基本的に投下したら一話毎に過去の一話を削除していく方向
「お、あったあった」
大阪の日本橋筋商店街(でんでんタウン)近くの中古同人ゲームショップに青年は買い物に来ていた。青年は『戦極姫3 ~天下を切り裂く光と影~ 遊戯強化版壱ノ巻』を手にしていた。
(やっとあったわ……)
青年はレジでカネを払い、中古同人ゲームショップを後にした。
「あいつから薦められて戦極姫3をしたけど中々良かったし続きも買えて良かったわ。帰ったら早速プレイしてみよ」
青年はウォークマンを聞きながら帰るが、彼は家に二度と帰る事はなかった。
「え……?」
青年は轢き逃げで地面に叩きつけられて死亡したのだ。
(……エロゲー買いに来て死亡とか……やってられんな。せめて畳の上で……)
青年は野次馬が集まって青年を見ているのを消え行く意識の中でそう思った。そして青年は闇の中に呑み込まれた……はずだった。
「……人生って何が起きるか判らないよなぁ……」
「どうされた兄様よ?」
「いや何でもないよ吉法師」
青年は川で釣りをしていた。青年の隣には長い赤髪をした少女が同じく釣りをしている。名前は吉法師、吉法師は後に有名な織田信長の幼名である。
「(……織田信長って男だよなと思った奴、俺もそうだと思ったよ。だがこの少女はほんとに吉法師なんだよな……そして俺の今の名は織田信広だし……てかこの信長って戦極姫3の信長だよな!? あれか? ラノベとかによくある戦国時代にタイムスリップしました。でも登場人物は大半が女だよテヘペロ☆とかなのか!?)」
夢だと思ったが夢じゃない。あの時、日本橋の轢き逃げで青年は死んだと思った。だが気付けば今度は戦国時代にいたのだ。しかもただの戦国時代ではなくエロゲーの戦国時代にだ。
(……というより表現的にはあれだな。織田信広に憑依したと言えばいいな。歴史上の織田信広は信長の兄だけど、母親は親父である織田信秀の側室(母親は判らない)なため家督相続の権利は信長にある。そして信広の最期は長島の一向一揆で大木兼能と一騎打ちをして討ち死にしてしまう筈だ。まぁ……とりあえずはだ……一向一揆で討ち死にはしないようしつつ信長の助けをしようと思う。俺に大名のような能力は無いと思うしな。それに信長可愛いし最期は裏切りとかさせたくないしな。というより戦極姫3なら光秀を何とかしないとな、真面目過ぎるとヤバイと思うし……)
「兄様、糸引いてるぞ」
「お、掛かったな(ま、今は信長と釣りを楽しもう)」
青年――織田信広はそう思い、竿を引っ張るのであった。
(最近、兄様の雰囲気が変わったと思う。何時もは私を見て恨めしそうに見ていた。恐らく家督が継げないと知っていたのだろう)
吉法師は釣りから帰った後、自室でそう思っていた。信広は吉法師より生まれが早く、普通なら織田家の家督は信広が継ぐ筈である。
しかし、信広の母親は信秀の側室であるため家督の権利は吉法師より下であったのだ。
(でも……急にそんな事をしなくなった。それどころか私に優しくしてくれる。この間は一緒に鶏の肉を食べたりした……兄様の中で何か変わったのかもしれないな……)
吉法師はそう思い、横になるのであった。そもそも信広に青年が憑依したので変化は当然だった。
そして信広は自室で今後の事で悩んでいた。
「……せめて硝石、火薬は作らないとあかんよなぁ。大砲も鉄じゃなくて青銅砲だな。それか青銅砲が出来るまでは木砲にするか……幕末みたいに反射炉作って鉄製にしてみるのも手か……でも反射炉の燃料は石炭だしなぁ。石炭は九州や北海道だよな……代替として亜炭で出来るか?」
信広はそうブツブツと呟いている。筆を持って紙に書いて忘れないようにしているが、誰かに見つかってもその時代の人間には分からない単語ばかりである。
「……とりあえず亜炭等は採掘だけしてみるか。身近にやれそうなのは……硝石、火薬作りか。誰かに頼んでみる……うーん」
信広が唸っていると、何か思い付いた。
「……あいつに任せるか」
信広はそう言って直ぐにその人物のところに向かうのであった。
信広の少年時代? 語る事は特にないから。(震え声)なお、元服はしたが月代はせずに総髪にしている。(剃るの嫌だし抜くも無理)
ただ、報告をするならば織田家で使われる酒は以前は濁り酒だったが信広が灰を酒の甕に入れて清酒を造り出した。しかも味も良くまろやかであった事、父信秀も試飲して評価を得た事で津島の商人を通して清酒を売り出した。
清酒は高値で売れ京の貴族も購入をするという有り様であった。
それと吉法師も元服をして信長の名に変えている。信長も元服して更に可愛くなり胸も成長してでかくなっているので益々女になっている。
信広曰く「米と味噌汁、おかずくらいなのにどうやってでかくなるんだよ」との事だ。
(これが後に第六天魔王になるとは誰が思うのか? 第六天魔王は穴子さんで十分だな)
「どうされましたか信広様?」
「いや何でもない」
そして信広は那古野城へと戻ってきた。信広は先日まで今川の捕虜となっていたのだ。理由は第四次安城合戦で今川の侵攻に耐えきれずに降伏したからである。
それまでは今川の侵攻に耐えていたがこの今川の主力は三河松平が主力でありこれまでの三次に渡る安城合戦で三河松平は本多忠勝の父本多忠高や大久保忠俊等多くの武将が討ち取られていた。
これは信広が火縄銃(60丁)を持ち込んで運用し指揮官級の武将らを三人一組で狙撃したりしていたからである。さしもの今川義元も三河松平の被害には目を見張るモノでありその為に重い腰を上げ軍師である太原雪斎を遣わせて安城城攻略したのである。
2万の兵力に攻められては信広もこれ以上の抵抗は無意味と判断し城を明け渡す事で降伏したのである。その後、今川家の人質となっていたが織田家の人質となっている三河松平家の嫡女、竹千代と交換という形で戻ってきたのである。
織田信秀もその条件を呑み、信広と竹千代の交換が行われて漸く那古野城に帰ってきたのだ。
「兄様!!」
「おわっ。久しぶりだな、どうした信長?(胸が当たってますよ信長さん……)」
城門のところにいた信長が駆け寄ってきて信広に抱きついた。表面上は抱きついた信長に驚いているが、内面では抱きついた信長に慌てている。
「兄様が捕縛されたと聞いた時は驚いたぞッ」
「ハハハ、済まんかったな信長」
史実を知っているなら信広は事前に行動して捕縛されずに済んだと思う。しかし信広はあえて何で捕縛された。というのも暫くは史実通りに動く予定だからだ。
今、歴史を変えると信広自身の歴史も大いに狂うかもしれないし、もしかしたら信広自身の討死フラグも早まるかもしれないからだ。
(まぁ……せめて斎藤道三は助けたいから義龍が道三を討つ前に動く予定にするか。それに聞いたところによると道三も女性で胸もデカイらしいが……)
「よく生きていてくれた……」
「なに、たまたま天が俺に味方してくれたからだ。ま、親父殿にはこってり怒られたがな。生き恥を晒したとかな」
「父様に何を言われても気になさるな兄様。父様は古い体質の人間だから」
「……親父殿には言うなよ。泣くぞあの人……」
尾張に帰ってきた信広は末森城にいた信秀に挨拶をした。信秀はあまり言わなかったが、ただ「よくぞ戻ってきた」と言うだけだった。
「そんな事では家督は信行に持って行かれるぞ?」
「……平時なら信行の方が良いかもしれんよ兄様」
「………」
信行とは信長の妹である織田信行の事であり、母親の土田御前に大層溺愛されている。今の信長は史実通りにうつけの格好をしているのでうつけの信長よりも信行を溺愛するのも仕方ないかもしれない。
「それでは兄様、釣りに行きましょうぞ」
「それは構わないが道具は?」
「犬千代が用意しておる」
「用意がいいな。釣れたら今日のメシにでもするか」
俺は笑い、信長と小姓の前田犬千代(後の前田利家。そして女性)と共に川釣りをして鮎を五匹釣った。
そして数日後、信広は信長を連れてとある山の麓に来ていた。
「……兄様、何か臭わないか?」
「まぁその場所に向かってるからな。手拭いで鼻を押さえておけ」
信広は信長にそう言って自身も手拭いを鼻に押さえて奥に進む。その後ろを信長が付いていくと数人の人がいた。
「長秀、何をしているんだ?」
「これはこれは信長様。何故このようなところへ……?」
「俺が案内してきた」
「信広様がですか?」
「あぁ。そろそろ信長にも教えようと思ってな」
二人を出迎えたのは織田家の家臣丹羽長秀だった。
「これは何だ長秀?」
「……宜しいので信広様?」
「構わんよ」
三人は十数軒ある小屋の一軒に入った。
「こ、これは……」
「硝石を作る硝石丘だ」
小屋の中に小さな小山が存在していた。小山には人馬の糞尿やヨモギ、シソ、ツユクサ等の植物が積み重なっている。
「このような小屋が尾張に約三十は存在している。小さい小屋だがな」
「お、尾張に三十も!?」
「他にも民家の床下の土を取って硝石を作っている」
「……驚いたよ兄様。それで兄様は何をする気だ?」
「何を? ……そうだな」
信広は信長の問いにニヤリと笑う。
「お前の夢を手伝ってやる」
「……ククク、流石は兄様だ」
信広の言葉に信長は少しキョトンとするが、直ぐにニヤリと笑い小屋を後にするのであった。
「あ、後臭いから絶対に風呂は入れよ」
「承知した。必ず入るよ兄様」
おまけ
「あ、兄様。お握りを作ってきたのだが……」
釣りをしてる最中、信長はそう言って笹の葉でくるんだお握りを信広に見せる。
「なら一つ……ぐ……」
お握りにかぶりついた信広だったが顔をしからめた。
「信長……塩入れすぎだな……」
信長が作ったお握りにはかなりの塩が含まれていたのだ。
「そ、そうか。済まなかった……」
信長のアホ毛がシュンと萎れているのを視認した信広は信長の手から大量に含まれた塩お握りを取る。
「次は上手く作ればいいよ」
「そ、そうか!! ならまだあるから食べてくれ」
「………」
信長は顔を赤らめながら信広に竹皮に包まれた多数のお握りを渡した。
「(……今日は厄日なのかもしれんな)」
信広はそう思いながらも信長の名誉のためお握りを全部食べるのであった。
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