とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 オリジナルネタ。オリパーツがこの話より大量になる感じがしますが、
おおらかな心でお読み下さい。

……以前からかなりオリってた? そうなんですけどね!(吐血




12話

 

 

 あのネタとオチにまみれた大豊の依頼から一週間程。

追加報酬として貰った武器数種により、戦力の拡充が捗ったRaDer’sは久々にRaD(古巣)へと戻って来ていた。

 

 「カーラの依頼って云うからなんかと思って来たら……何時ものかいッ!」

 「何時ものみたいだねー?」

 「何時もの、だね?」

 

 三者三様で云ってる事は全く同じなのだが、多大に呆れの色が滲みまくっており。

何時ものヘリポート代わりの敷地に己が輸送ヘリ(自宅)を置いて、

本日の依頼主であるシンダー・カーラへと通信を繋げたら、

今近くに居るから待っときな、と云われすぐさま通信は切れ。

 

 その暫し後。輸送ヘリ内に、少々トウは立っているが、ツナギを着た相当な美女が現れ。

シンダー・カーラの姐さんである。彼女は三人を見やると、少しだけ表情を緩め、口を開く。

 

 「久しぶりだねぇ、アクリ、ユミコ、リブラ。

今日はまあまあ忙しいから、助かるんだよ」

 「依頼があるって事しか云ってなかったじゃないですか……全くもぅ。――まあそれはそれとして。

今日は何時ものグリッド086定期補修の日だったんですか。今日はどこまで修理するので?」

 

 アクリのそんな問い掛けにカーラはそうだねぇ……と思案顔で顎に手を添え。

 

 ――グリッド086定期補修。

カーラがRaDの頭目になってから、定期的に行われているグリッドの補修と拡張の大仕事。

RaDの配下に置かれているドーザーのほぼ全員を駆りだし、無人機では出来そうにない細かい箇所や危険な辺りの補修、

出来れば新たな工廠区や居住区を確保する為の足場拡張も視野に入れている。

 

 このバタバタしている隙を狙って、他所のドーザー共や独立傭兵が侵入して来る事もままあるので、

戦力もある程度以上に必要になる。出来れば補修も戦闘も熟せるような人材が多く居る方が望ましい。

 

 ……と、云う事で、以前からこの定期補修の手伝いを頻繁にしていたアクリ達にもお呼びが掛かった訳である。

 

 「――まあ、今回は外周部と下部の床板辺り、かねぇ……」

 「一番面倒くさい外敵に晒される所を押し付けますね?」

 「ま、アンタの実力も加味して、だよ。後、出来るなら足場を拡張したいんで、中心部の方から途切れている方へと頼むよ」

 「はぁ……。了解しましたよ。ちょっとアセン見直さないとなぁ……」

 「あ、それだったらさ、アクリさん」

 「ん?」

 「アセン、今回は全部僕がやっても良いかな?」

 

 

 

 「うわぁ……」

 

 暫し後。己がACの中々の変貌ぶりにちょっと引くアクリである。

コア部以外は以前のままのRaDの探査頭と腕、脚はWRECKERであるのだが。

 

 コア部はBASHOでは無く、WRECKERに交換されており、

通常ならば両肩武器がある所に、にょきっとWRECKERの腕パーツがそれぞれ生えて、折り畳まれている。

そして、その肩武器を備え付ける箇所……背部から飛び出している箇所にレーザートーチがぶら下がっており、

そのコードの先はコアの背部からジェネレータへと繋がっているらしい。

更に云うと、WRECKER脚パーツの膝から飛び出している部位にも何か改造が施されている様だ。

 

 「WRECKERフレーム・改、特殊建造型、って所かな? こっちのコア部でも慣らしは終わってたっけ?」

 「大方は終わってる、けど……?」

 

 そんな説明をするのは、耐Gスーツを着込んでいるリブラ。

アクリは返答をしつつ彼の姿に疑問符を浮かべ、首を傾げて問いを掛ける。

 

 「……何でリブラ。パイロットスーツ着てるの?」

 「今回は、補修も補強も建造もしないといけないから、僕も一緒にアクリさんと相乗りさせて貰うよ。

そっちの方が近場で指示したりも出来て便利だし」

 「座る所が無いよ? ……私の上にでも座る?」

 「――ち、違うよッ! 緊急用のサバイバルキットが備え付けてある所からそれ引っこ抜いて、サブシートを取り付けるのッ!」

 

 ぽんぽんと軽く己の太腿を叩くアクリに一瞬キョトンとするリブラであるが、

理解が及ぶと顔を真っ赤にして大きな声で反論する。

そんな彼の反応に内心ニヤニヤしながら、何だ残念、と云ってからかってみて。

 

 「と、兎に角ッ! 一分で取り換えるからさ、ちょっと待っててッ!」

 「はーい。……ほんと、可愛いんだからー」

 

 恥ずかしがりながら慌てた風にコックピットへと潜り込んで行くリブラの姿に、

色々とグッときながらそんな事を呟くアクリである。

 

 

 

 「――うん、完成」

 「お見事」

 「アリガト、アクリさん」

 

 宣言通りに一分弱でサバイバルキットの保管場所に置いてあるキットを引っこ抜き、

その空きスペースにサブパイロット席を取り付けてしっかりと固定。んで、シートベルトの調整も完了し、ささっと完成である。

 

 コックピット外でタラップに足を掛けたままに覗き込んでいたアクリは素直な賞賛の言葉を掛けると、

機嫌は元に戻ったか、少し照れながらお礼の言葉一つ云うとリブラは楽し気に説明を始めた。

 

 「とりあえず、コア部はWRECKERに変更してるのは見てて分かる通りだね。

それでコレ。両肩に何時もの多目的ラックに、WRECKER腕を改造して作ってみたクレーンアーム改を二つ取り付けてるよ。

アクリさんが以前、クレーンアームをかなり乱暴な使い方してたから、

これぐらい頑強なアーム使った方が色々と使い勝手良いと思ってたんだよね」

 「あー……あの時はゴメンねぇ」

 「前も云ったと思うけど、アクリさんが無事ならどれだけ壊しても大丈夫だから気にしないで」

 

 感心しつつ以前の所業を思い出し謝るアクリと、全く気にしないリブラ。

まあそれはそれとして、だよ?

 

 「――クレーンアームって単なる重機のクレーン部を改造しただけだったケド、

コレはカテゴリはACパーツだから、パワーは数段上だし、とっても頑丈で壊れ辛いよ。反動にも強いし。

このアームなら直接殴っても、握り部でMTの腕ぐらいなら挟み込んで圧し潰してもデータ上では全く問題ないから。

後は握りの手首部分を改造して、通常のクレーンみたいにワイヤーとウィンチも取り付けてるから、

前やってた掴んでるのを投げて手元に戻すアレも再現できるよ。

……あ、後は簡単な指示でCOMが認識して動かせるようにプログラムもしてるから、難しい制御は必要ないからね?

問題は、エネルギー消費がキツいから、他の武器が使い辛い所かな。

今回みたいに両腕取り付けたら、今持ってるレーザートーチぐらいで限界かも」

 

 つらつらと説明を続けるリブラ。だがしかし。

EN消費の緩和か、ジェネレータの強化更新が出来たら恐ろしくやべー代物に早変わりするのを彼は気付いているのだろうか。

造ってみた、ってだけの技術者だから気付いてないんだろうなぁ……。

実質四本腕だよ? 無理すれば浪漫の塊、必殺パイルバンカー四連殺出来るよ?

いや間違いなくENは当然として、技量も腕部積載量も足りないから夢物語にしかならないだろうけどさ。

 

 なぞとか栓も無き思考を空回すアクリである。

 

 まあそれは兎も角として。説明ついでに準備も終わったらしいリブラがシートベルトをしっかり付けて。

 

 「……ん、よし。こっちは大丈夫だよ。アクリさん、お願いするね?」

 「任された。とりあえず、底床の方に回るよー?」

 

 そう云う感じになったようだ。

 

 

 

 「――えっとアクリさん、補修箇所、マーカーに出すね」

 「サンクス、リブラ」

 

 ACのカメラアイに同期してその光景を映しだす特殊なバイザーを掛けているリブラが、

同じくCOMと同期させているらしい端末をカタカタ弾きながらそう云うと、

メインモニタにも点々とポイントが光りだし。

 

 「よっせ……っと」

 

 膝の改造した部分を底床の底にある出っ張りに『嚙ませ』、クレーンアームの左部に補修材諸々を持ち、

右部のアームで補修材とレーザートーチの種類を持ち分けて右手に運んで、

左手で保持し、それらをマーキングされた箇所で使う。そんな作業を行っているアクリ。

溶接して補強しながら、しみじみと呟く。

 

 「しかし、この膝の出っ張りにも固定用のカスタマイズを施すなんてねぇ……。ブースタの消費が抑えられるから物凄く助かる」

 

 大体はMTをクレーンで吊って作業するか、足場を組んで作業するか、

無理やりブースタを吹かせて滞空しつつやるかぐらいしか方法が無かったので、

こう云う改造は、工作業では大歓迎である。

 

 「本当は足裏にも固定用のアンカー付けたかったんだけど、

それしたらACの機動力殺しちゃいそうだから、やっぱやめたんだよね」

 「懸命だよそれは」

 

 それ以前にアクリみたく壁にでも立つようなの以外に使う奴は居ないと思われる物を付けてもどうなんだと云う感じもあるが。

——と、近所でクレーンで吊られた足場にて作業をしていたハズのジャンクMT群の方の連中が騒がしくなり。

 

 『――あんバカ、堕ちやがったぞッ!?』

 『コーラルに酔ってた風だったから、あるかも知れんと思ってたが……ッ!!』

 

 どうやら、酔った阿呆が酩酊状態のままでMT運転して足場から足を踏み外したらしい。

そんな通信が聞こえたと同時に引き攣った顔でリブラに声を掛けるアクリ。

 

 「ちょッ!? リブラ、ゴメンッちょっと無茶するッ!!」

 「わ、分かったよッ! シートにしがみ付いてるからやっちゃってッ!」

 

 それを聞き届ける前に嚙ませていた脚部分を外し、

同じく落下体制に入ると、軽くブースト!

堕ちて行くジャンクMTへと急いで向かうのである。

 

 そんな感じで緊急救助を4回ほど繰り返した後(内二回は結局地上まで落ちて垂直カタパルトで戻るハメになった)、

完全にブチ切れたアクリがとりあえずこの馬鹿共を殴り回してカーラに突き出して別のグループを連れて来て、

何とかここでの仕事を終わらせることが出来たらしい。

 

 

 

 「つ、疲れる……」

 「お、お疲れ様なんだよ……」

 『アクリ―、リブラ―。そっちはどんな感じ―?』

 

 ものっそい疲れる状況で精神的に死んでいるアクリに労いの言葉を掛けるリブラ。

そんな中、ユミコからの通信が届き。

 

 「とりあえずカーラには云ったけどさ、せめてコーラルで酔ってる阿呆共は内壁の方で仕事させろー。

要介助が必須な建設現場ってどうなんよー?

MTってブースタ推力相当弱いから、この高さでは落下の勢いを殺せないから墜落死するかもだし。

そんな中で命綱無しのバンジージャンプとか見ちゃったら肝が冷え過ぎるって……」

 

 力無く呟きを漏らすアクリに空笑いするしかないユミコで。

 

 『あ、あはははは……。と、とりあえず、その辺りは調整してみるねー?』

 「よろぴくッ☆」

 『うわあすげぇ殴りたい』

 「ユミコさんッ! アクリさんも遊ばないのッ!」

 『「ゴメンて」』

 

 怒りの突っ込みを入れるリブラに、てへぺろ☆ してそうな勢いの幼馴染―ズである。

ああ、殴りたいこの笑顔。兎も角気を取り直しまして。

 

 「全くもぅ。……それで、次はどうするの? こっちの補修は終わったから今度は床底を取り付ける?」

 『とりあえずはそれかな。何かカーラが新しい自分用の秘密工廠欲しいって云っていたし、そっちにアクリ達使うんじゃないかな?』

 「秘密とは」

 「あ、あはは……。全く秘密になってないよね……?」

 

 それはボケで云っているのか……?

そんな突っ込みを内心でしつつ、アクリはユミコへと問いを掛けるのだが。

 

 「んで、どするん? 秘密基地作る気ならどこに作るかは……」

 『大体の所は聞いてるよー。いちお、そっちに誘導するねー?』

 「お願いする—」

 

 そんな緩い感じで次の仕事場へと移動する事になった様だ。

 

 

 

 

 「とりあえず……これで終わりかな?」

 『ん、そだね。その一区画で足場と床板の大方は張り終えたから、

後は内装の方をカーラにお任せで良いと思うよー?』

 

 それから更に数時間。

リブラとユミコのそんな言葉により、とりあえず今回の仕事範囲は終了したらしい。

あー、疲れるーなぞとか呟きつつシートにもたれて伸びをする。

パキポキと強張った背からそんな音が鳴り、軽く体が解ていく様を感じつつアクリは一つ息を吐き。

 

 「あー……。これでやっとめんどくさい仕事から解放され……ん?」

 

 肩を回し首を回し、と云った感で更に解し続けながらモニタを見ていると、何か違和感を感じ。

そんな彼女の反応に不思議そうに聞いて来るリブラに、通信越しでも何かを察したか、ユミコも追従して来て。

 

 「どうしたの、アクリさん?」

 『何か見つけたん?』

 「……気の所為? ……ん~?」

 『とりあえず、気になるなら云ってみ?』

 

 今だに首を傾げつつ悩んでいる感じのアクリに、とりあえず話を聞き出そうとしてみる二人であり。

 

 「いや……。多分見間違いだと思うんだけど、この底板の……こっちに取っては天板になる所だけど、

ふとした拍子に薄っすらとだけど、何カ所かから赫いモヤみたいなのが見えるんだよ……?」

 

 自分でも自信無さげにそんな事を呟くアクリ。

リブラはとりあえず端末とバイザー越しのカメラアイを操って周りの状況を確認してみながら首を傾げ。

 

 「……うーん。そんな赫い何かがあるような感じには見えないけど……」

 「やっぱ、気の所為なのかなぁ……?」

 『そいや、前も一回そんな事云ってなかったっけ、アクリ?』

 「あぁ、そうそう。でもあれは一瞬見間違えただけな気もするけど」

 

 以前アクリがそんな事を云っていた時に、ユミコも一緒に居たのでそれを思い出したらしく、相槌を打った。

しかし、そんなおかしい現象がまだ二回目ではあるが、頻繁に起こるようなら医者に掛かるべきだろうか、とも考えるが……

 

 「アクリさん」

 「……んぅ?」

 「眉間に皴寄ってる。やっぱり気になるんでしょ? 確認だけでもしとくべきじゃないかな?」

 

 そんな心配げなリブラの言葉にうーん、と更に悩まし気な表情を浮かべるアクリである。

 

 「でも何も無かったら悪いしねー……」

 『気にしなさんな。仕事自体は終わったんだし、リブラと追加のお空デートを楽しむ気分で行けば良いと思うよー?』

 「デッ!?」

 

 そんなアクリの渋い反応に、茶化す様に気にせず行けば良いさと後押ししてみるユミコ。

んで、そんな流れ弾により顔を真っ赤にするリブラである。うん、愛い。

 

 彼の姿に萌えながらもそれじゃ行ってみよか―。Gが掛からない程度に緩くブースタを吹かしてみる。

程無く、アクリが赫い色が見えていた箇所へと辿り着き。

 

 「COM、両サイドクレーンアーム展開。上方の鉄筋掴んで保持。……ん、多分この辺りだった筈」

 

 COMにそんな命令を下し、ぶら下がる感で機体を固定すると共にブースタを切る。

 

 「ふむふむ。両アーム部だけの固定でも十分AC一機ぐらいなら問題なく保持できる、と……」

 『アクリの気になる事の確認の筈なのにいつの間にかクレーンアーム改のデータ取りに移行している件』

 「ッ、き、気になっただけだし! アクリさんの目的の場所には来てるし!」

 

 リブラの相変わらずの開発者然としたブレない思考に突っ込みを入れるユミコである。

そんな彼女の台詞に誤魔化す様に反論していて。

 

 (……やっぱ、見間違い……?)

 

 そんな二人のじゃれ合いを尻目に、モニタに隅々にまで視線を走らせるが、矢張りそんな色は見えず。

だがしかし、自分の中の何かが警鐘を鳴らしている。

 

 「埒が明かない、か……」

 「……アクリさん?」

 

 思った以上に真剣な声が漏れていたらしい。

通信越しに仲良く喧嘩していたリブラが不思議そうな声音でアクリの名を呼び。

 

 ——と、突然にコックピットのハッチを開け放つ。

相当な高度であるグリッドのある位置。強風がアクリとリブラの二人に打ち付ける。

 

 「うわっぷッ!? あ、アクリさんッ!?」

 『ハッチオープンアラート!? どしたのさアクリッ!?』

 

 いきなりの彼女の乱心っぷりに焦りの言葉を上げる二人ではあるが、意に介さず開いたハッチから視線を四方に回し。

すると、先程は何ともなかった箇所に赫いモヤの様なものが見えて。

 

 「……見え、た……ッ!」

 「アクリさん!?」

 

 固定していたアームを外すと、その見えた場所へと緩いブースト。

更に吹き込む風が強くなるがお構いなしである。

そして、目的の場へと到着すると、今度はCOMに命令しつつも己がACの膝ででも出っ張りに嚙ませて

底板部に身を寄せる様に保持。地上の方へ背を向けて機体を固定している状況である。

 

 「リブラ、今カメラアイを向けてる方向、ズームして確認して」

 「う、うん……」

 

 云われるがままに端末を操りバイザー越しに確認をするリブラで。

それから数瞬。何かを見つけたか、彼は小さく声を上げる。

 

 「これ……ッ?!」

 『何か見つかったの、二人共?』

 「ユミコさん、近くにカーラさん居るッ?」

 『そろそろ他の所の監督から戻って来る筈だけ『どうしたんだい、リブラ?』っと、ジャストタイミングだよー』

 

 何故か焦りの色を含んだリブラの言葉に疑問符を浮かべるが、ほぼ同時に望み人……カーラが帰って来た様で。

やった、とばかりにCOMにお願いをするリブラ。

 

 「えっと、COM。僕がカメラアイを通して見てるこの映像データ、ユミコさんの端末に送れるかな?」

 《準オペレータ、リブラと認可。カメラアイ直通映像データ……送信しました》

 『? これ、どしたの?』

 「とりあえず、カーラさんに見せて」

 『何だい何だい……ッ?! これ、は……ッ!?』

 

 どうやらユミコの端末の画像データを覗き込んでいるような状況になっているらしいが、

その画像を見た途端に絶句するカーラである。

 

 「やっぱりカーラさんも知ってるよね、これ。……コーラル通信型のハッキングドローンだよ。

データのハッキングをした上でコーラルにデータを乗せて対になる受信機に送り込む特殊機器。

コーラルを特殊変換させて通信電波として扱うから、対の受信機以外には受信できないんだ。

だから、妨害電波とかその辺りも素通りでデータ送信が可能な代物。……技研の遺産の一つだったかな」

 

 そんな彼女に、ああやっぱり、と云った風で頷くリブラで。

 

 『これが……このグリッド086の底部にあったってのかい?』

 「うん。アクリさんの台詞と状況を鑑みれば、まだまだグリッドの構成物の色んな所に埋め込まれてると思う」

 『……これは、もう定期補修とか云ってる場合じゃなくなったねぇ……。動員を掛けるッ!

ユミコッ、動いてない奴も動いてる奴も、ろくでなし共全員叩き起こしなッ!』

 『りょ、了解ッ!!』

 

 通信越しに慌ただしくなるのを尻目に、アクリはびっくりした感でリブラに疑問をぶつけ。

 

 「リブラ。何でそんな物を知ってるの……?」

 「……昔、お義爺(じい)ちゃんに見せて貰った事があるんだ。どう云う代物かって解説込みで」

 「義理のお爺さん?」

 「うん。赤ん坊の時にお義爺ちゃん拾われたらしくて。二年程前にRaDに預けられる迄は色んな所を放浪旅しててね。

ろ過装置とかコーラル除去装置とかみたいな必需品や、MTとかACとかの修理屋みたいな事してたんだよ」

 「へー」

 

 懐かしみを交えつつそんな話をするリブラに相槌を打つが……

 

 「……でも、アクリさん。何で、こんな代物を"見分けれたの"?」

 「分からない。本当に、何でなのか分からないんだよね……?」

 

 赫いモヤを追ってコレを見つけ出したんだから、コーラル関連のナニカが見える目を持っているのか、

それとも別の何かなのか……。

 

 そんなシリアス風味な二人を他所に、通信越しからのカーラの言葉が掛かり。

 

 『アクリ。ユミコからあらましを聞くに、何故かは知らないが、アンタにゃ通信機に使用される程度の微細なコーラルが視えるみたいだ。

……と云う事で、アレを全部見つけるまではキリキリ働いて貰うよ? 』

 「……うへぇ。遠慮しても良いですか?」

 『許すと思うかい?』

 「思いませんとも」

 『じゃあしっかりやるんだね。――一応、後でRaD(ウチ)のドクターに診て貰いな。話は通しておく』

 

 最後に気づかわしげな声音でそんな事を云うと、通信が切れ。

……それから暫しの沈黙が下り――

 

 「……さって、本日の最後の仕上げのお仕事、はじめまっしょっかねー、っと」

 「アクリさん……」

 

 どう考えても空元気にしか見えない感じに声を張り上げるアクリに、気まずげに小さく声を漏らすリブラである。

 

 

 

 

 その後、相当数のハッキングドローンが見つかり、誰が仕掛けたのか騒然となったのは云うまでもない。

 

 

 






 コーラル式の通信機とかって公式設定ってありましたっけ?
あったんだったらすいません、書き直す可能性がありますが……
ううむ。

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