誤字報告、ありがとうございます。
……全部見直していたつもりではあったんですが、
見落としを潰し切れてないってのはちょいとばかり凹みますねー。
精進しないと。
ゴミ拾いと、様子のおかしい傭兵集団(笑)との邂逅から数日。
アクリはと云うと、グリッド086にて数週間ぶり何度目かになる『ドーザーさーん、あっそびっましょー(意訳)』を終え、一息ついていた。
因みに、今回はリブラの制作した無人MTを有人コックピットに入れ替え、
両手にマシンガン(模擬弾換装済み)だけで襲撃した様だ。
微妙に先日のブルーチームの影響を受けてるっぽい。
それはそれとして。
以前に参加していたドーザー共は、
まだアクリにヤられていない他の連中にネタバレをしない事を条件に、
観客に回る事をカーラから許され、コーラルの肴にして騒いでいて。
何ならどの程度の時間で壊滅(比喩)するかの賭け事すら(カーラが胴元で)行われている。
ラミーだけは以前の負けて痛い目を見た記憶がトんでいるらしく、
毎回参加しては負けて、修理弾薬費を差っ引かれている様だが。
どうせすぐに忘れるから誰も気にしていない様子である。
それでいいのかアリーナ最下位の無敵様。
その訓練後についでと云うか、こっちもメインなのだが。
RaDer’sの一同はヘリポートとして使われている広場の一角を借りて
カーゴ内にて先日のゴミ拾いで手に入れた色々を選別と内部パーツやシステムの洗い出しをしている様だ。
「――わぁ。
修理は……うん、大丈夫そう。この破損状況だったら直せるかな?」
「「マジでッ!?」」
とりあえず本日の目玉たる旧時代のACから手を付けているのだが、いきなりお宝が眠っていたらしく。
――大体のACの大破品はどれもこれもそう云うシステムを元々搭載していないか、
修理不能レベルで壊れているかのどちらかなので、非常に運が良い。
ホクホクとした顔でアクリとユミコは言葉を紡ぎ。
「一本だけとは云え、クッソお高いリペアキットが手に入ったのは美味し過ぎる。
もうこれだけで先のジャンク拾い、大成功じゃね?」
「そだねー。ターミナルアーマーも保険としては相当良い物だし、
使うにしろ売るにしろ、有難いよねー?」
そんな感じでワイワイとやりつつ螺子を回し、カバーを外し、一個一個を丁寧にバラしつつ、
AC用のクレーンでコア部と頭部から内部パーツを引っこ抜く三人。
そこから真剣な表情で、その部品類を見分して行くリブラ。
そんな彼の後ろから覗き込む様に見学をしているアクリとユミコだ。
何か妙に二人共近い。息遣いすら感ぜられる。
ちょーっと恥ずかしいからもう少し離れて欲しいんだけれども。
そんな事を考えてしまうのはリブラも思春期に入りだした男の子だからであろうか。
「――ジェネレータは……うわ、見た事もないジェネだ。……でも、完全に死んでるか。まあしゃーないけども」
「FCSは……ファーロンの最初期のかー」
「どっちもバラして改造用のパーツにするか、直して売り払うか、かな?」
「流石に性能がアレ過ぎるだろうから、改造用に回すべきじゃないかな?」
そんな感じで、わちゃわちゃと楽し気にやっている三人の所にひょっこりと顔を出す者達がおり。
ここの頭目の女傑、シンダー・カーラと小さめの物体である。
「精が出てるねぇ、皆」
「あ、カーラ。生身としてはお久しぶりです」
「まあ通信越しでは頻繁に連絡してるしねぇ。ま、元気そうで何よりだ」
とりあえず軽い挨拶をする一同。
視線を下に移すと、探査フレーム……ではなく、
スマートクリーナーをデフォルメされたかのようなよく分からない物体が。
視線が集まっているのに気付いたか、破砕アームを模した腕を軽く掲げ、言葉を発し。
「皆、久しぶりだな」
「……あ、チャティだったんだ。今日はそのフレームで行動してるんだね? 元気だった―?」
声でチャティであると気付いたのか、屈み込んで楽し気に話しかけるリブラ。
どうやら、カーラの気分によって行動用のデフォルメ機体を着せ替えているらしい。
無駄に再限度が高いのは、カーラのお手製だからか。
「俺は元気だ、リブラ」
「――うん、言語学習も上手く行ってるみたいだね、安心した」
リブラはそんな事を云いながら満面の笑みで、
チャティinスマートクリーナーの破砕アームを両手でそれぞれに握り、上下に振っている。
何この可愛いが溢れてる空間。
物凄ーく癒されているらしい女性三名の優しくも生暖かい視線に気付いたか、頬を染めるリブラ。
とりあえず、そんな恥ずかしい状況を打破したいのか、兎に角話を変える事にして。
「と、兎も角。今日はどうしたの、カーラさん?」
「――ゴホン。ま、まあアレだ。
アンタ等が旧時代のACって云う骨董品を掘り出してバラしてると聞いてつい懐かしくなって、ね」
そんな理由を口にしながら、ハンガーに吊るされている頭とコア、
そして左腕と云う、上半身しかないACの残骸を見やる。
彼女の視線に感心の声を上げるアクリである。
「流石、目ざといですね。それが旧時代のACですよ」
「ああ。旧式BASHOのVer.3.1か2辺りだねぇ、これは」
「見ただけでわかるんです?」
「まあ、ね」
懐かしんでいるその表情は、どこか寂しげにも見えて。
「凄い。僕は多分旧時代の型かな、ってぐらいしか分からなかったのに……」
そんな表情を察せていなかったのか、
リブラはキラッキラした尊敬の眼差しでカーラにそんな言葉を掛けると、
直ぐ様にその色は霧散し、何事もなかったかのような何時もの不敵な笑みへと戻り。
「その年で相当過去の世代の機体をある程度推察出来るってだけでも十分だと思うけどねぇ」
「それは云えてる。リブラってば実は"灰被り"だったりしない? ものっそい若作りだねッ!」
「な、何云ってるのッ!?」
そしてそのやり取りに乗っかるアクリ。
からかえる隙があるなら突っ込むべきじゃないかなと思い、やった。今でも反省はしていないッ!
なんか意味不明な供述を始めたアクリをもういいやとスルーする事にして。
ふと思い出した要件をカーラに聞く事にしたリブラである。
後ろで微妙に傷ついた表情を浮かべている娘っ子が一人いたりするが、
自業自得なのでフォローはない。
やーいやーい、ばーかばーか。
傍らに居たユミコが見事に煽っている様だが、拳で沈黙させられた様で。
本当に馬鹿者達である。
「――あ、そうだ。カーラさん。
また今度、余裕がある時にRaDのAC乗りの皆の機体、見させて貰って良いかな?」
「……? どうしたんだい、リブラ。オーバーホールするにゃ、まだ早いよ?」
そうだった、と思い出した感でリブラはそんな事を聞いていて。
疑問顔でそんな台詞を返すカーラである。
「ちょっとした思い付きでさ。
防衛機構のシステム周りにもうちょっと手を入れたいんだ。
ちょっと前にアクリさんが死んじゃいそうになった事が二度も連続してあったから」
「その節は本当に申し訳なく……」
微妙に棘が見え隠れしているそんな彼の言葉に、
ものっそい気まずげな表情を浮かべ視線を逸らしつつそんな言葉を返すアクリ。
反省してね、とジト目を返すリブラである。
「ガリア多重ダムでの戦闘の時の件は、本当に怖かったんだからね?
アクリさん、死んじゃうんじゃないかって……!」
「ゴメンよう……」
本気で怒ってるリブラの言葉に平謝りしかできないアクリである。
まあ自分としては、生きているのだからそれで充分ではあるのだが、
それを云ったら彼が更にへそを曲げるのが目に見えてるので、口にも出来ず。
「――一応、アクリさんのACにはこの機構を取り入れたんだけど。
データがもっと欲しいから、たくさんのAC乗りの人に使って貰えたら、と思って」
とりあえずキレ気味のその意識を落ち着かせつつ、
リブラはカーラにそんな事を云って。
そんな彼の状況に気付いているのか、苦笑気味に答えを返す。
「それでRaDか。ああ、良いよ。
AC乗りは使いこなせば下手な戦闘員の数倍以上の働きが出来るからね。
それの生存率が高まるってんならこっちからも頼みたい。
……それで、そのシステムのデータは?」
「ん、今はこんな感じ、かな?」
そう云ってリブラは手元に持っていた端末からそのシステムデータを呼び出し、
そのままカーラへと手渡す。
ざっと確認した後、呟く様に言葉を漏らし。
「――アサルトアーマーかパルスアーマーでしか使えないが、
指定した危険領域に達すると自動で出力調整でアーマー展開と同時に目くらましの後、
COMのオートで撤退させる、か……」
「今の所はアクリさんのは、パルスアーマーをOS強化でつけて貰って試用してるケド。
アサルトアーマーだったら調整次第では攻勢防御した上で、
敵を
で、撤退だけで見るならパルスアーマーだと暫くは被弾しても大丈夫だし、
どっちの状況でも機体そのものが残るから、生存率が大幅に上がると思う。
でも精度が甘くて。……実際は、ターミナルアーマーででも使用できるぐらいにはしたいんだよねー。
プロテクションは出力が薄く広がり過ぎて、
ターミナルアーマーだったら持続時間を稼ぐ為に出力が弱まっちゃって、
目くらましの効果が出ないから」
苦笑を漏らしながら粗が目立つソレをそう伝えるリブラにまあ、そうだろうねぇとカーラ。
「そう云う事かい。確かにそれが目標だってんならまだ詰めが甘いねぇ。
――よし、今回は私も手を貸すよ」
「ありがとう、カーラさん。
カーラさんも手伝ってくれれば、もっと上手く行くと思うから。
……そ、だ。後でそのデータは端末に送っておくから、後は好きに使ってくれれば」
「ああ、貰っとくよ」
――これを上手く強化して改良もできれば、あのバカ野郎のワンコ達の生存率も上がるかも知れないねぇ。
システムデータを送るだけなら、そんなに手間掛かる訳でも無し。……そこまで思考してふと気付く。
(――しかし、私もヤキが回ったかね。アレを焼く為に手段を選んでる場合じゃないってのにさ。
だがそれも悪くない気分になってる辺り、絆され過ぎてるねぇ。
そんな事を内心考えていると、その沈黙を不思議に思ったか、首を傾げながら問い掛けるリブラであり。
「……どうしたの?」
「いや、何でもないよ」
そう云いつつリブラの頭を撫でるカーラで。
そんな二人の姿を傍から見ていたアクリはニヤリと笑んで、口を開く
「……おかーさんてば、何時もリブラに甘いんだk痛゛っだだだだだぁッ!?」
「阿呆な事を云うのはアンタかい?」
「アイアンクローはやめ痛でででででででッ!?」
茶化そうとしたアクリの言葉にいち早く反応して、
顔面を握りつぶさんとするカーラである。
工具を扱っている者は、しっかと握って錆び付いたりして固く締まった部品をバラしたりするので、
地味に握力が高いのだ。
その握力で握り込まれたら結果は御覧のあり様である。
雉も鳴かずば撃たれまい。
いやこの星、雉はおろか鳥類なんぞ死に絶えているから、諺として成立するかは不明だが。
そんな感じで漫才をしているのを生暖かい目で見ながら。
ああ、それともう一つあったんだ、とリブラはカーラ達の方からデフォルメスマートクリーナーへと顔を向け。
「ねぇ、チャティ?」
「――どうした、リブラ」
「チャティはさ。えっと……弟か妹、欲しくない?」
「お前は何を云っているんだ??」
物凄く平坦な声音での見事なぶった切りである。
あぅ。もうちょっと云い方考えた方が良かったかなぁ、等と内心思いつつ説明を始めて。
「以前、君を生み出すに当たって僕もプログラミングに参加してたんだけどさ。
その報酬で、カーラさんから君のテンプレート……まあ、雛型を貰ったんだ」
「ああ、あれの話かい。アレも土台部分だけだから、
後はリブラの思うがままに設定して学習させればよかったんじゃないかい?」
彼の言葉に思い出した、と云った感でそう漏らすカーラに、
うん、そうなんだけど、とリブラは返し。
因みに、カーラはまだアイアンクロー中であり。中々に元気な姐さんだ。
「今のままだとアクリさんが不在の時に、
何かあった時の対応が間に合わなくなる可能性があるから。
……僕もユミコさんも一応ヘリの操縦は出来るけど、
緊急時の回避機動とかをやるには技術が足りてないのに気付いてさ、
その
――で、人格形成に着手しようとした時、ふと頭を過ぎったんだけど。
そう云えばこの子って、チャティの血を分けた子供だかきょうだいだか、そんなものだよね、って思い至って。
じゃあ、君にも話し通しとかなきゃダメなんじゃないのかなー、って」
そんな感じらしい。
得心が行ったのか、フム、と小さく声を漏らすチャティで。
「俺としては勝手に進めてくれても全く問題なかったが……。
きょうだい、か。何か不可思議な気分だな」
「初めて感じる感覚ってのは大体そんなもんさね」
「――あのその。カーラ様、そろそろ止めて欲しいッだだだだだッ?!」
しみじみと戸惑った感で呟くチャティにそらそーだ、とカーラ。
拒否感とかその辺りは無い様なので、その辺りに関してはホッとしているリブラである。
で、後は恐る恐る止めてくれないかなーと呟いたアクリ、アイアンクローを添えて。いやもうそろそろ放してやれよ。
「あー、アクリあまりに煩いんで、口封じててくれますー?」
「スマートクリーナーの溶鉱炉に投げ込めば良いかい?」
「そっちの口封じですとッ!?」
「――皆、煩い」
「「「ハイ、ゴメンなさい」」」
チャティとの会話を遮る様にわちゃわちゃしてる女性三名に半ギレしてたか、
中々にドスの効いたリブラの圧のある一言に背筋を凍らせ、直ぐに平謝りを敢行する一同。
(……アンタ等、リブラの事相当鍛えた様だね。今のは私でもちょっと怖かったよ)
(私とユミコってボケツッコミ気質だから、リブラが相当割食っちゃっててさ)
(からかい過ぎて、ちょーっとへそ曲げさせちゃったりも何度かー)
(ちゃんと謝っているのかい?)
(それは当然)
(うん。わたし等だってリブラに心底嫌われたくないですよー)
ひそひそと小声で会話するリブラに叱られて気まずげトリオである。
とりあえずは静かになったので、話の続きを再開するリブラとチャティである。
「――じゃあ、弟か妹か子供か……どうする?」
「流石に俺と云うモノが完成してからたった数か月で、子持ちになるのはどうかと思うが?」
「あぁ、確かにそうだよね。だったら、やっぱりきょうだいって事にした方が良いか」
リブラとは気安い感じなのか、中々に会話が弾んでいるチャティである。
「――因みに、俺が拒否してたらどうしていた?」
ちょっと気になったのか、チャティからそんな問い掛けが投げられると、
少し考えた後、リブラは口を開き。
「んー。残念だけど、COM程度には受け答え出来るぐらいの性能で済ませてたかも」
「……なら、ちゃんと教育して使ってやれ。
俺と同じ起源で、COMぐらいの性能で終わらせると云うのは忍びない」
「うん、ならそうするね。じゃあ、弟か妹か、どっちが良いかな?」
「今まで肉親、と呼べる様なモノ等、無かったからな。
どちらであっても新鮮ではあるだろう」
「なーんか、はぐらかされてる気がする……」
「滅相もないな」
何か私よりも長く会話してないかい、チャティ?
そんな事を内心思いながらちょっとばかり不満に思うカーラである。
そして、それをにやにやしながら見ている幼馴染ーズ。
「……何を云いたいんだい、アンタ等」
「「いーえ、べっつにぃー?」」
完璧なユニゾンする二人に、ちょーっとこっち来なよ、と両手をにぎにぎしながら嗤うカーラに、
ヒェ、ケッコウデスと後退りする幼馴染ーズ。残当である。
またやってるよ、とジト目を三人に向けつつも、
チャティに更に食い下がろうと、リブラは言葉を続ける。
何このカオス。
そんな感じでわちゃわちゃしながら、その日の諸々は終わりを迎えたのである。
因みに、バラした残骸群での強化案はこの件の少々後、
リブラ宛でRaDer’sへと、とあるメールがに届いたお陰で一気に実用化させて、
そのメール元の人々にちょっとした混乱を撒く事になるのだが、それは余談である。
――後、蛇足ではあるが、リブラからカーラに贈られた機構の改良品のお陰で、
とある猟犬達の運命が少々変わる事となるのだが……それもまた、後の話だ。
以前書いていた仕込みはこんな感じになっております。
さて、性別は結局どっちにしましょうかねぇ……さいころの神様に決めて貰いましょうかね?(ちょ
後、目くらましのは未踏破領域探査ミッションのアレをイメージして頂ければー