【完結】 種(CE)世界に00(西暦)要素をぶち込んで、死亡フラグを圧し折りながらイージーモードにしてみた   作:種再燃祭

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実は、オーブは「戦艦1隻とモビルスーツ8機でちょこっと武力介入」しただけで、国民は「勧善懲悪」で大いに盛り上がっていても、国事としては大きな話ではありません。

むしろ、オーブと大西洋連邦の友好を示す政治的演出(プロパガンダ)として有益って感じかな?と。

ですが、大敗したザフトはそうも言ってられないようで……








第95話 大勝利の予定が大敗に転じた後始末(ザフト視点)

 

 

 

 こうして、ザフト名称”オペレーション・スレッジハンマー”、地球連合名称”パナマ防衛戦”はあっさりと幕を閉じた。

 ザフト宇宙艦隊がパナマ上空に飛来してから、アークエンジェルに比喩でなく全滅させられるまで半日とかからなかったようだ。

 

 

 

 パトリック・ザラを首魁とするザフトは、「マスドライバーの破壊と防衛戦力の殲滅」を持って勝利を主張。

 地球連合は、「ザフト降下部隊の全滅と”紅海の鯱”討伐」をもって自軍の勝利を主張した。

 

 ただし、地球連合……正確にはユーラシア連邦と東アジア共和国の主張には少々無理がある。

 実際、降下部隊を「文字通り壊滅ではなく全滅」させたのはカガリ率いるオーブ義勇兵団であり、マルコ・モラシムと麾下の潜水艦部隊を討伐したのは大西洋連邦の潜水部隊だ。

 

 ただ、最も利益を得たのは、僅かなパナマ防衛隊を救助すると同時にザフトの新兵器”グングニール”を回収した大西洋連邦だろう。

 その次は、全世界に”強さの裏付けがある正義”を示したオーブだろうか?

 

 そして、一番損をしたのは……言うまでもなく、パナマ降下部隊とボズゴロフ級複数で構成されたモラシム隊を失ったザフトだろう。

 詳しく言えば、無事にパナマより離脱できたのは、途中で作戦より外され早期撤収が可能だったバルトフェルドの水陸両用部隊だけだった。

 もっとも、後年の歴史家は皮肉をこめて、「組織上の汚点をオーブがまとめて焼却処分してくれたので、後年のザフトにとり必ずしも損失とは言えない」と言ったとか言わないとか。

 

 

 

 ”大西洋連邦はパナマのマスドライバーを失ったので、大きな損失ではないのか?”

 という意見もあるが……

 

『オーブは大西洋連邦との安全保障条約に基づき、カグヤ島のマスドライバーを有償貸し出しする事になった。また、軍需品を含む補給物資の宇宙への移送は、”アメノミハシラ”を通じて一般貨物同様に行う予定である』

 

 という外交担当のウナトの宣言から分かるように、補いはついたようだ。

 わざわざ”有償”や”一般貨物同様”を強調したのは、「お金を払うのなら仕方ない」という”オーブ国民が了解しやすい大義名分”を提示することで、国内の余計な反発……特に”非戦の三つの原則”原理主義者を抑え込むためだと思われる。

 まあ、オーブにも一応は健全な政治をしている以上、左派(反体制派)は当然いるという話だ。

 

 また、「友好国である大西洋連邦のみに許可」という大義名分も国民の納得を得るのに一役買っていた。

 多数派オーブ国民のユーラシア連邦ならびに東アジア共和国嫌いは中々に筋金入り、”旧宗旨国(にっぽん)の戦後歴史教育”の反省を大いに活かした”正しき歴史認識教育”の賜物である。

 オーブ国民は、ユーラシア連邦と東アジア共和国の中核国が西暦時代に何をやらかし、再構築戦争のあと、どのような手段で日本を歴史用語に変えたのかを初等教育から習う。

 最近こそ「敵国と言えば?」という質問の回答にザフト(厳密には国ではなくテロ組織だが)が入るようになったとはいえ、その回答の二大巨頭は相変わらず上記の二国なのだ。

 

 そして、大西洋連邦の土建屋たちは戦後のマスドライバー復興計画、正確にはその特需を当て込んで満面の笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「オーブ! オーブ! オーブ! またしてもオーブかっ!!?」

 

 その日、”オペレーション・スレッジハンマー”の顛末を記した資料を読み終えたパトリック・ザラは怒りに任せて、最高表議長室の執務机を蹴る。

 

「途中までは上手くいっていたのだっ!! 我々(ザフト)の作戦は完璧であり、完全な勝利をおさめつつあった……だが、最後の最後で台無しにされたのだっ!!」

 

 その怒りは収まることなく、されど矛先を変えようとしていた。

 まあ、どんなに吠えたところで、オーブにダメージを与えられる武力を今のザフトが持ち合わせていないことを思い出したのかもしれないが。

 

 ところで追い詰められすぎたパトリック、思考的視野狭窄のせいか、なんか原作のアウラっぽい精神パターンになってないか?

 

(それにしても……やはりと言うべきか)

 

「”ジャスティス”と”フリーダム”はオーブに渡っていたか……」

 

 アマルフィ夫妻の足取りがつかめなくなっていた事から、おそらく穏健派の一派、アマルフィ派という物が存在していたのかもしれないとパトリックは勘ぐっていた。

 なぜなら、目の上の瘤だったシーゲル・クラインの失踪により事実上、クライン派は指導者不在で空中分解しており、次期頭目とみなされていたアイリーン・カナーバは常に監視下にあった(とパトリックは認識していた)。

 ならばクライン派の残党を裏でユーリ・アマルフィがまとめ上げていたに違いないと結論付けたのだ。

 許し難い裏切り行為ではあるが、今はそれを細かく精査している余裕も暇もなかった。

 

(まあ良い。核動力のモビルスーツは他にもあるし、資源に問題があるとはいえニュートロンジャマー・キャンセラーも少数ではあるが量産もできる)

 

「”ジャスティス”と”フリーダム”なんて物は、最初にザフトに存在しなかったことにすれば良いだけだ」

 

 確かにザフトの面目は守れるだろうが……それは思考の放棄と同義ではないのだろうか?

 

「とにかく、誰かに作戦を台無しにした”最後のしくじり”の詰め腹を切らせねば事態は収拾できんな……」

 

 だが、今や宝石より貴重な盾にも鉾にも使える宇宙艦隊の処断は難しい。特に今回の”オペレーション・スレッジハンマー”に参加したのは”同志(どうるい)”だ。

 

「やはり、バルトフェルドしかおらぬか?」

 

 参加した地上部隊のもう一つの勢力、モラシム率いる潜水艦部隊は全滅し、モラシム自身も討ち死にしていた。

 経緯を考えれば失笑を通り過ぎて冷笑物の死にざまだが、「ユニウス・セブンで家族が殺され」、「ナチュラル憎し」の思いで戦い死んだモラシムに、パトリック・ザラは強いシンパシーを感じていた。

 

 そして、バルトフェルドこそが「同胞撃ち」を指示し、”聖戦”を途中で放り出しておめおめと生き残った不忠義者……

 バルトフェルドの「正常な政治的判断」で、ザフトが将来にわたり「首の皮一枚で生きながらえた」などという事をパトリックは考えもしないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(なんてことをお偉いさんは考えてるんだろうねぇ)

 

「バルトフェルド隊長、どうして俺達はアフリカに戻り次第、愛機共々宇宙にとんぼ返りしなければならないんですかっ!?」

 

 そうパナマの地獄絵図からいち早く離脱した”レセップス”の船上でイザークは、バルトフェルドに食ってかかっていた。

 この世界線のイザークは、原作よりもやや武人気質が強いらしく、恩義や忠義を重んじるようだ。

 パナマの惨状……降下部隊とモラシム隊の文字通りの全滅の報を聞き、自分が「誰のおかげで九死に一生を得たか?」を自覚ていたイザークは、自分とディアッカだけがヴィクトリアのマスドライバーで宇宙へ戻らされる事に反発していたのだ。

 

 この恩に報いるために、イザークは例え砂漠に躯を晒すことになっても、バルトフェルドの下で最後まで戦い抜こうと考えていた。

 そして、その真っ直ぐな心意気をバルトフェルドは理解していたからこそ、

 

「だがな、俺の下に居てもおそらくもう戦えんぞ?」

 

「……えっ?」

 

 その返答を上手く理解できないイザークに、

 

「ザフトは負けすぎちまったのさ。勝てるはずのパナマすら落としちまったんだ……最高指導者閣下は、その責任の追及を逃れるためにスケープゴートを用意せねばならんのよ。『こいつのせいで勝ってた戦に負けた』とな」

 

 バルトフェルドは口元を皮肉気に歪め、

 

「独裁国家の為政者が、昔からよく使う手口さ」

 

「なぜ、それがバルトフェルド隊長に……」

 

 イザークも薄々は気づいてるような口調だったが、

 

「俺は『ナチュラルだから』という理由だけで殺すのは好かない。それだけで遠慮なくスケープゴートにする理由になるのさ。今のザフトじゃな」

 

「そんな……」

 

「だからイザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、お前達には残酷な命令を出さねばならんのよ。プラントへ戻り、今のザフトを曇りなき眼で見てこい。そして、自分に何ができるのか、何をすればよいのか、何をしなければならないのか自分自身で見極めろ」

 

 そして苦笑しながら、

 

「我々は既に地上を失いかけており、主戦場は宇宙へと移るだろう。そんな理由で、幸い……とは言えんが、どこもかしこも人手不足でな。俺程度のコネでもお前たちの受け皿くらいは用意できる」

 

「……バルトフェルド隊長は、どうなさるんですか?」

 

「俺か?」

 

 バルトフェルドはニヤリと笑い、

 

「精々、”お迎え”が来るまで大人しくコーヒー豆でも焙煎してるさ」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

「アンディ、意地悪ね」

 

 イザークとディアッカ、二人の愛機を乗せて宇宙へ飛び立つ軍用大型シャトルを眺めながら、アイシャは呟いた。

 

「何がだ?」

 

「”面倒事に巻き込みたくないからお前たちを逃がす”って素直に言ってあげればいいのに」

 

 しかし、バルトフェルドはふふんと笑い、

 

「なに……あいつらもいっぱしの男だ。通すべき意地も張るべき見栄もあるのさ」

 

「男の子って難しいのね~」

 

「ところでアイシャ、お前はどうするんだ?」

 

「私? 最後まであなたと一緒に居るわよ? 当然じゃない」

 

 と豊かな胸を張るアイシャにバルトフェルドは優しい笑顔で、

 

「やれやれ。物好きなことで」

 

「お互い様でしょ?」

 

 

 

 2人に残された時間は、そう多い物ではなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、安定して思考が可笑しな方向へ迷走、いや疾走か?してるパトリック・ザラ最高評議長閣下でしたw

なんというか……「西暦時代のオールドファッションな独裁者」として益々磨きがかかってる感じです。

そして、達観して状況を俯瞰してるバルトフェルドですが、実は彼、別に諦観してるわけでは無いんですよ?
何しろ、

『今のザフトはどうにもならんな』

何てのはとっくにわかりきってたことですしねw
どうもこの世界のバルトフェルド、作中キャラの中では原作乖離が比較的少ない方なんですが、視野の広さと将器……軍政家としての器は、心持ち原作より大きそうな?
(中の人つながりで)トレーズ様とか少し入ってたりしてw

とりあえず、次回はまたしても事態が動きそうな予感が……
それにここまで見えているバルトフェルドが、何も手を打ってないことなんてありえないでしょ?w

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