは、同じくグゥルに乗り僚機(バディ)を組む”バスター”のディアッカからだった。

 だが、次の瞬間、ディアッカの声色が変わる。

 

『イザーク、降下部隊の連中……何をやってるんだ?』

 

 

 

 

 

 

 それは、余りにも醜い構図だった。

 

 

 ”グングニール”、宇宙でしか製造できない特殊な圧電素子を用いた高強度広域無指向性Electo Magnetic Pulse(電磁パルス)発生器……ザフトが今回の戦いで投入した”新兵器”だ。

 EMPはサージ電流を発生させ、それらに接続された電子機器などに流れる過剰な電流によって、半導体や電子回路に損傷を与えたり、一時的な誤動作を発生させる。

 軍用兵器には普通、サージ電流(EMP)対策が施されるが、ザフトの発生させたそれは、連合の想定する耐電磁強度を大きく上回っていたのだ。

 更にダガーは設計された時期が悪かった。

 軍用兵器のEMP対策は本来、西暦時代の基本となっていたNBC(核・生物・化学)兵器対策の中で核兵器に付随するものだ。

 というのも大気圏内で発生する最も巨大なEMPは「核兵器によるもの」と長い間されてきたからだ。

 だが、ダガーの設計が本格化したのは「エイプリルフール・クライシス()()」、つまり核兵器どころか原子力発電を含んだ核分裂反応が全て不可能となっていた時代だ。

 それは言い方を変えれば、かつてないほどの核兵器の脅威が軽減したこの時代(核融合弾も別名の”熱核融合弾”の通り反応の熱触媒に核分裂を使うので抑止になる)。

 

 実は、核分裂に頼らない純粋水爆(レーザー水爆)というのもあるにはあるのだが……というより21世紀前半の技術で純粋水爆を作った場合、「3t(最低限のシステム重量)の装置でTNT火薬換算で3t分の威力」とされ、これでは通常兵器と変わらない。

 ただし、中性子線量が桁違いに多いので、「人間に対する殺傷半径」は比較的大きい。

 ちなみに核分裂(原爆)を熱触媒としたいわゆる”3F核融合弾”の威力は、同時期に配備されている物でさえ「弾頭重量360kgで475kt(TNT火薬換算で475,000t)」という文字通り桁違いの威力を出す。

 というのも核融合(熱核反応)を引き出すための(核分裂を熱触媒と用いた場合と同等の)高温高圧状態を引き出す熱環境を作り出すのが他の方法だと非常に手間とコストがかかり、またシステムが大掛かりになり弾頭に治めるような小型化が難しい為に現在では「大掛かりになっても問題ない発電炉(例えば、アークエンジェルはレーザー核融合タイプの動力炉を搭載している)」がもっぱらだ。

 ちなみに動力に向くのは、「大きくなり熱核反応量が増えれば出力は比例して上がる」、「一瞬で大エネルギーを取り出さなければならない核兵器には向かないが、継続的に長時間エネルギーを取り出すのには問題ない」、「反応物質のエネルギー変換効率自体は核分裂より良い」、何より「ニュートロンジャマーの影響を受けない」という特性のメリットが大きい。

 「コストやダウンサイジングの難しさ」に目を瞑れば発電炉としては極めて優秀なのだが、逆にダウンサイジングの難しさ故にモビルスーツへの核融合炉の搭載を阻んでいた。

 

 話がずれてしまったが……「核兵器の全般的な脅威が薄くなった時代」、連合の誰もがニュートロンジャマー・キャンセラーなど思いつかなかった時代に設計されたダガーは、核兵器で発生するEMP対策は「軍の基準を満たす必要最低限」とされ、須らく生産性向上とコストダウンを兼ねた生産簡易化の対象となったのだ。

 そして、それが仇となり高強度EMPで電子機器が焼き切れ、動作不能になったダガーに、

 

「はっはっはっは!良い様だな、ナチュラルの玩具共!!」

 

 まるで射的で遊ぶように銃弾を叩きこむ者……

 

「オーブでやられた、ハンナ(キラが唐竹割りしたシグーのパイロット)の仇だ!!」

 

 腹いせや八つ当たりで巻き藁のように切りつける者……

 だが、更に酷いのは、

 

「ナチュラルの捕虜なんか、要るかよ!!」

 

 これ以上の抵抗は無理と投降してきた将兵を、面白半分で問答無用で虐殺する者が出たのだ。

 それも一人じゃない。

 降下部隊の大半がそれだ。

 中には逃げ惑う連合兵をモビルスーツで追い掛け回し、アリでも踏み潰すかのように圧殺して回る者もいた。

 モビルスーツで握りつぶすのを当然のように行い、逃げ惑う降伏者に逃げ道を塞ぐように銃弾を放ち、その様を見て嗤う……

 これ以上ないほど分かりやすい異常者(サイコパス)の集団……それが、ザフトの降下部隊だった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「あの馬鹿共が……」

 

 イザークは、エリート・コーディネーター特有の高慢さと傲慢さはあったが、それでもこの情景を異常と感じ、鼻白ませる程度の人間性はあった。

 だが、事態は彼らにそう悠長な状況でないことを告げたのだ。

 

『イザーク、ディアッカ! 直ちに降伏者を嬲り殺しにしてる阿呆共を止めろっ! 力づくで構わん! 全ての武器の使用を許可するっ!!』

 

「『バルトフェルド隊長っ!?』」

 

 その過激な命令に驚く二人だが、

 

『猶予はない! 虐殺の模様がネットを通じて全世界にリアルタイム配信されてるんだっ!! 早急に止めなければザフト、いやプラントは終わるぞ……!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい。実はパナマ戦宇宙ステージにこっそり出てきたサトーとジャガンナート。
言うまでもなくザラ派の急先鋒です。

地上に降りてればC.E.73もC.E.75も無かったでしょうが……悪運だけは良い連中ですw
まあ、ここで「ナチュラルなんて全部クソ弱」と自信を付けたザフト愚連隊の新人共が後の”本番の宇宙ステージ”どうなるかは……まあ、説明する必要もないでしょう。
配備される先はボアズとヤキン・ドゥーエでしょうしw

そして、原作と同じく使われちゃいましたね~、”グングニール”。
ちなみにハンナさんはオノゴロ島でキラに対艦刀で真っ二つにされてた例のシグーに乗ってた女性パイロットらしいです。
よかったね。名無しのザラ派ジン乗りさん。敵が取れるかもよ? まあ、無理だろうけど。

そしてストレスフルな”パナマの虎”さん、ついに決断しました。
なぜそういう判断に至ったのかは次回にて。

ぶっちゃけてしまうと……「まともな人間ほど苦労する」のは、この時代、この世界線のザフトの宿命です。
まあ、C.E.73になれば大分状況が変わる(少なくともザラ派が幅を利かせることは無くなる)んですが……その分、別の意味で苦労しそう。
主にデュラさんのせいでw

さて、次回はイザークとディアッカは何を思い、どう判断するのかですね~。
もしかしたら……割と分岐点かもしれませんよ?

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