とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 毎度ありがとうございます(何
今作で一番の文字数になっておりまs(ぁぁ
しかし中身はそこまである訳では無いので、緩く読んで頂ければー。

 何で僕の駄文ってボケツッコミが毎度標準装備になっちゃうんだろう……(吐血




16話

 

 

 

 

 

 

 

 タンク狂騒曲な一件から数日。

RaDer’sは、ガリア多重ダムから離れて――は、いなかった。

 

 あの後、タンクと四脚(予備パーツ用の重四脚MTの脚が残っていたらしい)を試していたダナムが、タンク脚を二脚よりかは使える、と気に入ったらしく。

エルカノに軽タンクであるFORTALEZAの注文と、出来るなら値下げ交渉と同時に、

これからの星内状況への折衝も含めて話し合いをする気の様でエルカノの本社へと、

随伴者兼護衛である数名のAC乗りと共に出向いて行ったのである。

……軽タンク(アレ)、馬鹿みたいにお高いから値下げ交渉はまあうん、と云った感であるが。

 

 それで、その間の防衛の穴を埋める為に彼等が帰還するまでの間、RaDer’sに残って貰う様、依頼が来たのだ。

こっちとしてもタンクを(けしか)けた自覚はあるから、

報酬低めに設定されたが、文句も云える筈も無く請けたのである。

後、なんかノリでツィイーも居残っている様だが。

 

 コイツ、壁の防衛戦力の筈なのに良いのか。

……が、依頼完了したら、そのままアクリ達に送ってもらう気の様で、連絡済みらしい。

だってAC単機で(あそこ)まで戻るの面倒じゃない? とは彼女の言で。

本当に強かである。

 

 「――まぁ、とは云っても、ここも重要拠点だから戦力多いし、私が居る必要あまり無いんだけどねぇ」

 「多分、アクリよりもリブラにACやMTの整備と素人整備員への指導をして貰うのがメインなんじゃないかな?」

 

 多重ダムの機動兵器格納庫の一角の休憩所と云うべき所で、

そんな風にアクリとツィイーは駄弁っており。

推論混じりにそんな事を云うツィイーに多分そんな感じであろう、と頷くアクリ。

その傍らで、居心地悪そうにユミコがボヤキを漏らす。

 

 「それにしても、オペレーターも普通に居るし、

情報の塊だからここの端末触らせて貰えないし……。今の私本当に要らない子が過ぎて……」

 「まあ仕方ないよねえその辺りは。……リブラの手伝いにいっとく?」

 

 どんよりと曇っている彼女を労わる様にそんな言葉を掛けてみる訳であるが。

 

 「今は頼める事は無いし、休んでて良いよ、って云われて……」

 「はぅ」

 

 等とあっさりと撃ち落され。

これにはツィイーも何も言えなくなる。

 

 「……ま、まあお休み、って気分で気楽にいるべきだと思うよー?」

 「……この依頼の終了の目途が立たない内に別のお仕事探すのも違う気がするし、本当に何しよう」

 「ワーカーホリックか」

 

 休んどけと云ってるのに、何かやる事を探そうとするユミコにジト目で突っ込むアクリで。

まあそうなるよなぁ、とツィイーの方は苦笑し肩を竦める。

この二人は戦闘員であり、肉体も精神も一戦毎に相当な消耗を強いられるので、

休める時にはとことん休む、を経験上理解している様だ。

 

 そんな二人の反応を不服そうにするユミコ。

 

 ――と、そんな漫談染みたやり取りをしているその時。

非常用のサイレンが鳴り響き、施設のオペレーターであろう人からの警告の放送が掛かる。

 

 『所属不明機、多数接近中。待機中の戦闘員は乗機にて搭乗せよ。繰り返す――』

 

 そこそこの頻度で星外企業からの襲撃があるからか、

直ぐ様に弛緩していた空気が戦闘態勢へと移行し、ハンガーの方が慌ただしくなり始めている様で。

 

 「……マジかー。ダナム居ないのに、こんな状況下で来て欲しくなかったなー……」

 

 そんな中、ちょっとばかしボヤキの言葉を漏らしながら、

お仕事の時間だ、と云った感でよっこらしょ、と年寄り臭い掛け声を上げながら立ち上がるツィイー。

そんな彼女に同じく立ち上がりながら、アクリは慰めの言葉を掛けつつ気合を入れて。

 

 「ま、仕方ないよ。それじゃ、お仕事、お仕事ー。ユミコ、とりあえず私のオペレートはお願い。

解放戦線(あっち)はあっちで担当者居るしね。こっちも個別に情報欲しい。その辺りヨロ」

 「心得たッ! うん、お仕事のお時間ッ!!」

 「……本気でワーカーホリック気質じゃのぅ、コヤツ……」

 

 ついでにとばかりにそうユミコに声を掛けると、妙に元気な反応が返って来て苦笑を禁じ得ない。

そんな感じでまったりとした時間は終わりを告げたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 「うっし、やるかーッ!」

 『本当にこう云う時元気だよねアクリって』

 

 そんなこんなで、それぞれに出撃を果たしたアクリと解放戦線の面々は、

敵の襲来を待ち受ける為、それぞれの持ち場にて待機をしている。

 

 「そして私は最前線。まあ知ってた」

 

 そんな事を呟くアクリのACは、多少物変わりしていて。

リブラは何種類かの頭パーツを弄り倒して自信がついたのか、

FINDER EYEにもちょくちょくと手を入れ始めたらしく、

妙に愛嬌があるその頭に人間で云う耳の辺りに大きめのセンサーが増設されていて、

寝かせているウサギの耳の様になっており。

コアは、グリッド086の件にてBASHOからWRECKERに変更してからそのまま使い続けており、

腕と脚は以前のままのTOOL ARMとWRECKER。

後は両肩に4連ミサイルに、バーストライフルにレーザーダガーと云う装備である。

 

 ……少々見た目は不格好ではあるが、性能自体はそう悪くないので、気にしたら負けである。

 

 『基本独立傭兵って露払いか捨て駒か。大体はそんなもんだもんねぇ』

 

 その傍らにツィイーのACがおり、そんな反応を返す訳だが。

そんな彼女の武装は、バーストライフルと中型グレネード、右肩が四連ミサイルで左肩がクレーンアーム+グリッドの底板の残骸となっている。

クレーンアームを何時の間にリブラから買っていたんだ貴様。

 

 それはそれとして、アンタ何で最前線(こんな所)に居るとですか? そんな言外の声を醸し出しつつ突っ込むアクリ。

 

 「――ツィイーは、解放戦線でそこそこに重要ポジなんだし、もうちっとばかし後方に居ても良いんだよ?」

 『私もアンタと同じく星外企業のブラックリストの中位ぐらいには載ってるだろうから、目立つ所に居るべきだと思うんだよ。

相手に狙いを絞らせる為にも、同輩の士気を上げる為にも、ね』

 「それも分かる。……ホント、中々に面倒だよね、組織の顔になるってのは」

 『まあアンタも、名声と実力が売れてナンボの独立傭兵だし、名声の厄介さは良く分かってるかー』

 「ま、ね。とりあえず……お仕事の時間だ」

 『承知』

 

 やれやれと云う感で、そんな風なやり取りをする二人は、

段々と近づいて来る敵機反応に深呼吸をして、気合を入れ直す。

 

 『とりあえず、露払いとしてだろう第一陣のAC2、その後方から空中戦力30プラスマイナス3。

その更に後方に第二陣で主力と見られるMT30プラスマイナス5。

後、そのMT群に紛れてる不明機が居る。多分ACかな。――第一陣、来るッ!』

 「その構成からして……先鋒が独立傭兵で、他の戦力比考えるとベイラム系かッ!」

 

 そんなユミコからの報告を聞くと、アクリはそう呟きを漏らしつつ、

早速にマーキングされた所属不明部隊――ベイラムか大豊か、どちらかであろうが――へとブースタを吹かせ、吶喊。

 

 『何ッ、早「――シッ!」

 

 KIKAKUブースタの近接加速に気を取られたか。

BASHOフレームで構成された一機のACのパイロットの驚きの声を通信越しに聞きながら、

レーザーダガー起動と同時、そのままコックピット付近に突き込むとブースタを再度起動し加速。

その推力の後押しで厚い装甲を無理やりに突き通して、そのまま撃破。

 

 ACはMT以上に防御機構が頑丈に出来ているので、駄目押さないと撃破が難しいからこその強引な手口である。

更に云うと、以前戦ったジャンクに近しいACとは違い、十全にメンテナンスされているBASHOの頑強さも加味しているからこその追撃で。

……ダガーを引き抜くと共に、後続のMTを巻き込む様に調整して蹴り飛ばし、数機を擱座させる。

 

 『ぐぁッ、コイツ……強いぞッ!!』

 『囲んで潰せえッ!!』

 

 しかし敵もさるもの。この程度では動揺も無く(と云うか、独立傭兵が死のうが気にしないであろうが)、

数で叩こうと囲んで来るのであるが……少々脇が甘い。

 

 ――爆発!

 

 『周囲の気配りがお留守ですよー、っと。――MT隊は私に続いて支援を! AC隊は、機動力()を生かして動き回りながら敵部隊を叩けッ!』

 『『了解ッ!』』

 

 中型グレネードの弾を装填しつつ、そんな事をほざくは、ツィイー。

更に、周りのAC・MT部隊に指示を出しつつ、更に敵機に狙いを付けて。

 

 ――しかし何と云うか……。アクリって、武器使うより拳で語った方が強くない?

 

 アクリが敵の真っただ中を引っ掻き回している姿を後方で確認しつつ、的確に支援射撃をしているツィイーはそう思う。

先に撃破したACの近くに居たもう一機のACに襲い掛かかると、背中のブースタで加速した状況のままに飛び膝蹴りを叩き込み、

更にその状態から背中と太腿のブースタを器用に吹かせ、遠心力を生かした回し蹴りで追撃。それも上手く計算していたか、

蹴り飛ばされたACは、またもやMTが複数いる箇所へと吹き飛ばされ、巻き込んで行く。

 

 その敵機が沢山巻き込まれ、ゴチャった所に解放戦線の部隊からの支援攻撃が複数度襲い掛かり、纏めて撃墜。

 

 それを横目に、今だ浮足立ったままのMTの一機を目ざとく見つけ、再度ブースタの近接推力で一気に接近し、身を屈めて足払いを掛ける!

その勢いにて空中に浮いたMTを己が体勢を立て直すと共にアッパー気味に殴り上げ、再度ブースタを吹かせてジャンプし加速。

殴り上げたMTを追い越した後、空中で一回転しつつ、オーバーヘッドシューッ!

 

 ボールになったMTは、そのまま地表の複数機のMTを巻き込む。

いやもう変態機動とか以前にハイレベルな曲芸だよこれ、とツィイーは更に思いながらも、

そんな彼女の機動の間隙を見つけ、狙おうとしていたMTの一機をバーストライフルを撃ち込んで動きを止めさせた所で、逆手に持ったグレネードで撃破。

そんな感じにて支援の手は緩めず、次いで空でミサイルを撃ち回っているヘリ数機をロックオンし、右肩の四連ミサイルランチャーを撃ち撃墜する。

今回は自陣であり、ダム湖の氷上と云う地形のお陰か、戦闘車両が来れないだけ地上の圧迫感が少なく、まだ戦いやすい。

 

 ……が、戦闘車両が居ない代わりに、MTの数が割増しになっているようだが、それでも車両程数がある訳でもなく。

 

 討伐依頼(遊び)で暫く一緒にしている内に上達した連携力により、

どんどんと危なげなく敵機を叩き落としていく二人である。

 

 『あの二人――すげぇな』

 『ツィイーと独立傭兵があんだけやってんだ! オレ等だってッ!!』

 『応よッ!』

 

 それに追従する様に、解放戦線のAC・MT部隊もそれぞれに隙を見せた敵機に攻撃を加えており。

――と、アクリは何かを目ざとく見つけたか、解放戦線から貸して貰った回線を使い、荒ぶった声を上げた。

 

 「そっちのB-6だったっけ、前に出すぎッ! 自殺したいってなら止めないよッ!!」

 『――ッ、すいませんッ!!』

 

 案外アクリは周りを見ている。

じわじわと吊り上げられそうになっている解放戦線機が居たら速攻に口を出して諫めたりもして。

何だかんだ云ってコイツは変態機動の個人技ばかりが目立っているが、前線指揮官としても向いているのかも知れない。

独立傭兵の癖して私よりそっちの能力高そうなのってどうなのよ?

 

 ツィイーはそんな栓も無き事を考えつつも、更に支援の手を緩めない。

 

 ――そして、アクリとツィイーの戦闘力のお陰で、戦局が決しそうに見えたその時。

業を煮やしたのか、後方から突っ込んで来た機体から、粗野をそのまま体現したかの様な声で怒鳴り込んで来た。

 

 『オラオラオラッ!! 手前ェ等、何土人なんぞに手酷くやられてんだこのクソ共がッ!

次の大仕事(アーキバス戦)の前にもうちっと役に立つかもしれん役立たずになるかと思って様子見してたが……もうヤメだッ!

オレ等は親父殿に鍛え上げられた栄光のレッドガンだぞッ! アレに恥かかせんじゃねぇよこンの馬鹿野郎がぁッ!!

――手前ェ等、この愉快な遠足から帰ったら、覚悟しとけやオラッ!!』

 「うわなにうるさ」

 

 物凄く汚い口調で味方を罵るそのパイロット。

どうやらこいつが今回の襲撃の総大将であり、AC乗りでもあったようだ。

 

 その機体構成は、ベイラムのMERANDERの頭とコア。

大豊のTIAN-QIANGの腕と脚パーツで構成され、左腕はにベイラムの必殺兵装パイルバンカー。右腕は大豊のマシンガン。

左肩に六連装ミサイル。右肩に中型三連双対ミサイルと云う構成で、左腕が赤に染められており、それ以外には迷彩を施された姿。

 

 『――G7:ハークラーッ! 申し訳ないッ!』

 『御託はいいからはよ土人共を潰せやぁッ!!』

 

 一機のMTに襲い掛かろうとした解放戦線のACに、起動をしていないパイルバンカーの突先で突き殴り、

怯んだ隙にマシンガンのグリップ部でBASHO頭を殴って更に怯ませた後、ゼロ距離でトリガー!

それにて行動不能(スタッガー)に陥ったか、機体が動きを止めたその時。MERANDERのカメラアイが怪しく光り――

 

 『――機体を捨てろぉぉぉッ!!』

 『――ッ!!?』

 

 その異様な程の気配に気付いたツィイーの切羽詰まった絶叫に、そのACのパイロットは脱出レバーを反射的に引いたか。

コックピット部が相当な勢いで後方射出されて行ったその直後。

引き絞ったパイルの突先が、そのACのコア部に突き刺さり、爆発ッ!!

 

 火を噴き倒れ往くBASHOを薙ぎ倒し、踏み付け。

威嚇する様に周りを見回すそのAC――G7、ハークラー機。

 

 「オレが解放戦線(ヤツ等)にでっけぇ風穴開けてやるッ! そこに吶喊しろや手前ェ等ァッ!!」

 『『了解ッ!!』』

 

 ハークラーのその力強い言葉に奮起を見せるMT部隊の面々である。

逆にアクリと解放戦線の面々は、そのやかましさと実力に顔を顰め。

更に云うと、G7と云う名称とレッドガンと云う部隊名が明確に出されて解放戦線の方に動揺が広がっていく。

 

 『れ、レッドガンナンバー……ッ!? って事は……この部隊は……ッ!!?』

 『ま、マジか……。オレ等、死んだかも……』

 

 うわ一気にあっちは士気が上がってこっちは士気がダダ下がるって、ヤバない? ……流石、レッドガンナンバー、か。

そんな事を考えつつも近場に居るMTを蹴りで粉砕したアクリは、少々の焦りを含めながら、ツィイーに声を掛ける。

 

 「こりゃ、拙いか……! ――ツィイーッ! G7(大物)は私が足止めするッ! 残りのMT部隊と空中戦力、何とかお願いッ!!」

 『だ、大丈夫なのッ!?』

 

 そんな台詞に驚きと心配の色を含んだ問い掛けが返って来るが、

強がりも何もない事実を云い放ち。

 

 「格上相手なんだから、大丈夫って断言は出来ないッ! ……でも、何とかするッ!

そっちもまだ数が居る上に私が抜けて、同じくヘヴィな状況になるんだから、気を取られ過ぎるんじゃないよッ!!」

 『わ、分かったッ! ――死んじゃ駄目だからねッ!』

 「それは保証できないかなッ!」

 『保証しろぉッ!!』

 「だからさっさかそっち何とかしてこっちの援護お願いッ」

 『……分かった、出来る限り早く終わらせるからッ!』

 

 そんな軽い調子ながらも切羽詰まったやり取りをした後、ツィイーは解放戦線の一同を纏め上げ、

ハークラーが居る所とは別の方向から、レッドガンMT部隊へ攻撃を仕掛ける様にしたらしい。

 

 ナンバー付きの実力はあまりに危険すぎるが為、並みの乗り手では簡単に潰されて終わりだ。

ならば、早めに弱い連中を蹴散らして、数の暴力ですり潰すに限るッ!

 

 少しだけ前線を下げつつある解放戦線に追撃を、とばかりに突っ込んで来ているハークラー機の脚を止める為に両肩の四連ミサイルを起動、時間差で発射!

 

 『――つァッ!』

 

 だがしかし、どちらかと云うと愚鈍であろうその重量機でありながらも、

クイックブーストの連続使用にてそのミサイル群をやすやすと回避するが、追撃の手を止めざるを得なくなり。

 

 『――手前ェ』

 「こっからはアンタだけは通行止めだよ、G7」

 『その機体構成的に、独立傭兵か……ッ』

 

 一発看過は止めて欲しい。まあ解放戦線は基本的にBASHOオンリーだから分かりやすいんだけどさ。

まあそれは兎も角、答える必要性も無いので、無言でバーストライフルのトリガー!

 

 その射撃も、上体を小さく反らす事で回避。

だがその小さい回避も一瞬の隙。近接専用ブースタの加速により一気に肉薄すると同時、滑り込む様に屈み込み、ブーストを利かせたままに足払いを掛ける!

しかし、その攻撃すらもブースタも吹かせた加速ジャンプで回避、後にバックブースト。

 

 少々の距離を取りながら、悪態を吐くハークラーであり。

 

 『チッ、こンの手癖も足癖も悪りぃクソ土人がぁ……ッ!』

 「そのクソ土人に拮抗する程度の実力の癖に、上から目線で見下してんじゃねぇよこのクソ宇宙人風情が……ッ!!」

 『クソ土人をクソ土人と云って何が悪ィ。抵抗なんて人間様らしい事してんじゃねぇよ、この野郎が……ッ!!』

 「あ゛? 難聴か手前ェ。私は野郎じゃねぇ、女だっての」

 『あ゛? 野生のクソ獣が何人語話てんだ?』

 「こっちが云ってる事理解出来てねぇな、そこなクソ野郎。まあ理解出来る訳ないわなー、頭の中腐ってるみたいだしぃ?」

 

 そんな物言いに腹を立てたアクリは汚い言葉でハークラーに言い返し。

同じ土俵に上がる必要はないと思うのだが、そもそもがアクリの素は粗野であり野生でもあるからして。

シカタナイネ。

 

 それから暫しの(幼稚な)罵り合いの後。

 

 『――このクソ女ぁッ!!』

 「――このクソ男ぉッ!!」

 

 あっさりとブチ切れた阿呆共二匹は、戦闘態勢を取り――

 

 「『――ブチ殺すッ!!』」

 

 双方ほぼ同時に、異口同音でそんな汚い言葉を吐き出しつつ、ブースト!

クロスレンジにて、ハークラーは左腕に構えているパイルバンカーを引き絞り。

アクリは同じく左腕に構えているレーザーダガーを稼働状態にまで起動させつつ。

 

 『ブチ潰れろぉッ!!』

 「甘ぇッ!!」

 

 こちらの動きに合わせ、命中する間合いにてパイルの突先を突き込んで来るが、

アクリは口汚く叫び返しながら、敵機の左腕に右の肘を当てて一瞬だけズラして往なしつつ懐に潜り込むと、

お返しとばかりにレーザーダガーをコックピットに突き込んで――

 

 『手前ェこそ甘ェんだよッ!』

 「ッ!!」

 

 ハークラーのそんな台詞と共にその攻撃は彼のACが握ったマシンガンのグリップ部の振り下ろしにより、

レーザーダガーの機構部をピンポイントに殴られ、(はた)き落とされる!

その攻撃で腕部が大きく流れて体勢が崩れ、コア部の防備が薄くなったと同時。握ったままであったマシンガンを超近接で、トリガー!

 

 《コア部、小破。継戦に問題無し》

 

 アラートが鳴り響き、コア部を逆袈裟に流し撃たれる。

――が、BASHO以上に頑強なWRECKERコアであるからして、マシンガンの弾丸程度ならそこまでのダメージは無い様だが。

しかし、ここまでの超近接で使われたら衝撃の減衰なぞ全くないので、コックピットが激しく揺さぶられて。

 

 「ッ――らぁッ!!」

 

 その激しい振動に舌打ちを漏らしつつも銃撃から逃げる様に機体を捻り、そのままコンパクトに一回転して左の裏拳を敵ACの頭パーツに叩き込む!

左腕にレーザーダガーを装備しているにも関わらず、それを起動するよりも殴った方がコンマ数秒は早いからと云う咄嗟の判断か。

 

 『――ッ!!』

 《左腕部マニピュレータ、損傷軽微。継戦に問題無し》

 

 ハークラーの方も、まさかこの状況で格闘戦での反撃が来るとは予想だにしなかったか、叩き込まれた衝撃で一瞬だけ息が詰まった様で。

その一瞬の怯みを見せた敵機に、アクリは追撃の膝を叩き込もうとするが、あちらも全く同じ判断をしたらしく、

同時に膝を叩き込み合い、重い金属同士がカチ合う耳障りな重低音が辺りに響き渡った。

 

 「『――ッ!!』」

 《膝部、損傷軽微。継戦に問題無し》

 

 そんな膝打ちの反動からか、少々弾かれ離れた二機は、体勢の立て直しを図る。

……先に立て直したのは、ハークラー!

 

 『オラぁッ! ブチ死ねやあッ!!』

 

 そんな台詞を吐き出しつつ、両肩のミサイルを起動。

そのまま同時に撃ち込んで来た。

 

 「――んがッ!!」

 

 真っ直ぐ突き進んで来るミサイルと、己が機体を挟み込む様に飛んで来るミサイル。

三方向からのミサイルの雨に、小刻みにブースタを吹かせ、

左右に振れた直後に苦悶の声を上げつつもクイックブースト発動するが、被弾を回避しきる事は難しかったようで。

 

 《左脚、小破。継戦に問題無し》

 「まだ……まだぁッ!!」

 

 そう吐き出しつつも、お返しとばかりに両肩のミサイルを起動。

四連八発のミサイル群がハークラーのACへと襲い掛かる。

 

 『読んでたぜェッ!』

 

 だが、相手もさるもの。ささっとクイックブーストを発動しつつマシンガンを流し撃ち、迎撃もしてきて。

数発のミサイルが迎撃され、小爆発が起こる。

 

 「知ってるッ!!」

 

 その爆発を目隠しに、今一度、アクリは吶喊し、ブーストキックを叩き込んだ!

――が、ハークラーはそれも読んでおり、パイルバンカーのゴツい射出機構部を盾にして受け止め、その下からマシンガンを突き出して、トリガー!

 

 「ぐぅ……ッ!?」

 《左脚、中破。撤退を推奨します》

 

 これは流石に回避が出来なかったか、相当数の弾丸を撃ち込まれて。

アラート音と共に左脚から火花が飛び散り、一気に反応が鈍るが、お返しとばかりにチャージしたバーストライフルの銃口を敵機のカメラアイ部に当て、ゼロ距離トリガー!

流石に拳で殴るよりは衝撃が強かったか、上半身がブレ、MERANDERのカメラアイからも盛大に火花が散る。

 

 『ぐぁ……ッ!? その状況からメインカメラを潰すかッ!?』

 《バーストライフル、中破。使用不能》

 

 双方共に痛み分けと云った風情だが、分はややアクリの方が悪いか。

今一度の仕切り直しと、同時にバックブーストをして距離を取る。

アクリの方はついでにゼロ距離の暴発に近いトリガーの所為で使用不能になったライフルをハークラーにブン投げ当ててしっかりとダメージを与えた様だ。

 

 本当に手癖が悪い。

 

 『――うわぁ。やってる事無茶苦茶だけど……。下位とは云え、レッドガンナンバーと真正面から殴り合ってるとか……』

 『すげぇ……』

 『G7と同等……ッ!? 独立傭兵風情がッ!?』

 『ハークラー!』

 

 そんな二人の罵り合いと共に戦闘を熟している姿に絶句をする周りの敵味方一同である。

いやお前等自身の戦闘はどうした。

 

 (チッ、左脚の反応が相当ヤバい……。戦闘機動を続けてたら多分そう間を置かずに折れそう……ッ)

 

 なら、イカレるより先に相手を潰すべき、と覚悟を固めつつ今一度の両肩武器の起動……が、まだ発射はせず。

フェイントを掛けつつ仕掛けるべき、ではあるのだが……その隙も奴さんの機体捌きで大体潰されている状況である。

やはりレッドガンナンバーを付けていられるだけの実力はあるって事かッ!

 

 『手前ェが来ねェならこっちから行くぜェッ!!』

 「やばッ!?」

 

 その一瞬の判断ミスが命取りになり、先を取られ。

先のアクリのお株を奪うかのようなアサルトブーストからのブーストキックが叩き込まれそうになるが――

 

 「――でもこっちだってある程度は予測出来てるッ!」

 

 その蹴りに合わせる様にレーザーダガーを起動。

ハークラー機のTIAN-QIANG、その細い足首を切り飛ばそうと――

 

 『だから甘ェッ!!』

 

 そんな起動のタイミングすら見切っていたらしいハークラーが、

急停止後にバックブーストしつつ両肩のミサイルを起動、発射!

 

 「……ッ!!」

 

 読み違えた、と歯噛みしつつも強引に回避をするが、左脚の異音が更に大きくなり、小さい衝撃。

左脚の関節部が一部断裂したらしく、自分がやろうとしていた回避の半分も機動出来ず、ミサイルの直撃を受けてしまう。

 

 《左脚、大破。コア部、両腕、中破。撤退を進言します》

 

 ゴガンゴガンと数発のミサイルが爆発する衝撃をコックピット内で感じながらCOMからの撤退進言の信号を耳朶に受ける。

……だが、その直撃ダメージの衝撃の所為か、自機は行動不能(スタッガー)へと陥ってしまい。

 

 (やべ、死んだ――)

 『残念だったなぁ、独立傭兵……ッ!!』

 

 やり込めた、と云った色が見える声音でハークラーはそう云い放つと、有効射程距離まで近寄ると共にパイルバンカーを引き絞り――

絶体絶命。そんな状況下、風切り音と共にグリッドの底板であろう残骸が横手からパイルのチャージをしていたハークラー機へと飛んで来て。

 

 『――何ぃッ!?』

 

 上から落下して来るなら兎も角、真横から残骸がすっ飛んでくると云う意味不明な事に驚きながらチャージをキャンセルし回避するハークラー機。

ズガゴガン、と派手派手しい音を立てながら、彼が回避した辺りにその残骸が落下。

 

 何だこれ、と云った感で間が抜けた空気が辺りに漂っていたその状況下。

アクリのACの左肩を重機アームらしき物で、右腕をACの腕で掴まれ後方に引き摺られて。

引き摺っている何者かにカメラアイを向ければ、一機のダブルヘッドBASHO。

 

 『――アクリッ! 死んでないよねッ!?』

 「ツィイー?」

 

 そのACからそんなアクリを心配する声が掛けられた。

――どうやら、実体盾に使っていた底板の残骸をブン投げて威嚇すると共に、

その隙を縫って行動不能になっていたアクリを回収したらしい。

やってる事がアクリに似て来ていて、解放戦線の上役共は頭を痛めているかも知れない。

 

 『よかったー……』

 「何でアンタがここに……」

 

 ハークラーを警戒しつつも、安堵の溜息を吐くツィイーに疑問の声を上げるアクリで。

空中戦力を全部叩き落した上で、ある程度地上戦力も消耗させたから、後は任せてこっちに来た、とツィイー。

中々に強引な感じではあるが、そのお陰で己が助かったのも事実なので、文句も云える筈もなく。

 

 「本気で助かった。……ありがとう」

 『前、助けて貰った恩もあるしね。お互い様さまだよ。……んじゃ、二人でなんとかアイツをやろうか』

 「こっちほぼ半壊なんだけどねぇ……。でも、やるしかないんだよなぁ……」

 

 アラーム音が鳴り響き続けているコックピット内で苦笑しながらそんな事を漏らすアクリ。

だが、やらないとこの多重ダムが落ちる未来しかないので、頑張るしかない訳で。

 

 気合を入れ直そうとしていたその矢先。

ハークラーの方にも何事かがあった様で、戦闘再開、と云った風情にはならず。

 

 『G7ッ、報告しますッ!』

 『……ンだよッ?』

 『所属不明の数機のAC輸送ヘリがこちらに向かってきております! 敵共の増援かと思われますが、いかが致しましょうかッ!』

 

 通信からはそんな会話が漏れ聞こえており。

そんな奴等のやり取りを気にしつつ、アクリはこそりとツィイーへと接触回線にて小さく問いを掛ける。

 

 「――ツィイー。ダナムとの回線、開ける?」

 『今、やってる。――あ、やっぱりアイツ等が云ってるのはダナム達の帰還の輸送ヘリ群をレーダーで拾ったからみたい。

ちょっと今の状況を専用回線繋いで説明したら、直ぐに戦闘に参加するって意気込んで来たわ……』

 「あ、あはは……」

 

 いくら何でも前のめりになり過ぎでは?

そんな突っ込みを飲み込み、乾いた笑いを漏らすアクリ。

二人のやり取りの間にも、話はずんずんと先に進んでいる様で。

 

 『輸送ヘリから、熱源数機降下しました! ――全機、ACかと思われますッ!』

 『ACの圧力が低いとは思っていたが……主力が出払ってたって訳か。……チッ。潮時だな。こちらの損害はッ!』

 『六割が戦闘不能です!』

 『想像以上に役立たずだったか、ったく。……生き残れたのは!?』

 『内、八割です』

 『……生き残りの回収はッ!』

 『滞りなく済んでおりますッ!!』

 

 打てば響く、と云った感で伝達が成されて行くその会話に思わず感心してしまう二人。

流石正規軍、と云っても過言ではない企業の戦闘部隊である。群体の取りまとめる練度が違う。

解放戦線ももう少し頑張れうん、とアクリは内心思いながらも警戒は怠らず。

 

 『――今回は仕方ねェから譲ってやるが、独立傭兵。手前を()るのはオレだ。覚えておけや』

 

 そんな彼女達へと、壊れ、機能していなさそうなカメラアイを向けながら、ハークラーは中々に物騒な台詞を云い放ち。

 

 「(それ)は誰にも分からないから覚える気はないよ、G7」

 『――チッ。野郎共、撤収するぞッ!!』

 

 アクリのにべもない返しに小さく舌打ちをすると、

捨て台詞を残しつつ、己が殿となりなりながらもさっさか撤収して行くレッドガン部隊である。

引き際も見事と云うべきであろう。

 

 『――レッドガン、完全撤退したみたい……』

 「……たす、かったぁぁぁぁ……ッ!」

 

 そのまま暫く警戒していたアクリ達であるが、

完全にレーダー索敵範囲から消えた、とのユミコの報告から大きく溜息を吐き出しながら、生き残った事を実感する。

 

 

 それから、話し合いが上手く行ったのか。

頭をBASHOトリプル、コアをBASHO、腕をFIRMEZA、脚を軽タンク――FORTALEZAとなったダナム機と、

その護衛達(彼等彼女等も、それぞれに試作パーツや試作武器を手に入れ、装備していた)が現場に到着したのだが。

見事な空振りと云う何とも間の抜けた空気になったのは云うまでもないオチである。

 

 

 

 







 とりあえず、レッドガンの皆様、何でかパイル使ってるの居ないので捏造してみましt(ぁ

 とっつきはとても良い物だー!(とっつき、AC発祥だったと二か月程前まで知らなかった民

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