とあるルビコンのジャンカートリオ   作:清狼光牙

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 相変わらず、時間かかりました……(いつもの
まさか、8割ぐらい書き直しになるとは(吐血





31話

 

 

 

 先の617と620の件から数日。

彼女達の手術は無事終わって経過観察の状態へと移行し。

あと少しすればリハビリを始め、のちにSheep Hornの隠れ家へと移動し、

そこを(借り)拠点に独立傭兵として、カプリの選定したミッションを熟し始めるのであろう。

 

 ……因みに、617と620の乗る新式探査フレームはもうRaDer’s(自分等)が買い上げ、

二人に登録して起動キーと共に渡してあるので、

後はお金が溜まったらアリエス達を通じて連絡が来る事になっている。

まあAC一機分ずつとは云え、戦闘にも耐えられる作業用機体でしかない代物だ。

返済にそう時間は掛かるまい。

 

 アクリの予想通りにACをくれてやる代わりに色々とこき使ってやろう、

等と考えていたらしいシンダー・カーラは、

先を越されたかい、と苦笑と共にこっちにぼやいて来たのはご愛嬌である。

 

 それは兎も角として。

 

 過日、アクリが大怪我をした時にて少々話題にしていた、

BAWSと交渉していた件の回答が、開発部(彼等)と特に仲が良いリブラへのメールより齎され。

意気揚々とBAWSの第一工廠へと来た時には、必ず立ち寄る開発部……ではなく、

先方から指定されたが為、購買の窓口の方へと足を運ぶRaDer’sである。

 

 「――よく来たね。我々、BAWS特殊型機動兵器開発部はRaDer’s(君達)を歓迎しよう。

……まさか、量産化前の不安定な機体でも良いから買い取らせてくれ、

と何度も鬼電して来るとは思わなかったよ」

 「……そういえば開発部のフルネーム、今初めて聞いたんですけどもッ!?

更にユミコってばめっちゃ酷い事してたッ!?」

 「とりあえずアンタにさっさと強い機体を融通しないと本気で死にかねないと思ったしシカタナイネ」

 「雑魚過ぎでゴメンねぇッ!?!」

 

 そこの一つの取引所(VIP用であろう。小市民的には居心地がすこぶる悪い)の一室にて、

(弐式)の生みの親の一人となる開発部部長さんが一人掛けのソファに座り、そんな言葉を掛けて来て。

思わず、と云った風で聞いた事が無かった名称に突っ込みを入れざるを得ないアクリである。

更にそのまま部長さんの言葉からユミコへと突っ込みの矛先を変えるのだが、

普通に納得な台詞を投げ返され、ぐうの音も出ない。

そんな彼女達の漫才にいつも忙しいねぇ、なぞとか思いつつも小首を傾げてあれ?

と云った感で隣の一人掛けソファに座る相方……もとい部長補佐さんへと言葉を投げ。

 

 「正式な部署名、名乗ってなかったっけ、部長補佐?」

 「――俺の記憶している限りでは、一度として名乗った事はないな」

 「……マジ?」

 「ああ。――因みに、だが。機動兵器の開発部も複数あってな。

MT開発部、AC開発部。……そして我等、特殊型機動兵器開発部となる。

それぞれは文字通りの部署なので、さらっと覚えていてくれれば問題はない」

 

 どうやら、アクリ達との齟齬を埋める為か、詳しく説明を始める補佐さんである。

苦労性な気質が見え隠れしているのはあえてスルーすべきか否か。

そんな馬鹿馬鹿しい思考が過ぎるが、とりあえずは話を聞く事にした様だ。

 

 「そして、特殊型機動兵器開発部は……まぁ、何だ」

 「――変わり種の兵装等を主に開発しているんだ。巨大機器群もカテゴリに入るね。

ジャガーノートとかストライダーもこっちの管轄だった……ん、だけど。

なんかボナ・デア砂丘近辺のストライダーの一隻が、

妙な改造を施されているのは……まあうん。

他に稼働している数隻はあんな改造してないんだけどねぇ……」

 「その辺りは、RaD(こっち)のお馬鹿野郎共が失礼をば……」

 

 例に挙げた大型兵器や、大型艦……ストライダーの事を例に出すと共に、

段々と口が重くなって行く部長さんで。

……あのひっでぇでデカさのストライダーを造った人達だったのか(まぁ人手は他にも居たであろうが)。

 

 更にボナ・デアの採掘艦の改造を依頼されたのはRaDだと云う事は、その直後であろう、

RaDの一角にてコーラルで祝杯を挙げていたのを見かけた、

頭でっかち共の会話と様子から知っていたので、

全員お腹壊してトイレで唸ってろ、と情けない呪詛を内心吐きつつも、

申し訳ない表情で返すアクリである。

 

 「ま、まぁ。買い取られた後に何をするのも買い手側の自由だしね……うん。

……それは兎も角。新型ACなんて代物も、

量産される前だと変わり種には変わりないからこそ、お鉢が回って来たとも云えるのだけど。

先に話題に出した他の開発部は、それぞれに星の内外関わらず、

色々な勢力へと売る為のMTやその武装の生産や、

星内の新参独立傭兵の購入や解放戦線への補充分買い付けとか、

撃破されつつも何とか脱出したAC乗り達の代替え機用のAC生産。

それと同時にこちらが開発した装備で量産化の目途が立った近接用や、

肩用の武装類もそっちに増産をお願いしているから、

てんやわんやみたいでね……」

 「えぇ……?」

 

 それこそ、リペア・レストア品が市場流通してても、

黙認してしまう程度には忙しいんだよ、と締め。

本当に恐ろしく儲かっている様で、羨ましい限りである。

まあその忙しさからの恩恵(中古販売)を受けている身としては、有難い事なのだが。

 

 「とりあえずー。脱線はそれぐらいにして、話を進めた方が良いのではないですかねー?」

 

 そんな彼らに突っ込みを入れるのは、女性技師さんで。

見事にこの部署――特殊型機動兵器開発部のトップ3(女性技師さんも製造の方でトップの様だ)が揃い踏みである。

お得意様……と云うよりは、新型を一緒に開発した仲間、と云った風情での礼の為か。

 

 「おおっと、それは失敬。……と、云う事でRaDer’sの諸君。

長らくお待たせしてしまったけれど。新型AC、BASHO(弐式)。制式……とは云い難いけれど、

あれだけ必死に懇願されたからには、何とかしたかったんでね。

我々が納得できるレベルにまでは引き上げたそのACを納品させていただくよ」

 「貫徹二日掛かりましたけどねー」

 「うっはあ。本当に申し訳ないです……」

 

 いやいや、気にしなくて良いよ。中々有意義で徹夜テンションが楽しかったしね。

部長さんはそう軽い口調で云うと、一つの端末を手渡して来て。

契約書かな? と思いつつそれを受け取るアクリだが。

仕様書と共に、幾つかの内装パーツや兵装も記されており、それも納入品に入っている様だ。

 

 「――色々と色が付いている様ですが」

 「あぁ。アクリ君とリブラ君のお陰で、基礎性能が中々のモノになったからね。

機動データの方も、ACそのものには使い道がなかったけど、FCSの方に有用だと分かって、

機動している機体への命中精度が劇的に上がったんだ。

他にも、そののちにアイビスの火以前の旧時代BASHOのジャンクを持って来てくれたのも大きい。

なので、お礼も兼ねた追加報酬、と云った感じかな」

 「他に多目的ラックも、MT武器やクレーンを容易に挿げ替える事が出来る上に、

多少の改造でMTでも使用が出来るとあって、

ACもMTも使い倒さざるを得ない解放戦線組に好評でな。

リブラが権利をあっさり手放してくれたお陰で色々助かった」

 

 部長さんの台詞に次いで、補佐さんからも礼の言葉を貰いつつも、

微妙に聞き捨てならない単語にジト目でそれをやった張本人を軽く睨むユミコである。

 

 「……リブラきゅん、まぁた君は……」

 「あはは……ゴメン。でも、アレ、凄くシンプルな作りだし、

発想力とそれを制作出来る能力があれば、誰でも簡単に造れるから……」

 「まぁ、そうなんだけど……あ、購入費はコレでお願いします―。

……因みに、以前貰った割引クーポン、新型AC(コレ)にも使えますかねー?」

 

 軽く苦情を云うと、直ぐに気を取り直して支払いのアレコレをやり取り始めるユミコに補佐さんが応え。

 

 「あー、使ってくれて構わんよ。……なれば、値引きを行うと……こうなるか」

 「ぉー。……って、おまけでくれた方にも割り引き利かせて良いんですー?」

 「まあ、その辺りも追加報酬の内でー」

 「君達にもメールで少し伝えたけれど、

アクリ君の身体を守る為に耐Gパイロットスーツを何度も作成したよね。

そこから生まれた副産物……新機軸の衝撃吸収材を使った商品である、

コンテナ式移動住居の売れも相当良いんだよ。

主にベイラム関連企業が買ってくれていてね。

僻地の前線基地建設の効率が驚くほど上がったらしい」

 

 確かに手狭な土地でも、何個か積んで階段でも取り付ければ(最悪ACやMTを階段代わりにしても問題はないであろうし)、

直ぐにでもそこそこの人員を寝泊まりさせる事ができる様になるあのコンテナは、陣地設営には使い勝手が良かろう。

衝撃吸収材も充填しているので、耐震にも効果的であろうし。

そんな事をアリエス達が住居として購入していたコンテナを頭の片隅に置きつつ、

緩い感じで取引きとやり取りは暫し続くのである。

 

 

 

 

 

 BAWS新型AC、BASHO(弐式)の最終量産試作の一機に、

ジェネレータ"HOKUSHI"、ブースタ"KIKAKUⅡ"、

そして、新型のFCS"F-KAN-SEI(火器管制)"(相変わらずの命名力である)に、

撲殺兵器(メイス)"BOKU-SATHU"をおまけとして纏めて受領したあと。

先の新型機模擬戦(依頼)が完了したのちに入社したと云う話のキャスの後輩ちゃん(♀)とキャスの二人を相手取り、

BASHOⅡ同士で軽めの模擬戦を熟し調子を見たりして(新たな稼働データに開発部はホクホクしていた)。

それから開発部の一同に見送られつつ、BAWSの第一工廠からグリッド086方面へとヘリで移動している一行で。

 

 そんな中、とある廃墟都市の一角に差し掛かったその時、レティからの警告の声が発され。

 

 《……前方13時方向、戦闘が起こっている様だな》

 「へッ? ……こんな殆ど何もない廃墟都市群で? ……破落戸(ごろつき)共かな?」

 

 操縦室の一席にてくつろいでいたアクリが、そんな彼の言葉に疑問を投げて。

ユミコも操縦室に居たので、何があったのかとオペレート用の席へと着席し、

確認の為に周囲のスキャンを始め。

リブラの方は、ジャンクの修理と云う趣味兼仕事でハンガーの方に作業中である。

 

 「――居た。推定AC同士の戦闘?」

 「AC同士? 決闘とか?」

 「ンな訳ないでしょが」

 「そりゃそうか」

 

 そんな風に軽口を叩き合いつつも解析を続ける一同である。

……確かに、時々ヘリ外の集音機器が拾っている銃撃音とミサイルらしき爆発音が、

そう遠くない所から発生している様だ。

大方の索敵とスキャニングを終えたレティは、今一度の言葉をアクリ達に掛けて来て。

 

 《今、正面モニタに出す》

 「――ぉー、流石のBAWSの新型の高倍度カメラだね。買い替えて良かったようん。

すっごく鮮明に見え……って、コレ……ッ!?」

 「……えと、見間違いでは無ければ、あのAC(・・・・)だよ、ねぇ?」

 

 ――そんなやり取りをする彼女達の視線の先のモニタに見えるは、

ほぼ新品と云っても差し支えない"総RaD探査フレーム"のACで、

左腕にBU-TT/A(パルスブレード)、右腕にCURTIS(リニアライフル)

右肩にP20MLT-04(四連ミサ)、左肩にもP01VTC-04(垂直4連ミサ)が装備されていた。

確か、垂直ミサはエンブレムを除けば、傭兵支援プログラムの最後の報酬であった筈。

……あの子は、この一週間程で依頼と傭兵プログラムを熟していたのであろう。

 

 「C4-62……あーっと、"レイヴン"だったっけー?」

 「確か、そうだったかな」

 

 ユミコの独り言ちた台詞に合いの手を入れるアクリ。

以前の依頼の時に顔を会わせたウォルターから、"621"ではなく、

"レイヴン"と呼んでやってくれと頼まれたのを思い出したか、言葉少なに一つ頷く。

 

 ライセンス擬装はあまり宜しくない仕業ではあるが、

人生が抹消されている強化人間には面倒な手続きが必要ない便利なツールではあるので、

あの辺りは気にしない方が良いのであろう。

 

 ……それはそれとして。彼が支援プログラムを全履修しているのであれば、

内部パーツも最低限以上にはなっているであろう。

カーラからのジェネレータ(プレゼント)もあった事だし、機体性能、相当に上がってるんだろうなぁ……。

 

 そんな思考を回しつつも目を皿の様にしてモニタ越しの戦闘を見ていると、

相対していた相手らしきAC――こちらも新品らしき総TIAN-QIANG(大豊フレーム)であろう一機。

そのACが肩に載せている高誘導ミサイルらしきものを撃ち出し、

それを探査フレームは小刻みにブーストを吹かし、左右に振れながら回避しつつ、

反撃とばかりに垂直ミサを撃ち上げるとほぼ同時に4連ミサも撃ち込み、更にリニアライフルをお見舞いする。

大豊ACは慌てて回避するが、それを狙っていたのか。

誘導される様に垂直ミサが回避後の硬直した相対機へと降り注いだ。

 

 だが、頑強な大豊フレームである。

多少は怯んだ様だが、再度機動を始めるその姿は、全く動きに支障は出ていない。

 

 「流石、やり口が巧い……」

 「でも、大豊ACも多少のダメージは織り込み済みで、最小限の動きで巧く受けてる感じはするねー?」

 《あのACの乗り手も、中々の腕の様だな》

 

 観戦気分で云いたい放題にのたまい合う三名を他所に、

二機のAC達は、今度は銃撃戦を始めている様で。

 

 RANSETSU-AR(バーストアサルトライフル)と、リニアライフルの撃ち合い。

その合間のミサイルの応酬。

隙あらばパルスブレードでの斬り合い(双方共にパルスブレード持ちである)。

大豊ACの方も、そこそこには善戦出来ているらしい。

 

 その戦闘状況を見て半ば感心したかの様な声音でしみじみとユミコは呟き洩らし。

 

 「……あの大豊AC乗り、アクリより強いっぽいね?」

 「云うなし。確かにやりあったら負ける未来しかなさそうだけどさ!」

 

 そら単機で大型武装ヘリを堕とした化け物に何とか食らい付いていけるのであれば、

アクリよりは強かろう。そんな何とも云えない情けない台詞を吐き出す娘っ子に、レティが声を掛け。

 

 《……まあアクリも実力は上がってるとは云え、本職には厳しいだろう》

 「レティも慰めにならない様な慰めは止めて欲しいかなぁ?!

レイヴン君だって、私と同じ独立傭兵の筈なのに何でここまで差が付くんだろ……」

 「そらアンタがその場のノリだけで殴り合ってるからじゃないの?」

 「ユミコも酷過ぎるッ?!」

 

 そんな感じで漫談染みたやり取りをしつつ見ている一行を他所に、とうとう決着が付きそうか。

探査ACのパルスの刃が、大豊ACの左腕を逆袈裟で掬い上げる様に斬り飛ばし、

逆手のライフルの射撃をほぼゼロ距離にてコアに叩き込むと、

衝撃で一瞬動きを止めたその時にブレードのクールダウンの為か、

ブーストキックにて相手を吹き飛ばしたあと、四連ミサイルの追撃。

蹴りと爆発により、行動不能(スタッガー)となったらしきそのACに、

クイックブーストの三連射で瞬時に背後へと回り込み、冷却が終わったらしいパルスブレードを溜め、斬り込んだ!

 

 それにより後背から切り裂かれ、再度吹っ飛ばされる大豊AC。

吹っ飛ばされるままに転がり倒れ、うつ伏せとなったその状況から連鎖的な小爆発が起きた。

 

 「――勝負あり、だね」

 「見事としか云いようが無いなぁ……。レティ、今のデータ、記録しててね?」

 《もう保存済みだ》

 「流石。あとで見せて貰うね。クイックブーストの3連射は普通に無理だけど、他の機動は参考になりそうだし」

 《アクリの部屋の端末へデータを送っておく》

 「ありがと、レティ」

 

 そんなやり取りをしている内にレイヴンのACは依頼は終わった、とばかりにブースタを吹かせ、

ジャンプとアサルトブーストを繰り返しつつ、その場を離れて行き。

暫し彼のACを見送った後、軽く一息を吐くユミコ。

 

 「……行ったみたいだねー。あのレイヴン君の挙動からして、大豊のACの破壊依頼だったみたい?」

 「そうみたいだーね。で、つまりは、さ……」

 「……多分大豊AC(アレ)、外装は大豊のありきたりなパーツだけど、内装は……って事で、やっちゃう?」

 「ぉぅぃぇ」

 

 いっそ清々しい程の死体漁りだ。

まあでも、基本ジャンカーとはそんなもんである。

新鮮なジャンクに飛びつかない訳がない。

 

 「んじゃま……。レティ、どう?」

 《――独立傭兵レイヴンは、この地域から離脱した様だ。レーダーに感は無い》

 「……よっし、良いタイミング。そいじゃま、取って来るよ」

 「はいよーいってらーだよー」

 

 そんな感じで出撃準備を始めたらしい。

 

 

 

 

 

 

 そう間を置かず、アクリのACはレイヴンが撃破した大豊のACの前へと立っており。

小爆発と、その影響で火を噴いていたACは早くも火が収まり、無残な姿を晒していて、

その姿にほんの少しだけの憐憫を乗せた声を発す。

 

 「――とりま、多分知らない乗り手さん。しっかり全部綺麗にそのAC平らげちゃうから、成仏してね?」

 

 そう云いつつナンボダソウロウナンボダソウロウ、とか良く分からない念仏っぽい何かを唱える。

微妙に間違っている上に仏教徒でもない筈のアクリが、念仏らしきものを何故知っているのか。

 

 すると、そんな彼女の祈禱の念に反応したのか。

その大豊ACがゴリ、と嫌な金属音を奏でつつ少し震え動いて。

 

 「――へッ!? い、生きてるのッ!?」

 『え、嘘ッ。本当にッ!?』

 

 驚きの声を上げるアクリに反応し、ユミコも同じく驚きの声を上げる。

更に近付き、声を掛けようとするのだが。先に大豊ACのパイロットの方から言葉が漏れ出て来て。

 

 「お、オレは……こ、のACを、レッド……ガンに届……け……」

 「その声、アンタ……ッ!? 大豊兵器展示会(あの時)の、AC転換試験に受かったって云ってたMT乗りッ?!」

 

 さらに驚いた事に、その今にも力尽きそうな音で己のやるべき事を呟いているそのACパイロット。

かなり前に、大豊の兵器展示会の警備のブリーフィングの時にアクリが一度だけ顔を会わせた事があり、

彼女の仕事の放棄の件でも擁護してくれていた一人である、あの男性だったのである。

 

 『あ……あぁ、その声……。あの時、の、独立傭兵、か……。ハハッ、下手打っちまった、よ……』

 「喋らないでッ! 無理しちゃダメッ!」

 『あぁ、オレも……コールナンバーが、欲しかったなぁ……』

 

 アクリの気遣いの言葉を聞いているのかどうなのかが分からないままに、そんな懊悩混じりの呟きを漏らし、力尽きた様で。

彼女は再度呼びかけるのだが反応しなくなったので、慌てた風にCOMへと命令を下して。

 

 「……ああもうッ! COMッ、目の前のACのパイロットの今のバイタルデータ、見れるッ!?」

 《了解、コックピットブロックへ強制スキャン、開始します。

――――――スキャン完了。危険領域ではありますが、生存している様です》

 「くっそ、生き残ってるってんなら、見捨てれる訳ないじゃないッ!! ――ユミコぉッ!!」

 

 一期一会の間柄とは云え、親しみを持ってくれた相手を見捨てる事を出来る訳もなく。

がなりたてる様に己が相方に助けの声を投げるアクリである。

 

 『全くもぅ、アクリもリブラが感染(うつ)ったかな。

――そのACを収容するから、アクリはそいつを連れて来るッ!!

一番直近のレッドガン部隊の居る基地って何処だったっけ……ッ?!』

 《そちらの検索は任せておけ。ユミコは収容の準備を》

 『レティ、助かるッ! リブラ、緊急ッ! カーゴ内のジャンク品、ある程度は片付けてッ』

 『――うん、話は理解してるッ! アクリさん達の所にヘリを乗り入れるまでに片付けとくからッ!!』

 

 そんな感じにて慌ただしくなって行くRaDer’sの一同で。

……どうやら緊急事態のままに、次の行き先は決まった様である。

 

 

 






 と言う感じで、以前に紡いでいた縁が色々動き出す事になってきまして。
やっぱ621の密航がターニングポイントなんだなぁと改めて思います(主に自分の書き方の所為ですが

 ……因みに、本当は別の縁でのネタでの戦いを書こうと思ってたんですが。
そこにぼくらのいれぎゅらーが勝手にポップする不具合が見つかり、
脳内ダイスロールをクリティカルで失敗したのでお蔵入りになりましt(目逸らし

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