とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 何か変なのが生えてきましたが、
多分きっと毒ではないと思われます(ちょっ

 最初書きたかった事が盛大に明後日の方向にぶっ飛んでる気がするのは仕様です(ぉぃ



18話

 

 

 

 

 

 

 

 「とりあえず、本日のお仕事は完了ー。ヒューッ!」

 『お疲れ様、ヒューッ!』

 「え、ぇ、なにそれ??」

 

 毎度ながらに唐突にノリだけの意味が良く分からない奇声を上げる幼馴染ーズに目を白黒させながらツッコミを入れるリブラ。

 

 ――ツィイーを"壁"へと送り届けてから少々時は過ぎ。

 

 本日はリブラのリクエストに応え、

グリッド088の真下――その落下物のゴミ漁りをしていたRaDer’sの一同で。

残骸の山から彼の目的の品物である、アイビスの火以前の旧世代型ACの頭からコア部、

左腕に掛けての残骸や、同じく旧世代型らしいMTの残骸数機等を掘り返し、見つけ出した様だ。

 

 「旧世代のACヘッドとコアなら、

技研製の特殊な内部パーツとかあったりしたら有難いけどー」

 『それは幾らなんでも高望みしすぎだってー』

 「ま、そうなんだけどね。今よりも世代が古いのに、

性能は上って感じなジェネレータとかFCSとか。ロマン煮詰まってるじゃない?

最たるのが技研製のやべー系統の内部パーツ類。

今のルビコンの技術力じゃ、リペアなら兎も角、再生産なんてまず無理な代物だし」

 『それは否定しない。――しかし、足元見られたけどさ。

これだけお宝を掘り出せたし、あの情報屋、中々に有能かもねー?』

 「うん、高い情報料払った甲斐はあったんじゃないかな?」

 (……だったら、良いんだけどねぇ?)

 

 そんな感じで和気藹々とした風情で通信機越しに会話をしているユミコとリブラで。

アクリは何となくではあるが、その情報屋に思う所がありそうな表情を浮かべているが。

 

 まあそれはそれとして、である。

 

 「――リブラ、今日もアリガトね、狭いのに」

 

 アクリは、コックピットのシートから少し首を回して斜め後ろに振り向きながらそんな言葉を口にして。

その彼女の視線の先に居たのは、気にしないで、と云った感で言葉を返して来る耐Gスーツを着ているリブラであり。

どうやらリクエストした立場上、自分の欲しかった旧時代の残骸の見分をしたかったらしく。

以前のグリッド086定修の時の様に、サブシートを取り付けてこのゴミ漁りに参加していた様だ。

 

 「こっちこそ、僕のお願いを聞いてこんな所まで来てくれてありがとう。

……実際の目で見ないと分かんない事もあったし、勉強になったよ。それに――」

 「それに?」

 「んー……、何でもない、かな?」

 「??」

 

 ちょっとばかりもごもごと何か云い淀むリブラに不思議そうに首を傾げるアクリである。

 

 「ま、まあ兎も角、さ。この旧時代の機体。

パーツの強化素材としてはうってつけなんだよね」

 「『え、そうなん?』」

 

 そんな彼女の疑問を逸らすかの様に、今回のゴミ拾いの理由を語りだすリブラ。

そんな彼の言葉に何それ初めて聞いた、的に首を傾げ問いを返す幼馴染ーズ。

 

 「うん。これ、当たり前の話なんだけど、アイビスの火で燃えてるハズなんだよ?

それなのに大破して消失している所は兎も角として。

燃え尽きもしないで、残っている部位はほぼ原形を留めている。

で、コックピットを保護する部分が壊れていなくて、

ブラックボックス部が物理的に焼け落ちてないって前提なら、

半世紀前のデータログすら抜き取れるんだ。つまり……」

 『ああ、それだけ旧時代のブラックボックスの保全性が凄いって云うのと、

外部パーツの耐久力がヤバいのかー……』

 

 その説明に納得の声を上げるユミコに頷きつつ、話を続ける。

 

 「そ。外部パーツも内部パーツも現行のACやMT以上に頑強なんだよ。

だから、装甲部とか壊れていない電送コード。その辺りを現行機に入れ替えれれば――」

 「旧時代の代物を扱える人間が手掛けたなら、壊れ辛く継戦能力が高まる機体に早変わり、と」

 「そう云う事。――まあ、そんなに簡単に行くかはどうかは、

帰って試行してみなきゃ分からないんだけどね?」

 

 僕も旧時代の機体の装甲とかコード類を扱うの初めてだし、とリブラはちょっとばかり弱気ではあるが、

でも頑張るよ、と云った風に言葉を発し。

 

 「まあそんな感じなんだ。……さ、警護して貰ってたMTにこっちで持ち切れないジャンク持たせて帰還するねー?」

 『はーい。受け入れの準備しとくー』

 

 カタカタと端末を弄り回しながらそんな事をユミコに云うリブラ。

……どうやら、左肩のクレーンアーム改を端末(こっち)で手動にて動かしている様で、

アクリの操縦とは別の動きでACの残骸を抱え込んで行く。中々に器用である。

 

 「そんじゃ、帰ろっか」

 「うん」

 

 そんな感じで大きな残骸の山から抜け出すと、一息。

 

 「残骸掘り進めてた所為でずっと穴倉の気分だったし、

解放されたー、って感じになるよねー、これ」

 「あはは、そうだねー」

 

 ゆるーくシートにもたれ掛かりながら伸びをするアクリはそんな事を呟きつつ、

リブラに話を振ると、彼も同じく身体を弛緩させながらふにゃりと笑みを浮かべて応え。

コックピット内の空気も心なし緩んだ感じがする。

 

 「――しかし、そんな話初めて聞いたよ。

大体の人って旧時代の機体なんて技研のあれこれ以外はゴミにしか見えてない筈だし」

 『だよねー』

 「知らないのも無理は無いと思うんだけどねー」

 

 かるーい感じで会話を続ける幼馴染ーズに、同じくゆるーく返すリブラ。

そんなやり取りをしつつ、近くで警戒していた無人MTに背負子の様な物を背負わせ、

それにコンテナの様な大きな入れ物を載せ、それにどんどんとスクラップを積み込みながら会話は続き。

 

 「ま、僕もお義爺(じい)ちゃんから話を聞いて、

その作業を後ろから実際に見てたから知ってるってだけだしねー。

――それに、アイビスの火を越えれた旧時代の機体と、

その後の機体って見た目あんまり変わらないのもネックだしー」

 「ふむ?」

 「……技研のは兎も角、BAWSの機体ってあの災厄以前は旧式の。

以後は話を聞く限り、基礎技術のデータが軒並み燃えて技術力が相当落ちたから、

見た目だけそのままでも全般的にスペックダウンした新式のBASHOフレームにせざるを得なかったみたいだし」

 

 アクリの疑問が混じった声にリブラはぼやき。

確かに話の通りならば、よほどその機体に造詣が深くなければ見分けられまい。

 

 そんなやり取りをしつつ、溢れる様に積み重なったスクラップをワイヤーで固定してひとまずは完了。

よーし、全部積んだねー。それじゃ、帰るよー、とアクリは言葉を発すと、機体を歩かせ始める。

 

 「――しかし、リブラのお義爺ちゃんって何者なんだろーね?

まあ"灰被り"である事は間違いないんだろうけどさ」

 『コーラル系の機械とか、旧世代の機械の造詣深いみたいだし、

実は技研の生き残りとかー?』

 「どうなんだろう。僕も昔の話は聞いた事無いや」

 

 歩みを進めて行くアクリのACとそれに追従する無人MTのガッションガッションと云った重低音の二重奏をバックミュージックに、

リブラの育ての親の話題で盛り上がっている一同である。

 

 「そいや、リブラ。君のお義爺ちゃんって今どこに居るん?」

 「分かんない。でも、極稀に連絡……って云うか、生存報告的な一文を送り付けて来るから、

間違いなく今も元気にどっかで機械を弄ってると思うー」

 

 まあでも、偶には連絡してくれてる辺り、まだマシ……だとは思いたいが。

しかし、灰被りであるのなら、最低でも60は越えている筈なのだが、元気な爺さんである。

そんな感じで緩い空気のままに大型輸送ヘリ(自宅)へと向かっていると。

 

 『――ちょい待ち。複数の熱源反応。……お客さんみたいだ』

 

 唐突に声音が冷たくなったユミコから警告の声が掛かり。

ちょっと待て。なぜこんなタイミングで。

リブラから動揺の空気を感じ取りながら、アクリはボヤキの言葉を吐き出す。

 

 「あー……。やっぱあの情報屋に騙されたかー」

 「――どう云う事?」

 『情報料せしめた上で、情報買った側が苦労して掘り出したお宝をそのまま横取り。

悪辣な破落戸(ゴロツキ)とかなら割とあり得る罠だよー』

 「ぇー……」

 「騙して悪いが、これも悪党のやり口なんでな、って感じかな」

 

 ユミコとアクリが交互に口を開いては引き継いで。

多分同時にやれやれと肩を竦めている。

余裕あるな貴様等。

 

 そんなやり取りをしつつ、随伴していたMTに己が持っていたジャンクを載せ、

腰部裏に懸架されていた鋲打ち機改造のニードルガンを右手に持たせ、左のレーザーダガーの起動を開始。

場所を取らない上に軽く、衝撃力も悪くはないので、こう云う時の自衛用に良く使っているのである。後手に入れ易くて安価だし。

しかし、肩は左側にクレーンアーム改があるだけなので、少し武装が心もとないが、何とかするしかないか。

 

 『――よく分かってんじゃねぇかぁ、野良傭兵風情がよぅ』

 

 彼女の台詞に同意する様に、粘着質な声音の男の声が後方のMTから発せられ。

やはりか、このジャンクの山にお宝があると云う情報を買った情報屋の声である。

 

 「ユミコ?」

 『はいな。熱源とソナーで確認した感じ、奴さんの数は大体10程。人型が6か7と、小型四脚3の混成のジャンクMT群って所かな』

 「結構多いね?」

 『でも結局は中規模程度の破落戸共だろうし。そこまで問題はないと思うよ?

……まぁ、常時酔っぱらっているドーザーよりは手強いだろうけどさ』

 

 相手側は脅す為に威圧を放ってるつもりなのだろうが、どこ吹く風で秘匿通信で戦力把握をしている幼馴染ーズである。

だ、大丈夫なのかな? そんな心配そうな空気が伝わったのか、微苦笑を漏らしながらも大丈夫だよ、とアクリ。

 

 「リブラをACから降ろす時間は無さそうから、

凄く申し訳ないんだけど、戦闘機動に付き合って貰うね?

キミには出来る限り負担行かない様に頑張るけど、キツかったらゴメン」

 「そんな……ッ! 僕の方が迷惑かけてるのに……ッ!!」

 

 こんな事になるなら一緒に行くって云うべきじゃなかったよ……ッ!

そんな悲痛な声がコックピット内に木霊し。

 

 それからしばらくの沈黙。

……そしてアクリは沈黙を破り、今一度の謝罪の言葉を口にしようとすると、

何かの覚悟が決まったのか、被せて来るようにリブラが力強く言葉を返して来て。

 

 「……じゃあ、ごめんだけど大人しくし「――大丈夫、こっちもマニュアル操作で左肩部のWRECKER腕使わせて貰うから。

僕だって、お荷物なだけなのは嫌だから……ッ!

機体の操縦技術は全くないけどさ、腕一本ぐらいならッ。

アクリさんは機体制御と、両腕部での攻撃はお願いッ」——分かった。でも無理はしちゃダメだよッ。後は喋らないでッ! 舌嚙んじゃうッ!」

 「――分かったッ」

 『――何やってやぁがる! 手前等が拾ったブツとそのACを置いてきゃ、命だけは助けてやる、てぇんだろぅが!』

 

 どうやら、RaDer’sの内々でやり取りしていた間に、情報屋の方は何か話をしていた上でこっちを脅迫していたらしい。

いや全く聞いていなかったが。中々に相手が不憫であるが、悪党に人権はない。

 

 それはそれとして、携帯端末をカタカタと操りだしながらそんな事を云うリブラに、少しばかり笑みを浮かべながらフットペダルをキック。

リブラへのGダメージも考慮して、緩めのブースタ機動で近場に居たジャンクMTに突っ込むと共に飛び蹴りを入れた後、

その場で一回転して遠心力を乗せた左で裏拳を叩き込むッ!

 

 『手前ぇ、何しやがるぅッ!?』

 「COM、戦闘モード起動ッ! ダメ報告も何時も通りにッ!」

 《メインシステム、戦闘モード起動》

 

 それにてジャンクMTの一機は盛大に吹っ飛び大破した様だ。

しかも、先日の件にて腕をTOOL ARMからBASHOに再変更したお陰か、マニピュレーター部も全く損傷がない。

もう超近接戦闘が染みついて癖になってしまっている様なので、この件はもう気にせず今は兎に角数を減らす事にする。

 

 『早……ッ!?』

 『くッ。お宝は後回しだッ! 先にコイツを潰さんと拙いッ。殺せぇぇぇぇッ!!』

 『囲んですり潰せばACでもやれグボアッ!?』

 『な……ッ。一瞬でだとッ!?』

 『チィッ! 雑魚傭兵じゃなかったのかぁッ?!』

 『だ、大体、情報に食いつく奴等は木っ端だったのにッ!?』

 

 何かごちゃごちゃ云っている内に不意打ち気味にぶん殴ったお陰か、

慌ただしくなっている敵さん等ではあるのだが、全く持って意に介さず、更に近くに居たMTを蹴り飛ばし、そこにニードルガンの追撃を撃ち、破壊。

こっちに攻撃をして来ないのであれば優先順位は落ちるので、喚いている連中の方は後回しだッ!

――つうか、一定以上の実力者なら返り討ちにできる程度の癖にそんな杜撰(ずさん)なやり口で良くここまで生き残って来たなこいつ等ッ!?

まあでも、ジャンク拾いなんぞ最底辺の独立傭兵やジャンカーがやる事なので、こいつ等をどうにか出来る程の実力者が居なかった可能性はあるが。

 

 そんな事を内心で思っていると、アラート!

レーダーをチラ見で確認すると、左手方からやっと動揺から抜け出したのが居たか、四脚のMTが突っ込んで来る。

……が、そのMTの攻撃範囲にアクリのACが入ろうとしたその時。左背部から伸びたWRECKER腕が左手方を薙ぎ払った!

その攻撃により、吹っ飛んでジャンクの山へと突っ込み、動きを止める四脚MT。――残り7ッ!

 

 「リブラ、アリガトッ!」

 

 少しだけ目線を彼に向け、礼の言葉を紡ぐと、目元を緩めて頷く姿。

そんな事をしつつも、端末を操る速さは変わらず。

中々に度胸も根性もある男の子である。

 

 『何だコイツッ!? 何で腕が三つもある上に、ソレを同時に動かして戦えるッ? ば、バケモンかよッ!?』

 

 アクリ自身の機動と別口の動きを見せる第三の腕に、気味悪げな驚きの声が敵機から上がる。

そんな声に反論するかの様にアクリは吠え。

 

 「これは愛の共同作動だってのッ!」

 『愛(笑)』

 「ユミコ、はっ倒すよッ!」

 「……ッ(赤)」

 

 何時もの様子でそんな漫才めいた会話をしていると、

次に突っ込んで来た一機の人型MTが、鈍器のような物を振りかぶって来ているのを確認し。

軽くブースタを吹かせながらジャンプしてそれを回避しつつ、そのまま落下してカウンター気味に踏み潰す。

――と云うか、突っ込んで来る事しか能がないのかこいつ等。

 

 『やべぇ……ッ!? 三十秒足らずで半壊だと……ッ?!』

 『く、くそ……ッ! こ、こうなりゃぁ……ッ!情報屋ァッ!!』

 『痛ぇ出費だぁが、仕方ねぇ……ッ! こっちも傭兵を出すぞッ!』

 

 そんな感じで喚き散らしている連中は、己が不利を悟ったのであろう。

情報屋――破落戸共からも同じ様に呼ばれていた様である――は、秘匿通信で連絡をしている様であり。

それを察したユミコがさっさかその情報のロックを破り、やり取りを聞き出した様で、アクリへと報告する。

 

 『――アクリ、あっちの通信傍受した感じ、御代わりッ。奴さん、独立傭兵を雇ってるみたいだよッ』

 「この程度の規模の集団で傭兵ッ!? また奮発したねッ」

 

 中々に辛辣なお言葉である。確かにその通りなのではあるが。

で、情報屋、と呼ばれていた男が声を上げて。

 

 『――ハッ、この野良傭兵がぁ……。オレを怒らせたこと後悔させてやるぅッ!』

 『新たな熱源4ッ! ――かなりデカいのも居るッ!?』

 「マジかッ!? 本当に奮発しすぎじゃないッ!? ――リブラ、まだいけるッ!?」

 「うん。アクリさんが機動を手加減してくれてるし、まだ大丈夫ッ」

 

 そんな感じで構えて暫し。

近場にある、頭上のグリッドから落下してきたのであろう巨大なスクラップの山の頂上に四つの影が差し。

 

 『――あまり気の進まん依頼ではあるが……』

 『それは云うな、ブルー・ワン』

 『金の為だ。あちらの傭兵には泣きを見て貰おう、ブルー・トゥー』

 『分かっている、ブルー・スリー』

 『……では往くか。ブルー・トゥー、スリー、フォーッ!!』

 『『『応ッ!!』』』

 

 聞いてはいけない様な会話が外部スピーカー(・・・・・・・)から激しく聞こえている気がしないでもない。

何とも間の抜けた空気が辺りに漂い始めて。

 

 だがしかし、件の四人衆はその事(赤っ恥)に全く気付いてないらしく、そのまませーの、と云った小さい声が聞こえると。

 

 『我ら……ッ』

 

 『『『『青き四連星ッ!!』』』』

 

 そんな口上の後、どーん、となんかよく分からんSEっぽいのが聞こえた気がするが、多分気の所為。

それから暫しの痛い沈黙。頬を引くつかせたアクリがやっとの事で、絞り出すかの様な声音で口を開く。

 

 「……とりあえずはさ、四連星って名乗るならさ。

――せめて機体の種類ぐらいは揃えろやぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 壮絶な勢いでそんな言葉がジャンクの山に響き渡った。

――そうなのである。このクッソボケた口上を漲らせた四人組の傭兵共。

一人がAC(ベイラムのMELANDER頭に大豊のTIAN-LAO腕、そしてBAWSのBASHOコアと脚である)、

一人がちょいとボロいが一応正規品であろうBAWSの戦闘型MT。一人が何故かRaDのMT、トイボックス。

そして最後の一人が天部に何かよく分からんラックらしき物を備え付ける改造を施している重四脚MTなのである。

何この見た目も機体も性能もいびつ過ぎる四連星。まあ塗装が大分剥げてはいるが、全機青いペイントを施していた様子なので、そこだけはまあうん。

 

 まあそれはそれとして。

 

 アクリの絶叫を載せた突っ込みに心外だ、と云わんばかりの多分コールサインであろう、

ブルー・ワンらしき人物が乗っていると予測されるACから発せられ。

 

 『な……ッ! 我らのイカしたブルーが見えんのかッ!?』

 「いやそこじゃねぇッ!!!」

 

 あまりにボケた台詞に、アクリのガラ悪くなって来た突っ込みは至極正しい。

つうか、イカもタコも無く塗装が大分剥げてる時点でもう駄目だろッ!

 

 そんな突っ込みを再度敢行するのだが、全く聞く耳を持って貰えない。悲しいね。

 

 『トゥー、スリー、フォーッ! 彼のわからず屋の傭兵に我等が正義の心(カラーリング)を叩き込むぞッ!』

 『『『応ッ』』』

 

 何か意味不明な発言をしている彼の傭兵はそんな事をほざくと、動き出す。

……とりあえず奴さん等の雇い主である情報屋を置いてけぼりで話が進んでしまっているが、戦いの時間だ。

 

 重四脚は先のジャンクの山の頂上で待機して、左腕に装備されているロケット砲を構え。

ACとMTその山から駆け下りつつ、ACは無手の状況からウェポンハンガーに懸架されていたマシンガンを握って。

MTは両手に携帯しているマシンガンで乱射。そして最後の一機であるトイボックスは丸まり、転がり降りて来ていた。

 

 そんな彼らの行動にブースタを吹かせ、回避を行うアクリ。

だが、ACの方の射撃は回避できたのだが、その回避した方向にはMTの掃射射撃。

上手く回避した方向に攻撃を置いて来ていた様らしい。軽い警告がCOMから齎される。

 

 《コア部、損傷軽微》

 (見た目と言動がバカな割に連携と射撃精度、案外高い……ッ!?)

 『アクリ、左手方ACッ』

 「——ッ!!」

 

 アクリは小さく戦慄していると、ユミコの声と共に更にアラーム音が鳴り響くと同時、少々強めにバックブースト!

んぎッ、と小さい声が傍らから漏れ聞こえるが、ゴメン今は余裕ないッ!

 

 そして、先程までアクリが居た所へとACが突っ込んで来た様で。マシンガンの攻撃を食らったお陰で少々目を離してしまった。不覚ッ!

彼のACはと云うと、肩部を前面に突き出した格好のまま――所謂ショルダータックルの動作で、体当たりをしようとしたらしい。

 

 「あぶなッ!?」

 『チィッ、外したかッ!! ……ブルー・スリーッ!』

 『心得たッ!』

 

 その言葉と共に、ロケット弾がアクリのACへと撃ち込まれる。

敵ACはと云うと、そのままの姿勢の状態で加速したまま、そのロケット弾の攻撃範囲から退避して行ったようである。

 

 その直後、爆発ッ!

 

 《左腕部、小破。継戦に問題無し》

 

 直撃は避けられたが、少々貰ってしまう。

……が、それでも転んでもただでは起きる気はない。

爆風をブースターに、煽られる勢いを殺さず機動を行い一気に攻撃圏内から外れる離れ業を行いつつ悪態を吐くアクリ。

 

 「……チッ。本当に連携が巧いッ!?」

 

 モニタとレーダーに視線を走らせ続け、更に鳴り響き続けるアラーム音に辟易しつつも、

次の攻撃を軽くジャンプしつつバックブーストして回避ッ!

その直後、先までアクリが居た位置に弾丸の雨霰が飛び交った。

 

 モニタに視線を回すと、どうやらそれをやったのは両手にマシンガンを持っている戦闘MTと、

でかいムカデの様なMT――カーラ謹製のトイボックスである――とのクロスファイア。

まさか、地上でコイツにお目に掛かるとは思わなかったが。

 

 (――ほんと、どっから調達して来たんだコイツ等ッ!)

 

 アクリは内心そんな悪態を吐くも、掃射してくる二機の射線から更に逃れる為ブースタを吹かせると、

そちらにはまたもやACの姿が。チッ、誘導されたか!?

 

 『ハッハ、我等を愚弄する者に鉄槌だぁッ!』

 「クッソ、やり辛い……ッ!! リブラッ、ちょっと無理するッ!」

 「――ッ!」

 

 そんなブルー・ワンの台詞に苦い反応を残しながら短くリブラに謝ると、

突っ込んで来るタイミングの目測を立て……軽くジャンプすると同時、肩の装甲部の隙間に指を差し入れ――

 

 「ぶ……ッ、飛べッ!!」

 『う、うおおおぉッ!?』

 

 そう言葉を吐きつつブースタの加速と梃の原理を同時に扱い、つんのめさせる事に成功。

それを成功させたと同時に手を離し、回し蹴りの遠心力も加味したブーストキック!

更に横合いから衝撃を食らわされ敵ACは完全にバランスを崩し、見事にすっ転んで勢い良く地面を削り取って行った。

 

 『ぶ、ブルー・ワンッ!?』

 

 そんな完全に近い連携に無理やり穴をブチ開けられ、斉射が終わり弾丸を装填し直しているMT達に襲い掛かろうと――

 

 『甘いッ!』

 「――ッ!!」

 

 ――事は出来ず、アラート音と共にロケット弾で阻まれ。

ちょっと後方でしかも高台に陣取ってて砲戦支援できるMTとか厄介以外の何物でもないわッ!!

 

 『済まん、助かった。ブルー・スリー』

 『支援砲撃の面目躍如だ、気にするな。ブルー・トゥー』

 『しかし、まさか我等が四全の業を受けながらも、ここまで耐えるとは……』

 

 MT同士のやりとりに、そこはかとなく仲間意識の強さを感ぜられる。

そして、そのすぐ後。もうバランスを崩し切っていた機体の立て直しが終わったか、ACの方からも声が掛かり。

 

 『やってくれたな、ご同輩ィ……』

 「うげ。もう復活したのッ?」

 「あ、アクリさん……」

 「こりゃ、万事休す、かも。せめて、リブラだけでも逃がさせてくれないかなぁ……?」

 「アクリさんッ!?」

 

 ちょっとばかり弱気になったか、そんな言葉が漏れ出てしまう。

そんな彼女に目を剝き悲鳴染みた言葉を返すリブラである。

 

 「――ま、でも、最後の最後までは悪あがきさせて貰うけどねッ!!」

 『む、まだやるか、ご同輩ッ!』

 『――構えろ、ブルー・ワン、トゥー、フォーッ!』

 

 そして新たに仕切り直しとしようとした折、アクリのACの外部スピーカーからユミコの声が大音声で響く。

思わずつんのめる一同で。

 

 『あー、とりま、そこに居る皆々様、戦闘止めてストーップッ!!』

 『ッ!?』

 『な、何をいきなりッ!?』

 

 何これ私こんな機能聞いてないッ! そんな事を内心思いながらも抗議の声を上げようとするが。

同じく抗議の声を上げる敵一同に、クソでか溜息をユミコは一つ吐くと、一言。

 

 『――ハァ。とりあえず、戦闘に熱くなるのは良いんだけどー。

えっーと、青い四連星だったっけ。周り、よく見てみー?

……アンタ等の依頼人の残骸とかが散らばってるからー』

 『なッ!?』

 

 その彼女の言葉通りに辺りを見回す四連星一行。

――そこには、確かにアクリ達以外のMTらしき残骸が大量に散らばっていて。

どうやら奴さん等、見事なフレンドリファイアをかましていたらしい。

 

 「あぁ、なんかそう云えば喚いてたのが居たよね。そっちのトイボックスと両手マシンガンMTが見事にすり潰してたけど」

 

 戦闘に集中してたから他の雑音完全にシャットアウトしてたけど、

何かそっちのお二方のクロスファイアに巻き込まれてた気がする。

そんな事を呟くアクリである。

 

 『ま、さか……そんな……ッ!?』

 「いや戦慄し過ぎでは」

 

 いっそ絶望の淵に立たされているかのような悲痛な叫びが敵ACから漏れ聞こえ。

そんな彼の言葉に思わず更に突っ込んで。

 

 『久しぶりに割りが良さそうな依頼だったんだが……』

 『弾薬費が……修理費が……』

 『一人頭8万COAMが……』

 『ご、はん……』

 

 いっそ殺せと云うばかりにお通夜状態な空気になっている四連星の面々である。

とりあえずドン引きするRaDer’sの一同。

 

 『「「うわぁ……」」』

 

 更に口にも出していた。

もう戦闘再開、と云う雰囲気ではない。

 

 「……えっと、アクリさん」

 

 そんな中、暫しのドン引きの後、物凄ーく云い辛そうに顔色を窺って来るリブラ。

彼の云いたい事が何となく察せられ、アクリは溜息と共に苦笑を吐き出すと、

軽ーくリブラの額へとデコピンを打ちつつ一言。

 

 「お人好し」

 「ぁぅ」

 

 ま、そんなキミも嫌いじゃないけどね。

そんな事を内心思いつつも嘆いている連中へと声を掛けるアクリである

 

 「――あー、っと。青い四連星なアンタ達」

 『――何だ。ご同輩。嘲笑いに来たのか?』

 「ネガティブ!? ……いやま、しでかした事考えたら分からんでもないんだけどさ。

まあ、とりあえず、一応提案。そっちも依頼主喪っちゃったみたいだし、これ以上の戦闘行為は無意味だよ。

でも、このままだったら多分アンタ等も、精神的には引っ込みつかなくなってるんじゃないかと思ってね。

だから――アンタらが受けた依頼の報酬の半額……いや、八割を出すから、それでここでの戦いは手打ち、って事にしない?」

 『――』

 

 その彼女の提案に考えあぐねているかのような空気が察せられるが、とりあえず話を続ける事にして。

 

 「私としても、これ以上やってたら間違いなく無事じゃ済まないし。

そっちも1COAM(カネ)にもならない戦闘、したくないでしょ?

……こっちは、非戦闘員の同乗者もいるからさ。出来るならこの提案、受け入れてくれると、嬉しい」

 『ブルー・ワン……』

 『む、ぅ……』

 

 四連星の誰かの声が漏れ聞こえ、考え込むブルー・ワンに畳みかけるかのように話を続ける。

 

 「信用は出来ない、ってのも理解はしてる。でも―『いや、その提案、受け入れよう』――大丈夫?」

 『今の状況でなら、お前も我等の殲滅はそう難しくはなかった筈だ。

それなのに、そんな提案までしてくれて、払う必要のない報酬すら肩代わりすると云っている。

――それを疑う時点で外道畜生だろうよ』

 「騙そうとしてるかもよ?」

 『それを直接云っている時点で騙す気も無かろうに』

 

 まあそうなのだが。

とりあえず、お金の色々はこいつに頼るに限る、とばかりに己がオペレーターへと声を掛け。

 

 「ユミコー?」

 『はいはーい。――全く、アクリもリブラも、本当におばかなんだから。

あんま面倒な手間取らせないでよー?』

 「とりま、この件は私のポケットマネーから回してくれれば良いからー」

 「あ、勿論僕のお小遣いからも……」

 『受け付けませーん。これはRaDer’sの共用予算から出しまーす』

 

 そんな感じで軽ーくわちゃってると、四連星の一人から驚きの声が発せられ。

 

 『RaDer’s……ッ!? お前、ジャンク屋兼独立傭兵の……軽業師ッ!?』

 「あ、正体気付いてなかった勢だったのか。そうだよー。

独立傭兵"RaDer’s"、AC乗りのアクリ。界隈では軽業師とか野猿とかって呼ばれてるー」

 

 一応エンブレム張り付けたんだけどなぁ。

ま、作成したのちょっと前だし、まだ知られてなさそうだから仕方ないんだけどさ。

そんな事を内心思いながらもそう答え。

 

 『それならば猶更に信用出来るな。今どき珍しい真っ当な独立傭兵だ、と噂では聞いていた』

 『うむ。後はチームとして組んでいるメカニックの噂か。相当の腕があるらしいな』

 「やめてやめて恥ずかしいから止めて」

 「止めて下さいお願いします」

 

 身内以外から褒められるのに慣れてないか、

ほぼ面識のない連中にべた褒めに近しい口調でそんな事をされると普通に恥ずかしい。

そんな二人の反応に和んでいると、ユミコからの報告があり。

 

 『えっと、ブルーワンで良いっけ。そっちのCOMにCOAMデータ送ったから確認してー?』

 『――確認した。済まない、感謝する』

 『お礼は……うん、リブラに云ってー』

 「そだねー。リブラが云い出さなかったらこっちもここまでするつもりもなかったし」

 「アクリさんッ、ユミコさんッ!?」

 

 とりあえず、感謝の言葉とかその辺りは自分等にはいらんから、

リブラに丸投げしてダンマリを決める幼馴染ーズで。

 

 それぞれに感謝の言葉を貰い、恥ずかしがっているリブラにものっそく和んでいる様だ。ド外道か。

 

 

 

 そんな感じにて物騒でな初対面で始まり、以降そこそこの交流を持つ事となる、

新しい(愉快な)傭兵仲間の知己を得る事になったRaDer’sなのであった。

 

 







 情報ログとか旧時代の機体の残骸とかが普通に残っている疑問を話として膨らませてみました。
なお、これは無論僕の幻覚なので公式ではありません(当たり前だ


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