とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 そこそこ順調なのですかね?(なお前回から二週間
いやその筆が遅い、と言われたらその通りなので土下座しないと拙いのですが(ちょ

 ……頑張らせて頂きます(吐血







30話

 

 

 

 

 ハンドラーやC4-621と邂逅し、RaDの"病院"へとC4-617と620を送り届けてから数日。

まだ彼女等が目覚めたとの連絡は無いので、先に細々とした事を熟そうと決め、

RaDer’sはグリッド086の何時もの待機場所へとヘリを停め、色々と作業を推し進めている様で。

 

 ……因みに、強化人間の二人を預けたのちに、

アクリ自身もドクターに頼み、コーラルに関して重度となったであろう"目"を診断したのだが、その結果は全く問題無し。

だが、恐らく空の――成層圏辺りに漂っているのであろうコーラルが今も赫く見えている状況なので、経過観察となり。

ほんのちょっとの心配で検査して問題無し、と云われたら時間とお金を返せと云いたくなるが、

あっちも仕事なんだから勘弁してやるの精神である。

 

 何様のつもりか貴様。

 

 まあそれは兎も角として。

 

 「……本当に色々手に入ったよねぇ……」

 「最初に見つけた大破に近い中破のG7のAC。

これ、レッドガンナンバーなだけあって、外装は兎も角、

内装系は相応に強化改造を施されてたみたいだから、色々と美味しいねー?

で、次に見つけた、封鎖機構の大型武装ヘリの傍らで中破して擱座してた、

RaD探査フレームと、付けていた見た事も無かった頭パーツ。

リブラの判断ではこれ、面影全くないけどFINDER EYEのカスタム品らしい?

その割には、他の部位に全く手を入れてないってのも不思議な話だけど。

あと、他の武装はほぼ大破……と云うか、もうジャンク以下になってたけれど……

ソイツが使っていたらしいパイルバンカーだけは小破程度で残ってたから、

それだけでもう大幅なプラスだし。

他に、多分ソレを搭乗させてたであろう傍らにあった大破AC輸送ヘリもジャンクとしてパクったし、

ついでにうろついて見つけた都市部の方にあった大破ACは、

全体的にお高いアーキバス系のパーツだったし、

更に、大部分を解放戦線に持って行かれちゃったけど、MTのジャンクパーツ……。

それでも、直して繋げば数機にはなる物量。後は中破止まりの無人ドローン大量。

で、探索を打ち切ろうとした頃に運よく見つけたベイラムが使っていたであろうBAWSのMT輸送ヘリ。

……まあ、操縦室部は消し飛んじゃってて、そのまま墜落したであろう時に、

外装をちょっとやっちまってた様だけど、それ以外に酷い損傷は無し。

いいCOAMになりそうですありがとうございます。

……うっはうはだったよ本当に」

 

 アクリの呟きに応える様に、余程嬉しいのか、

声が弾んでいるユミコのお宝読み上げの台詞が返って来て。

因みにもう一つ見つけていたらしいACは中破の何の改造も施していない、

普通のありきたりなBASHOであったので、割愛である。

トーマス(なにがし)は草葉の陰で泣いていい。

 

 「そこで一つの提案……と云うか、お願いがあるんだけど、良いかな?」

 「リブラ?」

 「どしたん?」

 

 そんなうっきうきな会話をしていた二人に残る一人であるリブラがそんな事を云って来て。

えっとね、とちょっとばかり云い淀みながらも、口を開く。

 

 「……レティには了承を貰ったんだけどね。

今後の事を考えると、あの子用の外付けの身体があった方が良いのかなって」

 「んー……。チャティみたく、ACなりMTなりの専用機を造る、って事で良いのかな?」

 

 そんな彼の言葉を頭で反芻し、理解するとそう返すアクリで。

彼女のその言葉に頷き、更に言葉を重ね。

 

 「うん、そうなるかな。……以前アクリさんにも云われちゃってたけど、

無人MTだったら後方支援は兎も角、アクリさん……と云うか、

ACに機動力で付いて行けないって嫌でも理解しちゃったから。

それで、アクリさんに追従できる僚機が一人でも多くいてくれたら……って、思ってさ。

あ、でも基本は大型輸送ヘリの管制制御をやって貰う事にしてるから、ヘリの移動は大丈夫だよ?

本当にどうしようもなくなったら、僕かユミコさんがやるしさ。

まあレティ程の機動は無理だけど。

無人MTの方も、後方支援とヘリの直衛として数機は残しておくから、

ヘリ防衛に気を割かなくても良いからね」

 「そこは心配してないけど……確かに居てくれれば有難いかな。あと直衛も助かる」

 「こんな時にそんな話をして来るって事は……」

 「……ゴメン。汚染都市で手に入ったACのジャンクの大半、使っちゃって良い?」

 

 伏し目がちにそう申し訳なさそうに云うリブラに、

おぅふ、と云った変な声を上げるユミコであるが。

一つ溜息を吐くと、苦笑を漏らしつつも承諾し。

 

 「……アクリの命には代えられない、か。……うん、分かった。

AC以外のジャンクでも十分以上にプラスになったとは思うし、

ACパーツの方は、残って売れれば売るって形で、遠慮なく使っちゃって構わないよー」

 「ありがとう、ユミコさんッ!」

 「基本的にリブラの腕のお陰でジャンクだったのがあそこまで高値で売れて、

私達はその恩恵に預かってるだけだしね。

キミがやりたいなら一にも二にもなく頷いたげるから。

それにこの件は私の安全確保の為でもあるんだし」

 「アクリさんも……ありがとうッ」

 

 そんな感じで、レティセンス・スティックの戦闘用の身体を用意する事になった様である。

 

 

 

 

 

 それから数日。

突貫工事にてレティの為のACの、ジャンク修理が始まり。

上手くリペア出来たパーツと、手持ちの在庫リペア品を交えたアセンも考えつつ大枠が組み上がった頃。

"病院"から、ウォルターから託された強化人間の両名が目を覚ましたと連絡があり、

大急ぎではせ参じ、病室のドアを蹴破り(比喩表現)、踊り込んだ一行で。

 

 どっかのディープってるダンジョンかな?

 

 「――二人共、目を覚ましたってッ!?」

 「――やっかましいのぅ。おぅ、目覚めとるぞ」

 

 アクリのそんな喜色を現した大声に辟易しつつもそう返して来るドクター。

一応の上役である筈のカーラは今だに大型武装ヘリに掛かりきりの様で、此処には居ない。

 

 いや、ウォルターに頼まれたのは貴様の筈なんだが、それで良いのかと突っ込みを入れたいが。

 

 まあそれは兎も角として。

 

 「――う゛る゛ぅぅぅぅッ!!」

 「威嚇されてるッ!?」

 

 突然現れたアクリ達に驚いたのか、それとも何か別の理由があるのか。

病院着を着ており、ベッドから上半身を起こしている状態のままに威嚇をして来る、

白髪のセミロングを振り乱した年の頃14、5歳に見える少女、

先の621と少し違い、声帯そのものは処置を行っている様であるが、

まだ回復しきっていないらしく、かすれた唸り声をあげながらこちらを睨み付けている。

とりあえずうっひゃあ、と驚いてみるアクリである。余裕あるな。

 

 「まったく。いきなりドアを勢い良く開けて驚かす様なことをするから、

あちらさんも警戒するんじゃ。もう少し落ち着きをじゃな……」

 「6、20。落ち、着い、て。――マ、スター、は?」

 

 アクリ達に向けたドクターの諫めの言葉と、

たどたどしい話し方の女性――アクリ達と同世代か少々上に見えるくすんだ灰色の短髪の娘っ子である――が、

先の敵意をむき出しにしている少女と同じくベッドから身を起こしている状況で、

威嚇している少女――どうやらこの娘がC4-620らしい――を呼び諫めつつ、

視線を彷徨わせながら己が主人を探している様で。

……先の620が間違いではないのであれば、こちらは617か。

そんな事を考えるアクリである。

 

 彼女のそんな思考を他所に、灰色の女性――アクリの予測通りに、こちらがC4-617だ――

の聞きたい事を察したのか、ドクターは説明を始め。

 

 「ウォルターは……あー、お主等は新加入したハウンズの事は知っておるのか?」

 

 そんな彼の問い掛けに、ゆっくりと頷く617。

ならええか、と安心したかのような感で説明を続けて。

 

 「そのハウンズの新人と一緒に己が目的の為に、

そしてお主等の治療代も稼がんといかんからと、

新人ハウンズのオペレーターとして別行動しておるよ。

……あぁ。済まん、自己紹介がまだじゃったな。

儂は、お主等のマスター……ハンドラー・ウォルターの古い友人、と云った所かの。

爺とでもドクターとでも呼んどくれ。――で、先程喧しく病室に入り込んで来たのが、

お主等をウォルターから預かり、病院(ココ)まで運んで来た連中じゃな」

 

 マス、ター、の? と小さく呟くその女性に、

ドクターの紹介と説明に乗っかって、自己紹介を始めるアクリ達で。

 

 「あ、ジャンカー兼独立傭兵"RaDer’s"、AC乗りのアクリだよ」

 「同じくオペレーターのユミコですー」

 「え、えっと……同じく、メカニックのリブラです」

 

 そんな紹介の言葉に、明らかに視線に不信感らしき色が見え。

 

 「独、立傭兵……?」

 

 胡乱気な片瞳をRaDer’sの面々に向けそんな呟きを漏らす617である。

因みに、片方の瞳しか向けていないと云う理由は、

彼女はその顔の左側半分を丸ごと包帯で巻いており。

更に視線を下方に移すと、左肩があるべき所に何もなく、病院着の半袖が垂れ下がっていた。

 

 彼女の姿に、思わず非難的な視線でドクターを見やってしまう一同。

その一同の内の一人……アクリが、中々にドスの効いた声音で一言呼び。

 

 「――ドクター?」

 「……済まん。ほぼ予測通りとは云え、やはり再生処置は間に合わなんだ……いや、違うか。

冷凍処置を行った時にはあまりにも傷の部位が酷くなり過ぎていて、

解凍したとて再生処置が間に合わんと判断し、残りの部位も切り落とすしかなかったんじゃ。

RaD(ウチ)はおろか、ベイラムの治療用の専用ポッドでも、

無くなってしまったら完全再生は不可能じゃからのぅ……。

アーキバスの高級先進医療を受ける事が出来れば、再生出来る可能性もあるかも知れんが。

……そっちに頼むのは無理筋じゃろ?」

 「……確かに一介の独立傭兵程度じゃ、無理だろうなぁ……。

最低でもアーキバスに所属した上で、ヴェスパーの一桁ナンバーぐらいになれば、

上層部が見殺しにするには惜しい、と云う方向に持って行けるかもだろうけど」

 「それ100%無理って云ってるもんじゃない?」

 「そうとも云う」

 

 そんな感じなやり取りを行う連中である。

つうか、流石に自称でヤブとは云ってはいても医者と名乗っているだけの事はあり、

他の星外企業の医療関連の情報はある程度は持っているらしい。

 

 ――因みに二人の強化人間の怪我の状況としては、

617は左側の顔面部と左胸に掛けて高温の何か(多分爆発かレーザー線であろう)に焼かれた様で。

奇跡的に顔面部は中度の火傷程度で済み、

顔面部(そちら)は数度の処置を行えば再生可能なようだが……

左目だけは視神経が完全に焼き切れていたらしく、再生不可。

義眼を入れるかどうかの選択を後で617に聞き取るつもりの様である。

胸部の左部位は表面部は焼き切られた上に内臓の方まで焼かれ、

左肺も3割程焼き溶けており、ある程度回復はするが、呼吸器官に後遺症が出るとの事。

そして左腕は左腕の骨の中心部辺りまで焼き削られたらしく処置不能として、

生命維持の危険水準まで迫っていたのもあり、

さっさと切り落としたのちに医療ポッドへと突っ込まれたらしい。

 次いで、620は617に比べれば命そのものには別条はなかったので相当マシと云えるが、

コックピット内が外部からの攻撃での衝撃により大きくひしゃげてしまい、

膝より下の両脚部はそれに挟まれ、骨も神経系も完全に潰れてしまった状態だった様で、

こちらも運よく表面は再生出来たとしても、歩けなくなるのは確実な上に、

再生失敗をする公算が高かったが為、苦渋の決断ではあるが切断という方向に舵を切った様だ。

 

 そう怪我の具合を説明し終えると、肩を落として再度済まん、と謝るドクターで。

その言に顔を真っ青にするリブラと沈痛な面持ちになってしまう幼馴染ーズである。

 

 「――い、い。61、9は残、念だっ、たけど、あの状、況下で、

二人、も、生き残、れたの、だから、文句、は、無い。

……マス、ター、が、ルビ、コン3の、友人、から貰っ、た、

と云って、いた、脱出機、構シス、テムの、お陰」

 

 だが、その本人たる617は薄い感情のままに、そんな言葉を返して来て。

……アクリは619とは誰ぞや、と内心思ったが、

戦死したらしい一人が居た、と云う情報があったのを思い出し。

流石にそれを口に出すのは憚るので、さっさと聞き流して。

 

 「僕がカーラさんに渡したアレがしっかり動いてくれて良かった……」

 「そうだねぇ……カーラからの話では分かってたけど、上手く行ってくれてて本当に安心だよ」

 

 そんな小声でのやり取りを耳聡く聞いていたか。

617は視線をこちらに向けており、問を掛けて来た。

 

 「あな、た、達のお、陰?」

 「ああ、私等じゃないよ。偶々この子(リブラ)が造ったシステムをカーラ……

えっと、ハンドラーの友人をが手に入れて改造して、

ハウンズ(そっち)に送ったって話みたいだから、お礼ならその人……カーラの方にね?」

 「……でも、大、本はあな、た達、のお陰、みた、い、だから。

――あり、がと、う。お、陰で、わた、しと62、0は、マス、ターの元、へ、帰って、これ、た」

 

 軽く頭を下げ、そう云って来る617に、

ちょっとばかり気恥ずかしげな感で三者三様の言葉を返す一行であり。

 

 「それはキミ等の運が良かっただけだって。

……でも、礼は受け取っとく。ね、ユミコ、リブラ」

 「うん、そうだねー」

 「どういたしまして」

 

 そんな感じでほっこりとするやり取りをしている中。

 

 「……ぁり、がと」

 

 そんな小さくかすれた声が彼女たちの耳朶を叩き。

思わず声がした方へと視線を移すと620がそっぽを向いている上に、耳を赤くしており。

その姿を見たユミコは思わず真顔になり、ドクターへと振り向くと……

 

 「……ねぇドクター。620(この子)RaDer’s(ウチ)にお持ち帰りして良いですよねー?」

 「いい訳ないじゃろうが。ド阿呆。

まだ安静にしとかんといかんし、今のお主にお持ち帰りされたら何されるか分からん」

 「辛辣ッ!?」

 

 半分冗談じゃないですかーッ! 何でそこまで酷い事云うのーッ!

そんな阿呆な抗議をする貴様が悪い。と云うか、半分は本気みたいなのでなお悪い。

ぶった切られても仕方なかろう。

 

 と云うか、強化人間の娘っ子達が醸し出していたシリアスな空気が見事にぶっ飛んでしまった感が酷いのだが。

それでも何とか居住まいを正し、ドクターはその娘っ子達へと言葉を投げる。

 

 「……ゴホン。それで詫び代わり、と云っては何なのじゃが……

儂が昔、とある伝手で手に入れたコーラル式の義肢をお主等に使って貰おうかと思ってての」

 「義、肢?」

 「――そんな珍しい代物、あったん?」

 

 薄い表情のままに聞き返して来る617と、

違う方向で疑問を持ったアクリがそう聞いてみると、しっかと頷くドクター。

 

 「うむ。あいも変わらずの、技研の遺産の一つだったんじゃが。

脳内のコーラルデバイスに連動させて脳の信号をコーラルに流し、

大気中にあるコーラル(それ)を介して義手義足に脳の伝達情報を相互に伝えるんじゃ。

それぞれだけで完結するコーラル式の通信装置の応用みたいなものじゃな。

欠点は、コーラル式の……つまり、デバイスを脳内に埋め込んでいる、

所謂旧世代型と云われている強化人間でないと扱えない上に、

強化人間専用のACの様に、神経を接続出来る機動兵器とは相性が悪い様で、

繋げて動かそうとすると、義肢への信号伝達がほぼゼロになる様じゃな」

 「コーラルデバイスを埋め込んでるのは基本旧型の強化人間だけなのに、

神経接続出来る機体に乗れないってそれ本末転倒過ぎん?」

 「ま、失敗作じゃったんじゃろうなぁ。

……それでも乗りたいと云うのであれば、その義肢を外してから、と云った所かの」

 

 アクリのジト目による突っ込みに苦笑しつつじゃよなぁ、と同意するドクター。

 

 「まあACに乗るのが厳しくなるだけで、

日常生活を送るにおいては十分に使える筈じゃて」

 「……で、それ誰の差し金?」

 「……何の事かのぅ?」

 

 今の話に引っかかりを覚え。

旧型強化人間(そこの二人)専用と云っても過言ではない、

コーラル式の義肢の提供とソレのACとの相性の悪さ。

何でそんな代物をわざわざこの状況で持ってきた?

まあ確かにリハビリの期間短縮は確実に出来るけどさ?

そんな話をしつつ問うアクリに、とぼけた様な反応を返すドクターである。

 

 これは確定か。

 

 「……ハンドラー・ウォルターかな?」

 「……ます、た?」

 

 アクリの確信に近いその発言に少々不思議そうな620の言葉が飛んでくる。

 

 ……どうやらあの優しい飼い主は、この再生治療が無理筋になる事を予期して、

それならばと、そのままこの娘達を闘争から身を引かせようとしているらしい。

わざわざドクターに技研の失敗作の骨董品を持ち出させてまで。

 

 「押し付けずにちゃんと話し合えよ。本人の意思もあるんだしさ」

 「……あぁ、そう云う」

 「??」

 

 ……どうやら、ユミコもアクリのその呟きで勘付いたらしい。

理解が及んでいないリブラは疑問顔になっているが。

 

 「……まあ、義肢じゃから、それに慣れさせる為のリハビリは必要じゃが、

慣れれば本物の手足と同じか、逆に反応が良くなるはずじゃよ」

 「コーラルの情報伝達速度やべぇ」

 「それな」

 

 追及を逸らそうとしたか、別の話題を振るドクターに、

苦笑を噛み殺しつつも突っ込んでみるアクリとユミコである。

……と、とりあえずの話をしてみる事として。

 

 「あー、617と620、で良いんだよね?」

 「「??」」

 

 アクリは少々云い辛くしながらも強化人間二人に声を掛けると、

無表情のままにほぼ同時にコテン、と首を傾げ。

 

 いや可愛いかよこいつ等。

……等と云う内心は彼方へと放り投げ。

 

 「ドクターの云っているリハビリが終わったら、どうしたい?

とりあえずは、ハンドラー・ウォルター達と合流?」

 

 そんな事を聞いてみると。

 

 「あ、たり、前」

 「で、も。当、面の、問題、は、わた、し達の、AC、が、無いこ、と。

……多、分、あの、人の元、に帰還、出来、た時に、

乗っ、ていた、わたし、達のA、Cの、使える、パー、ツは、

後、輩の、機体、に、移植、してい、る筈、だから」

 

 620と617の即答でアクリの言葉に頷く……のであるが、

617の方が懸念を口にして。

 

 あの歪な色合いの探査フレームの理由はそんなだったのか。

ニコイチならぬサンコイチの継ぎ接ぎACだったとは。

 

 ……だとすれば、そんなバランスが微妙な機体で、

自分では全く勝ち筋が見えない封鎖機構の大型武装ヘリを単機で堕としたのか、と更に戦慄してしまう。

 

 あと、ウォルターの無言の気遣いも無に帰しているが、

これは強化人間(この子)達の意思だ。尊重すべきだろう。

そう思うアクリだ。

 

 「んー……慣れた機体が良いならカーラが用意してくれるだろうけど……」

 「そう、なの?」

 「うん。キミ等の使ってたらしい探査フレーム、カーラが造ったんだし。

……まあでも間違いなく対価は要求されるだろうけども」

 

 それでも傭兵働き出来ればそこまで難しい対価では無いと思うが、どうなんだろうか。

アクリの台詞に、無表情ながらも雰囲気で落ち込んでいるのが見える617に、

何だかんだで感情豊かだなぁ、とか和んでしまう。

 

 「お金、無い……」

 

 まあ確かに戦闘機能以外死んでる事が多い旧型強化人間だと、

金銭管理が出来る訳はないので、その辺りは全部ウォルターが管理しているのであろう。

……なれば。

 

 「貴女の主なんだし、ハンドラーを頼れば……」

 「あ、の人の、負、担にな、りたく、ない」

 

 至極当たり前の事を云ったつもりなのだが、あっさりと拒否され。

そっかー……そこまでかー……なぞと内心思いつつ言葉を続け。

 

 「でも、早くハンドラーの元に帰りたいんでしょ?」

 「当、然」

 「まあそうだろうねぇ。でもそうだったら、とりあえず選択肢は二つ、かな。

カーラに頼み込んで前借りしてAC手に入れて、代わりにあの人から依頼を受ける形で返済する方法。

あの人、人がかなり悪いから、一筋縄じゃ行かない依頼とか持って来られる可能性が高いかも。

まあでも、RaDの用心棒的な立ち位置であの人のあれこれを手伝う形になるだろうから、

衣食住はちゃんと保証してくれると思うよ?」

 

 アクリの説明に少し考えつつ次の話を促して来る617である。

……悩み考える事が出来ている時点で、相応に機能回復の手術を熟しているのが分かる。

想像以上にウォルターは己が部下を大切にしているのを再確認しつつ更に進め。

 

 「も、う一つ、は?」

 「RaDer’s(私等)からお金を借りてそれで買う方法。前者とやってる事は同じだけど、

お金をちゃんと返済してくれるなら、私達は貴女達を縛る気はないから、

好きに動いて返済してくれれば、って感じで。

……こっちの欠点は、衣食住の保証は出来ない……んだけど、

ハンドラーの元に直ぐに帰れば問題なくなるか」

 「……せ、めて、お、金を、返し、終、えてか、らマス、ターの、元へ帰、りたい」

 

 中々に我儘な娘っ子であるが、どうやら後者の提案を飲むことにした様である。

……それが伝わったか。アクリは一つ頷くと、更に話を進め。

 

 「それじゃあ、傭兵支援プログラムのオールマインドを紹介するから、

個人の独立傭兵として動いて……あー……。オペレートできる子が必要かー?」

 「オペレーターが居ないと、どう考えても良い様に使い捨てられそうな未来しか……」

 

 そんな提案をしてみるが、よくよく考えたら先にも思ったように、

この娘達、戦闘以外の物はほぼ知らないだろうし、

ウォルターの名前を出したら、どんな相手にでもホイホイ付いて行きそうで怖い。

どうにかこの子達を悪い様にしない人が居れば……と、思ったが。ふと閃いて。

 

 「……そいや、居たよ。近所で頼み込めば色々と便宜図ってくれそうな人……」

 「あー……」

 「凄く有能なオペレーターと、人格者の元独立傭兵の夫婦……」

 「あぁ、お主等が近所に連れて来た訳ありの一家族か」

 

 アクリの呟きでそこに居た関係者が理解したか。

物凄く納得顔で相槌を打つ。ものっそくお人好しなのが玉に瑕だけど、瑕だけどッ。

 

 「――とりあえず、だけどさ。617も620も、一旦は怪我をしっかり治して。

それが完治したら、オールマインドへ新規傭兵登録と、知り合いの元独立傭兵の所に紹介するから」

 「お、願い、し、ます」

 「ぉねがぃしま、す」

 「任された。んじゃあ、アリエスに話を通しとかないとなー(あとハンドラーにも連絡しとかないと)」

 「ふむ。それではこっちもこの娘っ子達をさっさか治療して、義腕義足の準備をせんとのぅ」

 

 そんな感じに決まると、一同は重症人の強化人間(娘っ子)達を残して行動を開始するのである。

 

 

 

 

 

 

 それから、一通りの再生処置と義肢を取り付けた617と620はRaDer’sの紹介の元、

アリエス達の隠れ家に身を寄せ、借金を完済するまでの期間をそこで過ごす事となり、

様々な経験と、それを糧に色々な方向へと成長をするのは先の話である。

 

 







 相変わらずコーラル義肢とか医療ポッドの件とか色々と捏造はしていますが、
とりあえずの617と620の処遇はこんな感じで。
RaDer’sの連中に借金返し終えるまでにどんな方向に成長するのか僕にも分かりませんが、
その頃にはごすずんと同じぐらいの善人になってる事でしょう(ぁぁ


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