前回よりは早く……は、なったけど、遅くなり申し訳ございませんでしたぁッ!(吐血
前話の続きになるのに、ここまで間が空くのは……いや本当に申し訳……。
次話もさっさか書き出し始めていますので、頑張らせて頂きます、ハイ。
――RaDer’s、
先の戦闘……いや、蹂躙の後に助け、更に依頼も齎した女性とその連れをカーゴへ内へと招き入れ。
ボロACの方はハンガーに。MTの方は背負ったコンテナ型住居を傍らに降ろしてから片膝を付き駐機状態へと移行。
それから、それぞれのコックピットから二十代中盤~後半に見える女性と、
アクリ達と同世代ぐらいの男性の二人が現れ、タラップを使い降りて来た。
二人並んだその姿は、恐ろしく絵になっており。思わず、と云った感で溜息が漏れる。
「生身では初めまして、だね。独立傭兵"RaDer’s"、AC乗りのアクリ。
で、後ろに居るのがアリエスも多少会話したとは思う、
マネージャー兼オペレーターのユミコに、メカニックのリブラ。
この三人でジャンカー兼独立傭兵であるRaDer’sをやっている。宜しく」
「これはご丁寧に。私は元独立傭兵"Sheep Horn"、
AC乗り……だった、アリエスって云うの。宜しく。
――再度、お礼を云うけど……本当に、助けてくれてありがとう。心底助かったわ」
そんな己が感情はさておいて。
先に帰還して諸々の準備をしていたらしいアクリが自分を含めた一同の紹介をすると、
穏やかな声音で自己紹介を返すアリエス女史ではあるのだが。
何故か目元全体を覆うバイザーの様なものを掛けているお陰か、怪しい事この上ない。
「偶然偶々、ってだけだから気にしないで。依頼もされたし、
寧ろ、まだ安全圏から出ても無いのに報酬貰うのも気が引ける訳だけど」
「あのまま闇雲に動いていたら遠からず全滅してたと思うから、
報酬先払いでも安いぐらいだよ。
……皆を、家族を救ってくれて本当に感謝してる」
何度も何度も感謝を述べられひたすらに居心地が悪い。
こりゃ礼を受け取った方が良いかな、と思い少々苦笑を漏らしながら頷くアクリである。
その傍ら、少しだけ困惑の表情を浮かべながら、ユミコは呟きを漏らし。
「……Sheep Horn、ですか。
確か、一年程前まで界隈で音に聞こえる程の実力者だった方が……?」
そんな視線と彼女の呟き声に気付いたか、
アリエスは少しだけ苦い色を漏らしながら説明を始め。
「……えっと、ユミコだったっけ。
貴女の云った噂通り、その件が私が傭兵を辞めた理由、かな。
一年ちょっと前のとある戦場で、V.Ⅳ……ヴェスパーナンバーとやり合って。
ACのコア部とその中に居た私は命からがら、って感じで生き長らえれたんだけど、
その時に目と神経接続部が損傷しちゃった上に、右腕の触覚がぼやけちゃってて、
機動や攻撃に影響出ちゃて。で、今こんな感じって訳」
案外あっけらかんとそんな言葉を吐き出すアリエス。
それぞれを総合しなくとも機動兵器のパイロットとしては致命的な状況である筈なのだが、
どうやら己の中でその件は消化しきっている様だ。
「一応、生き残った接続部をやりくりして、このバイザーと視神経を接続できたから、
「神経接続が出来るって事は……アリエスさんって強化人間さんなの?」
「そうだよ。C5-301が型番になるかな」
リブラの問い掛けに答えつつ頷くのだが。
「――アリエス。ほぼ初対面にそこまで話すのはどうかと思うんだが」
「あ……。ゴメンね、カプリ」
「ったく。本当にそう云うとこだぞ?」
「あぅ」
そんな彼女の言葉をたしなめる様に青年の突っ込みがあり。
そら
そっちも警戒して然りの筈なんだけど、
その辺りのアレコレは目の前の元独立傭兵お姉さんは鈍めらしい。
青年の苦労がしのばれる。
まあそれはそれとして。
アリエスの言葉を継ぐ様に、カプリの方も自己紹介を始め。
「同じく、"Sheep Horn"、オペレーターのカプリだ。
そっちのバカがあっさりバラしているから今更な話だから云うが、俺も強化人間ではある」
「……二人共、強化人間さんなんだ?」
「アリエスは兎も角、俺はACと接続が出来ない失敗作だけどな」
「こーら。カプリ、そんなに自分を卑下しないの。
貴方のオペレートで、大分助かってたんだから」
「うっせ」
もうこの子は、と云った感で優しい口調でたしなめるアリエスの言葉に、
そっぽを向いてそう返すカプリである。
なにこの妙に甘い空気。
思わずニヤニヤしてしまう幼馴染ーズである。
「「うっわー、可愛いーッ!」」
その後。アクリ達女衆はこれからの話し合い。
リブラ達男衆はアリエスから譲られる事となったACの損壊状況の確認と値が付きそうなパーツの選別へと、
それぞれに行なう事にした筈なのだが。
アリエスに招かれお邪魔した住居用コンテナ内から幼馴染ーズの黄色い声が響き渡り。
そのコンテナ内のリビングとしている一室。
そこの片隅に無骨な金属製の箱にそこそこの長さの脚が付いている小さなベッドらしきものがあり。
アクリとユミコはその箱の中を覗き込むようにして先の黄色い声を上げていた様だ。
その中に居たのは、ウトウトと微睡んでいるらしき赤ん坊の姿。
視線を移し、ちょっとばかり苦笑をしているらしいアリエスに、アクリは問いを掛け。
「えとえと。この子ってもしかして……」
「うん。私とカプリの子供。……因みに女の子」
「「キャーッ!!」」
馴れ初めはッ! 馴れ初めはッ!?
そんな感じで前のめりに食い付くアクリとユミコ。
やっぱり女子はこういう話は大好物の様で。
自分もそれがよく理解できるのか、少々赤くなっている頬を撫でながら応えていくアリエスであり。
いや、お前等これからの為の話し合いはどうした。
「V.Ⅳに負けて。目も機械的な補正をしなければ見る事も出来なくなって身体の調子も悪化するばかり。
その所為で、傭兵も今まで通りには出来なくて。暫くふさぎ込んでたんだけど。
あの子が……カプリが。俺はずっとお前に助けられてきたんだ。
だから、お前を支え続けてやる。いや、支えさせてくれって、凄く真っ直ぐな声音で云って来て……」
「キュンキュンしたと」
「……正直、キュンキュンした。
……で、それから色々あって、この子を授かって、みたいな感じ、かな?」
「「キャーッ!!」」
色々ってッ! 色々って何なのかなッ!?
だからやかましい。赤ん坊も迷惑そうな表情を浮かべている様な感じではあるが気の所為だと思いたい。
しかし、男の方に取っては完全に羞恥プレイで悶死し兼ねない状況である。
カプリが居なくてよかったね? いや、こんな状況を予測して場から逃げている可能性もあるのか。
そんな栓も無き事を考えるアクリである。
――と、大盛り上がりで沸くその空間に触発されて来たのか。
突然に、謎の小さい影がその部屋へと飛び込んで来た。
「……力のいちごーッ!」
「技のにご~ッ!」
「ちからとわざの……なんだっけ?」
「「おいおい」」
その謎の小さな影――年の頃が高い順に女の子、男の子、男の子と云う三人組が、
見た目の年順にそんな台詞をそれぞれ云い放って颯爽とその場でなにがしかのポーズを取り。
三人とも二桁歳までは行ってない位の小さな子供たちである。
……それはそれとして見事なキレの漫談だ。将来有望か。
そんな突然の出来事に困惑の表情を隠せず、ユミコは暫しの沈黙ののち、何をどう云って良いかと云う感で声を漏らし。
逆にアクリは感心した表情を浮かべている。こやつら、なかなかやるな?
「……えと……」
「……もぅ、またカプリのコレクション勝手に視聴してたの、皆。
――ごめんね、煩くて。この子達も私達の子供だよ。三人共、それぞれ別口で蹂躙された集落の生き残り。
甘い、ってカプリにも散々云われたけど、どうしても見捨てられなくて引き取ったの。
――こらー、今大事な話してるから、皆、大人しくしててー?」
「はーい、おねーちゃん、ごめーん!」
「「ごめんなさーい」」
そんな感じで子供特有な軽い謝罪の言葉と共に、アリエスに促された子供達は、元居た部屋へと引っ込んで行った。
躾は中々に上手く行っている様で。
……しかしカプリのコレクション。中々に良い趣味をしている。
それは兎も角として。
アリエスは、穏やかな笑みを浮かべながらその後姿を見送った後、
アクリ達へと向き直り、真剣な声音で言葉を発し。
「……私は、あの子達だけでも健やかに生きて行ける居場所が欲しいの。
星外に出る事も考えたんだけど、あの子達の生まれた世界を否定したくもなかった。
今のルビコンじゃ生きて行くのは凄く難しいのは分かってる。でも、ちゃんとしたモノを食べて、元気に走り回って。
……穏やかに眠れる。そんな場所を、心の底から欲するんだ」
「……そっか」
基本的に心も身体も壊される事になる強化人間化を経た上でここまでの人格者……と云うか、もう聖人じゃなかろうか。
そんな人物が居る事に驚きを隠せないアクリ達。
だが、この生き馬の目を抜く様な地獄の中。誰かの為に、心底優しくなれる人がいても良いんじゃないかとも思える。
自分達には、絶対に真似できないが。
「でも、難しいよね、そう云うの。特に、食料。
大地がアイビスの火で焼けちゃって、土壌がほぼ死んでて、更に作物類もほぼ燃え尽きてる」
「それに関しては……一応、こんなものもあるの」
ユミコの悩まし気な言葉に頷きながらも、アリエスは数個の箱を取り出す。
「――趣味の範囲でしかなかったんだけど、プランター菜園ってのを星外に居た時はしてた事があって。
ルビコンも大地があるから、ひょっとしたら、と思って荒地でも育ちやすい品種の種とか、かなり確保してたの。
……土壌が半ば死んでる様だし、傭兵稼業も忙しかったから諦めてたんだけど。
傭兵稼業から脚洗った時に良い機会かも、と思い立って自室の奥にしまい込んでいたのを引っ張り出して、
やれるだけやってみようと、実験的に育ててみたんだ。
やっぱり土が痩せ切ってたから、まともなのはあまり出来なかったけど、家族が少しずつ、食べるぐらいは収穫できたの」
「「なんですとッ!?」」
驚きの声を上げる幼馴染ーズ。
それはそうである。今、ルビコンでまともな有機食材は皆無と云っていい。
企業の栄養食か、ミールワームぐらいしか食料が無い状況下で
奇跡に近しいと云っても過言ではない程になるだろう。当然、聞いた方も興味が湧き。
「――お金を払うから一つ、貰えないかな?」
「お金はいらいよ。助けてくれたお礼「ダメ、払わせて。貴女の目的に邁進するのなら、お金は入用でしょ?」――全くもぅ」
頑ななアクリの言葉に苦笑を深めながら云われた様に一つ、
作物――野菜……小ぶりのトマトの様なモノ、を保管庫らしき箱から取って来て、手渡すアリエス。
ユミコも物欲しそうにしていたのに気付いたのか、そっちにも渡している様だが、アクリの方は目もくれていない様で。
それを直ぐ様に口の中に放り込み、咀嚼。……それから暫し。
ゴクン、と喉を鳴らしながらその咀嚼しきった食物を飲み込むと、
ペロリと唇を一舐めした後、アリエスへと視線を戻し、力強く言い放った。
「――――うし。アリエス。私は、貴女に、投資させて貰う。先の野菜? に50……いや、100COAMで。
……で、投資には500万ぐらいあれば行ける?
それで、コレが安定供給出来るようになって、家族の取り分以外に余ったら全部買い取るよ?
腐らせない限りは、料理素材は沢山あって悪い物じゃないしさ」
「わたしの方からも500出す。……で、共用予算の方からも1000。
合わせて2000もあれば最低限の機械類と自衛の為の長期護衛、集まるんじゃないかなー?
土木関連はMTを重機として使えば土地そのものの開墾は難しい話じゃないし。
後でリブラに装備を造って貰おう。……後は、土地かぁ……」
「あれだ。RaD――グリッド086近郊の
あそこ近所に別グリッドからの超大型の崩落物あったでしょ。
あれを目隠しにして、日が当たる程度に適度にくり抜く細工をした上で、日が届く辺りの地面に接してる箇所の底板ブチ抜くのはどうかな?
作物なんぞ作ってるの知れたら、奪い取ろうとするヒャッハーが湧いてくる可能性高いから、目隠し兼防壁があった方が安全だろうし。
幾ら頑丈の代名詞と云えなくもないグリッドの建設物の一部とは云え一回崩落してるからある程度の点検補強とかは必要かもだけど、
内部に緊急時用の建築作業員とかが使える
それを上手く整備出来れば安全に生活できる場所になり得るんじゃないかな」
「おぉ、なかなかにぐっどあいでぃあ」
「へ……ッ? え……ッ!?」
アクリとユミコの脳筋な発想と答えにより当事者そっちのけで、
もの凄い勢いで話が動き出した気がしないでもないその状況に、
困惑するしかないアリエスの間の抜けた声が住居の中に流れて消えるのである。
色んな波乱と困惑に満ちた住居用コンテナから所は変わり、カーゴ内格納庫、ACハンガー前。
リブラは少し考え込みつつAC用のクレーンを動かしていた。
「修理するにしても
大丈夫そうなら組み直しつつ細々とした修繕。
ダメそうだったらそっちにあるジャンクの山から使えるの引っこ抜いて代替えしたりしてリペアする、って感じかなぁ」
「メカニックっちゃあ、色々やらんといかんのなぁ。
……しかし。想像以上に丁寧に扱ってくれるんだな。アリエスの……いや、もうお前達RaDer’sのACか」
そんな彼の呟きに、後方から感心しながらそんな事を口にするカプリで。
「この
……わぁ。腕脚に比べて、コアは凄く丁寧にメンテされてる。乗り手だったアリエスさんの性格が出てるんだろうなぁ」
「コアの方は命に直結するから、中々に気を使ってはいたからな。
だがちょっと前に聞いた噂を、信用できる情報屋へ聞き取って精査して、
この地域……グリッド135周辺地域が戦場になるのは確定の様でな。
猶予はあまり無さそうだから、どうにかしてさっさとアイツのACを動かせれるようにしたかった。
――で、大急ぎでジャンカーの善し悪し考えずにAC腕を買っちまったんだよ。
それが、足元を見られて吹っ掛けられた上で、あの体たらくなBASHO腕だった。
大破した右腕もあんな感じでボロボロだったんだよなぁ」
クソでか溜息を吐きながらそんな事をぼやくカプリにちょっとばかり頬を引き攣らせるリブラ。
「うわぁ……。酷いジャンカーと当たっちゃったんだ。……許せないね」
「いつか報復した方が良いかもしねぇな、ありゃ。……それは兎も角。
あまりにもアレだったんで、脚は別口のジャンカーに頼ったんだが。
そいつもそいつで先の奴よりはマシ、ってレベルだった訳だ。
……まあ、錆は浮いてはいるが、戦闘機動には問題はなかったんで、ギリギリ許せる範囲ではあったが」
「色々と同業者がゴメン……」
「いや、お前は十全に仕事をしているタイプみたいだし、アイツ等とは違うだろ?」
色々と考えつつも手を動かしている年若い少年の仕事ぶりを見つつ、肩を竦めそう返すカプリである。
それから端末を叩く音とクレーンの動く音以外はほぼ聞こえない、そんな沈黙。
――と、ACの内部パーツの引っこ抜きは完了した様で、床にソレを降ろすと見分する事にする。
カプリも興味本位からなのか、リブラと共にその内部パーツ群へと近寄って行く。
暫し後。首を捻りながら声を上げるは、リブラ。
「んー? 整備は……うん、ほぼしなくても大丈夫そう。――あれ?」
「どうした?」
「いや、これ。FCS……」
「……あぁ、ソレか。BASHO腕を買ったジャンカーに抱き合わせ的に掴まされた出所不明のよく分からんかったFCSだ。
先の件で
使う事も無かったんだが背に腹は代えられんかったからなぁ。
アリエスも違和感が拭い切れない様で、アシストの矯正がしんどそうだったな」
茫然とした呟き声に、カプリは手に入れた事の経緯を口にして。
そんな彼の言葉にも生返事の様な感であまり大きな反応をせず、茫然としたままの声音でそのFCSの詳細を説明を始めた。
「……これ、技研の遺産……。データでしか見た事無かったけど確か、IA-C01F:OCELLUS、だったっけ。
技研で開発された無人機専用の超近接戦闘補正FCSの筈だよ」
彼の台詞に驚き目を見開いたカプリは、リブラと同じように茫然とした声音を返す。
「……マジか」
「多分間違いないよ。アリエスさんやカプリさんが会ったジャンカー、本ッ当に見る目がない人だったみたいだね……」
「……だな。まさか、そんなお宝をなぁ……」
あまりにもアシスト補正が近接に偏り過ぎていたので、彼のジャンカーも単なる不良品としか思わなかったのであろう。
そしてこれ単品ではまず売れないだろうと高を括って抱き合わせ販売のオマケにした、と云った塩梅か。
「因みに、オールマインドが定める価格だと、アーキバス量産コアよりも高く買い取りしてた筈。
……技研の研究家とかに売ったら、その二倍ぐらいには跳ね上がると思う」
「マジかよぉ……」
一個のFCSが純正のコアより高いとか、驚きを通り越して呆れ返ってしまう。
だが、不良品を押し付けて来た彼のジャンカーの逃した魚は大き過ぎた様で、溜飲が下がる思いである。
――と、そんな中。少し考え込んでいたリブラは、居住まいを正すとカプリに向かい口を開く。
「……カプリさん、これは提案なんだけどさ」
「どうした?」
「……このFCS、アクリさんの戦い方に合致するから欲しかったんだ。でもそうそう見つかるものでも無くて。
だから報酬はコレだけでも十分。寧ろ、幾ら人命が掛かった緊急の依頼だったとは云え、
総額で100万近くの報酬ってあり得ないし、どうだろう。
――コアの方は、Sheep Hornの方で残しておく、って云うのは?」
「……何?」
思わず、聞き返して来るカプリに更に言葉を重ね。
「――で、更に壊れた腕と脚のジャンクも貰ったら、大体締めて45万COAMって所かな。
確か、緊急依頼の報酬の相場って高額でも30万ぐらいだった筈だし、だったら15万程多いなーって。
なら、それ分を相殺代わりに
頭と腕と脚があれば15万ぐらいになるんじゃないかな?」
「……お前」
そこまで言い切ると、にっこりと笑みを浮かべるリブラにカプリは呆れた声を上げ。
いや確かにリブラの云う相場を考えたら報酬としては確かに高すぎる訳なのだが。
果たしてそれが実際の相場なのかはあえて無視をするとしても。
何だこのお人好し。
そんな事を思わず考えてしまうカプリである。
――だが、
「……良いのか?」
「うん。頻繁に戦闘が起きるこのご時世で、身を守る力がないって云うのはあまりに危険だから」
「
「それは……まあ、勝手に決めちゃったから怒られるかもだけど、それは甘んじて受けとく」
「お人好しか」
「よく云われるかな」
とうとう内心の突っ込みが口から漏れ出た訳であるが、
云われた方も慣れているのか全く動じる事も無く笑いながら言葉を返してきて。つよい(確信)。
そんな感じで緩いやり取りをしている男連中に、声を掛ける女性の声が聞こえ。
そちらの方へと視線を移すと、今後の方針が固まったのか。
アクリ達三人が歩み寄ってくる姿が見えて。
妙にツヤツヤテカテカしているアクリとユミコに、ちょっとばかり疲れた感のあるアリエスの三名の姦し娘共である。
一体何があったお前等。
「二人共、お疲れーい。大体の話は決まったから、共有しに来たよー」
「中々に早いなオイ」
「私もあれよあれよの内に話が決まっちゃってて微妙に意識が追い付いていないんだけれど……」
「ダメじゃねぇか」
アクリのそんな言葉に、カプリはアリエスへと視線を移しつつ問いを掛けると、
困った顔で言葉を返して来るので、更に突っ込みが重なってしまう。
まあ、それはそれとしての話ですが。
アクリとユミコ。それに相対するリブラの構図でアクリとリブラが、ほぼ同時に口を開く。
「リブラ……」「アクリさん……」
ちょっとばかり云い辛そうにしているのは、儲けの辺りを気にしての事であろうが。
「「――アリエス(さん)のAC、アリエス(さん)に返しても良いかな……って、えッ!?」」
見事な異口同音な展開である。
双方共に考えている方向性は違うが、口にした事は全くの同じ件であったので、
驚きの表情を浮かべる三人である。
片や、開墾の手助けになり得そうだし、的な発想から。
片や、報酬貰い過ぎ問題で座りが悪いから、的な思考から。
内心はどうあれ仲良しさんか。……仲良しさんだったわ。
あまりにもジャストフィットし過ぎな状況下。
慌てて取り繕う様に口を開くアクリであり。
どうやらここまで同音になるとは埒外だった様で、妙に気恥しくなったらしい。
「と、とりあえずはさ、ACとかMT用の開拓装備を造って欲しい訳なんだけど」
「何それ詳しく」
「食い付き良いねッ!?」
「珍しい品の製造依頼って燃えるじゃない? ……まあそれはそれとして。
こっちもこっちで、アクリさん好みそうな技研の遺産のFCSが手に入った訳なんだけど」
「何それ詳しく」
「アクリさんも食い付き良過ぎじゃないかなッ!? それは兎も角。超近接アシスト補正FCSなんだけど――」
いや本当に仲良いな。
あーだこーだ、と話が取っ散らかりつつも進んで行く二人のやり取りに、
思わず生暖かい目になる周りの連中であり。
――その後、話し合いと情報、報酬等々の話をわちゃわちゃしつつも共有し、
装備類の生産や、今後の方針の示す方向へと舵を切り倒す勢いのままに、
RaDer’sとSheep Hornの二つの独立傭兵共は、今の状況下のルビコンでは珍しいと云える、
一次産業の成立に邁進するのであった。
強化人間独立傭兵なオリって一人は突っ込みたいなー、と思って作ってたキャラの一人、
アリエスさんですが、何かこの娘っ子も設定とネタが独り歩き始めちゃいまして。
カプリが生えるわ子供達も生えるわ、もう訳が分かりません(ぁぁ
因みに、神経接続の云々は公式では無いので、捏造です、はい(ヲ