『信長の庶兄として頑張る』   作:零戦

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一日から仕事をしているので更新は遅くなると思います。


第二十三話

 

 

 

 

 

 伊勢を攻略した信長は意気揚々と京に向かっていた。その頃大和国では信広の三万の軍勢が信貴山城を包囲していた。

 

「信広様、松永は降伏しました」

「うむ、久秀はどうした?」

「茶器に火薬を積めて爆死をしました」

「……そうか」

 

 直虎からの報告に信広は目を背ける。

 

「……後味が悪い戦だが……仕方ない……か」

「……そのようですね」

 

 信広と直虎がそう言うが隣にいた女性――久秀が頭を押さえていた。

 

「何の芝居よそれ?」

「久秀!? 生きていたのか!!」

「残念だったわね……罠よ……って何言わせるのよ」

 

 見え透いた三文芝居をする三人だった。なお、久秀の台詞は紙に書いて直虎が久秀に見えるに見せていた。(作成したのは信広なのは言うまでもない)

 

「先駆けをしたのは?」

「島左近と筒井順慶です」

「あの二人か……まぁ良いか(ある意味で鬱憤晴らしてそうだな)」

 

 そう思う信広だった。久秀爆死は直ぐに三好に伝わった。

 

「久秀が爆死……なぁ」

「どうした一存? 胡散臭そうな表情をしているぞ」

「いやさ姉さん、本当に久秀は死んだのか? あの久秀がだぞ?」

 

 飯盛山城で長慶達はそう評定をしていた。

 

「しかし茶釜に火薬を詰めて爆死するのは久秀らしいと思うぞ?」

「それはそうだけどさ……」

 

 一存の勘は当たっていた。久秀は生きており爆死などしていない。今は三河に向かっている途中である。

 

「まぁいないなら仕方ない。作戦は練り直しだ」

「……分かったよ姉さん」

 

 長慶の言葉に一存は渋々と言う。その後、長慶は自室にいた。

 

(……死んではいない……だろうな。恐らくは織田信広に助けられたか、それとも始めから仕組んでいた事か……)

 

 長慶は始めから久秀が生きていると信じていた。ただ家臣が生きているのに嬉しい感情はあまり出なかった。

 

(あいつは何れ私の寝首を掻くつもりだったと思うが……信広の存在だろうな)

 

 長慶はそう思っていた。

 

「……ククク、中々の奴じゃないか」

 

 長慶はそう言って笑うのであった。その信広はというと……。

 

「褐色火薬が出来たか」

「御意にござりまする」

 

 清水寺で信広は撫子からの報告を受けていた。褐色火薬は日本でも明治二十年に採用されて無煙火薬が出るまで大砲などに使われていた。銃身にライフリングが刻まれたライフル銃は旧式の火縄銃などと違い銃弾と銃身の間に隙間がほとんど無い構造をしているため、銃の内部圧力が過大にならないようにするために、黒色火薬よりも燃焼速度の遅い火薬が必要となったことから黒色火薬を改良して開発されたのである。

 木が完全に炭化して黒くならないうちに焼き止めて作った褐色木炭を使用することで燃焼速度を遅くしている。 黒色火薬より使える代物であろう。

 

「出来た物は部隊に配備させるか」

「雑賀孫一の部隊にもかい?」

「当たり前だ。裏切ると思っているのか?」

「まぁね」

「大丈夫だ。雑賀衆が裏切れば彼等の傭兵としての信頼は無に等しい。傭兵というのは一度の負があれば誰も信用はしない」

「本願寺を裏切っているぞ?」

「本願寺とは傭兵関係だけだ。何のために傭兵期間が終わる寸前に会談したと思っている?」

 

 信広と雑賀孫一が会談したのは雑賀衆と本願寺との傭兵期間が終わる一月前だった。

 

「その雑賀孫一達はいないようだが?」

「紀伊を攻略している。紀伊は雑賀と根来、熊野水軍で統括する。表向きは俺の領地だが、実質治めているのは彼等だ」

「……信広君は領地に興味はないのかい?」

「今は良い。ある程度織田の領地が増えない事にはな」

「……ある程度の領地?」

「畿内、東海道、東山道、北陸道は取っとかないとな」

「……信広君だと早い月日でやりそうだ」

「何を言っている撫子。最終目標は日ノ本という国家の建設だ」

「……やはり君に仕えてよかったと思うよ」

 

 そう言って笑う撫子だった。その後、信長率いる四万五千の軍勢が京に到着した。

 

「大和国攻略、大義であった」

「はは」

「これで三好と決戦になるだろう」

 

 信長は清水寺で諸将を集めてそう言い放つ。

 

「我が軍は七万五千の兵力。今のうちに三好を叩くのが最善だ」

「兵は年中駆り出せますが弱いのは難点ですね~」

 

 信長の言葉に半兵衛がそう指摘する。確かに尾張の兵は最弱と呼ばれるほどであった。

 

「……一つ、策がある」

「信広さんの事ですからあれですかね~?」

 

 信広の言葉に半兵衛が目を細めて信広に視線を向ける。対して信広もニヤリと笑った。

 

「信長……お前には少しの間だけ恥を忍んでやってもらう事がある」

「構わない。勝てる策なのだろう?」

「まぁ引き分けまでには持ち込めるだろう」

「なら信広に……兄様に任せよう」

 

 信長はニヤリと笑うのであった。信広は直ぐに作戦を説明した。

 

「軍を三個に分ける。信長、俺、道三殿を大将とする」

「あら、私を大将に?」

「戦の経験は我々より上ですし引き際も理解出来るはずです。是非ともお願いしたい」

「……そこまで言われたら私もやるしかないわねぇ」

 

 道三はニヤリと笑う。それぞれの補佐には信長には半兵衛と慶次、道三には左近、信広には長秀である。

 その夜、信広は自室にいると道三がやってきた。

 

「何かありましたか道三殿?」

「信広ちゃんに聞きたくてね。どうして私に大将を押したのかしら?」

「それは先程説明した通りです。というより織田家で大将並の人材がいないのが現状です」

 

 信長の弟である信包や信興はいたが、まだ実戦を其れほど経験しておらず信長の与力として信長の部隊にいた。

 

「それなら武将並で絞ると道三殿が良好となった次第です。それに道三殿は大名をしていた強者、道三殿なら安心出来ると考えた次第です。まさか辞退をするので?」

「そうじゃないわ。どうして私に拘ったのかその本心を聞きたかったのよ」

「……道三殿に配慮が足りませんでしたな」

「良いのよ信広ちゃん。その代わり……」

 

 道三はニヤリと笑って信広のとある場所に手を重ねる。

 

「……冗談は止めてくれないか道三殿?」

「あら? 私は本気よ信広ちゃん。それに……私を助けてくれた御礼がまだだったわよね?」

 

 道三はそう言って信広の背中にその豊満な胸を押しつける。道三がふぅと信広の耳に吹き掛けて信広の思考を奪う。それに道三の熟しそうな女の匂いが信広の鼻腔を通り、信広の脳を刺激する。

 

「……止まりませんよ?」

「フフフ、楽しみね♪」

 

 道三のその言葉を聞くや否や、信広は道三と口吸い(キス)を交わしてそのまま押し倒したのである。ちなみに、信広は憑依してからこの時まで性的欲求をしていない。というよりも仕事に忙しくて遊女のところに行っている暇なんてなかった。コップにギリギリまで水が入り、溢れんばかりであり決壊寸前のダムのように溜まりに溜まっていたのであった。

 後に道三は「朝は起きれず、昼餉まで腰が抜けていた」と侍女に語るがその表情は幸せそうだったという。対して信広も「十発目からは数えてない」と道三の態度に不審に思って聞きに来た長秀に対して意味深長な言葉を残しているのであった。

 

 

 

 翌朝、目を覚ました信広がまず最初に見た光景は目の前に裸の道三が信広に腕枕をしてもらい寝ている姿だった。

 

「………(とうとうやっちまった。いやまぁ遊女にヤる機会なかったからこの歳まで童貞だったけどさ……前世も含めると魔法使いの歳を越えてるよな)」

 

 信広はそんな事を思いつつ、道三の頬を撫でる。撫でられたのかニマッと微笑む寝ている道三だった。

 

(……やっべ、すっげぇ可愛い。何かムラムラしてくるんですが……)

 

 信広はそんな衝動を押さえつつ静かに着替えて部屋を出た。厠にでも行こうとしたところ、突然飛龍と烈風が現れた。

 

「信広様、おめでとうございます」

「……見てたのか?」

「我等が警護をしているところに道三殿が来たのでその……」

「まぁ良い。それに関しては済まない」

「しかし安心致しました。殿が男色かと思い、我等は覚悟を決めていたところでした」

「……お前らの俸禄は撫子に渡した方が良いな?」

「直ぐに消えますので勘弁してほしいです」

「ならこの事は記憶から消せ。良いな?」

「御意」

「我等は何も見ておりませぬ」

 

 二人はそう言って消えるのであった。

 

「……あいつらも此処に来てから大分打ち解けたな」

 

 そう呟く信広だった。部屋に戻ると道三はいなかったが後に会うと少しだけ頬を染めて笑うのであった。

 そして道三と関係を持った数日後、準備を整えた信長の軍勢は京から山崎方面に進軍を開始した。

 その情報は直ぐに長慶にも伝わった。

 

「……出陣だ。信長の首級をあげるぞ」

『オオォォォ!!』

 

 長慶は事前に兵力を備えていた事もあり、六万九千の軍勢を飯盛山城から山崎方面に急行した。

 後にこの戦いは天王山の麓だった事もあり天王山の戦い、山崎の戦いとも呼ばれるのであった。

 

 

 

 




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