とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 毎度ありがとうございます(何
間幕……と言う名のアクリ強化の為の前振り話です。

 イレギュラー共にコレで対抗でき……る訳は無いですが、頑張れ(超他人事


26話

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――ん、えっと……」

 

 目を覚ますと、知らない訳でもない天井である。

仰向けで眠ったいた状態らしく、寝ぼけ眼で辺りに視線を回す美少女(笑)然とした女子の姿。

まあアクリな訳であるが。

 

 ココは? なぞとゆっくり回りだした思考と共にむくり、と己が身体を起こすと点滴やらなにやらに繋がれているのに気付き。

そこから視線を外すと、更に辺りも見回す。

 

 「――あれ、ここ……病院?」

 

 ある程度回り始めた頭で思うのは、以前コーラルを視る事が出来る件で少々厄介になった一室と同じような作りの小部屋である。

更に視線を回すと、己が寝ていたベッドの傍らに二つの影。

 

 「ユミコに、リブラ……?」

 

 彼女の呟きの通り、そこにベッドの端に突っ伏して寝落ちている二人の姿があって。

何でここに居るんかいね? なぞとかボケた事を考えるアクリである。

どうやら、まだ完全に思考能力が回復していないらしい。

 

 そんな中、ちょっとしたうめき声と共に、ユミコの方が頭を上げて。

微妙に彼女の方も思考が回っていないか、寝ぼけ眼のままアクリの方を見つめており。

……妙な沈黙が辺りに満ちるので。とりあえず声を掛ける事とする。

 

 「よっす。オハヨ」

 「――――アクリッ、目ぇ覚めたのッ!?」

 「うぉッ」

 

 アクリのその言葉から数瞬。彼女の台詞に意識が完全に覚醒したか、

詰め寄って来るユミコに慄き仰け反って。

 

 「大丈夫? 生きてる? アンタ約二日昏睡してたんだよ? とりあえずドクター呼ばないとッ」

 「あぁ、やかましッ!?」

 

 そっか、二日も死んで(比喩表現)たのか。

ユミコもそら心配するよね、なぞとか思うアクリである。

 

 そんな風にわちゃってると、もう一人の寝落ち組も起き出してきて。

 

 「――んぁ。……あくり、さん……?」

 「おはよ、リブラ。……その、えっと、ね……?」

 

 ユミコと同じく寝ぼけ眼な感じでベッドの端に突っ伏していた頭をこちらに向けて来るリブラ。

そんな彼と視線が合い、アクリはちょっとばかり気まずそうに軽く挨拶の言葉を掛けると、口の滑りが鈍くなり。

 

 そらそうである。

彼が不在の時に、依頼を熟そうとして返り討ちで死に掛けているのであるからして。

アクリは反省してどうぞ。

 

 「――ッ」

 「え、え? ちょ、り、リブラッ!?」

 

 暫しの沈黙ののち、アクリは珍しいぐらいの狼狽した声を上げて。

……彼女がそこまで焦った反応を見せたのは――

 

 リブラが、無言のままに大粒の涙をボロボロと零しているからであり。

確かに、彼女が焦るのも納得ではある。

 

 「―――あぁ、もぅッ!!」

 

 そんな大泣きをしている男の子の姿に、居た堪れなくなったのか。

彼の腕を取って思い切りよく己が懐に引っ張り込んだ。

いや点滴打ってる状況でやるなと云いたいが。

 

 「――ぅッ!?」

 「流石に、そこまで泣かれるとさ、私としても物凄ーく罪悪感を覚えるんだよ。

そりゃ、こっちが全面的に悪かったんだけどさ。……ごめん、心配かけ過ぎちゃったか」

 

 アクリは思い切りよくリブラの頭を己が胸の中に納めると、

丁度良く収まった彼の後頭部を優しく撫ぜながらそんな風に謝罪の言葉を吐き出し。

彼女のその台詞に我慢していた色々があふれ出し、唸り声の様な鳴き声を発しながら、

その両手をアクリの背中へと回し、しがみ付く様に抱き着いて。

 

 「う、う゛ぅぅぅぅぅぅぅぅッ!」

 「あーあ、なーかしたなーかした。いーけないんだいけないんだー。カーラ(せんせー)にゆーてやろー」

 「たわけ」

 

 にやにやニヤニヤ2828しながら、二人にそんな言葉を投げて茶化すユミコにジト目で一言返し。

しかし、無駄に器用ないやらしい笑みである。いや何でそこまで細かに薄笑いの質を変えれるんだ貴様。

 

 「んでも、エロい事はそれ以上は禁止だからね?」

 「いや何でこれがエロい事になるんよ?」

 「まあそれは兎も角。お客さんも居るんだから、自重はしてねー?」

 「……はぃ? お客?」

 

 ユミコのそんな言葉に疑問符を浮かべるアクリ。

そんな彼女の反応に穏やかな音色の声が返って来て。

 

 「――あ、お構いなく。心音って聞いてると落ち着くのは私も良く分かるし。

リブラに落ち着いて貰うならその手もアリかなと。……と云う事で、お二人共ごゆっくり、って云った方が良いのかな?」

 「――ッ!?」

 

 ごく最近よく聞いていた声に驚き、慌てた風にそちらへと視線を向けると、

その人物――アリエスがユミコとリブラの寝落ちていた方の逆側で、

端末片手に椅子に腰掛けている姿があり。視線が合った様で、アリエスは柔らかく微笑み返してきた。

まぁバイザーの所為でほぼ口元しか見えていないので、その口元の笑みから多分そうかな、と推測するしかないのだが。

 

 それは兎も角として身内以外が居た事により驚き気恥ずかしさが出て来たアクリは慌ててリブラから離れようとするのだが、

彼は彼女の着ている病院着の背中側をしっかと掴んで離さないので、小さく溜息を吐きながら諦めの表情を浮かると、

頭を撫ぜる行為を再開しつつ、ちょっとばかり上ずった声音でその相手へと言葉を返した。

 

 「――あ、アリエス? 来てくれてたの?」

 「ええ、お邪魔してます。……アクリがやられた件で、

RaDの頭目さんから連絡を貰ったリブラに頼まれてグリッド086(ココ)に連れて来て。

貴女のお見舞いを出来るか、と頭目さんに挨拶がてらにダメ元で聞いてみたんだけど、

ユミコとリブラ(この子達)が取り成してくれて、どうにか許可貰えたよ」

 「ありがと。それとゴメン」

 

 しかし、相変わらずアリエスってば聖女かな? そんな感想を持つアクリで。

――と、妙に沈んだ表情になり、気遣うような声音で声を掛けて来る。

 

 「大事無く……とは云えないけど。

聞いた話に、以前の私と同じ様な状況になっていたみたいじゃない。

神経接続してなかったのは不幸中の幸い……って訳でもないよねうん。……でも、生き残ってくれて良かった」

 「何その異様に不穏当な言い方ッ!?」

 

 しかし彼女の云う通りで、先の戦闘でアクリのACは頭部中破(センサー類全損)、

両腕大破(消失)にコア部大破(コックピットブロック以外ほぼスクラップ)。

左脚大破(消失。スクラップとしては回収出来ているが)と右脚中破(ほぼスクラップ)。

武装はクレーンアームが中破はしたが何とか残り、

後は全消失(肩ミサイルはパージしたので別口な気がしないでもないが)と云った損害状況なのである。

 

 ほぼダルマ状態になっていたその機体で、本当に良く生きてたな。

 

 ……そして、今度はユミコがその話を引き継ぐ様に、アクリ自身の状態を軽く説明し始めて。

 

 「……で、アンタ自身のダメージは、筋断裂が両手両足に数カ所。左腕骨折。

右脚も数カ所程骨にヒビ。肋骨も数本折れてて内臓にもダメージ。

後は奥歯も二本ほど噛み砕いてたよ。どんだけ強く食いしばったのよ」

 「うわぁ……」

 

 聞かされた己の惨状にドン引きしてしまうアクリ。

いや自分の事だろうに完全に他人事の言動である。

 

 「ま、病院の虎の子の医療ポッドにぶち込んだから、大体は完治してるけどねー。

まぁ、歯は再生ってしないものだから、入れ歯モドキくっ付けたみたいだけど」

 「虎の子すげぇ」

 「とは云っても過信はしない様に。今回はカーラの依頼からのアレだったし、

それの詫びも兼ねての使用許可だったんだからね?

電力も相当食うから、おいそれと使えないってのもあるんだけれども。

後、電力(それ)の兼ね合いで、恐ろしく使用料高価(たか)くなっちゃってるのもある」

 「――因みに、お幾ら万円?」

 「5000万COAM」

 「ヒェ。RaDer’s(ウチ)の総資金ぐらいじゃない!?」

 「……って云うのは冗談だけど。全額負担なら1000万はするよー?」

 「それでも五分の一か……。でも、冗談でボケるレベル越えてない?」

 

 きゃいきゃいと云い合っている幼馴染ーズに茫然としたままにアリエスも言葉を挟み。

 

 「……私的には、5000万って話が飛び出て来る方がびっくりなんだけど。

しかも資金だから資産だともっとあるみたいだし。

まあ、投資って云って簡単に2000万ポンと出す時点でお金持ちだとは思ってたけど……」

 「ま、その辺りはリブラ様さまなんですよー? ジャンク品を戦場だった所で拾ったり、

捨て値で他ジャンカーから買い漁ったりしたのをほぼ完品にまでリペアして、

正規品より多少安いぐらいで売り捌いているのでー。後は、ACやMTの改造依頼の報酬ですね。

稀に難癖付けたり、しらばっくれたりして踏み倒そうとするバカも居ますが、

そいつらは大体新しいジャンクパーツの提供元になってくれるのでそこそこ美味しかったりー」

 「アッ、ハイ」

 

 逞しい娘っ子どもである。

そんな逞しさに何とも云えない表情を滲ませながら呟きを漏らすアリエスを尻目に、話は続き。

 

 「……以前もアクリとボヤき合ってた事があるけど、完全にわたし達リブラ頼みの傭兵稼業しているので、

もしもこの子に何かあった時、著しく全能力が低下するのはネックなんですよねー……」

 「それは仕方ないんじゃないかなぁ。……本当にリブラ(この子)、凄すぎない?」

 

 呆れ返った視線を向けるユミコとアリエス。

当の本人はアクリに顔をうずめて唸るような泣き声を継続中であるが。

 

 そんな彼を見やった後、視線を切った三人はほぼ同時に視線がかち合うと、

慈愛がない交ぜになった苦笑を零し合って。

 

 それはそれとして、話題は次へ。

 

 「――そうそう。そう云えば、アクリを張り倒した相手なんだけどー。

戦闘ログを調べて、外観やエンブレムの有無の確認をしたりして。

その後、アリエスにも確認して貰ってから判明したんだけど、そいつ歴戦の傭兵だったみたいー。

……ホントよく生きてたなお前」

 「……マジデ?」

 「オオマジ」

 

 真顔でそんな事を云って来るユミコに同じく真顔で聞き返すアクリ。

心なしリブラのしがみ付き方がキツくなった気がするがそれはスルーする事にしつつ。

そんな二人の会話にアリエスが落ちついた声音で話に加わった。

 

 「私も星外産の傭兵だから、その可能性も考慮されて、ユミコから請われたんで確認させて貰ったけど……。

機体構成と共にエンブレムを確認した時、驚いたよ。――独立傭兵、"スッラ"。星外で有名どころの古猛者かな。

――約半世紀。それほどの長い期間を独立傭兵として生き抜いている、界隈では最上位と目されている傭兵。

私も一回だけだけど、轡を並べた事もあったんだよね。……でも、ルビコン3(ココ)に来てるのは知らなかったよ」

 

 アリエスの台詞に、息を飲む幼馴染ーズ。

そんな彼女達の反応に苦笑を漏らしながら更に話を続け。

 

 「まあ、この数年程は何処かの専属になったのか、大きい戦場では見かけなくなってたんだけど。

でも局地的な所……アーキバス系の研究施設に襲撃を掛けたりとか、

とある独立傭兵団を狙った、みたいな噂は聞いた事があったかな?」

 「そんなやべー奴とやり合ってたのか、私……」

 「ほんとよく生きてたな、アクリ……」

 

 今更になって頬を引き攣らせながら呟き洩らすアクリに、

微妙な表情を浮かべながら同意するユミコと云う反応に、空笑いを漏らすしかないアリエスである。

 

 「……もう出来るなら会いたくないなあ、あの怪異爺さん」

 「怪異爺さんって、云い得て妙だから止めて欲しいかなぁ」

 

 一つの溜息と共に小さくぼやくアクリに、

先のただ一回の共同戦線で顔も会わせていた事があったらしいアリエスは呻く様な納得の言葉を返すしかない。

本当に怪異爺さんなのか。

 

 まあそれはそれとして。

 

 「――少なくとも、またアレと再戦する事があるって云うなら、今の私じゃあ実力も機体性能も全く足りてない。

せめて対等……って贅沢は云えないまでも、対応位は出来る、って程度までは力を付けないと。

……とは云っても、今はACが無い状況だし、身体も本調子には戻ってない感じだけどね……」

 

 少しばかり真面目な表情を取り繕ってそんな事を呟くと、ユミコがそれに答えて。

 

 「……とりあえずその辺りは、あとちょっと待ってて。

アクリ好みのコア部、RaDer’s(ウチ)の手持ちに今は無いから、

カーラと交渉して探査フレーム一式を買い入れる事にしてね。

とりあえずはそれで一時しのぎにして貰う事になるかな?」

 「ORBITERを使えるって云うなら全く問題ないけど、ちょっと歯切れが……あぁ。機体性能、かぁ……」

 

 何だか口が重い彼女の姿に何を考えているか察しがついたアクリはそんな言葉を漏らすと、

ユミコは頷き同意しながら話を続ける。

 

 「……そうなんだよねー。アクリの思っている通り、これから更に戦闘が激しくなって行きそうなこの状況下。

探査フレーム(アレ)も低燃費でEN効率も良い良機だとは思うけど、

そもそもが戦闘用じゃないから、装甲とかフレーム強度とかの基礎性能が心許ないからねー」

 「そらそーだ」

 

 そんな彼女のボヤキとも取れる言葉に頷くしかない。

 

 「――実は、リブラとも話し合ったんだけど、

アクリが目を覚ましたらBAWSに打診してみようかと相談してたんだ」

 

 そこまで話してから一つ息を吐く。

彼女の言葉に首を傾げて鸚鵡返しに問い返すアクリである。

 

 「……打診?」

 「そ。もう先行機は完成はして、一部ラインで先行量産機が生産に入ってるって話みたいだし、

傭兵のコミュニティでも噂は出回ってるのは確認したから、

アリエスも居る状況だけど……この人、口は固そうだし、さっくりとバラしちゃいましてー。

新型の受領を早めて貰えないかって云う交渉。

今現在の最新型で、継続的に手に入れれる事が可能な星内企業の謹製新型AC……

BASHO(弐式)に早く入れ替えて、機体操縦を習熟させた方が今後楽になるかな、って算段だよー」

 「……あ、BAWSの新型AC開発の噂ってホントだったんだね。しかも完成してたんだ……」

 

 そんな感じなやり取りをしつつ、一番その辺りの話に詳しい人物に水を向けようとすると。

 

 「――その辺り、リブラの方が詳しく……あれ?」

 

 その詳しい人物から、定期的で静かな呼吸音が。

アクリ自身もそれに気付いていたか、立てた人差し指を口元に添えて静かに、のジェスチャーをしつつ、

頭を撫でるのも続けながら声を潜めて言葉を発して。

 

 「……泣き疲れちゃったみたい。とりま、声抑えよっか」

 「「了解」」

 

 アクリの言葉に、一にも二にもなく頷く残りの二人。

それぞれの表情は本当に穏やかな笑みを浮かべており。

一同共に、母性本能がくすぐられまくっている様だ。

 

 「……まぁ、アクリが意識取り戻すまでの二日間。あまり寝れてなかったみたいだしねー……」

 「あまり無茶して欲しくないんだけどなぁ……」

 「アンタが云うなし」

 「ぅぐ。ゴメンよぅ。反省は……しない事も無いけど、私の性格的にやらかすのは確定事項だからなんとか耐えてもろて」

 「そこまで冷静に己を鑑みれるならもう少し何とかしようや。本気でリブラに愛想尽かされるよ?」

 「それは私と似た性根なお前も同じだろがい」

 「ンだとオゥ?」

 「と、とりあえず、二人共、落ち着こ?」

 

 そしてそこから流れる様に声を潜めつつも脱線事故(漫才)である。

初めて目の当たりにしたのではないかと云うアリエスですら、

たしなめる様な突っ込みを敢行している時点でお察しである。

 

 「――で、まぁた阿呆な事してんだねぇ、アンタ等」

 

 ごぃん、ごぃん。

眠っている子に気を使ったのか。そんな控えめではあるが、鈍い音が病室に響く。

頭部に受けた衝撃に、声を押し殺しつつもひっでぇ呻き声を漏らしながら、

その鈍い音を立てやがった犯人へと視線をやる幼馴染ーズである。

 

 「か……。カーラ様。スパナ……スパナは流石に死ぬ……ッ!?」

 「な、何でわたしまで……ッ!?」

 「……ふ、二人共大丈夫?」

 

 いつの間にやら病室に入り込んできていたらしい殴った相手――シンダー・カーラへと抗議の声を上げ。

そして本当に心配げに気遣って来るアリエスはやっぱり聖女である、うん。

 

 「アクリが目を覚ましたってユミコから連絡が来たから様子見に来たんだけどね。

何時ものバカ騒ぎをしていた風だったんで、とりあえず沈黙させとこうかと」

 「再生治療受けさせてくれたのにまた病院送りになるじゃないですか……ッ!」

 「ここ病院だけどねぇ。痛つつ……」

 「病院で怪我を負わされそのまま入院継続で入院費用ウハウハ。何このマッチポンプ」

 「入院費は取ってないんだからその理論は破綻してるよ」

 「なん……だと?」

 

 なぞとかわちゃってるのは早々に切り上げる事としまして。

 

 「まぁそれはそれで、だ。アクリ。アンタに譲る事になるACの詳細を持ってきた」

 「あ。ありがとうございます」

 

 カーラは本題だ、とばかりに云ってきたRaDer’sに払い下げられるACの詳細データを記録した端末を投げ渡されて。

どれどれ、と云った感でそれを覗き込みそれを読み込んで行くアクリである。

 

 「……んん? 何か探査フレーム、全体的に微増ってぐらいですけど、スペック上がってません? あと、この脚……」

 「あぁ。BAWSが色々と頑張ってる様子だし、RaD(ウチ)だって技術屋集団として負けてられない、ってなってね。

それで基本となる探査フレーム(それ)に今までRaDとして培ってきた技術をフィードバックさせて再設計してみたのさ。

――私の"フルコース"のたたき台としても、良い経験になったよ」

 「己の欲望に忠実だ事で」

 「それじゃあないと、技術屋なんてやらないだろ?」

 

 ジト目で突っ込むアクリにカラカラと軽く笑うカーラ。

で、説明は続き。

 

 「……それと、そっちの脚は、グリッド087での所属不明機の戦闘ログや、敵対してきた連中の機体データの提供の報酬も兼ねて、だね」

 「制式量産……は、まだされてませんでしたよね? 新規商品の重逆脚は」

 「そうだね。――RC-2000"SPRING CHICKEN"……の、制式前の先行量産モデルさね。

探査フレーム一式に追加でこれを一つ、アンタに譲るよ。少々癖があるし、機体重量は増えるだろうけども、使いこなせるだろう?」

 「中々の丸投げっぷりですね……。使って使えない事はないと思いますから有難く頂きますけど」

 「後は定期的に稼働データを回してくれれば云う事無しなんだけどね」

 「確実にそっちが本音ですよねッ!? いや、勿論やりますけどさッ!?」

 

 彼女のブレそうにない技術屋としての物言いに、小声で怒鳴ると云う器用な事をしてのけるアクリ。

 

 ……くっそ、腹いせに何時かチャティの声の音声を男の娘っぽいのにすり替えて暫く固定して、

声のギャップでカーラ(あんにゃろ)の腹筋を崩壊させてやる、等と意味が解らない反撃を誓う事にした。

 

 いや、何でそうなるのか。

 

 「……なーんか、変な事を考えてないかい?」

 「考えてないですよ?」

 

 ジト目で呆れた声を上げられた。

何故速攻でバレるし。

 

 そんな馬鹿馬鹿しい思考をしつつ、今ふと思いついた事を口に出してみて。

 

 「……あ、そうだ。アリエス、時間に余裕がある時ってある?」

 「え? 農業(あっち)の作業は粗方終わって、残りはウチの子達がしてくれるって話だし、ある程度なら作れるけど……」

 

 突然にそんな事を云われ、疑問顔で言葉を返して来るアリエス。

それだったら、一つ、お願い……と云うか、依頼をしても良いかな、とアクリは言葉を続け。

 

 「……依頼?」

 「ん。私の操縦技術のレベルアップの為の訓練の相手、って云う依頼」

 「……私、最盛期とは比べ物にならない位弱くなってるんだよ?」

 

 眉を顰め、アクリからの依頼に難色を示すアリエスで。

 

 「――それでも、技量も……十数年もの期間で培い、

生き残り続けた傭兵である貴女の方が私よりも確実に強い。だから、お願い……ッ!」

 

 そんな彼女の真剣な頼みの台詞に暫し、沈黙をして、辺りに軽く視線を回すと……

 

 「……ユミコとリブラ(この子達)の為にも、か。

――うん、分かった。私がどれだけ力になれるかは分からないけど――その依頼、受けます」

 「あ、ありがとう……ッ!」

 

 小さく溜息を吐いた後、了承をするアリエスであり。

そんな彼女の葛藤への謝罪も含んだ感謝の言葉を投げるアクリである。

 

 

 

 

 ……これからさらに激しくなって行くであろう企業や解放戦線との抗争を生き抜くが為、

RaDer’sは新たな力を手に入れる手段を模索して行く事となるのであった。

 

 

 

 

 

 

 ……因みに、先のやり取りの直後。

目覚めた某少年は、生暖かい視線をやっていた四名の女性たちに囲まれており、己が姿を鑑みた途端に羞恥に悶えまくってしまった事は余談である。

 

 いっそ殺して。

 

 

 







 次回もアクリ強化案の方向でいくつもりではあるので、少しは……早く上げたいものです(吐血
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