とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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14話

 

 

 

 

 

 

 

 グリッド086。そこにある一室――多目的ホール染みた広い空間である――にて、

アクリ達RaDer’sと、シンダー・カーラ。

その彼女の傍らに、体高が1m程のデフォルメされた探査フレームらしきモノが一機。

他にも数名の男女が顔を並べている。どうやらブリーフィングをしている状況の様だ。

 

 「……それは確定情報なんですか、シンダー・カーラ?」

 

 そんな一同の中。珍しい程に感情が抜け落ちているアクリの台詞に、

同じく感情が抜け落ちているカーラが頷き、肯定し。

 

 「あぁ。先日のコーラル式ハッキングドローンの出所は、

まあ大方の予測通り"ジャンカー・コヨーテス"の馬鹿野郎共だった。

ドローンの中にあのクソの音声データが残っていた……と云うか、私に聞かせたかったんだろうねぇ。

なぁにが私の贈り物を喜んで頂けましたか、だッ!!」

 

 地団太を踏み兼ねない位にイラついた声音で怒声を上げているカーラである。

そんな彼女の怒りを冷却する様に、機械の音声が諫めの言葉を紡ぎ。

 

 「……ぼス、はナしがズれてイるゾ」

 

 少々怪しい発音でカーラに突っ込みを入れるのは、傍らに居るSD探査フレームらしく。

 

 「……ゴホン。済まないね、チャティ。冷静さを欠いていたよ。

……あぁ、そう云えば皆には伝えてなかったね。コイツはチャティ・スティック。

私とリブラで組んだ提案型のAIプログラムだ。まだ言語学習が上手く出来てないから話し方は拙いと思うが、宜しくやっとくれ」

 「チャてィ・すティっクだ。ヨろしク頼ム」

 「補佐型ですか」

 「ちょっと方向性は違うが、まあ似たようなもんさね」

 「カーラさんってば、独りだけでオモチャを弄るのが寂しくなったみ痛い痛い痛いッ!」

 

 そんなやり取りをしていると、横からリブラがそんな事を言い出して。

するとカーラはすぐさまに彼へと近づき捕まえると、コメカミをぐりぐりし始める。

 

 「そのかるーい口は誰に似たのかねぇ、リブラぁ?」

 「あうあうあう」

 

 頬をひくつかせながら、更にぐりぐりぐりぐり。

痛い痛い痛い、とかやりつつも何となく楽しそうな二人である。

 

 「じゃれている所、申し訳ないですが」

 「をを、そうだったそうだった」

 

 他の一人に突っ込みを入れられたので、リブラを離し、話を本筋に戻す事にして。

 

 「まあそれはそれとして、だ。あのクソバカ野郎共に報復をプレゼントする事にしてね。

その会場をどこにするか迷っていたんだが……おあつらえ向きな話で、少々前にコヨーテスの幹部と云われているヤツが、

弱小や傭兵崩れなドーザー共を取り込む為か、グリッド057の近所の汚染都市に顔を見せると云う情報が入って来た」

 「偽情報の可能性は?」

 

 カーラの説明に場に居た一人が発言する。

その質問は予想は出来ていたか、淀みなく返答してきて。

 

 「私の子飼いの情報屋のタレコミだ。信用できる。

……それに、作戦の第一段階が完了したら、その辺りは意味をなさないしねぇ」

 「その心は?」

 

 彼女のそんな台詞に疑問を投げるはアクリで。

 

 「第一段階で、盛大な花火をブチ込むからさ」

 「火遊びが過ぎる」

 「「それな」」

 

 カーラからのシンプル過ぎる答えに、頬を引き攣らせて呟くと同調する他数名。

そんな話はまあそれとして話しは続く。

 

 「取り込まれる方も、捨て駒にしかなれない雑魚しか居ないだろうが、

コヨーテスの傘下に入りたい馬鹿共、数だけは多いだろうしねぇ。

無作為に増えて行って貰っては、確実に面倒になる。減らせる内に減らしておくに越した事は無い。

駒を削れば削っただけ、あのクズの活動範囲が狭まるからね」

 「デ、第二ダん階で、残っタ連チュうの掃討ニなる」

 「これはここに居るRaDer’s……アクリと、直拳(ベアナックル)隊、お前達に任せるよ」

 

 質問は? と聞いて来るカーラに、挙手をするユミコ。

 

 「……とりあえず概要は分かりました。

しかし、第一段階の成功率如何では、この人数では撃ち漏らしがそこそこ出る可能性がありますが」

 「それはそれで構わないさ。RaD(ウチ)に喧嘩売るって事が割に合わないと思わせれれば、

コヨーテスに参入しようとする阿呆共は多少は減るだろうしね」

 「見事な見せしめである」

 

 そんな彼女の言葉に茶化しの色を混ぜたアクリの発言が返り、少々の笑い声が上がる。

 

 「まあ、そんな感じさね。……ああ、そうだ。

今回のミッションの修理費弾薬費は全部私が持つ。好きなだけ暴れて来な」

 「大盤振る舞いですねー」

 「クソバカ連中のそこそこ大きい群れを潰せそうなんだ。これぐらいの事は許容範囲だよ」

 「確かにそーだよねぇ」

 

 そんな物騒な空気を醸し出しながら、会話をしているカーラとRaDer’sの面々。

心なし、この部屋内で話を聞いている連中も物騒な雰囲気が漏れ出ており、

少々ドスの効いた声音で反応する一同。

 

 「ジャンカー・コヨーテスの一派の殲滅、か……」

 「がんば、ろう」

 「おうよー」

 「やったらぁッ!」

 

 そんな殺意マシマシな感じでブリーフィングを終えるのである。

 

 

 

 

 

 場は移り、RaDer’s大型輸送ヘリ、カーゴ内。

その中でアクリ達三人は、最後の詰めを話し合っており。

 

 「とりあえず、無人MTの武装、頭を大火力のロケットランチャーに変更しておいた方が良いよね?」

 「お願い。私も手持ちの中の大火力武器で行く。……リブラ、その辺りの新作はあったりする?」

 「ちょっと前、アクリさんが依頼して来たアレ、完成してるから持って行ってくれても大丈夫だよ。

後は……BAWSから買ったアイテムの中で、追加で買ったMT用のガトリングガンとかロケットランチャーがあるけど、それを多目的ラックに取り付けとく?」

 「雑魚散らしにはアリか……。そっちも頼める? あ、ガトリングの方で」

 「任せて」

 

 とことん物騒である。コイツ等殺意マシマシ過ぎて怖いわ。

よっぽどコヨーテスとか云うヤツ等に思う所があるらしい。

 

 「今回に限り、第一段階の状況もあるけど、ジャンク漁りとかその辺りの事は全く考慮する余地も無い。

……リブラには悪いんだけど、この状況下では多分、まともに残るジャンクは無いと思う。

運が良ければ、程度で考えてて」

 「別に良いよ。流石に僕だってアイツ等には怒ってるんだ。

コヨーテスの頭目になったアイツ――ブルートゥは……、カーラさんの『オモチャ』とか、

僕やRaD()が作ったジャックインザボックスのプロトタイプ。

RaD製のMT設計図とかパーツ諸々とか、試作武器のアレコレの収奪に、

COAMデータも相当抜かれちゃってたし。許せる範囲を超えてるよ、本当に」

 「そだねー。わたしの秘蔵データログもかなりやられたんだよねぇ……。

一体どうやってここまで根こそぎ分捕られたのかワカラナイけど。

――認めたく無いけど、アレはアレでカーラに目を掛けられるぐらいには優秀だったって事よねー」

 

 本当にブルートゥと云うのは相当の事をやらかしていた様だ。

ユミコは兎も角、大体は周りに無邪気に年相応な愛嬌を振りまくリブラですら、

もの凄く穏やかに怒り狂っている。

 

 「……後、厚い面の皮だけで云ったら普通に好青年だったのも始末が悪い」

 「ちょっと熱上げてたもんね、ユミコ」

 「うるさいやい。従者みたいな感じでカーラの後を付いて歩いてたの見て、

すっごい絵になるなぁ、って思ってただけだよー!」

 

 そして本当に超個人的な私怨も入っていた。

からかい混じりにそんな事を云うアクリに憤慨するユミコである。

可愛さ余って云々に近しい感情が渦巻いていたらしい。

色恋の度合いは全くなかった様であるが。

 

 (――ま、私は何か嫌な匂いがしてたから、アレとは最低限の付き合いしかしてなかったんだけど)

 

 実は、RaDの面々の中でアクリだけはほぼ被害に遭って無く、一時そのブルートゥとか云うのとの共犯を疑われた事があったりしたのだが、

ただ単に野生(おサル)の勘で避けていただけだったと云う証明がアクリと割と仲が良かったMT乗りドーザー達から上がり、程無くして疑いは晴れた様である。

後、大事な保護者(カーラ)を貶めたのは許さんとばかりに怒りを募らせ、

コヨーテスと聞くとラミーと共にいち早く先陣を切って殴り潰しに行っていたのも証明になったようだ。

因みに、その頃アクリが乗っていたジャンクMTはRaDのMT用ショットガン一丁と4連ミサイル一基だけしか積んでなかったらしい。

そんなMTに乗ってた癖に、ラミーの何もかも足りてないACに付いて行ってたのか貴様。

 

 閑話休題(それは兎も角として)

 

 「――あ、そうだった。今回のミッション、他にもAC乗りが参加するから」

 

 今、ふと思い出した事を口にするアクリ。

他って、ラミーとか? 等と聞いて来るユミコに違う違う、と返し。

 

 「前の訓練で適性が見つかったからAC転換したRaDの二人……李穏(リオン)とタウラ」

 「あぁ、アクリがジャンクMT乗りだった時に特に仲良かった直拳(ベアナックル)隊のドーザー二人か。

戦闘行動が出来るぐらいにまでに上達してたんだ。僚機として?」

 「ミーティング中でもカーラが云ってたけど、私等と違う方向から残敵掃討。

あっちには、あの二人以外に直拳の連中も全員同時展開するみたい。

あっちは乗り換えてからあまり期間経ってないからさ。訓練と連携の確認を兼ねて、って感じだろうね。

敵の殆どは生きていても、花火ぶち込まれて浮足立って混乱している連中ばかりだろうから、良い経験値稼ぎの場じゃないかな?」

 「なら安心かー」

 

 そんな事を軽い感じで云い放ちつつ、まあ兎に角自分等の事だよね、と話題を戻し。

 

 「――とりあえず、今回はとりあえず殲滅戦だ。リブラの改造してくれたアレは持って行くとして……後は何にしようか?

雑魚散らしのもう一押し……グレネードでもアリなのかな。オールマインドから貰ったは良いけど結局まだまともに使ってなかったし」

 「あ、グレネードは無人MTの方に使わせたいから、ACに装備するのは待って欲しいかな」

 

 アクリのそんな呟きに待ったを掛けるリブラ。

その彼の台詞に首を傾げつつ言葉を返してみて。

 

 「え? MTじゃAC装備の規格合わないでしょ?」

 「前衛用に使ってる無人MTの方に、

前、偶々手に入ったジャンクの大豊腕……TIAN-QIANGをリペアしてくっ付けたから、十分扱える筈だよ」

 「腕だけがデカいMTが爆誕しておる」

 

 リブラの何時もの魔改造である。

しかしそれはもうMTと云わないのでは? と訝しみそうになるが、ぐっと堪えて。

 

 「じゃあ……左はやっぱ何時ものレーザーダガーで行こうかな。新作も使うなら近接主体になるし。

後は……肩あと一つ。んー、ミサイルにしよっかな。じゃあリブラ、何時もの一丁ッ」

 「ここは飲食店じゃないんだけどなぁ……。喜んで―ッ!」

 「……嫌ならノらなくても良いからね、リブラきゅん?」

 

 中々にノリノリでそんなやり取りをしているアクリとリブラに、冷静に突っ込んで行くユミコである。

とりあえずはそう云う感じで行く事になったらしい。

 

 

 

 

 

 己が大型輸送ヘリと数機の輸送ヘリにてグリッド057近辺に移動したRaDの連中共は、

爆心地(予定)の近くまで隠密機動で来ると、待機しており。

 

 「……うし、一同ー。配置に付いたかーッ!

そろそろ指定のトコに、シンダー・カーラからの親愛(怒り)を込めたプレゼントが落ちて来るから、

対爆・ショック防御は万全にしつつ一段階目の後はキビキビ動けよーッ!

爆発なんぞに巻き込まれるなんて間抜け以下なクソな事してたら、

漏れなく私からの訓練(プレゼント)があるから気張りやがれーッ!」

 『『『応ッ』』』

 

 ACのコックピット内にて、アクリは刻限直前にてRaD専用の秘匿回線越しにそう吠えると、

追従する様に10は満たない程度の威勢の良い声が返って来て。

……見事に姉御的な激の飛ばし方になっているが、間違いなくこの娘っ子はこの連中の中では一番年下である。

 

 良いのかそれで、と云う突っ込みが入りそうな話はさて置いて。

 

 『来たよ。アクリ、皆ッ! 対爆・ショック防御ッ!!』

 

 ユミコのそのオペレートの指示に、それぞれが爆心地予定の箇所から陰になるように、

相変わらず強靭なルビコンの建物を文字通り盾とする。――その直後。

 

 大きな衝撃と共に盛大な爆音が辺りに叩きつけられて。

しっかりと足場を踏みしめ、更に建物の壁に寄り掛かる様に機体の重心を預けていても、振動だけでバランスを崩しそうになる。

どんだけ大量の火薬をぶち込んだんだ、あのRaD頭目はッ!

 

 『――ミッション、スタート! 後は予定通りに進めて! 問題が発生したらこっちから情報を回すからッ』

 

 爆発の余波が収まりきる前に、ユミコからの号令が掛かると同時。

一斉に物陰から飛び出して行くアクリと僚機である無人MT2機。無人MTには周りの残っているジャンクMT(雑魚)散らしを指示し、

己はMTでは相手するのは厳しそうなのをさっさと処理する事にする。

彼女達が飛び込んだ方向の逆側でも、爆発音と銃撃音が多数上がっている。直拳隊の一同も動き出した様だ。

 

 『な……一体何なん「ゴメンよ、って事で死ね」ッ?!』

 

 どうやら先の大爆発から逃れれた一機のボロいBASHOとMELANDERの混合フレームのACに一足飛びで近付くと同時、

アクリは無慈悲な宣告をしつつコックピットにレーザーダガーを一刺し。相変わらずの暗殺技である。

 

 『て、敵しゅ「遅ぇ」

 

 更にその沈黙したACの傍らに居た別の小型の四脚MTに乗っていたパイロットが声を上げようとするが、

それを遮るように右手に握った大口径のリボルバー……だったもの(・・・・・)を、コックピット付近まで近づけると、トリガー!

 

 轟音と共にその大口径からせり出した尖ったパイル(・・・・・・)が違わずに一番装甲がぶ厚い部位ごとコックピット辺りに突き刺さった!

力無く崩れ落ちる四脚MTである。

 

 「――ふむ。RED-GUN改め、R.G(C):IMPACT。一番装甲が厚い部分ごとぶち抜けるなんて……ご機嫌な威力だねッ」

 

 どうやらBAWSとの仕事中に彼女がほざいていた小型のパイルバンカーを先の大豊リボルバーの改造で成し遂げたらしい。

近接寄りが更に近接に特化し始めている気がするが、気にしたら負けなのだろう。

 

 『――こんな事をしやがったのは、手前等かぁッ!』

 「おっと」

 

 外部スピーカーに乗った怒鳴り声が聞こえると同時、アラート音も鳴り響くが慌てず騒がず一瞬の溜めを作った後に小さく回転機動。

その横を出力が相当落ちている様子のパルスブレードの高周波がAC本体と共に通り過ぎて。

 

 (うっひゃ、BU-TT/A持ちッ!? なんて羨ましいッ!)

 

 アレ性能良いけどルビコン内(オールマインド)じゃ売ってないし、

その所為で流通量がメッチャ少ないから、動作が怪しいジャンク品ですらBASHO一式ぐらいなら買える程高額なのにッ!

そんな事を内心思いつつ、右脚を軸に一回転しつつ左脚の太腿のブースタだけを吹かし、回し蹴りを放つ!

 

 ガゴゴン、と云う鈍い音を立てつつぶっ飛んで行くそのACは、大爆発の炎に舐められた建物の一角にぶち当たり、止まった。

 

 「おぉ、取ってて良かったブーストキック。相当威力上がってるわ」

 

 OS強化チップがそこそこ溜まったので、やっと使う気になったOS強化で取った一つ、

ブーストキックで先鋭化した太腿ブースタ出力に良い感じな笑顔を浮かべつつ一気に近寄りレーザーダガーで止めを刺す。

 

 非情ではあるが油断、ダメ絶対。

 

 「……うっはあ、ボッロボロだなぁ。いや、4割方やったの私だけどさ」

 

 完全に停止した機体を見やりながら独立傭兵だったのであろうそのACは、

様々な企業のパーツで構成されてはいたが、どれもこれもボロボロであり。

錆び付いて穴が開き始めているぐらい薄くなった装甲が哀愁を漂わせている。

 

 「――構成はそのものは悪くない。

だったら、何かしらで落ちぶれたんだろうけど……。

コヨーテスなんぞに参入しようとした時点でもう救いは無いよ。

パーツは美味しく頂くので成仏……は、出来ないだろうけど、私等の血肉にはなって貰うね」

 

 まあでも明日は我が身なんだろうけどさ、とか小さく呟きながら、

パルスブレードごと左腕だけもぎ取って目立たない所に隠してマーキングしておく。

確実に手に入れたい物があるならそれ以外のモノはデコイとして残しておくべし。

妙にやり口が手馴れているような気がするが、気にしては駄目である。

 

 「ま、機体も残っていたら後で全部回収するとして、次……ッ!?」

 

 よっしゃ別の場所へ、と思ったが……嫌な予感を感じそのまま建物の陰に隠れて。

それから暫し。少々重めの何かが機動して来る振動。

 

 『なんつー無茶苦茶しやがる、あのクソアマぁッ!!』

 『"これは報復行動だ"、なんてRaDから丁寧なデータ通信がぶん投げられてきた途端にあの爆発。

……本気でRaDの頭目は頭おかしいだろッ!!』

 (それは完全同意)

 

 ズゥンズゥン、とか結構重めな足音を立て……てはいるが、ユニットから異音が混ざった駆動音や、

関節部からスパークを吐いている等、満身創痍の重四脚MTとそれに似たような構成の四脚MTがそろって爆心地から外へと逃げる様に駆動しており。

……実際、逃げて来たのであろう。時々動きを止めスキャニングをして後方を確認しながら、さんざカーラへの罵倒を繰り返しているコヨーテスらしき二機。

思わず内心で同意してしまうアクリで。……しかし、その隙の多い状況は思い切り悪手である。

 

 『――待て。レーダーに反の「ほーい、お疲れー」――?!』

 

 何時の間にか四脚MTの方の死角に入り込んでいたらしいアクリのAC、右手のリボルバーパイル(雑命名)が火を噴き、その機体を躯へと変える。

 

 『伏兵ッ!? 手前もRaDかッ?!』

 「――ッ!!」

 

 喚く重四脚のドーザーに言葉を返す事無くACを沈み込ませると、脆くなっている四脚の一つに蹴り込んだ後、

その衝撃で更にスパークが酷くなった箇所にレーザーダガーを差し入れると直ぐにバックブースト!

 

 ――直後、小爆発ッ!

 

 『ぐ、うおぁッ!?!』

 

 悲鳴を上げていた脚が爆散し、バランスを崩すその重四脚MTではあるが、なんとか踏みとどまろうと――遅い。

踏み止まる為か、開いて踏ん張っている状況の三つの脚の隙間にスライディングの要領で滑り込み、真下からリボルバーパイルを構え――

 

 「……死ね」

 

 そんな呟きと共に、トリガー。

 

 コックピットを特に装甲が薄そうな底部からぶち抜かれ、完全沈黙した重四脚MTの陰から這い出て来るアクリのAC。

ふぅ、と一息吐くと、己が機体の右手の武器を見やる。

 

 「……あちゃあ。3、4発程敵にぶち込んだだけで、パイル部限界かぁ。

これは予備パイル10本ぐらいは持っとかないと弾切れヤバいなー……」

 

 そこには曲がり、折れ掛かってるパイルの突先。

 

 「しっかし。混乱している状況下での不意打ちだからつってもさ、こんなに簡単に倒せるって云うのもどうなんよ?」

 

 辺りを見回しながらそんな事をぼやくアクリ。逐次投入に近い状況下での連戦であったが、全く危なげが無かった。

と云うか、肩武器すら使っていない。暗殺的ムーブで終わる辺り本当に混乱しているようである。

こっちに取っちゃ有難いから殲滅するけどさ、等と物騒な物言いを続けて。

 

 「……うし、次の所へ行く事にするかなーっと。無人MT(僚機)も大分派手にやってるみたいだし」

 

 己がACの近所で爆発音や銃撃音、後は外部スピーカーによる混乱したドーザー共の悲鳴や絶叫が聞こえる中、

次の獲物の索敵を始めたのである。

 

 

 

 

 

 ――その後、掃討はつつがなく終了……する直前。

封鎖機構の戦闘ヘリが横やりを入れて来たので、

敵味方関係なく蜘蛛の子を散らすかの様に逃げに走り、

痛み分けと云った風情になった様だ。

 

 

 

 

 因みに、一旦逃げに徹した訳ではあるが、封鎖機構が去った後、戦場に舞い戻り、

回収出来るスクラップは全回収したRaDer’s(こいつ等)は中々に強かなのである。

 

 

 






 チャティってカーラがRaDの頭目になる前に生まれてたって設定だった筈ですが、この話ではこんな感じになっているのでご了承を(ぁ

 忘れてた訳では無いんですよ? だってAC6の癒し枠の一人ですし(ぁぁ
ちょっとネタ仕込みたかったんで(ぇー
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