……と云う事で、2話目になります。
ゆるーく読んで頂ければー。
「——と云う事で、お仕事完了した……しましたよ、シンダー・カーラ」
『ご苦労さん。……相手はジャンクMTばかりだったとは云え、動作確認がてら状態のレストアACでMT12、か。
ACでの初陣にしては予想以上に頑張ったじゃないかい、アクリ。
と云うか、今更何硬い問答してるんだい? 中途半端で言い直してるから妙な言動になってるしね』
「まあ、頑張れたのは前まではMTでしたけど、
そして言葉が硬いのは今は貴女が依頼主という形になるんですし、
これからの事を考えると慣れて行かないと、とも思ったので敬語、頑張ってみてます」
その後。初出撃は何の問題もなく完了し、通信機越しに現依頼主であり、
元保護者でもあったRaDの頭目、『シンダー・カーラ』へと報告をしている少女——アクリ。
そんな彼女のガッチガチの台詞に苦笑を漏らすカーラで。
『似合わない事をやっても無駄じゃないのかねぇ?』
「——無駄って言わないで下さいよ。ウチは設立したばかりの超弱小なんですから、少しでも信用を勝ち取れる様にしないと」
「でも結局ジャンカーとしても独立傭兵としてもRaDの紐付き、ってか下部組織もどきでしかないんだし、ほぼほぼ意味ないんじゃないかな?」
「——ちょッ、ユミコッ!? 突然背中から刺さないでよッ?!」
「あ、あはは……」
『おや、ジャンク屋"RaDer’s"一堂揃い踏みかい。どうだった、今回の初仕事は?』
そんな二人のやり取りに、ぶっこんで来るは、オペレートや細かな雑務を熟し終えたユミコ。
同じくアクリの乗ったACの一通りの修理と整備・調整を済ませ。共に部屋に入って来たは良いが、突然のやり取りに苦笑するしかないリブラ。
そんな彼ら彼女らの集まった一堂に、カーラは初仕事の感想を問い掛けると、唐突に空気が引きつり。
「 ——散々だった、です。思った以上に色々足りない部分が浮き彫りになってます。
前までは、複数人でやってたオペレートを一人で全部熟す事がこんなに難しかったとは……って感じですね」
「先のドーザーのジャンクMTのスクラップで状態が良いのがそこそこ手に入ったから、早めに直して売りに行くね、カーラさん」
『ユミコは複数人でのオペレートの時にゃ問題がなかったんだから、追々慣れて行くしかないさね。
で、リブラはリブラで相変わらずだねぇ。まあアンタの修理と改造技能はウチの頭でっかちの中でも上位に入るからね、期待してるよ。
——まあそれは兎も角、だ。アクリの主張でRaDに近い下部組織的な、外回り専門みたいなあんた等チームを作ったのは良いけどね、これからの展望はあるのかい?』
少々緩む空気。それを引き締め、カーラは確認の為であろう、アクリ達へ以前聞いた目的を再度問い掛ける。
通信機越しからでも分かる程の重圧に……その答えを返すは、やはりRaDer’sと云うチームを作る為の発起人となったアクリからで。
「とりあえずは。……最初期は、RaDの勢力圏内でウチ以外のドーザー狩りとジャンク品拾いがメインになるかと。
で、独立傭兵として、小さい依頼を熟しつつある程度実績積めたらもうちょっと足を伸ばして、
星内企業のBAWSやエルカノと仲良くなりつつ、星外の方の二大企業の方にも多少は食い込めないかと思って。
……正規ルートでも機体パーツや武器が手に入り易い様にするのと、できうる限り食料品の調達もしたいですし。
シンダー・カーラなら裏からでもどうとでもなるんでしょうが、正規ルートに比べるとその辺りの商品、
どうしても割高になってたり動作保証も対象外な事が多いですから」
『その辺り、あんまり気にしなくても良いんだけどねぇ。後は、グリッド086と云う小さい世界からではない……生での外の世界を回ってみたかったから、か』
合いの手が掛かると、それに頷きつつ更に言葉を重ね。
「はい。私達は無知です。私もユミコも、RaDにたまたま運よく拾われて、今まで生きて来られました。
だからこそ、恩返し——
「——うん、今のルビコンの情勢を身近に知って体感して……
でもってこっちの話もメインになりますが、自分達だけででも生計も立てれたら嬉しいかな、と」
「僕はある意味二人に拉致られた気がしないでもないけど……それでも外への好奇心はあったし、RaD以外の企業の技術も色々知って身に着けたかった。
今後、正規品のACやMTへと手を入れる為のサンプルも一杯欲しいし、それを弄り回して色々造ってみたい、かな?」
真面目に話し合いをしていた女子二人と言動がブレない男子一人の言葉にやれやれ、と云った感で空気が緩んだ。
何で通信越しでこんなにプレッシャーが掛かるのか、と小一時間問い詰めたいところではあるが、やめておいた方が無難である。
だって後が怖いし。
『——アクリ。何か云いたい事でもあるのかい?』
「 ——ヒュッ。イエナンデモゴザイマセンコトヨ?」
何で勘付かれた、等と益もない思考が空回りしたりするが、それはまあ兎も角。
仕切り直し、と云った風にてRaDの頭は呟くように言葉を漏らして。
『可愛い子には旅をさせろ、とは地球の諺だったか。ま、あんたらの覚悟は分かった。
ちゃんと笑える結果になる事を期待させて貰おうかね』
「が、頑張りまふ」
「了解しました」
「うん」
そんなこんなで、シンダー・カーラのお墨付きを貰ったアクリ達の稼業は正式に稼働を始める事となったのである。